介護の夜勤と勤務体系の実態

介護施設の夜勤の実態を徹底解説。2交代制と3交代制の違い、夜勤手当の相場(1回4,000〜8,000円)、ワンオペ問題の現状、夜勤専従の働き方、そして外国人介護士が夜勤に臨む際の注意点やポイントまで詳しく紹介します。
介護の夜勤と勤務体系の実態
日本の介護業界では、入居型施設を中心に24時間体制でのケアが求められます。その中でも夜勤は介護職にとって避けて通れないテーマです。特に外国人介護士にとっては、日本の夜勤制度や勤務体系を事前に理解しておくことが、スムーズな就労と長期的なキャリア形成に直結します。
本記事では、介護施設における夜勤の実態、2交代制と3交代制の違い、夜勤手当の相場、そして外国人介護士が夜勤に臨む際のポイントを詳しく解説します。
介護施設における夜勤の基本
介護施設の夜勤とは、主に夕方から翌朝にかけて入居者の生活をサポートする業務です。夜間帯は利用者が就寝しているため日勤とは業務内容が異なりますが、定期巡回、排泄介助、体位変換、緊急時の対応など、多岐にわたる業務を少人数で担当します。
夜勤の主な業務内容は以下の通りです:
- 就寝介助:パジャマへの着替え、歯磨き、服薬確認
- 定期巡回:2時間おきの安否確認と体位変換
- 排泄介助:おむつ交換やトイレ誘導
- ナースコール対応:急な体調不良や転倒への対処
- 起床介助:朝の着替え、洗面、朝食準備
夜勤は施設の種類によって忙しさが大きく異なります。介護施設の種類と特徴を把握することで、自分に合った職場を選ぶことができます。
2交代制と3交代制の違い
日本の介護施設では、主に2交代制と3交代制の2つの勤務形態が採用されています。調査によると、2交代夜勤を実施している施設が全体の91.1%を占めており、2交代制が主流となっています。
| 項目 | 2交代制 | 3交代制 |
|---|---|---|
| 夜勤の勤務時間 | 約16時間(16:00〜翌9:00) | 約8時間(22:00〜翌7:00) |
| シフトの種類 | 日勤・夜勤の2パターン | 早番・遅番・夜勤の3パターン |
| 月間夜勤回数 | 月4〜5回が一般的 | 月8〜10回が一般的 |
| 夜勤明けの休み | 夜勤明け+翌日休みが基本 | 翌日休みまたは遅番 |
| メリット | まとまった休日が取りやすい | 1回の勤務時間が短い |
| デメリット | 1回の拘束時間が長い | シフトが複雑で生活リズムが乱れやすい |
| 採用施設の割合 | 約91% | 約9% |
2交代制では16時間以上の長時間勤務が全体の87.5%に達しており、体力的な負担が大きいことが課題です。一方、3交代制は1回の勤務が短い反面、シフトの回転が複雑で生活リズムが乱れやすいという特徴があります。
夜勤の1日のスケジュール(2交代制の場合)
2交代制の夜勤は、一般的に以下のようなスケジュールで進みます:
16:00 出勤・日勤スタッフからの引き継ぎ 17:00 夕食準備・配膳・食事介助 18:30 服薬介助・口腔ケア 19:00 就寝準備・着替え介助 20:00 消灯・巡回開始 21:00 排泄介助・体位変換(1回目) 22:00 記録作成・ナースコール待機 23:00 巡回・体位変換(2回目) 0:00〜2:00 仮眠時間(施設による) 2:00 巡回・排泄介助 4:00 巡回・体位変換(3回目) 5:30 起床介助開始 6:30 朝食準備・配膳 7:30 食事介助・口腔ケア 8:30 日勤スタッフへの引き継ぎ 9:00 退勤
仮眠時間が設けられている施設もありますが、調査によると仮眠室がない施設も存在し、十分な休息が取れないケースもあります。介護業界の労働環境と改善の動向も確認しておくとよいでしょう。
夜勤手当と給与への影響
夜勤の大きなメリットは、夜勤手当が支給されることです。一般的に1回あたり4,000円〜8,000円程度が支給されます。
| 施設タイプ | 夜勤手当(1回あたり) | 月間夜勤回数 | 月間手当合計 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 5,000〜8,000円 | 4〜5回 | 20,000〜40,000円 |
| 介護老人保健施設 | 5,000〜7,000円 | 4〜5回 | 20,000〜35,000円 |
| グループホーム | 4,000〜6,000円 | 4〜6回 | 16,000〜36,000円 |
| 有料老人ホーム | 5,000〜10,000円 | 4〜5回 | 20,000〜50,000円 |
月に4〜5回の夜勤をこなすと、月額2万円〜5万円の収入アップが期待できます。年間では24万円〜60万円の差になるため、収入面では大きなメリットです。介護業界の給与相場と待遇の詳細も参考にしてください。
また、夜勤専従という働き方もあります。夜勤のみに特化した勤務形態で、月10〜12回の夜勤で日勤者と同等以上の月収を得られるケースもあります。効率的に収入を得たい方には有効な選択肢です。
夜勤のワンオペ問題と人員配置
介護夜勤における最大の課題がワンオペ(1人夜勤)問題です。調査によると、2交代夜勤を導入している職場のうち65.3%がワンオペ状態であることが明らかになっています。
30人の入居者に対して日勤では4人のスタッフが配置されますが、夜勤では1〜2人で対応するケースが一般的です。この人員体制では以下のようなリスクが発生します:
- 緊急対応の遅れ:複数の利用者が同時に体調を崩した場合
- 身体的負担の増加:排泄介助や体位変換を1人で行う
- 精神的ストレス:判断をすべて自分で行うプレッシャー
- 仮眠が取れない:忙しさにより休息時間が確保できない
厚生労働省は夜間の人員配置基準を設けていますが、最低基準ギリギリで運営する施設が多いのが実情です。職場選びの際は、夜勤体制の詳細を必ず確認しましょう。
夜勤専従という働き方
夜勤専従とは、夜勤のみに特化して働く勤務形態です。日勤がなく、夜勤のシフトだけをこなします。
夜勤専従のメリット
- 高い時給・日給:日勤より効率的に稼げる(1回2万〜3万円程度)
- 出勤日数が少ない:月10〜12回の勤務で収入確保
- 日中の自由時間:プライベートの時間を確保しやすい
- 通勤ラッシュを避けられる:出退勤が混雑時間外
夜勤専従のデメリット
- 生活リズムの乱れ:昼夜逆転の生活になる
- 健康への影響:睡眠障害や体調不良のリスク
- 社会生活の制限:友人や家族との時間が合わない
- キャリアアップの制限:日勤業務の経験が積めない
夜勤専従は介護福祉士の資格を持っている方が優遇される傾向にあります。資格取得を目指しながら夜勤で収入を得るというプランも検討できます。
外国人介護士が夜勤に臨む際のポイント
外国人介護士にとって、夜勤は特に注意すべき業務です。日勤に比べてスタッフ数が少なく、自分一人で判断し対応しなければならない場面が多くなります。
日本語力の重要性
夜勤中は以下のような日本語コミュニケーションが求められます:
- 利用者からの訴えの正確な理解
- 緊急時の看護師・医師への電話連絡
- 記録の正確な記載
- 翌朝の引き継ぎ報告
最低でも日本語能力試験N3レベル以上が望ましく、介護の専門用語も理解しておく必要があります。介護現場の日本語と専門用語や介護の仕事で使える日本語フレーズ集で事前に学習しておきましょう。
夜勤に備える体調管理
- 勤務前に十分な睡眠を取る(6〜8時間)
- 仮眠時間を有効活用する(15〜20分の仮眠でも効果的)
- 食事のタイミングを意識する(夜勤前に軽めの食事、深夜は消化の良いもの)
- 勤務後はすぐに休む習慣をつける
緊急時の対応手順を覚える
夜勤で最も重要なのは緊急時対応です。以下の手順を必ず覚えておきましょう:
- 利用者の状態確認(意識・呼吸・脈拍)
- オンコール看護師への連絡
- 必要に応じて救急車(119番)要請
- 施設長・管理者への報告
- 記録の作成
介護職の仕事内容と必要な資格も合わせて確認しておくと、夜勤への心構えがしやすくなります。
夜勤のある職場の選び方
夜勤を含む職場を選ぶ際に確認すべきポイントは以下の通りです:
- 夜勤の勤務形態:2交代制か3交代制か
- 夜勤の人員配置:何人体制か(ワンオペかどうか)
- 仮眠環境:仮眠室はあるか、仮眠時間は確保されるか
- 夜勤手当の金額:1回あたりの具体的な金額
- 夜勤回数:月何回の夜勤があるか
- 夜勤免除の制度:体調不良時や育児中の配慮はあるか
- 夜勤研修の有無:初回は先輩と一緒に入れるか
特に外国人介護士の場合、最初の数回は先輩スタッフと一緒に夜勤に入れる施設を選ぶことが重要です。いきなり1人で夜勤に入るのは、語学面でも業務面でもリスクが高いためです。
介護業界で働く完全ガイドや老人ホーム・介護施設で働く方法も参考にして、自分に合った職場を見つけてください。
まとめ:夜勤を味方にしてキャリアを築こう
介護の夜勤は確かに体力的・精神的に大変な仕事ですが、夜勤手当による収入アップやまとまった休日の確保など、メリットも少なくありません。
重要なのは、事前に夜勤の実態を正しく理解し、自分の体力や生活スタイルに合った勤務形態を選ぶことです。2交代制と3交代制、夜勤専従など、選択肢は複数あります。
外国人介護士の方は、日本語能力の向上を図りながら、まずは日勤で業務に慣れ、その後夜勤にチャレンジするというステップを踏むことをおすすめします。外国人介護士の成功事例も参考にしながら、自分らしいキャリアを築いていきましょう。
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