forworkinJapanforworkinJapan
税金・社会保険・年金の完全ガイド

帰国時の税金手続きと届出一覧

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
帰国時の税金手続きと届出一覧

外国人が日本を離れる際に必要な税金手続きを完全解説。所得税の準確定申告、住民税の精算と一括納付、納税管理人の届出方法、年金の脱退一時金請求、社会保険の資格喪失届など、帰国前に必ず行うべき手続きを時系列チェックリスト付きで詳しく紹介します。

帰国時の税金手続きと届出一覧【外国人が日本を離れる前に必ずやること】

日本での仕事を終え、母国に帰国する際には多くの税金関連の手続きが必要です。住民税や所得税の精算、納税管理人の届出など、出国前に済ませておかないと帰国後にトラブルになるケースが少なくありません。この記事では、外国人が日本を出国する前に必ず行うべき税金手続きと届出を一覧形式で解説します。

帰国時に必要な税金手続きの全体像

日本を離れる外国人が対応すべき税金手続きは、大きく分けて所得税・住民税・社会保険・年金の4つの分野にまたがります。特に重要なのは、出国のタイミングによって手続き内容が変わる点です。

帰国前に必ず確認すべき主な手続きは以下の通りです。

  • 所得税の確定申告(準確定申告)
  • 住民税の精算または納税管理人の届出
  • 年金の脱退一時金の請求準備
  • 社会保険の資格喪失届
  • 各種届出書類の提出

これらの手続きを怠ると、未納税金の督促が海外まで届いたり、再入国時に問題が生じたりする可能性があります。計画的に準備を進めましょう。

詳しい税金・社会保険の基礎知識については、税金・社会保険・年金の完全ガイドも合わせてご確認ください。

所得税の手続き|確定申告と準確定申告

準確定申告とは

日本を年の途中で出国する場合、1月1日から出国日までの所得に対して所得税が課税されます。通常の確定申告は翌年2月〜3月に行いますが、出国する場合は出国前に「準確定申告」を行う必要があります。

国税庁の公式ガイドによると、非居住者となる前に確定申告書を提出するか、納税管理人を選任して申告を委任する必要があります。

準確定申告の対象者

以下に該当する方は準確定申告が必要です。

  • 年間の給与収入が2,000万円を超える方
  • 2か所以上から給与を受けている方
  • 給与以外の所得が20万円を超える方
  • 医療費控除などの還付を受けたい方
  • 個人事業主やフリーランスの方

会社員の方で、勤務先が年末調整に相当する手続き(出国時年末調整)を行ってくれる場合は、準確定申告が不要なこともあります。勤務先の人事部門に確認しましょう。

申告期限と提出先

準確定申告は出国日までに、住所地の所轄税務署に提出します。期限内に申告できない場合は、納税管理人を選任して代理で申告してもらうことが可能です。

住民税の手続き|出国時期で変わる対応方法

住民税は、毎年1月1日時点で住民登録がある市区町村が前年の所得に基づいて課税します。この仕組みを理解しておくことが、帰国時の手続きで最も重要なポイントです。

総務省の外国人住民税ガイドでも詳しく解説されています。

出国時期別の住民税対応

出国時期住民税の状況必要な手続き
1月1日以前に出国翌年度の住民税は課税されない当年度分の残額を精算
1月2日〜5月末に出国前年所得に基づき課税される一括納付または納税管理人を届出
6月〜12月に出国当年度分の税額が確定済み出国前に残額を一括納付

住民税の一括納付

6月以降に届く住民税の通知書を受け取っている場合は、残りの期の住民税を出国前に一括で納付するのが最も確実です。市区町村の窓口で「一括徴収」の手続きを依頼しましょう。

会社員の方は、勤務先に依頼して最終給与から住民税の残額を一括天引きしてもらうこともできます。

納税管理人の届出

出国前に住民税を完納できない場合は、日本に居住する人(または法人)を「納税管理人」として届出する必要があります。

納税管理人は以下の業務を代行します。

  • 税金の納付書の受け取り
  • 税金の代理納付
  • 還付金の受け取り
  • 税務署や市区町村との連絡対応

届出先は市区町村の税務課です。所定の届出書に記入し、納税管理人の同意を得た上で提出します。

納税管理人の選任手続き|所得税と住民税で届出先が異なる

納税管理人は、所得税と住民税でそれぞれ届出先が異なります。両方に届出が必要な場合は、忘れずに2か所に提出しましょう。

届出の種類届出先届出書の名称
所得税の納税管理人住所地の所轄税務署所得税・消費税の納税管理人の届出書
住民税の納税管理人住所地の市区町村役場納税管理人申告書

国税庁の出国前手続きガイドに届出書の様式や記入方法が掲載されています。

納税管理人の選び方

納税管理人は日本に住んでいる方であれば、個人でも法人でも選任できます。一般的には以下のような方を選びます。

  • 日本に残る同僚や友人
  • 勤務先の会社(法人として選任可能)
  • 税理士事務所(有料だが専門的な対応が可能)

信頼できる人を選び、手続き内容を事前にしっかり説明しておくことが大切です。

在留資格やビザに関する手続きも帰国時に必要です。在留資格・ビザの基礎知識完全ガイドで確認しておきましょう。

社会保険・年金の脱退手続き

健康保険・厚生年金の資格喪失

会社を退職して帰国する場合、退職日の翌日に健康保険と厚生年金の資格を喪失します。基本的に手続きは勤務先が行いますが、以下の点を確認しましょう。

  • 健康保険証の返却(退職日まで使用可能)
  • 資格喪失証明書の受け取り(必要に応じて)
  • 最終月の保険料の精算

国民健康保険の脱退

退職後に国民健康保険に加入していた場合は、市区町村の窓口で脱退手続きを行います。転出届を提出する際に同時に手続きできる場合が多いです。

年金の脱退一時金

日本の年金制度に6か月以上加入していた外国人は、帰国後に脱退一時金を請求できます。請求は出国後2年以内に行う必要があります。

脱退一時金の請求に必要な書類は以下の通りです。

  • 脱退一時金請求書
  • パスポートのコピー(出国日がわかるページ)
  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 銀行口座情報(海外の口座でも可)

給料や待遇に関する詳しい情報は給料・年収・待遇ガイドをご覧ください。

国外転出時課税制度(Exit Tax)の確認

2015年7月1日以降に出国する居住者で、1億円以上の有価証券等を保有している場合、国外転出時課税制度(Exit Tax)の対象となります。

国税庁の国外転出時課税制度ページで詳細を確認できます。

対象となる資産

  • 株式・投資信託
  • 匿名組合契約の出資持分
  • デリバティブ取引に係る権利
  • 信用取引等に係る権利

対象者の条件

  • 出国時に対象資産の合計額が1億円以上
  • 出国前10年以内に日本に5年以上住所または居所がある

該当する場合は、出国日の前日に対象資産を時価で売却したものとみなして所得税が課税されます。ただし、一定の条件を満たせば納税猶予の制度を利用できます。

起業やフリーランスとして資産を築いた方は、起業・フリーランスとして日本で働くガイドも参考になります。

帰国前の税金チェックリスト【時系列順】

帰国までのスケジュールに合わせて、以下のチェックリストを活用してください。

帰国3か月前

  • [ ] 帰国日を決定し、会社に退職届を提出
  • [ ] 住民税の残額を確認
  • [ ] 納税管理人の候補を探す
  • [ ] 確定申告が必要か確認

帰国1か月前

  • [ ] 市区町村で住民税の一括納付手続き
  • [ ] 納税管理人の届出(税務署と市区町村)
  • [ ] 準確定申告の準備(必要な場合)
  • [ ] 健康保険証の返却準備
  • [ ] 年金手帳・基礎年金番号の確認

帰国2週間前

  • [ ] 転出届の提出(市区町村役場)
  • [ ] 国民健康保険の脱退手続き
  • [ ] 銀行口座の整理(解約または維持の決定)
  • [ ] 準確定申告の提出

帰国当日〜帰国後

  • [ ] 出国スタンプの確認(脱退一時金請求に必要)
  • [ ] 帰国後2年以内に脱退一時金を請求
  • [ ] 納税管理人からの連絡に対応

労働法や職場の権利について不安がある場合は、労働法・職場の権利ガイドもご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 住民税を払わずに出国したらどうなりますか?

住民税の未納は、日本の信用情報に影響する可能性があります。また、将来日本に再入国する際にビザの審査に影響が出ることもあります。必ず出国前に精算するか、納税管理人を選任してください。

Q2. 納税管理人を見つけられない場合はどうすればよいですか?

税理士事務所に有料で依頼することが可能です。費用は年間数万円程度が一般的です。また、KICC(神戸国際交流センター)の帰国チェックリストなど、自治体の相談窓口を利用する方法もあります。

Q3. 確定申告の還付金は海外の口座に振り込んでもらえますか?

基本的に、還付金は日本国内の銀行口座に振り込まれます。海外口座への直接振込は原則対応していません。納税管理人の口座を指定するか、帰国前に受け取れるよう早めに申告しましょう。

Q4. 帰国後に届いた税金の通知はどうすれば良いですか?

納税管理人を選任していれば、納税管理人が対応してくれます。選任していない場合は、通知書に記載された連絡先に海外から問い合わせることになりますが、手続きが煩雑になるため、出国前の届出を強く推奨します。

まとめ|計画的な税金手続きでトラブルを防ごう

帰国時の税金手続きは種類が多く複雑ですが、出国の3か月前から計画的に進めることで、スムーズに対応できます。特に以下の3つは最優先で対応しましょう。

  1. 住民税の精算または一括納付
  2. 納税管理人の届出(所得税・住民税の両方)
  3. 準確定申告の提出(該当者のみ)

MailMateの帰国チェックリストマロニエ会計事務所の海外駐在員ガイドなども参考にしながら、漏れのない手続きを心がけてください。

日本での就労に関するさらに詳しい情報は、日本での就職活動完全ガイド転職・キャリアアップ戦略完全ガイドもご活用ください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

プロフィールを見る →

関連記事

外国人向け税理士の選び方と相談方法

外国人向け税理士の選び方と相談方法

日本で働く外国人のための税理士選びガイド。多言語対応・国際税務に強い税理士の見つけ方、料金相場比較表、相談の流れ、確定申告で税理士に依頼すべきケースを詳しく解説。FSA検索サイトや無料相談の活用法も紹介します。

続きを読む →
社会保険の扶養に入る条件と手続き

社会保険の扶養に入る条件と手続き

外国人が日本の社会保険で家族を扶養に入れるための条件・必要書類・手続き方法を詳しく解説。130万円の壁、106万円の壁、2026年4月の法改正情報まで。配偶者や子どもの扶養認定に必要な知識をまとめました。

続きを読む →
非居住者の税金ルールと注意点

非居住者の税金ルールと注意点

日本の非居住者の税金ルールを完全解説。所得税の20.42%源泉徴収、住民税の1月1日ルール、確定申告の方法、納税管理人の選任手続き、183日ルールの正しい理解まで、海外移住・海外勤務者が知っておくべき税制の注意点を網羅的に紹介します。

続きを読む →
医療費控除の申請方法と節税のコツ

医療費控除の申請方法と節税のコツ

日本で暮らす外国人向けに医療費控除の申請方法を徹底解説。確定申告の手順、対象となる費用、年収別シミュレーション、セルフメディケーション税制との違い、e-Taxの使い方まで、節税に役立つ情報を網羅しています。

続きを読む →
扶養控除の申請方法と条件

扶養控除の申請方法と条件

外国人労働者向けに扶養控除の申請方法と条件をわかりやすく徹底解説します。2025年税制改正による所得要件の引き上げ(48万円→58万円)、控除額一覧表、年末調整・確定申告での具体的な手続き方法、国外居住親族の特例と必要書類まで、すべてのポイントをまとめています。

続きを読む →
日本と母国の租税条約の活用法

日本と母国の租税条約の活用法

日本で働く外国人が知っておくべき租税条約の活用法を徹底解説。156ヵ国との条約ネットワーク、183日ルール、届出手続き、外国税額控除の申請方法まで、二重課税を回避するための実践的なガイドです。留学生や技能実習生向けの特別免税制度も紹介。

続きを読む →