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日本語能力と語学スキル向上ガイド

JLPTの各レベルと就職への影響を解説

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
JLPTの各レベルと就職への影響を解説

日本語能力試験(JLPT)のN1〜N5の各レベルが日本での就職にどう影響するかを徹底解説。レベル別の応募可能な求人割合、年収目安、在留資格との関係、効果的な受験戦略など、外国人の就職活動に必要な情報をすべて網羅しています。

JLPTの各レベルと就職への影響を解説

日本で就職を目指す外国人にとって、日本語能力試験(JLPT)のレベルは重要な指標の一つです。JLPTはN1からN5までの5段階で構成されており、どのレベルを取得するかによって応募できる求人の幅や年収に大きな差が出ます。この記事では、各レベルの特徴と就職への具体的な影響を詳しく解説します。

JLPTとは?基本情報と試験概要

JLPT(日本語能力試験)は、日本国際交流基金と日本国際教育支援協会が共催する、日本語を母語としない人の日本語能力を測定・認定する試験です。世界約90カ国で実施されており、毎年約100万人が受験する世界最大規模の日本語試験として知られています。

試験は「読む(読解)」と「聞く(聴解)」の2技能を測定します。なお、「書く」「話す」の能力は直接測定されないため、JLPTの結果だけでは総合的な日本語コミュニケーション能力を完全に把握することはできません。2024年の国内合格率は37.7%、海外合格率は40.8%と報告されています(参考:hitokiwa)。また、2025年12月の試験からCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)レベルの参考表示が導入される予定です。

各レベルの特徴と求められる日本語力

JLPTの5段階のレベルにはそれぞれ明確な基準があります。以下の表で各レベルの概要を確認しましょう。

レベルCEFR相当求められる能力目安の学習時間
N1C1幅広い場面で使われる日本語を理解できる。新聞の論説や抽象的な文章も読解可能900〜1200時間
N2B2日常的な場面に加え、より幅広い場面で使われる日本語を理解できる600〜900時間
N3B1日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる450〜600時間
N4A2基本的な日本語を理解できる。日常生活でよく出会う場面に対応可能300〜450時間
N5A1基本的な日本語をある程度理解できる。定型的な表現やひらがな・カタカナを理解150〜300時間

N1は最も高度なレベルで、ビジネスや学術的な場面でも不自由なく日本語を使いこなせる能力が求められます。一方、N5は日本語学習の入門段階として位置づけられています。

JLPTレベル別の就職への影響

JLPTのレベルは日本での就職活動に直接的な影響を与えます。特にN2とN1の差は求人数と年収の両面で大きく表れます(参考:GaijinPot)。

N1保持者の就職事情

N1を取得していると、日本国内のほぼすべての職種に応募が可能になります。法務・会計・コンサルティングなど、高度な日本語能力が必要な専門職への道も開けます。翻訳・通訳の分野ではN1が事実上の必須条件となっており、年収700万円程度が見込めます。

N2保持者の就職事情

N2は多くの日本企業が「ビジネスレベル」とみなすラインであり、就職活動において最も汎用性の高いレベルです。営業、事務、マーケティング、カスタマーサポートなど幅広い職種で応募可能です。翻訳職の場合、N2保持者の年収は約600万円と報告されています。

N3保持者の就職事情

N3は日常会話レベルとされ、IT・エンジニア職や製造業、ホテル・観光業など、技術力が重視される職種では十分な場合もあります。ただし、オフィスワークやビジネスコミュニケーションが中心の職種ではN2以上が求められるのが一般的です。

N4・N5保持者の就職事情

N4は特定技能ビザの取得に必要な最低ラインです。介護飲食業など、特定技能の分野で働く場合はN4で就労が可能です。N5のみでは就職先が非常に限られますが、日本語をほとんど使わない工場の軽作業など一部の職種では応募できるケースもあります。

求人数と年収への具体的な影響

JLPTのレベルが求人数と年収に与える影響は非常に大きいです。データによると、N3以下の場合は求人全体の約10%にしか応募できないのに対し、N2〜N1では約90%の求人に応募可能とされています(参考:Jinzai Plus)。

項目N1N2N3N4〜N5
応募可能な求人割合約95%約90%約30%約10%
翻訳職の年収目安約700万円約600万円約400万円
IT職の年収目安600〜800万円450〜650万円350〜500万円300〜400万円
高度人材ポイント加算15点10点
主な就職先全業種事務・営業・IT製造・IT・観光特定技能分野

高度人材ポイント制においても、N1取得で15点、N2取得で10点が加算され、高度専門職ビザの取得に有利に働きます。給料・年収の面でも、JLPTレベルが上がるほど高い待遇が期待できます。

在留資格とJLPTの関係

JLPTのレベルは在留資格(ビザ)の取得にも影響を与えます。直接的にJLPTの取得が法的に義務付けられているわけではありませんが、実質的に必要とされるケースが多くあります(参考:Leverages Global)。

特定技能ビザ: 特定技能1号の在留資格を取得するためには、原則としてN4以上の日本語能力が必要です。介護分野ではさらに高い日本語力が求められる場合もあります。

高度専門職ビザ: 高度人材ポイント制では、JLPT N1で15点、N2で10点が加算されます。ポイントの合計が70点以上に達すると高度専門職ビザが取得でき、永住権取得の優遇措置なども受けられます。

技術・人文知識・国際業務ビザ: 法的にはJLPTの取得は不要ですが、企業が採用する際にN2以上を求めることが一般的です。特に日本語でのコミュニケーションが必要な職場では、N2が採用条件に含まれていることが多いです。

JLPTだけではない?実務で求められる日本語力

JLPTは「読む」「聞く」のみを測定するため、試験のスコアだけでは実際のビジネスコミュニケーション能力を判断できません。同じN2合格者でも、会話力には大きな個人差があるのが現実です(参考:PROTRUDE)。

企業の採用担当者は、JLPT以外にも以下のポイントを重視する傾向があります。

  • BJTビジネス日本語能力テスト: ビジネス場面に特化した日本語試験で、実務での日本語力をより正確に測定
  • 面接での会話力: 実際の面接で日本語による質疑応答ができるかどうか
  • 日本語での業務経験: 日本企業でのインターンやアルバイトの経験
  • ビジネスメールの作成能力: 敬語やビジネス文書の作成スキル

日本語能力と語学スキルの向上を目指す場合は、JLPTの対策だけでなく、実践的なビジネス日本語の学習も並行して進めることが重要です。

効果的なJLPT受験戦略と就職活動のポイント

就職を有利に進めるためのJLPT受験戦略について解説します(参考:foreigner-career-navigator)。

目標レベルの設定

まずは自分の目指す業界と職種に必要なJLPTレベルを確認しましょう。一般的に、オフィスワーク全般ではN2以上、IT・エンジニア職ではN3以上、特定技能分野ではN4以上が目安となります。

試験スケジュールの活用

JLPTは毎年7月と12月の年2回実施されます。就職活動のスケジュールに合わせて受験時期を計画的に設定しましょう。特に留学生の場合、就活開始前にN2以上を取得しておくことが望ましいです。

JLPT以外の資格との組み合わせ

JLPTと合わせて、BJTビジネス日本語能力テストや日本のビジネスマナーに関する知識を身につけることで、採用担当者へのアピール力が高まります。履歴書にJLPTのスコアと合わせてこれらの資格を記載すると効果的です。

まとめ

JLPTのレベルは日本での就職に大きな影響を与えます。N2以上を取得すれば約90%の求人に応募可能となり、キャリアの選択肢が大幅に広がります。ただし、JLPTは「読む」「聞く」の2技能のみを測定するため、実践的な会話力やビジネスマナーも並行して磨くことが大切です。

自分の目標とする職種に必要なレベルを把握し、計画的に準備を進めましょう。まずはN2の取得を目指し、キャリアアップとともにN1への挑戦を検討することをおすすめします。転職・キャリアアップを考える際にも、JLPTのレベルアップは最も効果的な投資の一つです。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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