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非居住者の税金ルールと注意点

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
非居住者の税金ルールと注意点

日本の非居住者の税金ルールを完全解説。所得税の20.42%源泉徴収、住民税の1月1日ルール、確定申告の方法、納税管理人の選任手続き、183日ルールの正しい理解まで、海外移住・海外勤務者が知っておくべき税制の注意点を網羅的に紹介します。

非居住者の税金ルールと注意点|海外移住・海外勤務で知っておくべき日本の税制

海外に移住したり、海外勤務が決まったりしたとき、「日本の税金はどうなるのだろう?」と不安に思う方は多いでしょう。日本の税法では「居住者」と「非居住者」で課税の仕組みが大きく異なり、正しく理解していないと二重課税や申告漏れなどのトラブルにつながる可能性があります。

この記事では、外国人や海外で働く日本人が知っておくべき非居住者の税金ルールを、所得税・住民税・確定申告・納税管理人の制度まで幅広く解説します。海外移住前の準備や、帰国後の手続きについても詳しく紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

非居住者とは?居住者との違いを分かりやすく解説

日本の所得税法では、「居住者」と「非居住者」の区分によって、課税される所得の範囲が異なります。まず、この基本的な定義を理解しましょう。

居住者とは、国内に「住所」を有するか、または現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人のことです。一方、非居住者とは、居住者以外のすべての個人を指します。つまり、海外に1年以上住んでいる方は基本的に「非居住者」に該当します。

ここで重要なのは、「住所」の判定は形式的なものではなく、生活の本拠がどこにあるかという実態で判断されるという点です。単に住民票を移しただけでは非居住者になれない場合もあり、逆に住民票があっても実態として海外に生活の本拠がある場合は非居住者と判断されることもあります。

居住者・非居住者の判定は国税庁の公式ガイドでも詳しく解説されています。税金の基本については税金・社会保険・年金の完全ガイドも参考にしてください。

非居住者に対する課税の仕組み

非居住者が日本で課税される所得の範囲は、居住者と比べて大きく制限されます。具体的には、国内源泉所得のみが課税対象です。

国内源泉所得の主な種類

所得の種類具体例課税方法
事業所得日本国内の恒久的施設で得た事業利益総合課税または源泉分離課税
不動産所得日本にある不動産の賃貸収入総合課税
給与所得日本国内での勤務による給与源泉徴収(20.42%)
退職所得日本での勤務期間に対応する退職金源泉徴収(20.42%)
利子所得日本の銀行預金の利子源泉分離課税(15.315%)
配当所得日本企業からの配当金源泉徴収(20.42%)
譲渡所得日本国内の不動産・株式の売却益申告納税

このように、非居住者であっても日本国内に源泉のある所得がある場合は、日本の所得税を支払う義務があります。一方、海外で得た給与や海外不動産の賃貸収入など、国外源泉所得に対しては日本の所得税は課税されません

詳しい課税の仕組みは国税庁の非居住者課税ガイドを参照してください。給料・年収に関する情報は給料・年収・待遇ガイドでも解説しています。

非居住者の所得税|源泉徴収20.42%のルール

非居住者の所得税で最も重要なポイントは、一律20.42%の源泉徴収税率が適用される点です。居住者のように累進課税(5%~45%)ではなく、所得額に関係なく一定の税率が適用されます。

源泉徴収の対象となる主な所得

  • 給与・報酬:日本国内で行った勤務に対する給与
  • 退職金:日本での勤務期間に対応する部分
  • 不動産賃貸料:日本にある不動産の賃貸料
  • 業務委託報酬:日本国内の企業から支払われる報酬
  • 年金:日本の公的年金・企業年金

特に注意すべきは、海外在住の外国人と業務委託契約を結ぶ場合です。日本の企業が非居住者に報酬を支払う場合、原則として20.42%の源泉徴収が必要となります。この源泉徴収を怠ると、税務調査で指摘される可能性があります。

また、非居住者には所得控除がほとんど適用されません。使える控除は以下の3つだけです。

  • 雑損控除(日本国内の資産に生じた損失のみ)
  • 寄付金控除
  • 基礎控除

配偶者控除や扶養控除、医療費控除などは利用できないため、居住者と比べて税負担が重くなるケースがあります。Wiseの非居住者所得税ガイドでも分かりやすく解説されています。

非居住者の住民税|1月1日ルールの重要性

住民税は所得税と異なるルールで課税されます。住民税で最も重要なのは「1月1日時点の居住地」です。

住民税の基本ルール

  • 1月1日時点で日本に住民票がある場合:前年の所得に対して住民税が課税される
  • 1月1日時点で日本に住民票がない場合:住民税は課税されない

つまり、年の途中で海外に転出しても、その年の1月1日に日本に住所があれば、その年度の住民税は支払う義務があります。逆に、12月中に海外転出届を出し、翌年1月1日時点で日本に住所がなければ、翌年度の住民税は課税されません。

海外転出届の重要性

海外に1年以上滞在する予定の場合、海外転出届を市区町村役場に提出する必要があります。この届出を出すと住民票が除籍され、住民税が免除されます。転出届を出さないまま海外に行くと、日本に住所があるとみなされ、住民税が課税され続ける可能性があるので注意しましょう。

住居や生活インフラの手続きについては住居・生活インフラ完全ガイドも合わせてご覧ください。

非居住者の確定申告|必要なケースと手続き方法

非居住者であっても、日本国内に所得がある場合は確定申告が必要になることがあります。

確定申告が必要なケース

  1. 日本国内に不動産所得がある場合:賃貸収入が発生している場合は毎年確定申告が必要
  2. 日本企業からの報酬で源泉徴収されていない場合:自分で申告・納税する必要がある
  3. 日本国内の不動産を売却した場合:譲渡所得の申告が必要
  4. 源泉徴収税額の過不足がある場合:精算のために確定申告が必要

確定申告の時期と方法

非居住者の確定申告は、居住者と同じく翌年2月16日から3月15日までの期間に行います。ただし、非居住者は日本に住んでいないため、直接税務署に行くことが困難です。そこで活用するのが納税管理人の制度です。

確定申告について詳しくはマネーフォワードの解説記事が参考になります。

納税管理人の選任|海外在住者に必須の手続き

納税管理人とは、非居住者に代わって日本の税務手続きや納税を行う人のことです。海外在住者が日本国内に所得がある場合、納税管理人の選任は必須の手続きです。

納税管理人の役割

役割内容
確定申告書の提出非居住者に代わって所轄税務署に申告書を提出する
税金の納付所得税・住民税などの納付手続きを代行する
税務署からの書類受領通知書や更正決定通知書などを受け取る
還付金の受取税金の還付がある場合に受取手続きを行う

納税管理人の選任手続き

  1. 「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を税務署に提出
  2. 出国前に届出を行うのが理想的
  3. 納税管理人には親族・友人・税理士など誰でもなれる
  4. 法人を納税管理人にすることも可能

納税管理人を選任しないまま出国すると、確定申告ができず延滞税や加算税が発生する恐れがあります。出国前に必ず手続きを済ませましょう。フリーランスとして働く方は起業・フリーランスとして日本で働くガイドも合わせてご確認ください。

183日ルールの誤解|租税条約の正しい理解

非居住者の税金に関して、よく誤解されるのが「183日ルール」です。「日本に183日以上滞在しなければ税金はかからない」と思っている方がいますが、これは正確ではありません。

183日ルールとは?

183日ルールは、租税条約に基づく免税規定の一つです。日本が締結している多くの租税条約では、以下の3つの条件をすべて満たす場合に、短期滞在者の給与所得が免税となります。

  1. 滞在日数が課税年度中183日以下であること
  2. 報酬が日本国外の雇用者から支払われていること
  3. 報酬が日本国内の恒久的施設によって負担されていないこと

重要なのは、3つの条件すべてを満たす必要があるという点です。183日以下の滞在であっても、日本企業から給与を受けている場合は免税になりません。

租税条約の確認方法

租税条約は国によって内容が異なるため、自分の居住国と日本の間にどのような取り決めがあるかを確認することが重要です。JETROの個人税制概要PwCの日本税制ガイドで最新情報を確認できます。在留資格の詳細は在留資格・ビザの基礎知識完全ガイドをご覧ください。

非居住者が注意すべき5つのポイント

最後に、非居住者として海外に移住・勤務する際に特に注意すべきポイントをまとめます。

1. 出国前の手続きを忘れずに

  • 海外転出届の提出
  • 納税管理人の届出
  • 未納税金の精算
  • 社会保険・年金の手続き

2. 二重課税に注意

非居住者であっても日本と居住国の両方で課税される場合があります。この場合、外国税額控除や租税条約の適用を受けることで二重課税を回避できます。

3. 日本国内の資産管理

  • 不動産:賃貸収入は確定申告が必要
  • 銀行口座:非居住者用口座への切り替えが必要な場合がある
  • 株式:日本株の売却益は課税対象

4. 帰国時の手続き

帰国して居住者に戻った場合、全世界所得が課税対象となります。海外で得ていた所得も含めて確定申告が必要になるため、帰国のタイミングと申告の準備を計画的に行いましょう。

5. 専門家への相談

国際税務は複雑なため、BPS国際税理士法人などの専門家に相談することをおすすめします。特に以下のケースは専門家への相談が強く推奨されます。

  • 複数の国で所得がある場合
  • 高額の不動産取引がある場合
  • 事業所得がある場合
  • 相続・贈与が発生した場合

労働法や職場の権利については労働法・職場の権利ガイドもご活用ください。

まとめ|非居住者の税金は事前準備が成功の鍵

非居住者の税金ルールは、居住者とは大きく異なり、正しい理解と事前の準備が欠かせません。特に重要なポイントを振り返りましょう。

  • 非居住者は国内源泉所得のみ課税され、一律20.42%の源泉徴収が適用される
  • 住民税は1月1日時点の住所で判定され、海外転出届の提出タイミングが重要
  • 確定申告が必要な場合は納税管理人の選任を出国前に行う
  • 183日ルールは租税条約の一部であり、条件を正しく理解する必要がある
  • 不明点がある場合は国際税務に詳しい税理士への相談を推奨

海外での生活やキャリアを安心してスタートさせるために、税金の手続きは出国前にしっかりと準備しましょう。日本での転職・キャリアアップについては転職・キャリアアップ戦略完全ガイドもぜひご活用ください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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