扶養控除の申請方法と条件

外国人労働者向けに扶養控除の申請方法と条件をわかりやすく徹底解説します。2025年税制改正による所得要件の引き上げ(48万円→58万円)、控除額一覧表、年末調整・確定申告での具体的な手続き方法、国外居住親族の特例と必要書類まで、すべてのポイントをまとめています。
扶養控除の申請方法と条件【外国人労働者向け完全ガイド】
日本で働く外国人の方にとって、扶養控除は所得税を大幅に節税できる重要な制度です。扶養控除を正しく理解し、適切に申請することで、年間数万円から十数万円の税負担を減らすことができます。しかし、制度の仕組みや申請方法を知らないまま放置してしまうケースも多く見られます。
本記事では、扶養控除の基本的な仕組みから申請手続き、2025年の税制改正による変更点まで、外国人労働者が知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。税金・社会保険・年金の完全ガイドと合わせてお読みください。
扶養控除とは?基本的な仕組みを理解しよう
扶養控除とは、納税者が配偶者以外の家族や親族を経済的に養っている場合に、一定の金額を所得から差し引くことができる所得控除の一つです。所得が少なくなることで、所得税や住民税の負担が軽減されます。
扶養控除の対象となる「控除対象扶養親族」とは、以下の4つの条件をすべて満たす人を指します。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)
- 生計を一にしていること(同居していなくても仕送りで生計を維持していれば該当)
- 年間の合計所得金額が58万円以下(2025年改正後、給与収入のみの場合は150万円以下)
- その年の12月31日時点で16歳以上であること
外国人労働者の場合、日本に住む家族はもちろん、母国に住む家族も条件を満たせば扶養控除の対象となります。ただし、非居住者の税金ルールには注意が必要です。
扶養控除の種類と控除額一覧
扶養控除は、扶養親族の年齢や同居状況によって控除額が異なります。以下の表で確認しましょう。
| 区分 | 対象年齢 | 所得税控除額 | 住民税控除額 | 具体例 |
|---|---|---|---|---|
| 一般扶養親族 | 16歳以上19歳未満・23歳以上70歳未満 | 38万円 | 33万円 | 高校生の子ども、30代の弟妹 |
| 特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満 | 63万円 | 45万円 | 大学生の子ども |
| 老人扶養親族(同居以外) | 70歳以上 | 48万円 | 38万円 | 別居の両親 |
| 老人扶養親族(同居老親等) | 70歳以上・同居 | 58万円 | 45万円 | 同居の両親・祖父母 |
例えば、所得税率20%の方が一般扶養親族1人を扶養している場合、所得税だけで38万円 × 20% = 7.6万円の節税になります。住民税(税率10%)と合わせると、年間で約11万円の節税効果が期待できます。
特に注目したいのは特定扶養親族の控除額です。19歳から22歳の子どもがいる家庭では、63万円という大きな控除を受けられるため、給料・年収・待遇ガイドで紹介している手取り額にも大きく影響します。
2025年(令和7年)税制改正による扶養控除の変更点
2025年の税制改正では、扶養控除に関して大きな変更がありました。外国人労働者にとって特に重要な変更点を確認しましょう。
所得要件の引き上げ
扶養親族の年間合計所得金額の上限が、従来の48万円から58万円に引き上げられました。給与収入に換算すると、103万円から150万円に拡大されたことになります(参考:弥生株式会社)。
特定親族特別控除の新設
2025年から「特定親族特別控除」が新設されました。これは、19歳から22歳の扶養親族の所得が58万円を超えた場合でも、一定の条件を満たせば段階的に控除を受けられる制度です(参考:BDO Global)。
国外居住親族の制限(令和5年改正の継続適用)
30歳以上70歳未満の国外居住親族については、原則として扶養控除の対象外となっています。ただし、以下の場合は例外です。
- 留学により非居住者となった親族(留学ビザの写し等が必要)
- 障害者である親族
- 納税者から年間38万円以上の送金を受けている親族
母国に家族を残して日本で働いている外国人の方は、この制限に特に注意が必要です。家族と日本生活の完全ガイドで家族の呼び寄せについても確認しておきましょう。
扶養控除の申請方法【年末調整・確定申告】
扶養控除を受けるための申請方法は、主に「年末調整」と「確定申告」の2つがあります。
年末調整で申請する場合
会社に勤めている方は、毎年秋頃に勤務先から配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入して提出します(参考:三菱UFJ銀行)。
記入のポイント:
- 控除対象扶養親族の氏名・生年月日を正確に記載
- マイナンバーを記入(マイナンバーカードの手続きガイド参照)
- 所得の見積額を記入(58万円以下であることを確認)
- 非居住者の場合は「非居住者である親族」欄にチェック
年末調整の手続きガイドで詳しい手順を確認できます。
確定申告で申請する場合
以下のケースでは、確定申告で扶養控除を申請する必要があります。
- 年末調整で扶養控除を申告し忘れた場合
- 年の途中で扶養親族が増えた場合(出産、家族の来日など)
- フリーランスや個人事業主として働いている場合
- 2か所以上から給与を受けている場合
確定申告書の「扶養控除」欄に扶養親族の情報を記載し、必要書類を添付して管轄の税務署に提出します(参考:freee)。
外国人労働者が注意すべきポイント
外国人労働者特有の注意点をまとめます。
1. 在留資格(居住者・非居住者)の確認
日本の税法では、居住者と非居住者で扶養控除の取り扱いが異なります。日本に1年以上住所がある方は「居住者」に該当し、扶養控除を受けることができます。一方、非居住者は原則として扶養控除の適用を受けられません(参考:PwC Tax Summaries)。
在留資格・ビザの基礎知識ガイドで自身の在留資格を確認しましょう。
2. 国外送金の証明書類
母国の家族を扶養親族として申告する場合、以下の書類が必要です。
- 親族関係書類:出生証明書、婚姻証明書、戸籍謄本など(外国語の場合は日本語訳を添付)
- 送金関係書類:銀行の送金明細書、クレジットカードの利用明細書など
30歳以上70歳未満の国外居住親族の場合は、さらに年間38万円以上の送金証明が必要です。
3. 重複申告の禁止
共働き夫婦の場合、同じ扶養親族を夫婦両方で申告することはできません。より所得の高い方が申告した方が節税効果は大きくなります。配偶者ビザ・家族滞在ビザで家族を呼び寄せた場合は、この点に注意してください。
4. 16歳未満の子どもは対象外
扶養控除の対象は16歳以上の扶養親族に限られます。16歳未満の子どもは扶養控除の対象にはなりませんが、住民税の非課税判定や児童手当の算定では考慮されます。
扶養控除の申請で必要な書類一覧
扶養控除の申請に必要な書類を、状況別にまとめます。
| 状況 | 必要書類 | 入手先 |
|---|---|---|
| 国内居住の扶養親族 | 扶養控除等申告書 | 勤務先から配布 |
| 国外居住の扶養親族(基本) | 親族関係書類+送金関係書類 | 母国の役所・銀行 |
| 留学中の親族(30~69歳) | 留学ビザの写し+親族関係書類 | 留学先の入国管理局 |
| 障害のある親族 | 障害者手帳の写し等 | 各自治体 |
| 確定申告の場合 | 確定申告書+源泉徴収票 | 勤務先・税務署 |
外国語の書類は、すべて日本語訳の添付が必要です。翻訳は本人訳でも構いませんが、正確な翻訳を心がけましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: 母国の両親を扶養控除に入れられますか?
はい、条件を満たせば可能です。生計を一にしていること(定期的に仕送りをしていること)、年間の合計所得が58万円以下であること、16歳以上であることが条件です。ただし、30歳以上70歳未満の場合は年間38万円以上の送金証明が必要です。
Q2: 配偶者は扶養控除の対象ですか?
配偶者は扶養控除ではなく、配偶者控除または配偶者特別控除の対象です。控除額は最大38万円(配偶者控除)で、社会保険の扶養に入る条件とは別の制度です。
Q3: アルバイトをしている子どもは扶養控除の対象ですか?
2025年の改正後、給与収入が年間150万円以下(合計所得58万円以下)であれば扶養控除の対象になります。以前の103万円から大幅に引き上げられました(参考:2025年税制改正ガイド)。
Q4: 扶養控除を申告し忘れた場合は?
過去5年分までさかのぼって更正の請求を行うことで、払い過ぎた税金を取り戻すことができます。確定申告書と必要書類を税務署に提出してください。
Q5: 帰国する場合、扶養控除はどうなりますか?
帰国する年は、帰国日までの期間に対して扶養控除が適用されます。帰国時の税金手続きについては帰国時の税金手続きと届出一覧で詳しく解説しています。
まとめ:扶養控除を活用して賢く節税しよう
扶養控除は、外国人労働者にとって大きな節税効果が期待できる制度です。特に2025年の税制改正により、所得要件が緩和され、より多くの方が控除を受けられるようになりました。
扶養控除活用のポイント:
- 扶養親族の条件を正確に確認する(年齢・所得・生計要件)
- 年末調整で忘れずに「扶養控除等申告書」を提出する
- 国外居住の親族は必要書類を準備する(特に送金証明)
- 申告し忘れた場合は、確定申告で過去分も取り戻す
- 税理士への相談も検討する
日本の税制は複雑ですが、正しい知識を持って申請すれば、手取り収入を増やすことができます。医療費控除やふるさと納税など、他の節税制度と組み合わせて活用しましょう。
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