住民税の仕組みと納付方法を徹底解説

日本で働く外国人向けに住民税の仕組み・計算方法・納付方法を徹底解説。所得割と均等割の違い、特別徴収と普通徴収の比較、ふるさと納税やiDeCoなどの節税対策、帰国時の手続きまで、住民税に関する全てをわかりやすくまとめました。
住民税の仕組みと納付方法を徹底解説
日本で働く外国人にとって、住民税は毎月の手取り額に直接影響する重要な税金です。しかし「住民税って何?」「どうやって計算されるの?」「どこで払うの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では、住民税の基本的な仕組みから計算方法、納付方法、さらに節税のコツまで、外国人の方にもわかりやすく徹底解説します。
住民税とは?基本の仕組みを理解しよう
住民税は、住んでいる都道府県と市区町村に納める地方税です。正式には「道府県民税(東京都は都民税)」と「市町村民税(東京23区は特別区民税)」の2つに分かれており、その合計を住民税として納付します。
住民税は主に2つの要素で構成されています。
- 所得割:前年の所得金額に応じて課税される部分(標準税率10%)
- 均等割:所得金額に関係なく、住民全員が一律に負担する部分(年額4,000円)
さらに2024年度からは森林環境税として1,000円が均等割に追加されました。つまり、均等割の実質的な負担は年間5,000円となっています。
重要なポイントとして、住民税は前年の所得に基づいて計算されます。例えば、2025年度の住民税は2024年1月〜12月の所得をもとに算出されます。また、1月1日時点で日本に住所がある人が納税義務者となるため、年の途中で来日した場合はその年の住民税はかかりません。
外国人も日本人と同じ地方税法のもとで課税されます。国籍やビザの種類に関係なく、1月1日に日本に在住し、前年に課税所得がある場合は住民税を納める必要があります。
住民税の計算方法をわかりやすく解説
住民税の計算は以下のステップで行われます。
ステップ1:総所得金額を算出
まず、給与収入から給与所得控除を差し引いて給与所得を求めます。2025年分以降は、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました。これにより、年収の低い方の税負担が軽減されます。
ステップ2:課税所得金額を算出
総所得金額から各種所得控除(基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除など)を差し引いて課税所得金額を求めます。
ステップ3:税額を計算
課税所得金額 × 税率10% = 所得割額
所得割額 + 均等割額(5,000円) = 住民税額
以下は、年収別の住民税の目安です。
| 年収(万円) | 給与所得控除 | 課税所得(概算) | 住民税(概算・年額) | 月額(概算) |
|---|---|---|---|---|
| 200 | 68万円 | 約89万円 | 約9.4万円 | 約7,800円 |
| 300 | 98万円 | 約119万円 | 約12.4万円 | 約10,300円 |
| 400 | 124万円 | 約153万円 | 約15.8万円 | 約13,200円 |
| 500 | 144万円 | 約193万円 | 約19.8万円 | 約16,500円 |
| 600 | 164万円 | 約233万円 | 約23.8万円 | 約19,800円 |
※上記は基礎控除43万円、社会保険料控除(年収の約14%)を考慮した概算値です。扶養控除等は含んでいません。
詳しい計算方法については三菱UFJ銀行の解説が参考になります。
住民税の納付方法:特別徴収と普通徴収
住民税の納付方法には「特別徴収」と「普通徴収」の2つがあります。
特別徴収(給与天引き)
会社員やパート・アルバイトなど給与所得者の場合、原則として特別徴収が適用されます。これは、勤務先の会社が従業員の住民税を毎月の給与から天引きし、市区町村に納付する方法です。
- 毎年5〜6月頃に市区町村から勤務先に「特別徴収税額決定通知書」が届く
- 6月から翌年5月までの12回に分けて給与から天引き
- 従業員本人が手続きする必要はない
普通徴収(自分で納付)
個人事業主やフリーランス、退職者などは普通徴収で納付します。
- 毎年6月頃に自宅に「納税通知書」が届く
- 年4回(6月・8月・10月・翌年1月)に分けて納付
- 納付場所:銀行、郵便局、コンビニ、口座振替、PayPay等の電子決済
納付方法の詳細はマネーフォワードの解説をご参照ください。
納付方法の比較表
| 項目 | 特別徴収(天引き) | 普通徴収(自分で納付) |
|---|---|---|
| 対象者 | 会社員・パート等 | 個人事業主・フリーランス・退職者 |
| 納付回数 | 年12回(毎月) | 年4回 |
| 納付期間 | 6月〜翌年5月 | 6月・8月・10月・翌年1月 |
| 手続き | 不要(会社が対応) | 自分で納付書を使って支払い |
| 払い忘れリスク | なし | あり(注意が必要) |
外国人が知っておくべき住民税の注意点
外国人が住民税に関して特に注意すべきポイントをまとめます。
来日1年目は住民税がかからない場合がある
住民税は1月1日時点の住所地で課税されます。年の途中で来日した場合、その年の1月1日には日本に住所がないため、その年度の住民税は課税されません。ただし、翌年の1月1日に日本に住所があれば、翌年度から住民税がかかります。
来日1年目は住民税がゼロでも、2年目から急に住民税が引かれるため、手取り額が減って驚く方が多いです。事前に計算しておきましょう。
帰国時の住民税の取り扱い
日本を離れる際、まだ納めていない住民税がある場合は注意が必要です。
- 出国前に一括で残額を納付するか
- 納税管理人(税代理人)を指定して、帰国後も代わりに納付してもらう
納税管理人を指定する場合は、出国前に市区町村に届出が必要です。帰国時の税金手続きについては帰国時の税金手続きと届出一覧の記事で詳しく解説しています。
非課税になる条件
一定の所得以下の方は住民税が非課税になります。
- 生活保護を受けている方
- 障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で前年の合計所得が135万円以下の方
- 前年の合計所得が自治体の定める金額以下の方(東京23区の場合、単身で45万円以下)
非課税の条件については自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村に確認しましょう。詳しくは非居住者の税金ルールと注意点もご覧ください。
住民税を安くする5つの方法【節税対策】
住民税の負担を合法的に軽減する方法を紹介します。
1. ふるさと納税を活用する
ふるさと納税は、好きな自治体に寄付をすることで、寄付額から2,000円を差し引いた金額が住民税・所得税から控除される制度です。返礼品ももらえるため、実質的な節税効果が大きいです。
2. 医療費控除を申請する
年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合、医療費控除を確定申告で申請できます。歯科治療や眼鏡代なども対象になる場合があります。
3. 生命保険料控除を活用する
生命保険や医療保険に加入している場合、支払った保険料の一定額が所得から控除されます。
4. iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となるため、住民税の節税に効果的です。
5. 扶養控除を正しく申請する
配偶者や子供、親族を扶養している場合、扶養控除の申請をすることで課税所得を減らせます。海外に住む家族も条件を満たせば扶養控除の対象になる場合があります。
住民税を安くする方法の詳細は小谷野税理士法人の解説も参考になります。
住民税に関するよくある質問(FAQ)
Q1:住民税はいつから引かれますか?
特別徴収の場合、毎年6月の給与から翌年5月まで天引きされます。新入社員の場合、入社1年目は前年所得がゼロのため住民税はかかりませんが、2年目の6月から引かれ始めます。
Q2:転職したら住民税はどうなりますか?
退職時に残りの住民税を一括で天引きされるか、普通徴収に切り替わります。転職先が決まっている場合は、新しい会社で特別徴収を継続することも可能です。詳しくは転職・キャリアアップ戦略完全ガイドをご覧ください。
Q3:住民税を払い忘れたらどうなりますか?
普通徴収で納付期限を過ぎると延滞金が発生します。長期間未納が続くと、財産の差し押さえなどの滞納処分を受ける場合があります。支払いが困難な場合は、早めに市区町村の税務課に相談しましょう。
Q4:確定申告すれば住民税の申告は不要ですか?
はい、確定申告を行えば住民税の申告は原則不要です。確定申告のデータが自動的に市区町村に送られ、住民税が計算されます。確定申告の方法とスケジュールで詳しく説明しています。
Q5:副業の住民税を会社にバレないようにできますか?
確定申告時に住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に選択すれば、副業分の住民税は自宅に届く納税通知書で納付できます。ただし、自治体によっては対応していない場合もあるため注意が必要です。
住民税の手続きで困ったときの相談先
住民税に関して不明点がある場合、以下の窓口に相談できます。
- 市区町村の税務課:住民税の計算内容、非課税判定、納付方法の相談
- 税理士:外国人向け税理士の選び方と相談方法を参考に、専門家に相談するのも有効です
- 多言語対応の相談窓口:多くの自治体で英語・中国語等の多言語対応窓口があります
外国人の方が住民税で困った場合は、まずお住まいの市区町村の税務課に連絡することをおすすめします。MailMateの外国人向けガイドやBelonging Japanの解説も英語の情報源として役立ちます。
まとめ
住民税は日本で生活する上で避けて通れない税金ですが、仕組みを正しく理解すれば恐れることはありません。
- 住民税は所得割(10%)+均等割(5,000円)で構成される
- 前年の所得をもとに計算され、1月1日時点の住所地で課税される
- 会社員は特別徴収(給与天引き)、個人事業主は普通徴収(年4回)で納付
- ふるさと納税・医療費控除・iDeCoなどを活用すれば節税が可能
- 帰国時は納税管理人の指定または一括納付を忘れずに
住民税の仕組みを理解し、適切に納付・節税することで、日本での生活をより安心して送ることができます。所得税の仕組みについては外国人の所得税の仕組みと計算方法も併せてご確認ください。また、社会保険料との関係については社会保険料の計算方法と控除の仕組みで詳しく解説しています。
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