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税金・社会保険・年金の完全ガイド

厚生年金と国民年金の違いを解説

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
厚生年金と国民年金の違いを解説

日本で働く外国人向けに厚生年金と国民年金の違いを徹底解説。2階建て構造の仕組み、保険料の計算方法、受給額の比較、被保険者の3区分、脱退一時金制度、社会保障協定まで、年金制度の基本から外国人特有の手続きまでわかりやすく説明します。転職時の切り替えやよくある質問も網羅。

厚生年金と国民年金の違いを解説【外国人向け完全ガイド】

日本で働く外国人にとって、年金制度の理解は避けて通れない重要なテーマです。「厚生年金と国民年金の違いがわからない」「自分はどちらに加入するべきなのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

日本の公的年金制度は「2階建て構造」と呼ばれ、すべての居住者が加入する国民年金(基礎年金)を1階部分、会社員や公務員が上乗せで加入する厚生年金を2階部分として構成されています。外国人であっても、日本に住所がある20歳以上60歳未満の方は年金への加入が義務付けられています。

この記事では、税金・社会保険・年金の完全ガイドと合わせて、厚生年金と国民年金の具体的な違い、保険料、受給額、そして外国人に特有の脱退一時金制度まで詳しく解説します。

日本の年金制度の基本構造【2階建ての仕組み】

日本の公的年金制度は、「国民皆年金」と呼ばれる制度のもと、すべての居住者をカバーする仕組みになっています。

1階部分:国民年金(基礎年金)

国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入する年金です。国籍に関係なく、在留カードを持って日本に住んでいる外国人も加入義務があります。

2階部分:厚生年金

厚生年金は、会社員や公務員など、厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務する人が加入する年金です。厚生年金に加入すると、自動的に国民年金にも加入していることになります。

この2階建て構造により、会社員は国民年金と厚生年金の両方から年金を受け取ることができるため、自営業者やフリーランスに比べて受給額が大きくなります。

国民年金と厚生年金の違い比較表

厚生年金と国民年金の主な違いを一覧で確認しましょう。

項目国民年金(基礎年金)厚生年金
対象者自営業者・学生・無職など会社員・公務員
加入年齢20歳〜60歳未満就職〜70歳未満
保険料一律月額17,510円(2025年度)給与の約18.3%(労使折半)
保険料負担全額自己負担会社と折半(実質半額)
受給開始年齢原則65歳原則65歳
年間受給額(満額)約83万円基礎年金+報酬比例部分
被保険者区分第1号被保険者第2号被保険者
納付方法自分で納付給与天引き

この比較表からわかるように、厚生年金は保険料を会社と折半する仕組みのため、実質的な負担は給与の約9.15%となり、将来受け取れる年金額も国民年金だけの場合より大幅に多くなります。

被保険者の3つの区分と外国人の該当区分

日本の年金制度では、被保険者を以下の3つに分類しています。外国人も日本人と同じルールが適用されます。

第1号被保険者

自営業者、フリーランス、学生、アルバイト、無職の方が該当します。起業・フリーランスとして日本で働くガイドで詳しく解説しているように、フリーランスの外国人は国民年金のみに加入します。保険料は月額17,510円(2025年度)で、自分で市区町村の窓口や金融機関を通じて納付します。

第2号被保険者

会社員や公務員が該当します。厚生年金保険の適用事業所に勤務すると自動的に第2号被保険者となり、国民年金と厚生年金の両方に加入することになります。保険料は給与から天引きされ、会社が半額を負担してくれます。

第3号被保険者

第2号被保険者に扶養されている配偶者(年収130万円未満)が該当します。保険料の自己負担はなく、将来の基礎年金を受け取る権利があります。家族と日本生活の完全ガイドで、扶養制度についてさらに詳しく解説しています。

保険料の計算方法と具体的な金額

年金の保険料は、国民年金と厚生年金で大きく計算方法が異なります。

国民年金の保険料

国民年金の保険料は定額制で、2025年度は月額17,510円です。年間にすると約21万円の負担となります。所得の多寡に関わらず一律のため、高所得者にとっては負担が軽く、低所得者にとっては重く感じる場合があります。

保険料の納付が困難な場合は、免除制度や納付猶予制度を利用できます。全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4段階があり、市区町村の窓口で申請できます。

厚生年金の保険料

厚生年金の保険料率は18.3%で、これを会社と従業員で折半します。つまり、従業員の実質負担は給与の約9.15%です。給料・年収・待遇ガイドでも解説しているとおり、月収に応じて保険料は変動します。

具体的な保険料の例を見てみましょう。

  • 月収20万円の場合:厚生年金保険料は約18,300円(自己負担分)
  • 月収30万円の場合:厚生年金保険料は約27,450円(自己負担分)
  • 月収40万円の場合:厚生年金保険料は約36,600円(自己負担分)

月収が高いほど保険料も高くなりますが、その分将来受け取れる年金額も増加するため、厚生年金は「払った分だけ返ってくる」仕組みと言えます。

受給額の違い【国民年金と厚生年金でどれだけ差がある?】

将来受け取れる年金額は、加入していた年金の種類と加入期間によって大きく異なります。

国民年金(老齢基礎年金)の受給額

20歳から60歳までの40年間、国民年金保険料を全額納付した場合、老齢基礎年金の満額は年間約83万円(月額約6.9万円)です。未納期間がある場合は、その分だけ減額されます。

厚生年金(老齢厚生年金)の受給額

厚生年金に加入していた場合、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も受給できます。老齢厚生年金の額は、加入期間中の平均月収と加入月数に基づいて計算されます。

例えば、平均月収30万円で38年間厚生年金に加入した場合、老齢厚生年金だけで年間約75万円、老齢基礎年金と合わせると年間約158万円(月額約13万円)を受け取ることができます。

国民年金のみの場合と比べると、厚生年金加入者は約2倍の年金を受け取れる計算になります。これが「厚生年金のほうがお得」と言われる理由です。

外国人に特有の脱退一時金制度

日本の年金制度には、帰国する外国人向けの「脱退一時金」という特別な制度があります。外国人の年金加入について詳しく解説されているこの制度は、日本を離れる外国人にとって非常に重要です。

脱退一時金の受給条件

  • 日本国籍を有していないこと
  • 国民年金または厚生年金に6ヶ月以上加入していたこと
  • 日本に住所を有していないこと(出国後に請求)
  • 年金を受ける権利を有していないこと

脱退一時金の注意点

脱退一時金を受給すると、その期間の年金加入記録はなかったものとして扱われます。将来再び日本で生活する可能性がある場合は、慎重に検討する必要があります。

また、日本と社会保障協定を結んでいる国の出身者は、脱退一時金を受給すると期間通算ができなくなる場合があります。現在、日本はドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、フランス、中国など23カ国と社会保障協定を締結しています。

年金の切り替え手続き【転職・退職時の対応】

外国人が転職や退職をする際には、年金の切り替え手続きが必要になる場合があります。転職・キャリアアップ戦略完全ガイドと合わせて確認してください。

会社員→自営業・無職になる場合

厚生年金から国民年金(第1号被保険者)への切り替えが必要です。退職日の翌日から14日以内に、住んでいる市区町村の役所で手続きを行います。年金手帳またはマイナンバーカード、退職証明書が必要です。

自営業→会社員になる場合

入社する会社が厚生年金の加入手続きを行うため、自分で特別な手続きをする必要はありません。ただし、年金手帳を会社に提出する必要があります。

転職する場合(会社員→会社員)

前の会社の退職日と新しい会社の入社日が同月であれば、特別な手続きは不要です。空白期間がある場合は、その期間だけ国民年金への切り替えが必要になります。

よくある質問【外国人の年金に関するQ&A】

Q: 短期滞在の外国人も年金に加入する必要がありますか?

短期滞在(観光ビザなど)で日本に来ている場合は、年金への加入義務はありません。ただし、在留資格を持って3ヶ月以上日本に住む場合は加入が必要です。

Q: 年金保険料を払わないとどうなりますか?

国民年金の保険料を未納のままにすると、将来の年金受給額が減少するだけでなく、障害年金や遺族年金を受け取れなくなる可能性があります。また、督促状の送付や財産の差し押さえが行われることもあります。

Q: 母国と日本の両方で年金保険料を払う必要がありますか?

社会保障協定を結んでいる国の出身者は、原則として一方の国でのみ年金保険料を支払えば済みます。詳しくは日本年金機構の公式サイトで確認できます。

Q: パートやアルバイトでも厚生年金に加入できますか?

一定の条件(週20時間以上勤務、月額賃金8.8万円以上、従業員51人以上の企業など)を満たせば、パートやアルバイトでも厚生年金に加入できます。

まとめ:外国人が押さえるべき年金のポイント

厚生年金と国民年金の違いを理解することは、日本での生活設計において非常に重要です。以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. 日本の年金は2階建て構造:国民年金(基礎年金)が全員加入、厚生年金は会社員が上乗せで加入
  2. 厚生年金のほうが手厚い:保険料は会社と折半、受給額は国民年金の約2倍
  3. 外国人も加入義務あり:日本に住所がある20歳以上60歳未満の方は全員対象
  4. 脱退一時金制度がある:帰国時に一定の条件を満たせば、払った保険料の一部を受け取れる
  5. 社会保障協定を確認:母国との協定により、二重加入を避けられる場合がある

年金制度は複雑ですが、労働法・職場の権利ガイド日本での就職活動完全ガイドも参考にしながら、自分に適した年金の知識を身につけていきましょう。不明な点がある場合は、最寄りの年金事務所やお住まいの市区町村の窓口に相談することをおすすめします。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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