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労働法・職場の権利ガイド【外国人向け】

不当解雇への対処法と相談窓口

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
不当解雇への対処法と相談窓口

外国人労働者向けに不当解雇の対処法と相談窓口を徹底解説。労働基準監督署・弁護士・労働組合など各相談先の特徴比較、解雇予告のルール、在留資格への影響、労働審判の流れまで完全網羅。不当解雇から身を守るための実践的ガイドです。

不当解雇への対処法と相談窓口【外国人労働者向け完全ガイド】

日本で働く外国人労働者にとって、突然の解雇通告は生活基盤を揺るがす深刻な問題です。しかし、日本の労働法は外国人労働者にも等しく適用され、不当な解雇から労働者を守る仕組みが整備されています。本記事では、不当解雇とは何か、どのように対処すべきか、そしてどこに相談できるかを詳しく解説します。

不当解雇とは?法律上の定義と判断基準

不当解雇とは、法律上の要件を満たさない違法な解雇のことを指します。労働契約法第16条によると、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、その権利を濫用したものとして無効」とされています。

つまり、会社側が解雇するためには以下の要件を満たす必要があります:

  • 客観的に合理的な理由があること
  • 社会通念上相当であると認められること
  • 適正な手続きを踏んでいること

外国人であることを理由とした解雇は、差別禁止法に違反するため、明確な不当解雇に該当します。国籍や民族を理由にした不利益な取り扱いは、労働基準法第3条で禁止されています。

不当解雇に該当する具体的なケース

不当解雇に該当するケースを知っておくことで、自分の状況を正しく判断できます。以下は代表的な不当解雇の事例です。

ケース詳細法的根拠
国籍を理由とした解雇「外国人だから」という理由での解雇労働基準法第3条(均等待遇)
妊娠・出産を理由とした解雇妊娠の報告後すぐに解雇男女雇用機会均等法第9条
労災申請を理由とした解雇労災申請したことへの報復解雇労働基準法第19条
解雇予告なしの即日解雇30日前の予告なく突然解雇労働基準法第20条
整理解雇の4要件不備経営悪化を理由だが手順を踏んでいない判例法理
能力不足を理由とした不当解雇十分な指導なく解雇労働契約法第16条
組合活動を理由とした解雇労働組合への加入を理由にした解雇労働組合法第7条

特に外国人労働者の場合、言語の壁を利用して不当な雇用契約を結ばされたり、正当な理由のない解雇を行われたりするケースが報告されています。

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不当解雇されたときの対処法5ステップ

不当解雇を通告された場合、冷静に以下のステップで対処しましょう。

ステップ1:解雇理由証明書を請求する

会社に対して「解雇理由証明書」の発行を請求しましょう。労働基準法第22条により、労働者から請求があった場合、会社は遅滞なくこの証明書を交付する義務があります。この書類は後の交渉や法的手続きにおいて重要な証拠となります。

ステップ2:証拠を収集・保全する

以下の書類や記録を集めておきましょう:

  • 雇用契約書のコピー
  • 給与明細書
  • 解雇通知書・解雇理由証明書
  • メールやチャットの記録
  • 勤務記録・タイムカードのコピー
  • 就業規則のコピー

ステップ3:解雇の撤回を求める

書面で会社に対して解雇の撤回を求めます。この際、「解雇は労働契約法第16条に違反する不当解雇である」と明確に主張することが重要です。

ステップ4:専門家に相談する

自力での解決が困難な場合は、後述する相談窓口を利用しましょう。弁護士への相談は最も効果的な方法の一つです。

ステップ5:法的手続きを検討する

交渉が決裂した場合は、労働審判や訴訟といった法的手続きに進むことを検討しましょう。労働審判制度は最大3回の審理で迅速に解決できる制度として知られています。

主要な相談窓口の比較と選び方

不当解雇の相談先は複数ありますが、それぞれ特徴が異なります。自分の状況に合った窓口を選ぶことが重要です。

相談窓口費用対応範囲強制力多言語対応おすすめ度
弁護士有料(初回無料あり)全般あり事務所による★★★★★
労働基準監督署無料労基法違反のみあり一部対応★★★☆☆
労働局(あっせん)無料全般なし一部対応★★★★☆
労働組合組合費団体交渉一部あり組合による★★★★☆
法テラス無料〜低額全般あり多言語対応★★★★☆
外国人労働者相談コーナー無料相談・案内なし多言語対応★★★☆☆

弁護士への相談

弁護士は不当解雇問題を解決するプロフェッショナルです。交渉から労働審判、裁判まで一貫してサポートしてもらえます。最近では初回相談無料の事務所も増えており、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。弁護士費用の目安は着手金20〜40万円程度ですが、勝訴した場合の回収額を考えると投資価値があります。

労働基準監督署

労働基準監督署は無料で相談できますが、対応範囲は限定的です。解雇予告義務違反(30日前の予告なし)や解雇予告手当の未払いなど、労働基準法に直接違反する事案には対応できますが、解雇が「不当」かどうかの判断はできません

労働組合

労働組合を通じた団体交渉は効果的な方法です。会社は正当な理由なく団体交渉を拒否できないため、交渉のテーブルにつかせることが可能です。外国人向けの労働組合(ゼネラルユニオンなど)も存在します。

解雇予告と解雇予告手当の仕組み

日本の労働基準法では、解雇に関する厳格なルールが定められています。

解雇予告のルール:

  • 会社は解雇日の少なくとも30日前に予告しなければならない
  • 30日前に予告しない場合は、解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払わなければならない
  • 予告日数が短い場合は、不足日数分の手当を支払う必要がある

例えば、解雇予告が20日前の場合、10日分の解雇予告手当が必要です。即日解雇の場合は30日分全額が必要となります。

ただし、以下の場合は解雇予告が不要です:

  • 日雇い労働者(1ヶ月を超えて引き続き使用されない場合)
  • 試用期間中の者(14日以内の場合)
  • 労働基準監督署長の認定を受けた場合(労働者の責めに帰すべき事由がある場合)

外国人労働者が特に注意すべきポイント

外国人労働者には、日本人労働者とは異なる特有の問題点があります。

在留資格への影響

解雇されると在留資格に影響が出る可能性があります。「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザは、特定の会社での就労を前提としていないため、退職後も在留資格は直ちに失効しません。ただし、3ヶ月以上正当な理由なく就労活動を行わない場合、在留資格の取消事由となる可能性があるため、速やかに再就職活動を始めることが重要です。

技能実習生の場合

技能実習生の場合、実習先からの不当な解雇は特に深刻です。外国人技能実習機構(OTIT)に相談することで、転籍(実習先の変更)などの救済措置を受けられる場合があります。

言語の壁への対応

日本語に自信がない場合は、多言語対応の相談窓口を利用しましょう。法テラスでは通訳サービスを提供しており、各都道府県の外国人労働者相談コーナーでも多言語での相談が可能です。

不当解雇の統計データと解決の傾向

労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によると、不当解雇に関する重要な統計があります。

  • 不当解雇紛争の約45.5%が当事者間の話し合いで解決
  • 経済的理由による解雇紛争は約53.8%が話し合いで解決
  • 労働審判制度では最大3回の審理で結論が出る
  • 不当解雇が認められた場合、復職または金銭解決(バックペイ含む)が主な救済措置

これらのデータから、多くのケースで話し合いによる解決が可能であることがわかります。早期に専門家に相談することで、迅速な解決につながる可能性が高まります。

よくある質問(FAQ)

Q:解雇されてからどのくらいの期間、争うことができますか? A:不当解雇の無効確認訴訟には明確な時効はありませんが、解雇予告手当の請求権は2年で時効となります。できるだけ早く行動することが重要です。

Q:解雇通知を受けたら、すぐに退職届を出すべきですか? A:絶対に出してはいけません。 退職届を提出すると「自己都合退職」とみなされ、不当解雇を争うことが困難になります。

Q:外国人でも労働審判を利用できますか? A:はい、利用できます。労働審判制度は国籍に関係なく利用可能です。通訳が必要な場合は裁判所に申し出ることができます。

Q:解雇された場合、失業保険はもらえますか? A:はい、雇用保険に加入していた場合は失業給付を受けられます。会社都合退職の場合は待機期間なしで受給できるため、ハローワークで手続きしましょう。

まとめ:不当解雇から身を守るために

不当解雇は外国人労働者にとって深刻な問題ですが、日本の法律は国籍に関係なく全ての労働者を保護しています。以下のポイントを覚えておきましょう:

  1. 解雇理由証明書を必ず請求する
  2. 証拠をしっかり保全する
  3. 退職届は絶対に提出しない
  4. 早めに専門家に相談する
  5. 在留資格への影響を確認する

不当解雇に遭った場合、一人で悩まず、労働相談窓口や弁護士に相談してください。外国人労働者の法的権利は法律で守られています。適切な対処を行えば、解雇の撤回や正当な補償を受けることが十分に可能です。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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