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労働法・職場の権利ガイド【外国人向け】

有給休暇の権利と正しい取得方法

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
有給休暇の権利と正しい取得方法

日本で働く外国人のための有給休暇(年次有給休暇)完全ガイド。労働基準法の基本ルール、付与日数、取得義務化、外国人が知っておくべき注意点、正しい申請方法まで詳しく解説します。帰国休暇の活用法やトラブル時の相談先も紹介。

有給休暇の権利と正しい取得方法【外国人労働者のための完全ガイド】

日本で働く外国人にとって、有給休暇(年次有給休暇)は非常に重要な権利です。しかし、制度の仕組みや取得方法を正しく理解していないために、本来取れるはずの休暇を使わずに失ってしまうケースが少なくありません。本記事では、労働基準法に基づく有給休暇の基本ルールから、外国人が知っておくべき注意点、そして実践的な取得のコツまで詳しく解説します。

有給休暇とは?基本的な仕組みを理解しよう

有給休暇(正式名称:年次有給休暇)とは、労働基準法第39条に定められた労働者の権利です。簡単に言えば、給料をもらいながら仕事を休める制度です。この権利は、正社員だけでなく、パートタイムやアルバイトを含むすべての労働者に適用されます。

重要なのは、外国人労働者も日本人と全く同じ条件で有給休暇の権利を持っているという点です。在留資格の種類に関係なく、労働基準法が適用されるすべての労働者が対象となります。国籍による差別は法律で禁止されています。

有給休暇の取得は労働者の「権利」であり、会社の「許可」は不要です。会社は原則として、労働者が希望する時季に有給休暇を与えなければなりません。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社は時季を変更する権利(時季変更権)を持っています。詳しくは厚生労働省の有給休暇に関するガイドラインも参考にしてください。

有給休暇の付与条件と日数

付与されるための2つの条件

有給休暇が付与されるには、以下の2つの条件を満たす必要があります:

  1. 雇入れの日から6カ月間継続して勤務していること
  2. その期間の全労働日のうち8割以上出勤していること

この条件を満たせば、雇用形態(正社員・契約社員・パート・アルバイト)に関わらず有給休暇が付与されます。特定技能ビザで働く方も、技術・人文知識・国際業務ビザで働く方も、同じルールが適用されます。

勤続年数別の付与日数

フルタイム労働者の場合、勤続年数に応じて以下の日数が付与されます:

勤続年数付与日数累計(繰り越し含む最大)
6カ月10日10日
1年6カ月11日21日
2年6カ月12日23日
3年6カ月14日26日
4年6カ月16日30日
5年6カ月18日34日
6年6カ月以上20日40日(最大)

パートタイム労働者の場合は、週の所定労働日数に応じて比例付与されます。例えば、週3日勤務の場合、6カ月で5日、1年6カ月で6日といった具合です。詳しい付与日数についてはデイライト法律事務所の解説が参考になります。

2019年からの取得義務化と罰則

2019年4月の労働基準法改正により、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、年5日は必ず取得させることが使用者に義務付けられました。これはすべての企業に適用され、違反した場合は30万円以下の罰金が科される可能性があります。

この義務化のポイントは以下の通りです:

  • 使用者は労働者ごとに「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保存する義務がある
  • 労働者が自ら取得しない場合、使用者が時季を指定して取得させなければならない
  • 計画的付与制度(会社が一斉に有給を付与する制度)を活用することも可能

外国人労働者の中には、この義務化を知らない方も多くいます。もし年5日の有給休暇を取得できていない場合は、会社に確認することをお勧めします。会社側が義務を果たしていない場合は、労働基準監督署に相談することも可能です。

外国人労働者が知っておくべき注意点

有給休暇の時効

有給休暇には2年間の時効があります。付与された日から2年以内に使わなかった分は消滅してしまいます。例えば、入社6カ月で付与された10日の有給休暇は、入社から2年6カ月の時点で使わなかった分が消えてしまいます。母国への帰国のために有給休暇をまとめて取りたい場合は、計画的に管理することが大切です。

帰国休暇への活用

外国人労働者にとって、母国への一時帰国は重要です。有給休暇を帰国に使うことは当然の権利ですが、長期休暇を取る場合は早めに会社に相談することがポイントです。会社によっては、通常の有給休暇とは別に「帰国休暇制度」を設けている場合もあります。

帰国休暇について詳しくは外国人労働者の有給休暇ガイドを参照してください。

時間単位の有給取得

労使協定が締結されている場合、1日単位ではなく時間単位で有給休暇を取得することも可能です。ただし、時間単位で取得できるのは年間5日以内までです。病院の通院や役所の手続きなど、短時間の用事がある場合に便利です。在留カードの更新入国管理局の手続きのために半日休むといった使い方もできます。

給料の計算方法

有給休暇中の給料の計算方法には3つのパターンがあります:

  1. 通常賃金:普段の労働日と同じ給料が支払われる(最も一般的)
  2. 平均賃金:過去3カ月の賃金を労働日数で割った金額
  3. 健康保険の標準報酬日額:労使協定で定めた場合

計算方法によっては普段より給料が少なくなることもあります。特に残業代や手当が含まれない場合があるため、事前に会社に確認しておくと安心です。給料・年収に関する全体像も把握しておきましょう。

有給休暇を取得する際の正しいステップ

ステップ1:残りの有給日数を確認する

まず、自分に何日の有給休暇が残っているかを確認しましょう。給与明細に記載されている場合が多いですが、分からない場合は人事部や上司に確認してください。

ステップ2:早めに申請する

有給休暇の申請は、できるだけ早く行いましょう。法律上は「事前に申請する」ことが求められていますが、具体的な期限は会社の就業規則によります。一般的には、1〜2週間前に申請するのが望ましいとされています。

ステップ3:会社の申請方法に従う

多くの会社では、有給休暇の申請書(紙またはオンラインシステム)があります。口頭だけでなく、必ず正式な方法で申請しましょう。

ステップ4:業務の引き継ぎを行う

休暇前に、同僚や上司に業務内容を引き継ぐことが日本のビジネスマナーとして重要です。これにより、有給取得に対する周囲の理解も得やすくなります。

ステップ5:有給休暇が認められない場合の対処法

もし会社から有給休暇の取得を拒否された場合は、以下の対策を取りましょう:

  • まず、就業規則を確認し、正しい手続きで申請しているか確認する
  • 人事部門に相談する
  • それでも解決しない場合は、最寄りの労働基準監督署に相談する
  • 外国人向けの労働相談窓口に相談する

有給休暇に関するよくある質問(FAQ)

Q1:試用期間中でも有給休暇はもらえますか? A:はい。試用期間であっても、6カ月間継続勤務し8割以上出勤すれば有給休暇が付与されます。試用期間は継続勤務期間に含まれます。

Q2:退職時に残っている有給休暇はどうなりますか? A:退職前に残りの有給休暇をすべて消化(使用)することが可能です。最終出勤日以降を有給休暇とすることが一般的です。会社に買い取りを求めることもできますが、買い取り義務は会社にはありません。

Q3:病気の時に有給休暇を使えますか? A:はい、有給休暇は理由を問わず使用できます。病気、旅行、帰国、個人的な用事など、どんな理由でも取得可能です。会社に具体的な理由を伝える義務はありません。

Q4:派遣社員やアルバイトでも有給休暇はありますか? A:はい。雇用形態に関係なく、条件を満たせばすべての労働者に付与されます。週の労働日数が少ないパートやアルバイトでも比例付与されます。

Q5:転職した場合、前の会社の有給休暇は引き継がれますか? A:いいえ。有給休暇は会社ごとに付与されるため、転職すると勤続年数はリセットされます。新しい会社で再び6カ月間の勤務が必要です。

まとめ:有給休暇は外国人にとっても大切な権利

有給休暇は、日本で働くすべての外国人労働者に保障された重要な権利です。以下のポイントを押さえておきましょう:

  • 6カ月間の継続勤務+8割以上の出勤で有給休暇が発生する
  • 年5日以上の取得が法律で義務化されている
  • 2年間の時効があるため計画的に使うことが重要
  • 取得理由を会社に伝える義務はない
  • 困った場合は労働基準監督署や外国人向け相談窓口に相談できる

有給休暇を正しく理解し、しっかり活用することで、日本での仕事と生活のバランスを保ちましょう。税金・社会保険についても合わせて理解しておくと、日本での生活全般がよりスムーズになります。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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