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給料・年収・待遇ガイド【外国人向け】

退職金制度の仕組みと外国人への適用

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
退職金制度の仕組みと外国人への適用

日本で働く外国人向けに退職金制度の仕組みを徹底解説。退職金の種類・計算方法、非居住者の税金(20.42%源泉徴収)、脱退一時金の申請方法、社会保障協定の活用法まで、帰国前に知っておくべき情報を網羅しています。

退職金制度の仕組みと外国人への適用

日本で働く外国人にとって、退職金制度は非常に重要なテーマです。退職金は日本特有の雇用慣行の一つであり、長年勤めた従業員に対して支払われる一時金や年金のことを指します。しかし、退職金制度の仕組みは複雑で、特に外国人労働者にとっては理解しにくい部分が多いのが現状です。本記事では、日本の退職金制度の基本的な仕組みから、外国人労働者への適用方法、税金の取り扱い、帰国時の注意点まで徹底的に解説します。給料・年収・待遇ガイドと合わせてお読みいただくと、日本での報酬制度をより深く理解できます。

日本の退職金制度とは?基本的な仕組みを解説

退職金制度とは、従業員が退職する際に企業から支払われる金銭のことです。重要なポイントとして、退職金制度は法律上の義務ではなく、就業規則に定めがある場合にのみ支給されるという点があります。つまり、すべての企業が退職金を支払うわけではありません。

日本の退職金制度は大きく分けて以下の種類があります:

  • 退職一時金制度:退職時にまとまった金額を一括で受け取る制度
  • 企業年金制度:退職後に年金として定期的に受け取る制度
  • 確定拠出年金(DC):企業や個人が掛金を拠出し、運用成果によって受取額が変わる制度
  • 中小企業退職金共済(中退共):中小企業向けの退職金制度で、外部機関が運用を行う

厚生労働省の調査によると、退職金制度がある企業の割合は約80%で、大企業ほど導入率が高い傾向があります。退職金の計算方法は企業によって異なりますが、一般的には勤続年数×基本給×支給率で算出されることが多いです。

労働法・職場の権利ガイドも確認して、自分の権利をしっかり把握しましょう。

退職金の種類と計算方法

退職金の計算方法は企業ごとに異なりますが、代表的な方式を以下の表にまとめました。

計算方式特徴メリットデメリット
基本給連動型退職時の基本給×勤続年数×支給率給与が上がれば退職金も増加企業の負担予測が難しい
定額方式勤続年数に応じた固定金額計算がシンプル給与水準が反映されない
ポイント制勤続年数・役職・成果をポイント化公平性が高い制度設計が複雑
確定拠出型(DC)毎月の掛金を運用して積立転職時に持ち運び可能運用リスクがある
確定給付型(DB)将来の給付額があらかじめ決定受取額が安定企業の運用リスク

勤続年数による退職金の目安

一般的な大企業の退職金水準は以下のとおりです:

勤続年数大卒・自己都合退職大卒・会社都合退職
3年約30〜60万円約50〜100万円
5年約60〜120万円約100〜200万円
10年約150〜300万円約250〜500万円
20年約500〜1,000万円約800〜1,500万円
30年以上約1,500〜2,500万円約2,000〜3,000万円

退職金は自己都合退職と会社都合退職で大きく金額が異なる点に注意が必要です。自己都合退職の場合は支給率が低く設定されていることがほとんどです。

外国人労働者への退職金制度の適用

外国人労働者も日本人従業員と同様に、企業の退職金制度の対象となります。国籍による差別は労働基準法で禁止されているため、就業規則に退職金制度の定めがあれば、外国人にも同じ条件で支給されなければなりません。

ただし、注意すべき点がいくつかあります:

在留資格との関係

退職金の受給資格と在留資格は直接的な関係はありません。在留資格の種類に関わらず、雇用契約に基づいて働いている限り、退職金制度が適用されます。ただし、就労ビザの種類によっては雇用形態が異なる場合があるため、入社前に退職金制度の有無を確認することが重要です。

外資系企業の場合

外資系企業では退職金制度がない会社が圧倒的に多いのが現状です。これは、外資系企業では転職を繰り返しながらキャリアアップしていくのが一般的で、長期勤続を前提とした退職金制度という考え方が馴染まないためです。代わりに以下のような制度が設けられていることがあります:

  • 特別退職金(パッケージ):退職時に個別交渉で支給される一時金
  • RSU(制限付き株式ユニット):一定期間勤務後に株式を取得できる制度
  • 確定拠出年金(401k型):企業が拠出する年金制度
  • インセンティブ・ボーナス:業績連動型の報酬制度

詳しくは転職・キャリアアップ戦略完全ガイドもご参照ください。

退職金にかかる税金と外国人特有の注意点

退職金には所得税と住民税がかかりますが、通常の給与所得よりも税制上の優遇措置が設けられています。ここでは、特に外国人労働者が注意すべき税金の取り扱いについて解説します。

居住者の場合

日本に住所を有する「居住者」の場合、退職金は以下の計算式で課税されます:

課税退職所得金額 = (退職金 − 退職所得控除額)× 1/2

退職所得控除額は勤続年数によって異なります:

  • 20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

非居住者の場合

退職時に日本に住所がない「非居住者」の場合、税金の取り扱いが大きく異なります。非居住者の退職金には、国内勤務期間に対応する部分について20.42%の源泉徴収が適用されます(参照)。

ただし、「退職所得の選択課税」制度を利用すれば、居住者と同様の有利な税額計算を選択することも可能です(参照)。この制度を利用することで、大幅に税負担を軽減できるケースがあります。

税金・社会保険・年金の完全ガイドで詳しい税金の計算方法を確認できます。

厚生年金・国民年金と脱退一時金

外国人労働者にとって、退職金と並んで重要なのが厚生年金・国民年金の脱退一時金制度です。

厚生年金保険の仕組み

日本で企業に雇用される外国人は、国籍に関係なく厚生年金保険に加入する義務があります。保険料率は約18.3%で、労使折半となっています。国民年金の2024年度の保険料は月額16,980円です。

年金の受給資格を得るには、65歳以上で10年以上の加入期間が必要です。40年間加入した場合に満額の基礎年金が支給されます。

脱退一時金制度

脱退一時金は日本国籍を持たない方のみが利用できる制度で、帰国する外国人が支払った年金保険料の一部を取り戻すことができます。申請条件は以下のとおりです:

  • 日本国籍を持たないこと
  • 厚生年金または国民年金に6ヶ月以上加入していたこと
  • 日本に住所を有していないこと
  • 年金の受給権を有していないこと
  • 日本を出国後2年以内に請求すること

脱退一時金は最大で60ヶ月分(5年分)が支給されます。ただし、この一時金にも20.42%の源泉所得税が課されるため注意が必要です(参照)。

社会保障協定

日本と社会保障協定を締結している国の出身者は、年金加入期間の通算が可能です(参照)。2025年現在、ドイツ、アメリカ、イギリス、韓国、中国など23カ国と協定が結ばれています。この協定により、日本での加入期間が母国の年金制度に算入されるため、脱退一時金を受け取らない方が有利な場合もあります。

帰国時の退職金・年金の手続きガイド

外国人が日本を離れる際、退職金と年金に関して必要な手続きをまとめました。

退職前にすべきこと

  1. 就業規則の確認:退職金制度の有無、計算方法、支給条件を確認
  2. 退職届の提出:通常1〜3ヶ月前に提出(就業規則を確認)
  3. 有給休暇の消化:残っている有給休暇を計画的に消化
  4. 必要書類の準備:離職票、源泉徴収票、退職証明書など

帰国後に必要な手続き

  • 脱退一時金の請求:出国後2年以内に日本年金機構に申請
  • 退職所得の選択課税の申告:税務署に確定申告書を提出(納税管理人を通じて)
  • 住民税の精算:1月1日時点で日本に住所がある場合は住民税の納付が必要

重要な注意点:退職直後に日本に帰国(再入国)して住民票を入れた場合、退職金に対する課税方法が変わる可能性があるため、出国のタイミングには十分注意してください。

住居・生活インフラ完全ガイドでは、帰国時の住居関連手続きについても解説しています。

退職金を最大化するためのアドバイス

外国人労働者が退職金をできるだけ多く受け取るために、以下のポイントを意識しましょう。

入社前の確認ポイント

  • 退職金制度の有無と種類(一時金・年金・DC型など)
  • 退職金の計算方法と支給条件
  • 最低勤続年数の要件(3年未満は支給なしの場合あり)
  • 確定拠出年金の企業マッチング拠出の有無

在職中にできること

  • iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入を検討(参照
  • つみたてNISAで老後資金を積み立て
  • 勤続年数をできるだけ長くする(退職金は勤続年数に比例して大幅に増加)
  • 社会保障協定の対象国かどうかを確認し、年金戦略を立てる

退職時の注意

  • 自己都合退職よりも会社都合退職の方が退職金が多いケースが大半
  • 退職のタイミングによって住民税の取り扱いが変わる
  • 退職所得の選択課税制度の活用を忘れずに
  • 転職エージェントに相談して、次の就職先でも退職金制度がある企業を選ぶ

まとめ:外国人が知っておくべき退職金のポイント

日本の退職金制度は外国人労働者にとっても非常に重要な制度です。以下の点を必ず覚えておきましょう:

  • 退職金制度は法的義務ではないため、入社前に必ず制度の有無を確認する
  • 外国人も日本人と同じ条件で退職金を受け取る権利がある
  • 非居住者の退職金には20.42%の源泉徴収が適用されるが、選択課税制度で軽減可能
  • 脱退一時金は帰国後2年以内に申請が必要
  • 社会保障協定の活用で年金加入期間を通算できる場合がある

退職金や年金は長期的な資産形成に大きく影響します。早い段階から制度を理解し、計画的に行動することで、日本での就労経験を最大限に活かすことができます。不明な点があれば、会社の人事部門や社会保険労務士に相談することをおすすめします。資格・スキルアップ完全ガイドも参考にして、キャリア全体を見据えた計画を立てましょう。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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