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年末調整の手続きガイド【外国人向け】

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
年末調整の手続きガイド【外国人向け】

日本で働く外国人向けの年末調整完全ガイド。居住者・非居住者の違い、必要書類一覧、扶養控除・配偶者控除の申告方法、国外居住親族の手続き、2025年の制度変更、よくあるミスと対策まで、わかりやすく徹底解説します。初めての年末調整でも安心です。

年末調整の手続きガイド【外国人向け】

日本で働く外国人にとって、年末調整(ねんまつちょうせい)は毎年12月に行われる重要な税金手続きです。正しく手続きを行えば、払いすぎた所得税が還付される可能性があります。この記事では、外国人労働者が知っておくべき年末調整の基礎知識から、必要書類、控除の種類、注意点まで詳しく解説します。

年末調整とは?外国人も対象になるのか

年末調整とは、毎月の給与から天引き(源泉徴収)されている所得税の合計額と、1年間の実際の所得税額を比較し、差額を調整する手続きです。多くの場合、払いすぎた税金が還付されるため、外国人労働者にとっても非常に重要な制度です。

外国人であっても、日本に1年以上居住し「居住者」に該当する場合は、日本人と同様に年末調整の対象となります。勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員が対象です。

一方、日本での滞在期間が1年未満の「非居住者」は年末調整の対象外となり、給与に対して一律20.42%の税率で源泉徴収されます。自分がどちらに該当するかを確認することが最初のステップです。

居住者と非居住者の違い|税金の扱いが大きく変わる

年末調整の手続きにおいて最も重要なのが、自分が「居住者」か「非居住者」かを正しく理解することです。以下の表で確認しましょう。

区分条件年末調整課税範囲税率
永住者(居住者)日本に住所がある、または1年以上居住+永住の意思対象全世界所得累進税率(5〜45%)
非永住者(居住者)日本に1年以上居住、過去10年で5年以下の居住対象国内所得+海外から送金された所得累進税率(5〜45%)
非居住者日本での滞在が1年未満対象外国内源泉所得のみ一律20.42%

この区分により、税金・社会保険・年金の取り扱いが大きく異なります。特に非永住者の場合は、海外から日本に送金した所得も課税対象になる点に注意が必要です。

年末調整に必要な書類一覧

年末調整の手続きには、以下の書類を勤務先に提出する必要があります。外国人特有の書類もあるため、早めに準備しましょう。

全員が提出する書類

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 — 扶養家族の情報を記入する最も基本的な書類
  2. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書 — 基礎控除や配偶者控除の適用を受けるための書類
  3. 給与所得者の保険料控除申告書 — 生命保険料や地震保険料の控除を申告する書類

外国人が追加で必要になる可能性がある書類

  • 親族関係書類(国外居住親族の扶養控除を受ける場合):出生証明書、婚姻証明書、戸籍謄本の和訳など
  • 送金関係書類:国外の扶養親族に生活費を送金したことを証明する書類(銀行の送金明細など)
  • 旅券のコピー:国外居住親族のパスポートの写し
  • 和訳文:外国語で作成された書類には日本語の翻訳文を添付

これらの書類は通常、10月〜11月頃に勤務先から配布されます。書類の記入方法がわからない場合は、日本語能力向上ガイドも参考にしながら、総務部や人事部に相談しましょう。

外国人が受けられる控除の種類

年末調整で適用できる控除には様々な種類があります。これらを正しく申告することで、給料・年収の手取り額を増やすことができます。

控除の種類控除額条件・備考
基礎控除最大48万円合計所得2,500万円以下の全員が対象
配偶者控除最大38万円配偶者の年間所得48万円以下
配偶者特別控除最大38万円配偶者の年間所得48万〜133万円
扶養控除(一般)38万円16歳以上の扶養親族
扶養控除(特定)63万円19〜22歳の扶養親族
扶養控除(老人)48〜58万円70歳以上の扶養親族
社会保険料控除全額健康保険・厚生年金の支払額
生命保険料控除最大12万円生命・介護・個人年金保険料
地震保険料控除最大5万円地震保険の支払額

特に外国人の場合、母国に住む家族を扶養控除の対象として申告できる場合があります。ただし、2025年12月からは「特定親族特別控除」制度が新設され、国外居住親族の控除ルールが一部変更されます。

国外居住親族の扶養控除|外国人が特に注意すべきポイント

外国人労働者が母国の家族を扶養親族として申告する場合、日本人の場合とは異なる追加書類が必要です。これは年末調整で最もよくある質問の一つです。

扶養控除の対象となる国外居住親族の条件

  • 従業員と生計を一にしていること(仕送りをしていること)
  • 6親等内の血族または3親等内の姻族であること
  • 年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)

2024年以降の制度変更

2024年(令和6年)以降、30歳〜69歳の国外居住親族については、以下のいずれかに該当しない限り扶養控除の対象外となりました。

  1. 留学により日本国外に住んでいる
  2. 障害者である
  3. 扶養控除を申告する人から年間38万円以上の送金を受けている

この変更は外国人労働者に大きな影響を与えています。詳細は国税庁の公式ページで確認できます。

必要な証明書類

国外居住親族の扶養控除を申告する際には、以下の書類が必要です。

  • 親族関係書類:戸籍の附票の写し、出生証明書、婚姻証明書など(外国語の場合は和訳文が必要)
  • 送金関係書類:銀行の振込依頼書、送金明細書など(各扶養親族への個別の送金記録)
  • 旅券のコピー:留学の場合は査証(ビザ)のコピーも必要

年末調整の手続きの流れ

年末調整の具体的なスケジュールと手順を把握しておきましょう。

10月〜11月:書類の準備

  1. 勤務先から年末調整の書類が配布される
  2. 保険会社から控除証明書が届く
  3. 国外居住親族がいる場合は、親族関係書類と送金関係書類を準備する

11月〜12月初旬:書類の提出

  1. 必要事項を記入した書類を勤務先に提出する
  2. 控除証明書などの添付書類を一緒に提出する
  3. 不明な点は早めに人事・総務部門に確認する

12月〜1月:調整と還付

  1. 勤務先が提出書類をもとに税額を再計算する
  2. 払いすぎた税金は12月または1月の給与に上乗せして還付される
  3. 不足分がある場合は給与から追加徴収される

手続きの期限を過ぎてしまった場合でも、確定申告を行うことで税金の調整が可能です。

年末調整で注意すべきこと|よくあるミスと対策

外国人労働者が年末調整で陥りやすいミスや注意点をまとめました。

よくあるミス

  • 提出期限を過ぎてしまう:書類の準備に時間がかかり、期限に間に合わないケース
  • 国外送金の証明書類が不足:扶養控除を受けるために必要な送金記録が揃っていない
  • マイナンバーの記入漏れ:外国人にもマイナンバーが付与されており、記入が必要
  • 居住区分の誤り:自分の居住者・非居住者の区分を間違えている

対策

  • 9月〜10月のうちに必要書類のリストを確認し、早めに準備を始める
  • 国外送金は銀行振込など記録が残る方法で行う
  • 書類の記入が難しい場合は、多言語対応の支援窓口や税理士に相談する
  • 在留カードとマイナンバーカードは常に最新の状態を保つ

年末調整と確定申告の違い

年末調整だけでは対応できないケースもあります。以下の場合は、翌年2月〜3月に確定申告が必要です。

項目年末調整確定申告
対象者会社員(1社から給与を受ける人)全ての納税者
手続き主体勤務先(会社)本人
時期12月翌年2月16日〜3月15日
医療費控除申告不可申告可能
ふるさと納税(6件以上)申告不可申告可能
副業収入(20万円超)申告不可申告必要
年収2,000万円超対象外申告必要

特に、起業・フリーランスとして働く外国人や、複数の会社から給与を受けている場合は確定申告が必要です。また、年の途中で帰国する場合は、出国前に「準確定申告」を行う必要があります。

まとめ:年末調整を確実に行うためのチェックリスト

年末調整は、外国人労働者が日本で正しく税金を納めるために欠かせない手続きです。以下のチェックリストを活用して、漏れなく手続きを進めましょう。

  • [ ] 自分が「居住者」か「非居住者」かを確認する
  • [ ] 勤務先から配布される書類を受け取る
  • [ ] 保険料の控除証明書を準備する
  • [ ] 国外居住親族がいる場合は親族関係書類と送金関係書類を用意する
  • [ ] 外国語の書類には和訳文を添付する
  • [ ] マイナンバーを正しく記入する
  • [ ] 提出期限までに勤務先に書類を提出する

年末調整の手続きは慣れれば難しくありませんが、初めて行う外国人にとっては不安もあるでしょう。労働法・職場の権利ガイドも参考にしながら、わからないことがあれば勤務先の担当者や最寄りの税務署に相談することをおすすめします。正しく年末調整を行い、払いすぎた税金をしっかり取り戻しましょう。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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