日本の労働基準法の基本知識【外国人必読】

日本で働く外国人労働者が知るべき労働基準法の基本知識を徹底解説。労働時間・最低賃金・有給休暇・解雇ルール・残業代の計算方法から困ったときの相談窓口まで、外国人の権利を守るための必読ガイドです。2024年最新の法改正情報も網羅。
日本の労働基準法の基本知識【外国人必読】
日本で働く外国人にとって、労働基準法の理解は自分の権利を守るために欠かせません。「外国人だから日本の法律は関係ない」と思っている方もいるかもしれませんが、実は労働基準法は国籍に関わらず、日本で働く全ての人に適用されます。本記事では、外国人労働者が知っておくべき労働基準法の基本知識を分かりやすく解説します。
労働基準法は1947年に制定された法律で、労働条件の最低基準を定めています。正社員・契約社員・アルバイト・パートなど雇用形態を問わず、全ての労働者が保護の対象です。近年、外国人が活躍する業界トレンドが拡大する中、この法律の理解がますます重要になっています。
労働基準法とは?外国人にも適用される理由
労働基準法は、日本国内で働く全ての労働者を保護するための法律です。最も重要なポイントは、在留資格の有無に関わらず、日本で雇用されている全ての外国人に適用されるということです。
労働基準法第3条では、以下のように定められています。
「使用者は労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならない」
つまり、外国人であることを理由に日本人と異なる労働条件を課すことは法律違反です。同じ仕事をしている日本人と同等の賃金や待遇を受ける権利があります。給料・年収・待遇ガイドも合わせてご確認ください。
この法律が適用される主な場面は以下の通りです:
- 賃金の支払い条件
- 労働時間と休憩時間の管理
- 休日・有給休暇の付与
- 解雇に関するルール
- 安全衛生に関する基準
参考:外国人雇用で労働基準法の適用は?ポイントを弁護士が解説
労働時間・休憩・休日の基本ルール
日本の労働基準法では、労働時間と休憩に関する明確なルールが定められています。外国人労働者もこれらのルールの適用を受けます。
労働時間の上限:
- 1日の労働時間:最大8時間
- 1週間の労働時間:最大40時間
休憩時間のルール:
- 6時間を超える勤務:最低45分の休憩
- 8時間を超える勤務:最低1時間の休憩
休日のルール:
- 毎週最低1日の休日、または4週間で最低4日の休日
これらを超えて働く場合は「残業(時間外労働)」となり、会社は割増賃金を支払わなければなりません。残業代の割増率は以下の通りです:
| 残業の種類 | 割増率 | 具体例 |
|---|---|---|
| 時間外労働(月60時間以内) | 25%以上 | 1日8時間を超えた分 |
| 時間外労働(月60時間超) | 50%以上 | 月60時間を超えた残業 |
| 深夜労働(22時〜5時) | 25%以上 | 夜勤・深夜シフト |
| 休日労働 | 35%以上 | 法定休日に出勤した場合 |
| 時間外+深夜 | 50%以上 | 残業が深夜に及んだ場合 |
例えば、時給1,200円で1日8時間を超えて2時間残業した場合、その2時間分は最低でも時給1,500円(1,200円×1.25)で支払われなければなりません。税金・社会保険・年金の完全ガイドも参考にしてください。
最低賃金と賃金支払いの5原則
日本では最低賃金法により、地域ごとに最低賃金が設定されています。2024年10月時点での主要都市の最低賃金は以下の通りです:
| 地域 | 最低賃金(時給) | 前年比 |
|---|---|---|
| 東京都 | 1,163円 | +50円 |
| 神奈川県 | 1,162円 | +50円 |
| 大阪府 | 1,114円 | +50円 |
| 愛知県 | 1,077円 | +50円 |
| 福岡県 | 992円 | +51円 |
| 北海道 | 1,010円 | +50円 |
| 全国加重平均 | 1,055円 | +51円 |
最低賃金を下回る賃金での雇用は違法です。外国人だからといって最低賃金以下で働かされることがあってはなりません。地域別就職ガイドで各地域の詳細な情報をご確認いただけます。
また、賃金の支払いには「5原則」があります:
- 通貨払いの原則 - 日本円で支払うこと
- 直接払いの原則 - 労働者本人に直接支払うこと
- 全額払いの原則 - 控除は法律で認められたもののみ
- 毎月1回以上の原則 - 月1回以上支払うこと
- 一定期日払いの原則 - 決まった日に支払うこと
有給休暇の取得条件と日数
外国人労働者も日本人と同様に、一定の条件を満たせば年次有給休暇を取得する権利があります。
取得条件:
- 6ヶ月間継続して勤務していること
- 全労働日の8割以上出勤していること
これらの条件を満たすと、以下の日数の有給休暇が付与されます:
| 継続勤務年数 | 付与日数 |
|---|---|
| 6ヶ月 | 10日 |
| 1年6ヶ月 | 11日 |
| 2年6ヶ月 | 12日 |
| 3年6ヶ月 | 14日 |
| 4年6ヶ月 | 16日 |
| 5年6ヶ月 | 18日 |
| 6年6ヶ月以上 | 20日 |
2019年4月からは、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、年5日以上の取得が義務化されています。会社が有給休暇を取らせない場合は法律違反となります。
有給休暇は理由を問わず取得でき、母国への一時帰国にも利用できます。「外国人だから有給が取れない」ということは絶対にありません。
解雇のルールと労働者の保護
日本では、労働者の解雇に関して厳しいルールがあります。外国人労働者も同様に保護されています。
解雇の基本ルール:
- 解雇する場合、30日以上前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない
- 「客観的に合理的な理由」がなく、「社会通念上相当」と認められない解雇は無効
解雇が禁止されるケース:
- 業務上の怪我や病気で休業中とその後30日間
- 産前産後の休業中とその後30日間
- 労働基準監督署への申告を理由とした解雇
「在留資格が切れたから」「日本語が上手くならないから」といった理由だけでの解雇は認められない可能性があります。不当な解雇を受けた場合は、労働法・職場の権利ガイドを参照し、労働基準監督署に相談することをおすすめします。
転職・キャリアアップ戦略完全ガイドもキャリアの見直しに役立ちます。
労働契約書で確認すべきポイント
日本で働く際には、雇用主から労働条件通知書を書面で受け取る権利があります。以下の項目が明記されているか必ず確認しましょう:
- 契約期間 - 期間の定めの有無、更新条件
- 就業場所 - 勤務する場所
- 業務内容 - 具体的な仕事の内容
- 始業・終業時刻 - 勤務時間
- 休日・休暇 - 週休日数、有給休暇
- 賃金 - 基本給、手当、支払日
- 退職に関する事項 - 解雇事由、退職手続き
労働条件通知書は、外国人労働者が理解できる言語で提供されることが望ましいとされています。内容が理解できない場合は、通訳や翻訳サービスを利用して確認しましょう。
絶対に注意すべきこと:
- 在留カードやパスポートを会社に預けることは禁止されています
- 強制貯金(給料の一部を強制的に預けさせる)も違法です
- 契約書と実際の労働条件が異なる場合は、即座に契約を解除する権利があります
2024年の法改正と最新動向
外国人労働者に関わる重要な法改正が2024年に行われました。
技能実習制度から育成就労制度へ: 2024年6月、技能実習制度を廃止し「育成就労制度」に移行する法案が国会で成立しました。新制度は2027年に開始予定で、主な変更点は以下の通りです:
- 一定条件を満たせば転職が可能に
- 人材育成と人材確保を両立する制度設計
- 特定技能制度との連携強化
監督指導の状況: 厚生労働省の発表によると、2024年の技能実習生・特定技能外国人を使用する事業場への監督結果では、7割以上の事業場で労働基準法関連の違反が確認されています。主な違反は以下の通りです:
- 安全基準の不備
- 賃金・残業代の未払い
- 労働時間の上限超過
- 労働条件の書面未交付
このような違反を受けた場合は、遠慮せずに労働基準監督署に相談してください。相談は無料で、秘密は守られます。
参考:Labor Laws in Japan: 10 Rights Foreign Workers Should Know
困ったときの相談窓口
労働問題で困ったとき、外国人でも利用できる相談窓口があります。
公的な相談窓口:
| 相談窓口 | 対応言語 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 外国人労働者向け相談ダイヤル | 13言語対応 | 0120-928-370 |
| 労働基準監督署 | 通訳サービスあり | 各地域の監督署 |
| 外国人在留支援センター(FRESC) | 多言語対応 | 03-5363-3013 |
| 法テラス(法律相談) | 多言語対応 | 0570-078377 |
| ハローワーク外国人雇用サービスセンター | 英語・中国語等 | 各地域のセンター |
これらの窓口では、賃金未払い、残業代の請求、不当解雇、パワハラなど、さまざまな労働問題について相談できます。
相談する際のポイント:
- 給与明細、タイムカード、労働契約書のコピーを準備する
- 問題が発生した日時や状況をメモしておく
- 可能であれば証拠(メール、写真、録音等)を保存しておく
日本で安心して働くためには、自分の権利をしっかり理解し、問題が起きたときに適切な行動を取ることが大切です。日本のビジネスマナー・文化完全ガイドも読んで、日本の職場文化への理解を深めましょう。
参考:厚生労働省 外国人の雇用
まとめ
日本の労働基準法は、外国人労働者を含む全ての労働者を保護するための法律です。主なポイントを振り返りましょう:
- 適用範囲: 国籍・在留資格に関わらず全ての労働者に適用
- 差別禁止: 国籍を理由とした差別的取扱いは違法
- 労働時間: 1日8時間、週40時間が上限
- 最低賃金: 地域ごとに設定、2024年全国平均は時給1,055円
- 有給休暇: 6ヶ月勤務・8割出勤で10日付与
- 解雇保護: 30日前予告または解雇予告手当が必要
- 相談窓口: 多言語対応の無料相談が利用可能
自分の権利を理解することは、日本で安全かつ快適に働くための第一歩です。不安なことがあれば、一人で悩まず、早めに相談窓口を利用してください。在留資格・ビザの基礎知識完全ガイドや日本での就職活動完全ガイドも合わせて読むことをおすすめします。
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