外国人向け税理士の選び方と相談方法

日本で働く外国人のための税理士選びガイド。多言語対応・国際税務に強い税理士の見つけ方、料金相場比較表、相談の流れ、確定申告で税理士に依頼すべきケースを詳しく解説。FSA検索サイトや無料相談の活用法も紹介します。
外国人向け税理士の選び方と相談方法
日本で働く外国人にとって、税金の手続きは大きな悩みの一つです。所得税の確定申告、住民税、社会保険料の計算など、日本独自の税制を母国語以外で理解するのは容易ではありません。特に、母国との二重課税の問題や、海外送金に関する税務処理など、外国人特有の税務課題に対応できる税理士を見つけることが重要です。
この記事では、外国人が日本で信頼できる税理士を選ぶためのポイントと、具体的な相談方法について詳しく解説します。税金・社会保険・年金の基礎知識と合わせてお読みください。
なぜ外国人に専門税理士が必要なのか
日本の税制は複雑で、外国人には特有の税務課題があります。一般的な日本人向けの税理士では対応が難しいケースも少なくありません。
外国人特有の税務課題
外国人が直面する主な税務課題には以下のようなものがあります。
- 二重課税の問題: 母国と日本の両方で課税される可能性があり、租税条約の適用を正しく判断する必要がある
- 在留資格による課税範囲の違い: 居住者・非居住者の区分によって課税される所得の範囲が異なる
- 海外資産の申告義務: 5,000万円超の海外資産がある場合、国外財産調書の提出が必要
- 海外送金の税務処理: 母国への送金や海外からの受取に関する適切な処理
- 出国税(Exit Tax): 1億円以上の有価証券を保有して出国する場合の課税
これらの課題に対応するには、国際税務の知識と経験を持つ税理士のサポートが不可欠です。
外国人向け税理士を選ぶ7つのポイント
税理士選びで失敗しないために、以下の7つのポイントを確認しましょう。
1. 多言語対応力
最も重要なのは、あなたが理解できる言語でコミュニケーションが取れることです。税理士本人が外国語を話せるケースだけでなく、事務所に多言語対応スタッフが常駐しているかどうかも確認しましょう。英語・中国語・韓国語・ベトナム語など、対応言語は事務所によって異なります。
2. 国際税務の実績
外国人クライアントの対応実績が豊富かどうかを確認します。具体的には、以下の点を質問してみましょう。
- 外国人クライアントの割合はどのくらいか
- どの国籍のクライアントが多いか
- 二重課税の解消事例があるか
- 海外資産の申告サポート経験はあるか
3. レスポンスの速さ
国際税務では、現地の税制変更や為替変動など、迅速な対応が求められる場面があります。メールの返信速度や緊急時の連絡体制を事前に確認しておくことが大切です。24時間以内の返信を保証している事務所もあります。
4. オンライン対応の充実度
日本全国どこからでも相談できるよう、メール・Zoom・Skype・Slackなどオンラインでのコミュニケーションに対応しているかを確認しましょう。特に地方在住の外国人にとって、オンライン相談が可能かどうかは重要な判断基準です。
5. 料金体系の透明性
税理士の費用は事務所によって大きく異なります。初回相談料、顧問料、確定申告の報酬など、料金体系が明確に提示されているかを確認しましょう。
6. 関連サービスの有無
税務だけでなく、ビザの更新サポート、会社設立支援、融資相談など、外国人の生活やビジネスに関連するサービスを提供しているかも重要です。弁護士や行政書士など他の専門家との連携体制があると、ワンストップで問題を解決できます。
7. 口コミと評判
実際に利用した外国人の口コミや評判を確認しましょう。Googleレビューや外国人コミュニティでの評判が参考になります。
税理士の料金相場と比較
外国人向け税理士のサービスと一般的な料金相場を比較します。
| サービス内容 | 料金相場(年額) | 対応範囲 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 個人確定申告(給与所得のみ) | 3万〜8万円 | 年末調整・確定申告 | 最も基本的なプラン |
| 個人確定申告(複数所得) | 8万〜15万円 | 確定申告・海外所得対応 | 海外送金・投資所得含む |
| 個人顧問契約 | 12万〜30万円 | 年間税務相談・確定申告 | 月1回の定期相談付き |
| フリーランス・個人事業主 | 15万〜36万円 | 記帳代行・確定申告・節税対策 | 消費税申告は別途 |
| 法人顧問契約(小規模) | 24万〜60万円 | 月次記帳・決算・申告 | 年商規模により変動 |
| 国際税務特化プラン | 30万〜100万円+ | 二重課税対策・海外資産申告 | 複雑な案件は別途見積もり |
料金は事務所や案件の複雑さによって異なるため、必ず事前に見積もりを取ることをおすすめします。給料・年収の仕組みも理解しておくと、税理士との相談がスムーズになります。
税理士の探し方と相談までの流れ
税理士を探す主な方法
外国人が日本で税理士を見つけるには、いくつかの方法があります。
1. 税理士検索サービス
freee税理士検索やミツモアなど、条件を指定して税理士を検索できるサービスがあります。「国際税務」「外国語対応」などのキーワードで絞り込みが可能です。
2. 金融庁の多言語対応事業者リスト
FSA(金融庁)が提供する検索サイトでは、外国語対応可能な税理士や会計士を地域別に検索できます。公的機関が提供する情報なので信頼性が高いです。
3. 外国人コミュニティの紹介
在日外国人のコミュニティやSNSグループで、実際に利用した人からの紹介を受ける方法です。ネットワーキング・コミュニティを活用しましょう。
4. 大使館・領事館の紹介
各国の大使館や領事館が、自国民向けに税理士リストを提供している場合があります。
相談までの具体的な流れ
- 候補の絞り込み: 上記の方法で3〜5社の候補をリストアップ
- 初回問い合わせ: メールまたは電話で対応言語・料金・実績を確認
- 無料相談の活用: 多くの事務所が初回無料相談を提供しているので積極的に活用
- 面談での確認事項: コミュニケーションの取りやすさ、専門知識、人柄を確認
- 見積もり比較: 複数の事務所から見積もりを取り、サービス内容と料金を比較
- 契約: 契約内容を十分に理解した上で契約を締結
確定申告で税理士に依頼すべきケース
すべての外国人が税理士に依頼する必要はありません。以下のようなケースでは、専門家への依頼を強くおすすめします。
- 複数の国で所得がある場合: 二重課税を避けるため租税条約の適用判断が必要
- 不動産を所有している場合: 日本国内や海外の不動産からの所得がある
- 副業・フリーランス収入がある場合: 起業・フリーランスとして活動している
- ストックオプションを持っている場合: 権利行使のタイミングで課税が発生
- 年度途中で来日・出国した場合: 居住者・非居住者の切り替えに伴う申告
- 海外資産が5,000万円を超える場合: 国外財産調書の提出義務
- 住宅ローン控除を受けたい場合: 初年度は確定申告が必要
一方、会社員で給与所得のみの場合は、会社が年末調整を行うため、税理士への依頼が不要なケースもあります。
税理士への相談を成功させるコツ
税理士との相談を有意義なものにするために、以下の準備をしておきましょう。
事前に準備する書類
- 在留カードのコピー(在留カードの管理方法を参照)
- パスポートのコピー
- 源泉徴収票(会社から発行されるもの)
- 海外からの収入証明書
- 銀行口座の取引明細(海外送金の記録を含む)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 前年の確定申告書の控え(あれば)
相談時に伝えるべき情報
- 在留資格の種類と期間
- 母国との税金の取り決め(租税条約の有無)
- すべての収入源(日本国内・海外)
- 海外に保有する資産の概要
- 今後の在留予定(帰国予定の有無)
事前に情報を整理しておくことで、相談時間を有効に使え、税理士もより的確なアドバイスを提供できます。
よくある質問(FAQ)
Q: 税理士と会計士の違いは何ですか?
税理士(ぜいりし)は税務の専門家で、確定申告や税務相談を行います。公認会計士は監査の専門家で、主に企業の財務諸表の監査を担当します。個人の税務相談は税理士に依頼するのが一般的です。
Q: 英語で確定申告はできますか?
日本の確定申告書は日本語で作成する必要がありますが、英語対応の税理士に依頼すれば、説明や相談は英語で行い、書類作成は税理士が日本語で行ってくれます。
Q: 無料で税務相談できる場所はありますか?
各地域の税務署で無料の税務相談を受けることができます。また、確定申告期間中(2月16日〜3月15日)は各地で無料の確定申告相談会が開催されます。ただし、日本語での対応が基本です。
Q: オンラインで確定申告できますか?
はい、e-Tax(電子申告)を使えばオンラインで確定申告ができます。マイナンバーカードとICカードリーダーが必要です。税理士に依頼する場合も、電子申告に対応している事務所を選びましょう。
まとめ
外国人が日本で適切な税理士を見つけることは、税務リスクを軽減し、適正な納税を行うために非常に重要です。多言語対応力、国際税務の実績、レスポンスの速さ、オンライン対応、料金の透明性を基準に選びましょう。
FSAの多言語対応事業者検索や税理士検索サービスを活用し、複数の事務所で無料相談を受けた上で、信頼できる税理士を選ぶことをおすすめします。税理士との良好な関係を築くことで、日本での生活やビジネスをより安心して進めることができます。
日本での税金・社会保険制度や労働法の基礎知識も併せて理解しておくことで、より充実した日本生活を送ることができるでしょう。
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