特定技能ビザの申請手順と必要書類

特定技能ビザの申請手順を国内申請・海外申請別にわかりやすく解説します。必要書類の一覧表、申請費用の目安、よくあるミスと注意点、オンライン申請の活用方法まで、スムーズなビザ取得に必要な情報を完全網羅した実践的マニュアルです。
特定技能ビザの申請手順と必要書類【完全マニュアル】
日本で外国人労働者として働くための「特定技能ビザ」は、2019年に創設された比較的新しい在留資格です。2025年1月時点で介護分野だけでも45,836人、素形材・産業機械分野で45,181人、建設分野で39,253人が特定技能の在留資格で就労しており、年々取得者が増加しています。しかし、申請手続きは他のビザに比べて複雑で、必要書類も多岐にわたります。この記事では、特定技能ビザの申請手順を国内・海外別にわかりやすく解説し、必要書類を一覧で紹介します。スムーズな申請のために、ぜひ最後までお読みください。
特定技能ビザの種類と基本要件
特定技能ビザには1号と2号の2種類があります。それぞれの特徴を理解した上で、自分がどちらに該当するかを確認しましょう。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 最長5年(更新は1年、6ヶ月、4ヶ月ごと) | 無期限(3年、1年、6ヶ月ごとの更新) |
| 技能水準 | 相当程度の知識または経験 | 熟練した技能 |
| 日本語能力 | JLPT N4以上またはJFT-Basic | 試験等での確認は不要 |
| 家族の帯同 | 基本的に不可 | 配偶者・子の帯同可能 |
| 永住権への道 | 直接のルートなし | 永住申請の可能性あり |
| 対象分野 | 16分野 | 11分野(2024年拡大) |
| 支援計画 | 必須(受入機関または登録支援機関) | 不要 |
特定技能ビザを取得するための基本要件は以下の通りです:
- 年齢:18歳以上であること
- 健康状態:良好な健康状態であること
- 技能試験:各分野の技能評価試験に合格していること
- 日本語能力:日本語能力試験(JLPT)N4以上、またはJFT-Basicに合格していること
- 退去強制歴:過去に退去強制または出国命令を受けていないこと
詳しい在留資格の種類や違いについては、別記事で詳しく解説しています。
国内からの申請手順(在留資格変更)
すでに日本に在住している外国人が特定技能ビザに切り替える場合は、在留資格変更許可申請を行います。技能実習2号を修了した方や、留学生からの変更が一般的なパターンです。
ステップ1:技能試験・日本語試験の受験と合格
まず、従事する分野の技能評価試験と日本語能力試験(JLPT N4以上)に合格する必要があります。ただし、技能実習2号を良好に修了した方は、同一分野であれば試験が免除されます。
試験情報は出入国在留管理庁の特定技能ページで確認できます。
ステップ2:受入企業との雇用契約の締結
試験合格後、受入企業と雇用契約を締結します。雇用契約は日本人と同等以上の報酬であること、フルタイムの直接雇用であることが条件です。
ステップ3:1号特定技能外国人支援計画の策定
受入企業は、外国人が安定して日本で働き、生活できるようにするための支援計画を作成しなければなりません。支援計画には以下の10項目を含める必要があります:
- 事前ガイダンスの実施
- 出入国時の送迎
- 住居の確保・生活支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続きへの同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理時)
- 定期面談の実施
ステップ4:必要書類の準備と提出
すべての書類を揃え、管轄の出入国在留管理局に提出します。書類の準備には通常1〜2ヶ月かかるため、早めに取りかかりましょう。
ステップ5:審査と許可
審査期間は平均で30日〜45日程度です。許可が下りると新しい在留カードが交付され、特定技能の活動が開始できます。
在留資格の変更手続きについては、別記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
海外からの申請手順(在留資格認定証明書)
海外に居住する外国人が新たに日本で特定技能として働く場合は、在留資格認定証明書交付申請を経てビザを取得します。
ステップ1:技能試験・日本語試験の受験
対象国で実施される技能評価試験と日本語試験に合格します。試験は各国で定期的に開催されており、外務省の特定技能ページで最新の試験情報を確認できます。
ステップ2:受入企業との雇用契約
国内申請と同様に、受入企業と雇用契約を締結します。オンライン面接を経て契約に至るケースが増えています。
ステップ3:在留資格認定証明書の申請
受入企業(または代理人)が日本の出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請を行います。審査期間は1〜3ヶ月と国内申請より長くなります。
ステップ4:ビザの申請
認定証明書が交付されたら、申請者の母国にある日本大使館・領事館でビザ(査証)を申請します。通常1〜2週間で発給されます。
ステップ5:入国と在留カードの受取
ビザを取得したら日本に入国します。空港で在留カードが交付され、特定技能としての就労が可能になります。
海外からの場合、採用活動開始から就労開始まで最低3ヶ月、場合によっては半年程度かかることを念頭に置いて準備を進めましょう。
申請に必要な書類一覧
特定技能ビザの申請には多くの書類が必要です。申請人(外国人)側と受入機関(企業)側でそれぞれ用意するものが異なります。
申請人(外国人本人)が用意する書類
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 在留資格変更許可申請書(または認定証明書交付申請書) | 出入国在留管理庁の所定様式 |
| 写真(縦4cm×横3cm) | 3ヶ月以内に撮影したもの |
| パスポートのコピー | 顔写真ページ |
| 在留カードのコピー(国内申請時) | 両面 |
| 技能試験の合格証明書 | または技能実習2号修了証明 |
| 日本語能力試験の合格証明書 | JLPT N4以上またはJFT-Basic |
| 健康診断書 | 所定の様式あり |
| 履歴書 | 学歴・職歴を記載 |
| 納税証明書(国内申請時) | 住民税の課税証明書・納税証明書 |
受入機関(企業)が用意する書類
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 雇用契約書の写し | 日本人と同等以上の報酬条件 |
| 雇用条件書 | 母国語での翻訳も必要 |
| 1号特定技能外国人支援計画書 | 10項目の支援内容を記載 |
| 登記事項証明書 | 法人の場合 |
| 決算書類(直近2期分) | 財務状況の確認用 |
| 役員の住民票 | 欠格事由の確認用 |
| 社会保険料の納付証明 | 健康保険・厚生年金 |
| 労働保険料の納付証明 | 労災・雇用保険 |
| 税務署発行の納税証明書 | 法人税・消費税 |
書類は分野によって追加で必要になるものもあるため、必ず出入国在留管理庁の公式サイトで最新情報を確認してください。
申請時の注意点とよくあるミス
特定技能ビザの申請で不許可にならないために、以下のポイントに注意しましょう。
書類の不備に注意
最も多い不許可理由は書類の不備です。特に以下の点を確認してください:
- 署名漏れ:申請書や雇用契約書への本人署名が必要です
- 有効期限切れ:各証明書の有効期限(通常3ヶ月以内)を確認
- 翻訳漏れ:外国語の書類には日本語翻訳が必要です
- 記載内容の整合性:雇用契約書と申請書の内容が一致していること
報酬額の設定
特定技能外国人の報酬は、日本人と同等以上でなければなりません。同じ職場で同じ業務に従事する日本人従業員の賃金水準を下回っていると不許可になる可能性があります。
コンプライアンスの遵守
受入企業がコンプライアンス違反を犯した場合、将来の外国人受け入れが禁止されるなど重い罰則が科されます。労働法や職場の権利を十分に理解しておくことが重要です。
スケジュールに余裕を持つ
書類準備に1〜2ヶ月、審査に1〜3ヶ月かかるため、就労開始希望日の少なくとも4〜6ヶ月前から準備を始めることをおすすめします。
申請費用の目安
特定技能ビザの取得にかかる費用を把握しておきましょう。
| 費用項目 | 金額目安 |
|---|---|
| 技能試験の受験料 | 3,000〜8,000円(分野による) |
| 日本語試験の受験料 | 5,500〜6,500円 |
| 在留資格申請手数料(変更時) | 4,000円 |
| 健康診断費用 | 5,000〜15,000円 |
| 行政書士への委託費用(任意) | 100,000〜200,000円 |
| 登録支援機関への委託費用(任意) | 月額20,000〜40,000円/人 |
行政書士や登録支援機関に申請手続きを委託する場合は追加費用がかかりますが、複雑な書類作成を専門家に任せることで不許可リスクを大幅に低減できます。求人サイトや転職エージェントを利用すれば、申請サポートが含まれている場合もあります。
オンライン申請の活用
2022年から、特定技能ビザの申請はオンラインでも可能になりました。出入国在留管理庁の「在留申請オンラインシステム」を利用することで、管轄の入管に出向く必要がなくなり、時間と手間を大幅に節約できます。
オンライン申請を利用するには、事前に利用者情報登録が必要です。企業の担当者や行政書士が代理で申請することも可能で、書類のアップロードや審査状況の確認がオンライン上で完結します。
ただし、初回の申請やシステムに不慣れな場合は、入管窓口での対面申請をおすすめします。特定技能ビザの全体像を把握した上で、自分に合った申請方法を選びましょう。
まとめ:確実な申請のために
特定技能ビザの申請は、書類の多さと手続きの複雑さから難しく感じるかもしれません。しかし、以下のポイントを押さえれば、スムーズに進めることができます。
- 事前準備を十分に:試験の受験、書類の収集は早めに開始する
- 書類のチェックを徹底:署名漏れ、有効期限切れ、翻訳漏れに注意
- 専門家の活用を検討:行政書士や登録支援機関への委託で不許可リスクを軽減
- 最新情報を確認:制度は頻繁に改正されるため、出入国在留管理庁の公式サイトで最新情報をチェック
- スケジュール管理:就労開始の4〜6ヶ月前から準備を開始
2025〜2028年には素形材・産業機械分野だけで173,300人の外国人労働者の受入れが見込まれており、特定技能ビザの需要は今後ますます高まります。この記事を参考に、計画的な申請準備を進めてください。
日本での就職活動の全体的な流れや、履歴書の書き方、面接対策についても、当サイトの関連記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
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