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外国人の所得税の仕組みと計算方法

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
外国人の所得税の仕組みと計算方法

日本で働く外国人向けに所得税の仕組みと計算方法を徹底解説。居住者・非居住者・非永住者の区分による税率の違い、活用できる控除制度、確定申告が必要なケース、租税条約による減免制度まで、具体的な計算例とともにわかりやすく紹介します。

外国人の所得税の仕組みと計算方法

日本で働く外国人にとって、所得税の仕組みを正しく理解することは非常に重要です。「居住者」と「非居住者」の区分によって税率や控除が大きく異なるため、自分がどちらに該当するかを把握しないと、思わぬ税負担やトラブルにつながる可能性があります。この記事では、外国人が知っておくべき所得税の基本から計算方法、活用できる控除制度まで、わかりやすく解説します。

居住者・非居住者・非永住者の3つの区分

日本の所得税法では、納税者を「居住者」「非居住者」「非永住者」の3つに分類しています。この区分が税金計算の出発点となるため、まず自分がどのカテゴリーに該当するかを確認しましょう。

居住者とは、日本国内に「住所」を有する個人、または現在まで引き続いて1年以上「居所」を有する個人のことです。ここでいう「住所」とは、一時的な滞在場所ではなく、生活の本拠地を指します。居住者に認定されると、日本人と同じ税制が適用されます。

非居住者とは、居住者以外の個人です。入国後1年未満で、まだ「引き続き1年以上居所がある」という条件を満たさない場合は非居住者として扱われます。ただし、雇用契約が1年以上の場合は入国当初から居住者とみなされることがあるため注意が必要です。

非永住者とは、居住者のうち日本国籍を有しておらず、過去10年以内に日本に住所または居所を有した期間が合計5年以下の方を指します。非永住者は居住者と非居住者の中間的な扱いとなります。

詳しい非居住者の税金ルールについては、「非居住者の税金ルールと注意点」の記事も参考にしてください。

区分ごとの課税範囲の違い

居住者・非居住者・非永住者の区分によって、どの所得に税金がかかるかが大きく異なります。以下の表で違いを確認しましょう。

区分国内源泉所得国外源泉所得(送金分)国外源泉所得(未送金分)適用税率
居住者(永住者)課税課税課税累進課税(5%〜45%)
非永住者課税課税非課税累進課税(5%〜45%)
非居住者課税非課税非課税一律20.42%

居住者(永住者)は、日本国内で得た所得だけでなく、海外で得た所得も含めたすべての所得(全世界所得)が課税対象になります。たとえば、母国の不動産から得る賃料収入なども申告が必要です。

非永住者は、国内源泉所得に加えて、海外から日本国内に送金した所得にも課税されます。ただし、海外に留め置いた所得については課税されません。

非居住者は、日本国内で発生した所得のみが課税対象です。給与の場合、日本国内で勤務した日数に対応する部分のみが課税されます。

参考:国税庁 - 納税義務者となる個人

所得税の税率と計算方法【居住者の場合】

居住者として認定された外国人は、日本人と全く同じ累進課税制度が適用されます。所得が高くなるほど税率も上がる仕組みです。

所得税の税率表(2025年)

課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超〜330万円以下10%97,500円
330万円超〜695万円以下20%427,500円
695万円超〜900万円以下23%636,000円
900万円超〜1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超〜4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

計算例:年収400万円の居住者の場合

  1. 給与収入:400万円
  2. 給与所得控除:124万円(収入に応じて自動計算)
  3. 給与所得:276万円(400万円 − 124万円)
  4. 基礎控除:48万円
  5. 社会保険料控除:約60万円(目安)
  6. 課税所得金額:約168万円(276万円 − 48万円 − 60万円)
  7. 所得税額:168万円 × 5% = 84,000円
  8. 復興特別所得税:84,000円 × 2.1% = 1,764円
  9. 合計納税額約85,764円

この計算は給与から天引き(源泉徴収)される形で毎月行われ、年末に年末調整で精算されます。

社会保険料控除の詳細は「社会保険料の計算方法と控除の仕組み」をご覧ください。

非居住者の所得税計算【一律20.42%】

非居住者の場合、所得税の計算は居住者に比べてシンプルです。日本国内で得た給与に対して、一律20.42%の税率で源泉徴収が行われます。この20.42%には、所得税20%と復興特別所得税0.42%(所得税額の2.1%)が含まれています。

計算例:月給30万円の非居住者の場合

  • 月給:300,000円
  • 源泉徴収税額:300,000円 × 20.42% = 61,260円
  • 手取り額:300,000円 − 61,260円 = 238,740円

非居住者は原則として年末調整や確定申告の必要がなく、源泉徴収で課税関係が完結します。ただし、各種控除(基礎控除、社会保険料控除など)は適用されないため、同じ収入の居住者と比べると税負担が重くなるケースが多いです。

租税条約による減免制度

日本は80以上の国・地域と租税条約を締結しています。租税条約が適用されると、源泉所得税の税率が軽減されたり、一定の条件のもと免税になったりすることがあります。

租税条約で減免されるケースの例

  • 短期滞在者免税:滞在日数が183日以内で、母国の雇用主から給与が支払われる場合、日本での給与に対する課税が免除されることがある
  • 教授・教員免税:大学などの教育機関で教える場合、一定期間(通常2年間)の所得が免税になることがある
  • 学生免税:留学生がアルバイトで得た所得について、一定額まで免税になることがある

租税条約の適用を受けるには、「租税条約に関する届出書」を給与の支払者(会社)を通じて税務署に提出する必要があります。届出書を提出しなければ、条約があっても減免は適用されません。

詳しくは「日本と母国の租税条約の活用法」で解説しています。

外国人が活用できる所得控除一覧

居住者として認定された外国人は、日本人と同じ所得控除を受けることができます。代表的な控除を以下にまとめます。

控除の種類控除額(目安)主な条件
基礎控除48万円合計所得2,500万円以下の全員
配偶者控除最大38万円配偶者の合計所得が48万円以下
扶養控除38万円〜63万円扶養親族の年齢・条件による
社会保険料控除支払額全額健康保険・年金保険料等
生命保険料控除最大12万円日本の生命保険に加入
医療費控除超過分年間医療費が10万円超
外国税額控除外国で納めた税額海外所得への二重課税防止

特に注目すべきは外国税額控除です。母国でも所得税を納めている場合、日本での税額から一定額を差し引くことができ、二重課税を防ぐことができます。

扶養控除に関しては、令和7年度の税制改正により扶養親族の合計所得金額の要件が「48万円以下」から「58万円以下」に緩和されました。海外に扶養家族がいる方は「扶養控除の申請方法と条件」を確認しましょう。

医療費控除の申請方法は「医療費控除の申請方法と節税のコツ」で詳しく解説しています。

確定申告が必要なケース

居住者の外国人でも、通常は会社の年末調整で所得税の精算が完了します。ただし、以下のケースでは自分で確定申告を行う必要があります。

  • 年収が2,000万円を超える場合
  • 2つ以上の会社から給与を受けている場合
  • 副業やフリーランス収入が20万円を超える場合
  • 医療費控除や寄附金控除を受けたい場合
  • 住宅ローン控除を初めて受ける年
  • 外国税額控除を適用したい場合
  • 年の途中で出国する場合

確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までです。出国する場合は、出国前に確定申告を行うか、納税管理人を選任して代理で申告してもらう必要があります。帰国時の税金手続きについては「帰国時の税金手続きと届出一覧」を参照してください。

参考:マネーフォワード - 外国人の確定申告のやり方

住民税との違いと注意点

所得税とは別に、日本で住所がある方には住民税が課税されます。所得税と住民税は似ているようで異なる点が多いため、注意が必要です。

項目所得税住民税
課税主体国(国税)都道府県・市区町村(地方税)
税率累進課税(5%〜45%)一律10%(都道府県4% + 市区町村6%)
課税タイミングその年の所得に対して課税前年の所得に対して翌年6月から課税
非居住者への課税国内源泉所得に20.42%1月1日時点で日本に住所がなければ非課税
均等割なし約5,000円/年

住民税は前年の所得に基づいて翌年に課税されるため、来日1年目は住民税がかからないことが多いです。逆に、帰国した翌年も住民税の支払い義務が残る場合があるため注意しましょう。

住民税の詳しい仕組みは「住民税の仕組みと納付方法を徹底解説」をご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q: 来日して1年未満ですが、雇用契約が1年以上です。居住者と非居住者のどちらですか?

A: 雇用契約が1年以上の場合、入国当初から「居住者」として扱われることが一般的です。ただし、個別の状況により異なるため、会社の人事担当者や税理士に確認することをお勧めします。適切な税理士の選び方は「外国人向け税理士の選び方と相談方法」で紹介しています。

Q: 母国の収入も日本で申告する必要がありますか?

A: 居住者(永住者)の場合は、全世界所得が課税対象のため申告が必要です。非永住者の場合は、日本に送金した分のみ申告が必要です。非居住者の場合は、母国の収入を日本で申告する必要はありません。

Q: マイナンバーは税金の手続きに必要ですか?

A: はい、確定申告書や各種届出書にはマイナンバーの記載が必要です。マイナンバーカードの取得手続きについては「マイナンバーカードと外国人の手続き」をご参照ください。

Q: ふるさと納税は外国人でもできますか?

A: 日本に住所がある居住者であれば、外国人でもふるさと納税を利用できます。詳しくは「ふるさと納税の仕組みと外国人の活用法」をご覧ください。

まとめ

外国人の所得税は、「居住者」「非居住者」「非永住者」の区分によって課税範囲と税率が大きく異なります。居住者であれば累進課税(5%〜45%)で各種控除が利用可能、非居住者であれば一律20.42%で控除は原則なしという点が最大の違いです。

正しい税金計算のためには、まず自分の区分を確認し、利用できる控除を最大限活用することが大切です。特に租税条約や外国税額控除は見落としがちですが、大きな節税効果が期待できます。不明な点がある場合は、早めに税理士や税務署に相談しましょう。

税金・社会保険・年金の全体像については「税金・社会保険・年金の完全ガイド」で包括的にまとめていますので、あわせてご確認ください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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