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労働法・職場の権利ガイド【外国人向け】

パワハラ・セクハラへの対策と通報方法

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
パワハラ・セクハラへの対策と通報方法

日本の職場で働く外国人労働者向けに、パワハラ・セクハラの定義、具体例、証拠の集め方、相談窓口の一覧、通報手順、法的保護について詳しく解説します。ハラスメント被害を受けたときの5つのステップと自衛策も紹介。

パワハラ・セクハラへの対策と通報方法【外国人労働者向け完全ガイド】

日本の職場で働く外国人労働者にとって、パワーハラスメント(パワハラ)やセクシュアルハラスメント(セクハラ)は深刻な問題です。厚生労働省の調査によると、日本の労働者の約35%が何らかのハラスメントを経験しており、外国人労働者はさらにレイシャルハラスメント(人種差別的嫌がらせ)のリスクも抱えています。この記事では、ハラスメントの種類・具体例から、証拠の集め方、相談窓口の活用法、通報の手順まで、外国人が安心して日本で働くための知識を網羅的に解説します。

パワハラ・セクハラとは?定義と6つの類型

2020年6月に施行されたパワハラ防止法(労働施策総合推進法の改正)により、パワハラの定義が法律で明確化されました。2022年4月からは中小企業にも適用され、すべての事業主にハラスメント防止措置が義務付けられています。

パワハラの3つの要件

パワハラとは、以下の3つをすべて満たす行為です。

  1. 優越的な関係を背景とした言動であること
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であること
  3. 労働者の就業環境が害されること

パワハラの6つの類型

類型具体例外国人が注意すべきポイント
身体的な攻撃殴る、蹴る、物を投げつける暴力は明確な違法行為。すぐに通報すべき
精神的な攻撃人前での叱責、人格否定、侮辱的な発言日本語が分からないことを馬鹿にする行為も含む
人間関係からの切り離し無視、仲間外れ、別室への隔離外国人だけ食事に誘わないなども該当する場合がある
過大な要求能力を超えた業務の強制、達成不能なノルマ日本語が不十分な人に日本語対応を強要するケースなど
過小な要求能力に見合わない単純作業のみ指示資格・経験があるのに掃除だけさせるなど
個の侵害プライベートへの過度な干渉宗教・食事・文化について嘲笑する行為も含む

セクハラの定義

セクハラとは、職場における性的な言動により、労働者の就業環境が害されたり、不利益を受けたりすることです。男性から女性だけでなく、同性間や女性から男性へのセクハラも含まれます。

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外国人労働者が受けやすいハラスメントの具体例

外国人労働者は、文化や言語の違いにより、日本人とは異なるハラスメントを受けるリスクがあります。特に注意すべきケースを紹介します。

レイシャルハラスメント(人種差別的嫌がらせ)

パワハラ防止指針の運用通達において、外国人であることを理由としたハラスメントはパワハラに含まれることが明示されています。具体例として以下があります。

  • 「日本語もできないのに」「自分の国に帰れ」などの暴言
  • 出身国や民族を理由にした差別的な待遇
  • 宗教的な習慣(礼拝、食事制限など)を嘲笑する行為
  • 外国人の名前を正しく呼ばず、わざと間違った名前で呼ぶ

セクハラの具体例

  • 容姿や体型についての性的な発言
  • 不必要な身体的接触
  • 交際やデートの執拗な誘い
  • 性的な画像をLINEやSNSで送りつける
  • 在留資格と引き換えに性的な関係を要求する

ハラスメントを受けたときの対処法5ステップ

ハラスメントを受けた場合、感情的にならず冷静に対処することが重要です。以下の5つのステップで行動しましょう。

ステップ1:記録を残す

ハラスメントの証拠を集めることが最も重要です。以下の情報を記録しましょう。

  • 日時:いつ(年月日・時刻)
  • 場所:どこで(オフィス、会議室、飲食店など)
  • 加害者:誰が(名前、役職)
  • 内容:何をされたか(できるだけ詳細に)
  • 目撃者:誰が見ていたか

スマートフォンのメモアプリや日記に記録するほか、可能であれば録音も有効な証拠になります。日本では、当事者の一方が同意していれば録音は違法ではありません。

ステップ2:はっきり拒否する

安全な状況であれば、ハラスメント行為に対して「やめてください」と明確に拒否の意思を伝えましょう。日本語が難しい場合は、メールやチャットなど文書で伝える方法も有効です。

ステップ3:信頼できる人に相談する

一人で抱え込まず、同僚や友人、家族など信頼できる人に相談しましょう。同じ経験をした人からアドバイスをもらえることもあります。

ステップ4:社内の相談窓口を利用する

企業にはハラスメント相談窓口の設置が義務付けられています。人事部やコンプライアンス部門に相談することで、社内調査が行われ、加害者への処分や配置転換などの対応が取られる場合があります。

ステップ5:外部の相談窓口に通報する

社内での解決が困難な場合や、相談窓口が機能していない場合は、外部の公的機関に相談しましょう。

通報・相談できる公的窓口一覧

日本には、ハラスメント被害者を支援する多くの公的相談窓口があります。外国人労働者も国籍に関係なく利用できます。

相談窓口対応内容特徴
総合労働相談コーナー(労働局・労基署内)パワハラ・セクハラ・労働問題全般無料、予約不要、全国382カ所
都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)セクハラ・マタハラの相談行政指導の権限あり
法テラス(日本司法支援センター)法的トラブル全般無料法律相談、多言語対応あり
外国人労働者向け相談ダイヤル労働条件・ハラスメント多言語対応(英語・中国語・ベトナム語等)
みんなの人権110番(法務局)人権侵害・差別電話:0570-003-110
労働条件相談ほっとライン労働条件・違法行為平日夜間・土日も対応

効果的な通報のポイント

労働基準監督署への通報を効果的に行うためのポイントは以下のとおりです。

  1. 実名で直接訪問する:匿名やメールよりも、実名で直接訪問した方が緊急性が高いと認識され、対応してもらいやすくなります
  2. 時系列で整理する:問題の発生から現在までの経緯を日付入りで整理しておきましょう
  3. 証拠を持参する:録音データ、メールのスクリーンショット、日記など具体的な証拠を準備しましょう
  4. 報復の心配は不要:通報したことを理由とした不利益な取り扱いは法律で禁止されています

ハラスメントに関する法的保護と罰則

日本の法律は、すべての労働者をハラスメントから保護しています。国籍や在留資格に関係なく、同じ権利が保障されています。

パワハラ防止法の主な内容

  • 事業主はパワハラ防止のための雇用管理上の措置を講じる義務がある
  • 相談窓口の設置、研修の実施、再発防止策の策定が必要
  • 相談者へのプライバシー保護と不利益取り扱いの禁止

セクハラに関する法律

男女雇用機会均等法により、事業主はセクハラ防止のための措置義務があります。違反した場合、厚生労働大臣による勧告が行われ、従わない場合は企業名公表の措置が取られます。

損害賠償請求

ハラスメントにより精神的・身体的な被害を受けた場合、加害者および会社に対して損害賠償請求が可能です。労働審判や裁判を通じて、慰謝料や治療費、休業損害などを請求できます。

ハラスメント被害を未然に防ぐための自衛策

ハラスメントを完全に防ぐことは難しいですが、リスクを軽減するための対策は可能です。

入社前にできること

  • 雇用契約書の内容を十分に確認する
  • 企業の口コミサイトで職場環境を調査する
  • ブラック企業の特徴を事前に学んでおく
  • ハラスメント防止に関する研修制度があるか確認する

入社後にできること

  • 労働基準法の基本知識を身につける
  • 社内のハラスメント相談窓口の場所と連絡先を確認する
  • 信頼できる同僚や上司との関係を構築する
  • 日本語でのコミュニケーション能力を向上させる
  • ハラスメントの定義と自分の権利を理解しておく

ハラスメント被害の統計データ

厚生労働省の最新調査によると、日本の職場におけるハラスメントの実態は以下のとおりです。

項目数値
ハラスメント経験率約35%
パワハラの割合(ハラスメント全体のうち)71.0%
モラルハラスメントの割合43.0%
セクハラの割合21.0%
会社に報告しなかった割合64.0%
報告しても会社が対応しなかった割合47.2%
2023年度セクハラ相談件数約7,400件

この統計から分かるように、ハラスメント被害は非常に多いにもかかわらず、多くの被害者が声を上げられていない現状があります。特に外国人労働者は言語や文化の壁、在留資格への不安から、さらに声を上げにくい立場にあります。

まとめ:一人で悩まず、必ず相談を

パワハラやセクハラは決して許される行為ではありません。外国人労働者であっても、日本の法律によって同等に保護されています。ハラスメントを受けた場合は、以下のことを覚えておきましょう。

  1. 証拠を集める:日時・内容・加害者を詳細に記録する
  2. 一人で抱え込まない:信頼できる人や相談窓口に必ず相談する
  3. 法律があなたを守る:通報を理由にした不利益取り扱いは禁止されている
  4. 外部機関を活用する:社内で解決できない場合は、労働局や法テラスに相談する
  5. 在留資格は関係ない:ハラスメント被害の相談が在留資格に影響することはない

あなたは一人ではありません。日本には外国人労働者を支援する多くの制度や窓口があります。困ったときは勇気を出して相談してください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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