介護現場の日本語と覚えるべき専門用語

外国人介護士が介護現場で覚えるべき日本語専門用語を分野別に詳しく解説。身体介護・病気・症状・介護記録の用語一覧表や、介護福祉士国家試験に向けた効率的な学習方法、厚生労働省が提供する多言語教材の活用法まで完全網羅した総合ガイドです。
介護現場の日本語と覚えるべき専門用語
日本の介護業界では深刻な人材不足が続いており、2025年時点で約37.7万人、2035年には約79万人の介護人材が不足すると見込まれています。この背景から、外国人介護士の受入れが年々拡大しており、介護現場で働くためには専門的な日本語力が不可欠です。介護福祉専門用語集には約1,200語もの専門用語が収載されており、これらを段階的に習得することが現場で活躍するための鍵となります。
本記事では、外国人介護士が覚えるべき介護の専門用語を分野別に整理し、効率的な学習方法や実践的なコミュニケーションのポイントを詳しく解説します。介護・医療業界で働く完全ガイドと合わせてお読みください。
介護現場で使われる日本語の特徴
介護現場の日本語には、一般的な日本語とは異なるいくつかの特徴があります。まず、「褥瘡(じょくそう)」「拘縮(こうしゅく)」「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」といった医学・介護の専門用語が日常的に使われます。これらは日本人にとっても聞きなれない言葉が多く、日本語能力と語学スキル向上ガイドで基礎力を高めながら、介護特有の語彙を積み上げていく必要があります。
また、介護現場では「漢字」「ひらがな」「カタカナ」が入り混じった文章で記録を書くことが求められます。口頭でのコミュニケーションだけでなく、介護記録や報告書といった書類作成能力も重要です。さらに、利用者の多くは高齢者であるため、方言や古い言い回しを理解する力も求められます。
介護の日本語は大きく以下の4つの場面で使い分けが必要です。
- 利用者とのコミュニケーション:丁寧語・やさしい言葉遣い
- スタッフ間の申し送り:簡潔で正確な専門用語
- 介護記録の記入:客観的な記述と適切な漢字使用
- ご家族への説明:わかりやすく丁寧な表現
身体介護に関する必須用語
身体介護は介護業務の中心であり、関連する用語を正確に理解することが利用者の安全に直結します。以下の表で、現場で頻繁に使われる身体介護用語をまとめました。
| 用語 | 読み方 | 英語 | 使用場面 |
|---|---|---|---|
| 起床介助 | きしょうかいじょ | Wake-up assistance | 朝の起き上がり支援 |
| 移乗介助 | いじょうかいじょ | Transfer assistance | ベッドから車椅子への移動 |
| 排泄介助 | はいせつかいじょ | Toileting assistance | トイレでの排泄支援 |
| 入浴介助 | にゅうよくかいじょ | Bathing assistance | お風呂での洗身支援 |
| 食事介助 | しょくじかいじょ | Meal assistance | 食事の見守り・支援 |
| 体位変換 | たいいへんかん | Repositioning | 褥瘡予防のための姿勢変更 |
| 口腔ケア | こうくうけあ | Oral care | 歯磨き・口腔内清掃 |
| 更衣介助 | こういかいじょ | Dressing assistance | 着替えの支援 |
| 服薬介助 | ふくやくかいじょ | Medication assistance | 薬の服用支援 |
| トイレ誘導 | といれゆうどう | Toilet guidance | トイレへの案内・促し |
これらの用語は毎日の業務で使うものなので、最初に覚えるべき最重要語彙です。特に「移乗介助」は事故防止の観点から、正しい手順とともに用語を理解することが大切です。
病気・症状に関する専門用語
介護現場では利用者の健康状態を正確に把握し、他のスタッフや医療従事者に報告する必要があります。以下は介護現場で頻出する病気・症状の用語です。
| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 認知症 | にんちしょう | 記憶力・判断力が低下する脳の病気 |
| 褥瘡 | じょくそう | 長時間同じ姿勢による皮膚の損傷(床ずれ) |
| 拘縮 | こうしゅく | 関節が固まって動かなくなる状態 |
| 誤嚥性肺炎 | ごえんせいはいえん | 食べ物が気管に入ることで起こる肺炎 |
| 脱水症状 | だっすいしょうじょう | 体内の水分が不足した状態 |
| 浮腫 | ふしゅ | 体の一部がむくんだ状態 |
| 発熱 | はつねつ | 体温が通常より高い状態 |
| 嘔吐 | おうと | 胃の内容物を吐き出すこと |
| 下痢 | げり | 水っぽい便が頻繁に出る状態 |
| 転倒 | てんとう | 歩行中などにバランスを崩して倒れること |
特に「褥瘡」「拘縮」「誤嚥性肺炎」の3つは、日本人にとっても難しい用語ですが、介護福祉士国家試験にも頻出するため、必ず覚えておきましょう。厚生労働省は14言語で介護用語教材を提供しており、母国語と照らし合わせながら学習することも可能です。
介護記録・申し送りで使う表現
介護記録は法的な書類でもあり、正確で客観的な記述が求められます。記録の書き方を身につけることは、介護福祉士としてのキャリアアップにも直結します。
よく使う記録表現
- 「〇〇様、本日△△の訴えあり」:利用者の症状報告
- 「バイタルサイン:体温○○度、血圧○○/○○」:健康数値の記録
- 「食事摂取量:主食○割、副食○割」:食事量の記録
- 「夜間○回覚醒あり」:睡眠状態の報告
- 「特変なし」:異常がなかったことの記録
申し送りの基本フレーズ
申し送りとは、勤務交代時に利用者の状態を次のスタッフに伝えることです。以下の表現を覚えておくと、スムーズなコミュニケーションが取れます。
| 場面 | フレーズ例 |
|---|---|
| 状態報告 | 「○○様、昨夜は不穏が見られました」 |
| 注意喚起 | 「転倒リスクが高いため、見守り強化をお願いします」 |
| 変更連絡 | 「主治医より薬の変更指示がありました」 |
| 確認依頼 | 「入浴時に皮膚の状態を確認してください」 |
正確な記録と申し送りができるようになると、職場での信頼が高まり、キャリアアップにもつながります。
生活援助に関する用語
身体介護だけでなく、利用者の日常生活を支える生活援助も重要な業務です。以下は生活援助で使われる主な用語です。
- 掃除(そうじ):居室やトイレ、浴室などの清掃
- 洗濯(せんたく):衣類やシーツの洗い物
- 調理(ちょうり):食事の準備・調理
- 買い物(かいもの):日用品や食料品の購入代行
- 整容(せいよう):髪を整えたり爪を切ったりする身だしなみのケア
- リネン交換:ベッドのシーツや枕カバーの交換
- 環境整備(かんきょうせいび):利用者の生活空間を快適に保つこと
これらの用語は比較的日常的な言葉に近いため、日本での生活の中でも自然に触れる機会があります。ただし、介護記録に書く際には正式な用語を使う必要があるため、正確な漢字表記も含めて覚えておきましょう。
利用者とのコミュニケーションで大切な言葉
介護の仕事は単なる身体的なケアだけではありません。利用者との信頼関係を築くためのコミュニケーション力が非常に重要です。日本のビジネスマナーの基本を理解した上で、介護現場特有のコミュニケーションスキルを身につけましょう。
声かけの基本フレーズ
| 場面 | フレーズ | ポイント |
|---|---|---|
| 朝の挨拶 | 「おはようございます。昨夜はよく眠れましたか?」 | 体調確認を兼ねる |
| 食事前 | 「お食事の準備ができましたよ」 | 明るく声をかける |
| 介助開始 | 「これから体を起こしますね。いいですか?」 | 必ず同意を得る |
| 痛みの確認 | 「どこか痛いところはありますか?」 | ゆっくり聞く |
| 励まし | 「上手にできましたね」「ありがとうございます」 | 自尊心を大切にする |
利用者への声かけでは、必ず敬語を使うこと、利用者の名前に「様」をつけること、何かをする前に必ず声をかけて同意を得ることが基本です。
介護福祉士国家試験に向けた用語対策
外国人介護士が日本で長期的にキャリアを築くためには、介護福祉士国家試験の合格が大きな目標となります。EPA(経済連携協定)でインドネシア(2008年)、フィリピン(2008年)、ベトナム(2014年)から介護福祉士候補者の受入れが始まり、2019年4月には特定技能の対象職種にも「介護」が含まれました。
試験に頻出する用語カテゴリー
- 人間の尊厳と自立:自己決定、QOL(生活の質)、ノーマライゼーション
- 介護の基本:自立支援、個別ケア、チームアプローチ
- コミュニケーション技術:傾聴、共感、非言語コミュニケーション
- 生活支援技術:ADL(日常生活動作)、IADL(手段的日常生活動作)
- 医療的ケア:喀痰吸引、経管栄養、バイタルサイン
効果的な学習方法
- 国際厚生事業団の学習ツールを活用する
- 国際交流基金の「日本語でケアナビ」で日英対照で学ぶ
- 介護現場で実際に使いながら覚える(実践的な定着が最も効果的)
- 過去問を繰り返し解く(用語の使い方を文脈で理解する)
- 母国語の対訳教材を活用する(厚生労働省が14言語で提供)
専門用語を効率的に覚えるコツ
約1,200語もの介護専門用語を一度に覚えることは不可能です。以下のステップで段階的に学習しましょう。
ステップ1:最優先で覚える用語(入職1ヶ月以内)
身体介護の基本用語(起床介助、移乗介助、排泄介助など)と、緊急時の用語(転倒、窒息、意識消失など)を最優先で覚えます。
ステップ2:業務に必要な用語(入職3ヶ月以内)
介護記録の書き方、申し送りの表現、病気・症状の用語を覚えます。介護現場で必要な日本語力を段階的に高めていきましょう。
ステップ3:専門的な用語(入職6ヶ月以降)
介護保険制度に関する用語、ケアプランの用語、リハビリテーションの用語など、より専門的な内容を学びます。
覚え方のポイント
- 現場でメモを取る:新しい用語を聞いたらすぐにメモする
- 絵や写真と結びつける:視覚的なイメージで記憶を定着させる
- 声に出して練習する:発音とセットで覚える
- 同僚に質問する:わからない用語はその場で確認する
まとめ
介護現場の日本語は専門性が高く、外国人にとって習得のハードルが高い分野です。しかし、日本では介護人材が大幅に不足しており、外国人介護士の需要は今後もますます高まっていきます。専門用語を着実に身につけることで、利用者への質の高いケアを提供でき、介護福祉士国家試験の合格やキャリアアップにもつながります。
まずは身体介護の基本用語から始め、記録・申し送りの表現、病気・症状の用語と段階的に語彙を増やしていきましょう。特定技能ビザや介護業界での就職を目指す方は、本記事で紹介した用語リストと学習リソースを活用して、着実にスキルアップを図ってください。
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