有給休暇の権利と上手な取得方法

日本で働く外国人向けに有給休暇の権利を徹底解説。労働基準法に基づく付与日数、年5日の取得義務、パート・アルバイトの比例付与、繰り越しルール、上手な取得のコツまで、外国人が知っておくべき情報をまとめました。
有給休暇の権利と上手な取得方法【外国人労働者必読ガイド】
日本で働く外国人にとって、有給休暇(有休・年休)は非常に重要な権利です。しかし、母国との制度の違いや職場の雰囲気から「有給を取りにくい」と感じている方も少なくありません。この記事では、労働基準法に基づく有給休暇の基本から、外国人が知っておくべき取得のコツまで、わかりやすく解説します。日本での働き方をもっと充実させるために、ぜひ最後までお読みください。
有給休暇とは?労働基準法で保障された権利
有給休暇とは、労働基準法第39条で定められた、賃金が支払われる休暇のことです。正式名称は「年次有給休暇」といい、正社員だけでなくパート・アルバイトを含むすべての労働者に認められた法的権利です。
国籍に関係なく、日本で雇用されている外国人労働者にも同じ条件で適用されます。「外国人だから有給がない」という扱いは違法ですので、もしそのような状況にある場合は、労働法・職場の権利ガイドを参考に対処しましょう。
有給休暇の取得は労働者の権利であり、会社の許可は原則不要です。ただし、業務に著しい支障をきたす場合に限り、会社は取得時期の変更を求めること(時季変更権)ができます。
有給休暇の発生条件と付与日数
有給休暇が付与されるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 6カ月以上継続して勤務していること
- 全労働日の8割以上出勤していること
この条件を満たすと、雇用形態に関わらず有給休暇が付与されます。フルタイムの正社員の場合、以下の表のとおり勤続年数に応じて付与日数が増加します。
| 勤続年数 | 付与日数 |
|---|---|
| 6カ月 | 10日 |
| 1年6カ月 | 11日 |
| 2年6カ月 | 12日 |
| 3年6カ月 | 14日 |
| 4年6カ月 | 16日 |
| 5年6カ月 | 18日 |
| 6年6カ月以上 | 20日(上限) |
2022年の厚生労働省の調査では、フルタイム従業員の平均付与日数は約17.6日でした。6年6カ月以上勤務すれば最大20日間の有給休暇を取得でき、これは給料・年収・待遇における重要な福利厚生の一つです。
パート・アルバイトの有給休暇(比例付与)
「パートやアルバイトには有給がない」と思っている方も多いですが、これは誤解です。パートタイム労働者でも、条件を満たせば比例付与で有給休暇を取得できます。
週の所定労働日数に応じた比例付与の日数は以下のとおりです。
| 週の労働日数 | 6カ月 | 1年6カ月 | 2年6カ月 | 3年6カ月 | 4年6カ月 | 5年6カ月 | 6年6カ月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
特に特定技能ビザや製造業・工場で働く外国人の方は、シフト勤務であっても有給休暇の権利があることを覚えておきましょう。
年5日の取得義務化とは
2019年4月の労働基準法改正により、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、年5日の取得が義務化されました。これは企業側の義務であり、従業員が自主的に取得しない場合でも、会社が時季を指定して取得させなければなりません。
この義務に違反した企業には、従業員1人あたり30万円以下の罰金が科される可能性があります。つまり、会社が「忙しいから有給は取れない」と言うのは法律違反になる可能性があるのです。
令和6年の厚生労働省「就労条件総合調査」によると、有給取得率は65.3%と過去最高を記録しましたが、政府目標の70%にはまだ達していません。外国人労働者の取得率はさらに低い傾向があるため、積極的に権利を行使することが大切です。
有給休暇の繰り越しと時効
有給休暇には2年の時効があります。付与された年に使い切れなかった分は翌年度に繰り越せますが、2年を過ぎると権利が消滅します。
例えば、入社6カ月後に10日付与され、そのうち3日しか使わなかった場合、残り7日は翌年に繰り越されます。翌年はさらに11日が新たに付与されるため、合計18日の有給休暇を持つことになります。
計画的に有給を消化するためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 年度の初めに取得計画を立てる(いつ何日使うか大まかに決める)
- 月に1日ずつ取得する習慣をつける
- 長期休暇と組み合わせて使う(GW、お盆、年末年始)
- 退職前にまとめて消化する(退職時の有給消化は労働者の権利)
退職時の有給消化については、退職金制度の仕組みと合わせて確認しておくと安心です。
外国人が有給を取りにくい理由と対処法
日本の職場では、有給休暇を取ることに対して心理的なハードルを感じる方が多くいます。特に外国人労働者が直面しやすい課題には以下のようなものがあります。
よくある悩みと解決策:
- 「周りが取っていないから取りにくい」 → 法律で保障された権利であることを理解し、5日の取得義務があることを上司に伝えましょう
- 「申請方法がわからない」 → 人事部や総務部に有給申請の手順を確認しましょう。多くの企業では申請書やオンラインシステムがあります
- 「在留資格に影響するのでは?」 → 有給休暇の取得は在留資格に一切影響しません
- 「言葉の壁で相談しにくい」 → 日本語能力の向上に取り組みつつ、外国人向けの労働相談窓口を利用しましょう
もし有給休暇の取得を不当に拒否された場合は、最寄りの労働基準監督署に相談することができます。相談は無料で、外国語対応の窓口もあります。
有給休暇を上手に使う5つのコツ
有給休暇を効果的に活用するためのコツを紹介します。日本のビジネスマナーを意識しながら、スマートに有給を取得しましょう。
1. 早めに申請する 有給休暇は少なくとも1〜2週間前に申請するのがマナーです。急な申請は業務への影響が大きいため、計画的に取得しましょう。
2. 業務の引き継ぎを事前に行う 休む前に担当業務の進捗を共有し、緊急時の連絡先を伝えておくと、安心して休むことができます。
3. 閑散期を狙う 繁忙期を避け、比較的業務が落ち着いている時期に取得すると、周囲の理解も得やすくなります。
4. 半日単位・時間単位で使う 会社の制度によっては、有給休暇を半日単位や時間単位で取得できます。病院の通院や住居関連の手続きなどに便利です。
5. 祝日や連休と組み合わせる 日本には年間16日の祝日があります。祝日の前後に有給を取ることで、長期休暇を作ることができます。母国への一時帰国にも活用できるでしょう。
有給休暇に関するよくある質問(FAQ)
Q: 試用期間中は有給休暇がもらえない? A: 試用期間であっても、6カ月の継続勤務と8割出勤の条件を満たせば有給休暇は付与されます。試用期間は継続勤務期間に含まれます。
Q: 有給休暇の理由を会社に伝える必要がある? A: 法律上、有給休暇の取得に理由の申告は不要です。「私用のため」で十分です。ただし、ビジネスマナーとして一言添えると円滑な関係を保てます。
Q: 有給休暇を買い取ってもらうことはできる? A: 原則として、有給休暇の買い取りは認められていません。ただし、退職時に消化しきれない分や、法定以上に付与された分については、買い取りが認められる場合があります。
Q: 派遣社員の有給休暇はどうなる? A: 派遣社員の場合、有給休暇は派遣元(派遣会社)から付与されます。派遣先が変わっても、同じ派遣会社で継続勤務していれば有給休暇は引き継がれます。詳しくは派遣社員と正社員の待遇差の記事をご覧ください。
まとめ:有給休暇は必ず使おう
有給休暇は、日本で働くすべての労働者に法律で保障された権利です。外国人であっても日本人と同じ条件で取得できます。
重要なポイントをおさらいしましょう。
- 6カ月勤務+8割出勤で有給休暇が発生する
- 年5日の取得は企業の義務(違反には罰金あり)
- パート・アルバイトでも比例付与される
- 2年以内に使わないと時効で消滅する
- 取得理由の説明は法律上不要
有給休暇をしっかり取得して心身をリフレッシュすることは、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。給与明細の見方を確認して自分の有給残日数を把握し、計画的に取得していきましょう。
日本での働き方について、さらに詳しく知りたい方は、年収アップの方法や副業・ダブルワークのルールもぜひ参考にしてください。
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