介護福祉士の資格取得方法【外国人向け】

外国人が介護福祉士の資格を取得する3つのルート(養成施設・EPA・特定技能)を詳しく解説。国家試験の合格率データ、効果的な対策方法、活用できる補助金制度、資格取得後のキャリアパスまで網羅した完全ガイドです。
介護福祉士の資格取得方法【外国人向け完全ガイド】
日本の介護業界で長期的にキャリアを築きたい外国人にとって、介護福祉士の国家資格は最も重要な資格のひとつです。この資格を取得すれば、在留資格「介護」への変更が可能となり、日本で安定して働き続けることができます。本記事では、外国人が介護福祉士資格を取得するための3つのルート、国家試験の合格率や対策方法、さらに活用できる支援制度まで詳しく解説します。
介護福祉士とは?外国人が取得するメリット
介護福祉士は、日本の介護分野における唯一の国家資格です。現在、日本全国で約194万人の介護福祉士が活躍しています。外国人がこの資格を取得することには、以下のような大きなメリットがあります。
- 在留資格「介護」への変更が可能:在留期間の更新に制限がなく、長期的に日本で働ける
- キャリアアップ:介護リーダーや管理職への昇進が期待できる
- 給与アップ:資格手当が支給される施設が多く、収入向上につながる
- 家族の帯同:在留資格「介護」では家族を日本に呼び寄せることが可能
- 転職の自由度:介護業界内での転職がしやすくなる
2040年には高齢者人口がピークを迎え、約57万人の介護人材が不足すると予測されています。そのため、外国人介護福祉士への需要は今後さらに高まることが確実です。詳しい業界の動向については介護・医療業界で働く完全ガイドもご覧ください。
外国人が介護福祉士資格を取得する3つのルート
外国人が介護福祉士の国家試験を受験するには、主に3つのルートがあります。それぞれの特徴を理解し、自分に最適なルートを選びましょう。
ルート1:養成施設ルート
在留資格「留学」で日本に入国し、介護福祉士養成施設(専門学校・大学・短期大学)で2年以上学んだ後、国家試験を受験するルートです。
入学条件:
- 高等学校卒業以上の学歴
- 日本語能力試験(JLPT)N2相当の日本語力
- 在留資格「留学」の取得
このルートは体系的に介護の知識と技術を学べるため、試験対策としても効果的です。養成施設では日本語での専門用語も集中的に学ぶことができます。留学生の方は留学生から社会人への就職完全ガイドも参考にしてください。
ルート2:EPA(経済連携協定)ルート
EPA(Economic Partnership Agreement)に基づき、日本の介護施設で就労と研修を行いながら国家試験合格を目指すルートです。
対象国:
- インドネシア
- フィリピン
- ベトナム
EPA候補者は原則4年間の在留期間が認められます。3年以上の介護業務経験を積んだ後に受験資格が得られるため、実質的に受験チャンスは1回のみです。ただし、受入施設から日本語学習や試験対策のサポートを受けられることが大きな利点です。
ルート3:特定技能・技能実習ルート
特定技能ビザや技能実習の介護分野で来日した方が、実務経験を積みながら国家試験を目指すルートです。
条件:
- 介護施設での実務経験が3年以上
- 実務者研修の修了(450時間のカリキュラム)
在留期間は最長5年間で、その間に国家試験を受験できるチャンスは最大2回です。働きながら試験勉強を進める必要があるため、計画的な学習が求められます。
3つのルート比較表
| 項目 | 養成施設ルート | EPAルート | 特定技能・技能実習ルート |
|---|---|---|---|
| 対象者 | 留学生 | インドネシア・フィリピン・ベトナム国籍 | 特定技能・技能実習の在留資格保持者 |
| 必要な日本語力 | N2相当 | N3〜N4程度(入国時) | N4程度(入国時) |
| 受験までの期間 | 2年以上(養成施設卒業後) | 約3〜4年 | 3年以上の実務経験 |
| 受験チャンス | 複数回 | 原則1回 | 最大2回 |
| 学習環境 | 養成施設で体系的学習 | 施設からのサポートあり | 自己学習が中心 |
| 費用負担 | 学費が必要(奨学金あり) | 渡航費・研修費は受入施設負担 | 基本的に自己負担 |
| メリット | 体系的学習で合格率高い | 就労しながら学習可能 | 実務経験を直接活かせる |
国家試験の概要と外国人の合格率
介護福祉士国家試験は毎年1月に筆記試験、3月に実技試験が実施されます。外国人の合格率は受験ルートや出身国によって大きく異なります。
第37回試験(2025年1月実施)の合格率
- 全体の合格率:78.3%
- EPA候補者全体:37.9%
- ベトナム出身者:84.3%
- インドネシア出身者:36.5%
- フィリピン出身者:22.8%
- 特定技能1号からの受験者:33.3%
- 技能実習からの受験者:32.3%
ベトナム出身者の合格率が突出して高い理由として、ベトナムでの事前学習の充実度や、日本語学習への熱心な取り組みが挙げられています。一方で、全体的に外国人の合格率は日本人受験者と比較すると低い傾向にあり、特に日本語力が合否を分ける大きな要因となっています。
日本語力を向上させたい方は日本語能力と語学スキル向上ガイドを参照してください。
2026年からの新制度「パート合格制度」
2026年1月実施の第38回試験から、パート合格制度が導入されます。これは試験を複数のパートに分け、合格したパートは翌々年まで有効とする制度です。一度に全科目に合格する必要がなくなるため、外国人受験者にとって大きな朗報です。
国家試験合格のための対策方法
外国人が介護福祉士国家試験に合格するためには、戦略的な学習計画が不可欠です。以下のポイントを押さえて効率的に学習を進めましょう。
日本語力の強化
試験は全て日本語で出題されるため、まずJLPT N2レベル以上の日本語力を身につけることが最優先です。特に以下の点を重点的に学習しましょう。
- 介護専門用語の理解(褥瘡、誤嚥、バイタルサイン等)
- 長文読解力の向上(問題文を正確に理解する力)
- 漢字力の強化(介護に関する漢字を重点的に)
過去問の繰り返し学習
過去5年分以上の試験問題を繰り返し解くことで、出題傾向や頻出テーマを把握できます。間違えた問題は必ず理由を確認し、同じミスを繰り返さないようにしましょう。
学習スケジュールの例
| 時期 | 学習内容 | 目標 |
|---|---|---|
| 試験1年前 | 日本語力強化・基礎知識の学習 | JLPT N2取得 |
| 試験6ヶ月前 | 過去問演習・弱点分野の強化 | 過去問で60%以上正答 |
| 試験3ヶ月前 | 模擬試験・時間配分の練習 | 模擬試験で70%以上正答 |
| 試験1ヶ月前 | 総復習・暗記項目の確認 | 合格ラインの安定突破 |
オンライン学習リソースの活用
MEIKOGLOBALやJapan Care Worker Guideなどのウェブサイトでは、外国人向けの介護福祉士試験対策情報が充実しています。また、三幸福祉カレッジでは外国人向けの受験対策講座も開講しています。
活用できる支援制度と補助金
介護福祉士の資格取得を目指す外国人やその雇用主に対して、さまざまな支援制度が用意されています。
自治体の補助金制度
多くの自治体が、外国人介護人材の資格取得支援として以下の費用を補助しています。
- 教材・テキストの購入費
- 外部講習・模擬試験の受講費
- 日本語講師による教育費用
- 実務者研修の受講費
具体的な補助金の内容や金額は自治体によって異なりますので、勤務先の所在地の自治体に確認しましょう。詳しくは厚生労働省の外国人介護人材受入れページを参照してください。
受入施設からのサポート
EPA候補者や特定技能の受入施設では、以下のようなサポートを提供していることが多いです。
- 日本語学習の時間確保
- 試験対策用の教材提供
- 介護福祉士によるマンツーマン指導
- 学習費用の一部負担
就職先を探す際には、資格取得支援が充実している施設を選ぶことも重要なポイントです。求人の探し方については求人サイト・転職エージェント活用ガイドも参考にしてください。
資格取得後のキャリアパスと在留資格
介護福祉士の資格を取得した後は、キャリアの選択肢が大きく広がります。
在留資格「介護」への変更
資格取得後は在留資格を「介護」に変更できます。この在留資格の最大のメリットは以下の通りです。
- 在留期間の更新に上限なし:条件を満たす限り何度でも更新可能
- 家族の帯同可能:配偶者や子どもを日本に呼び寄せられる
- 転職の自由:介護業界内で自由に転職できる
在留資格の詳細については就労ビザ16種類の特徴と取得条件まとめをご確認ください。
キャリアアップの道
介護福祉士としての経験を積むことで、以下のようなキャリアアップが目指せます。
- 介護リーダー・主任:チームの指導や管理を担当
- ケアマネジャー(介護支援専門員):5年以上の実務経験で受験資格取得
- 施設管理者:施設全体の運営に関わるポジション
- 後輩外国人スタッフの指導者:同じ国の後輩の育成に貢献
給与面でのキャリアアップについては給料・年収・待遇ガイドで詳しく解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q: 日本語力がN3レベルでも受験できますか? A: 受験資格の取得は可能ですが、試験は全てN2以上の日本語力が求められる内容です。まずは日本語力の向上を優先しましょう。
Q: 不合格だった場合、再受験はできますか? A: 在留資格の種類によります。養成施設ルートであれば複数回受験可能ですが、EPA候補者は原則1回、特定技能・技能実習は最大2回です。2026年からのパート合格制度により、段階的な合格が可能になります。
Q: 試験勉強と仕事の両立は可能ですか? A: 可能ですが、計画的な学習が必要です。1日1〜2時間の学習時間を確保し、休日にまとめて過去問演習を行うのが効果的です。受入施設の学習支援制度も積極的に活用しましょう。
Q: 母国の介護資格は日本で使えますか? A: 母国の介護資格がそのまま日本で使えることはありません。ただし、技能実習の要件として母国での介護経験や看護資格が評価される場合があります。
まとめ
外国人が介護福祉士の資格を取得することは、日本での長期的なキャリア形成において非常に重要なステップです。養成施設ルート、EPAルート、特定技能・技能実習ルートの3つのルートから自分に最適な方法を選び、計画的に学習を進めましょう。
2026年からはパート合格制度も始まり、外国人にとって資格取得のハードルが下がることが期待されています。また、自治体の補助金制度や受入施設の学習支援も積極的に活用してください。
日本の介護業界では外国人介護福祉士への需要が高まっており、資格を取得すれば安定したキャリアと生活を築くことができます。ぜひこのガイドを参考に、介護福祉士資格取得への第一歩を踏み出してください。
資格取得やスキルアップ全般については資格・スキルアップ完全ガイドもあわせてご覧ください。
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