医療費控除の申請方法と節税のコツ

日本で暮らす外国人向けに医療費控除の申請方法を徹底解説。確定申告の手順、対象となる費用、年収別シミュレーション、セルフメディケーション税制との違い、e-Taxの使い方まで、節税に役立つ情報を網羅しています。
医療費控除の申請方法と節税のコツ【外国人向け完全ガイド】
日本で暮らす外国人にとって、医療費の負担は大きな関心事です。実は、年間の医療費が一定額を超えた場合、医療費控除という制度を活用することで、税金を安くできることをご存知でしょうか。この記事では、医療費控除の仕組みから具体的な申請方法、そして節税のコツまで、外国人の方にもわかりやすく徹底解説します。
確定申告の時期が近づくと「医療費控除って何?」「自分も対象になるの?」と疑問に思う方が多いでしょう。特に日本の税制に不慣れな外国人の方は、手続きの複雑さに不安を感じるかもしれません。しかし、正しい知識を身につければ、数万円単位の節税が可能になります。
医療費控除とは?基本の仕組みを理解しよう
医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、その超えた分を所得から差し引くことができる制度です。国税庁の公式サイトによると、本人だけでなく、生計を一にする配偶者や親族の医療費も合算できます。
控除を受けるための条件
医療費控除を受けるには、以下の条件を満たす必要があります:
- 年間の医療費が10万円を超えること(総所得が200万円未満の場合は総所得×5%)
- 確定申告を行うこと(年末調整では適用不可)
- 医療費控除の上限額は200万円
外国人の方であっても、日本に居住し所得税を納めている場合は、日本人と同様に医療費控除を受けることができます。在留資格の種類に関係なく利用できるため、税金・社会保険の基本ガイドもあわせて確認しておきましょう。
医療費控除の対象となる費用・ならない費用
医療費控除で最も迷うのが「何が対象になるか」という点です。基本的なポイントは、治療目的であるかどうかです。
| カテゴリ | 対象になる費用 | 対象にならない費用 |
|---|---|---|
| 病院・クリニック | 診察費、入院費、手術費 | 美容整形、審美歯科 |
| 歯科 | 虫歯治療、インプラント(治療目的) | ホワイトニング |
| 薬代 | 治療のための処方薬、市販薬 | サプリメント、健康食品 |
| 通院交通費 | 電車・バス代、緊急時のタクシー代 | 自家用車のガソリン代、駐車場代 |
| 妊娠・出産 | 定期検診、分娩費用 | 里帰り出産の交通費 |
| 介護 | 介護保険サービスの自己負担分 | 家事代行サービス |
| その他 | 治療のための鍼灸・マッサージ | リラクゼーション目的のマッサージ |
特に外国人の方が注意すべき点として、母国への一時帰国中に受けた医療費は原則として対象外です。ただし、日本国内で開始した治療の続きを海外で受けた場合は、例外的に認められるケースもあります。
詳しい対象費用についてはfreeeの解説記事で確認できます。
医療費控除の申請手順を6ステップで解説
医療費控除を受けるには確定申告が必要です。以下の手順に沿って進めましょう。
ステップ1:医療費の領収書を整理する
1年間に支払った医療費の領収書をすべて集めます。領収書は申告後も5年間の保管義務があるため、紛失しないよう注意しましょう。健康保険組合から届く「医療費通知」も活用できます。
ステップ2:医療費控除の明細書を作成する
国税庁の確定申告特集ページからフォーマットをダウンロードし、医療費の詳細を記入します。以下の項目を記載します:
- 医療を受けた人の名前
- 病院・薬局の名称
- 医療費の種類(診察、薬代など)
- 支払った金額
- 保険で補填された金額
ステップ3:確定申告書を作成する
確定申告書Aまたは確定申告書Bに必要事項を記入します。会社員の方は源泉徴収票の情報が必要です。
ステップ4:申告書を提出する
提出方法は3つあります:
- e-Tax(電子申告):マイナンバーカードがあれば24時間自宅から申請可能
- 郵送:税務署宛に必要書類を郵送
- 税務署に直接持参:窓口で提出
ステップ5:還付金を受け取る
e-Taxの場合は約3週間、郵送・窓口の場合は約1〜2ヶ月で還付金が振り込まれます。
ステップ6:領収書を保管する
医療費の領収書は確定申告後も5年間保管が必要です。税務署から確認を求められる場合に備えましょう。
申告期間と外国人が注意すべきポイント
確定申告の期間
確定申告の期間は毎年2月16日から3月16日までです。ただし、医療費控除のみの還付申告であれば、1月1日から5年間いつでも申告可能です。期限を過ぎてもペナルティはありません。
外国人特有の注意事項
外国人の方が医療費控除を申請する際に特に注意すべきポイントがあります:
- 在留カードのコピーを求められることがある
- マイナンバーが必要(マイナンバーカードまたは通知カード)
- 帰国予定がある場合:出国前に確定申告を済ませるか、納税管理人を選任する
- 日本語が不安な場合:税務署には外国語対応窓口がある場合も。またfreeeなどのクラウド会計ソフトを活用すると、画面の指示に従うだけで申告書を作成できる
給料・年収・待遇ガイドで年収に応じた控除額の目安も確認できます。
年収別の医療費控除シミュレーション
医療費控除でどのくらい税金が戻るかは、年収と医療費の額によって異なります。以下は目安となるシミュレーションです。
| 年収 | 所得税率 | 医療費20万円の場合 | 医療費50万円の場合 | 医療費100万円の場合 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 10% | 約10,000円 | 約40,000円 | 約90,000円 |
| 500万円 | 20% | 約20,000円 | 約80,000円 | 約180,000円 |
| 700万円 | 23% | 約23,000円 | 約92,000円 | 約207,000円 |
| 1,000万円 | 33% | 約33,000円 | 約132,000円 | 約297,000円 |
※上記は所得税のみの概算です。住民税(一律10%)の減額分を加えると、さらにお得になります。
ファイナンシャルフィールドの解説では、年収別の詳しいシミュレーションが紹介されています。
セルフメディケーション税制との違いと選び方
医療費控除には、通常の医療費控除のほかにセルフメディケーション税制という選択肢もあります。どちらか一方しか選べないため、自分に有利な方を選ぶことが重要です。
| 比較項目 | 医療費控除 | セルフメディケーション税制 |
|---|---|---|
| 対象費用 | 治療にかかった医療費全般 | 特定のOTC医薬品の購入費 |
| 控除の下限 | 10万円 | 12,000円 |
| 控除の上限 | 200万円 | 88,000円 |
| 条件 | なし | 健康診断・予防接種等を受けていること |
| おすすめの人 | 医療費が10万円以上の人 | 市販薬をよく購入する健康的な人 |
選び方のポイント:
- 年間医療費が10万円以上なら → 医療費控除がお得
- 年間医療費が10万円未満で、OTC医薬品の購入が12,000円以上なら → セルフメディケーション税制を検討
- 迷ったら両方で計算してみて、還付額が大きい方を選ぶ
e-Taxを使ったオンライン申請の方法
最もおすすめの申請方法はe-Tax(国税電子申告・納税システム)です。自宅から24時間いつでも申請でき、還付金の処理も早いのが特徴です。
e-Taxに必要なもの
- マイナンバーカード(ICカードリーダーまたはスマートフォン)
- 利用者識別番号(e-Tax初回利用時に取得)
- 源泉徴収票の情報
- 医療費の明細
マイナポータル連携のメリット
マイナポータルと連携すると、健康保険組合から提供される医療費通知情報を自動取得でき、手入力の手間が大幅に省けます。弥生のガイドでも詳しい手順が解説されています。
外国人の方でマイナンバーカードを取得していない場合は、住所地の市区町村窓口で申請できます。住居・生活インフラガイドでマイナンバーカードの取得方法も解説しています。
節税効果を最大化する5つのコツ
医療費控除の効果を最大限に活用するための実践的なコツをご紹介します。
コツ1:家族全員の医療費を合算する
生計を一にする家族の医療費はすべて合算できます。配偶者や子どもの医療費も忘れずに含めましょう。特に出産や子どもの歯科矯正がある年は、控除額が大きくなる可能性があります。
コツ2:交通費も忘れずに計上する
通院にかかった電車・バス代は医療費控除の対象です。領収書がなくても、通院日・経路・運賃のメモがあれば申告できます。
コツ3:所得が高い人がまとめて申告する
家族の中で最も所得が高い人が医療費控除を申告すると、適用される税率が高いため、還付額が大きくなります。
コツ4:医療費が10万円に少し足りない場合の対策
年末までに歯科検診や人間ドック(異常が見つかった場合は対象)を受けることで、10万円の基準を超える可能性があります。ただし、不要な医療行為を受けるのは本末転倒なので、必要な検査を年内に済ませる程度に留めましょう。
コツ5:クレジットカード明細を活用する
領収書を紛失した場合、クレジットカードの利用明細が補助的な記録として役立つことがあります。ただし、正式な領収書の代わりにはならないため、領収書は必ず保管しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q:外国人でも医療費控除を受けられますか?
はい、日本に居住し所得税を納めている外国人の方は、在留資格の種類に関係なく医療費控除を受けることができます。
Q:確定申告の期限を過ぎてしまいました。もう申告できませんか?
医療費控除のための還付申告は、対象年の翌年1月1日から5年間いつでも行えます。期限後でもペナルティはありません。
Q:日本語が苦手ですが、確定申告はできますか?
e-Taxの画面は日本語のみですが、価格.comの解説ページなど、わかりやすい解説サイトを参考にしながら進めることができます。また、税理士に依頼することも一つの方法です。転職エージェント活用ガイドで紹介している相談窓口でも、税務に関するアドバイスを受けられる場合があります。
Q:歯のインプラントは対象になりますか?
治療目的のインプラントは医療費控除の対象です。ただし、審美目的の場合は対象外となります。
まとめ:医療費控除を活用して賢く節税しよう
医療費控除は、外国人の方でも活用できる大変有効な節税制度です。年間の医療費が10万円を超える場合は、忘れずに確定申告を行いましょう。
医療費控除のポイントまとめ:
- 年間医療費が10万円超で控除対象(上限200万円)
- 家族全員の医療費を合算可能
- e-Taxを使えば自宅から簡単に申請
- 交通費も対象になる
- セルフメディケーション税制との有利な方を選択
- 還付申告は5年間いつでも可能
日本の税制は複雑に感じるかもしれませんが、一度経験すれば翌年からはスムーズに申告できるようになります。税金・社会保険・年金の完全ガイドとあわせて、日本での生活をより経済的に充実させましょう。
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