特定技能ビザの不許可事例と対策

特定技能ビザ申請で多い不許可事例を具体的に紹介し、書類不備・報酬問題・公的義務未履行・受入企業側の問題など、それぞれの対策方法を詳しく解説。2025年以降の制度変更にも対応した最新情報をお届けします。
特定技能ビザの不許可事例と対策【よくある失敗を防ぐ完全ガイド】
特定技能ビザは、日本の深刻な人手不足を解消するために2019年に創設された在留資格です。しかし、申請すれば必ず許可されるわけではなく、書類不備や要件の未充足により不許可となるケースが少なくありません。本記事では、特定技能ビザ申請で実際に多い不許可事例を具体的に紹介し、それぞれの対策方法を詳しく解説します。これから申請を考えている外国人の方や、受入企業の担当者の方はぜひ参考にしてください。
特定技能ビザの基本的な仕組みについては、特定技能ビザ完全ガイド【16分野対応】で詳しくまとめていますので、あわせてご確認ください。
特定技能ビザの不許可が増えている背景
特定技能制度は創設以来、対象分野の拡大や制度改正が続いており、申請件数は年々増加しています。それに伴い、入国管理局の審査も厳格化しており、書類の不備や要件の不適合による不許可事例が増えています。
特に2025年4月からは制度変更が行われ、届出ルールの変更や新たな不正行為の定義が追加されました。SMILEVISAの解説によると、これまで3か月ごとだった届出が年1回に変更される一方、外国人の意思表示を妨げる行為(転職・退職の不当制限など)が新たな不正行為として明確に追加されました。
制度が複雑化する中で、申請者・受入企業の双方が正確な知識を持つことがこれまで以上に重要になっています。在留資格・ビザの基礎知識も確認し、基本的な仕組みを理解しておきましょう。
よくある不許可事例①:書類の不備・不一致
特定技能ビザ申請で最も多い不許可理由が、書類の不備や内容の不一致です。入国管理局は提出書類の整合性を非常に厳しくチェックしており、わずかな矛盾でも不許可となる場合があります。
具体的な不備事例
- 雇用契約書と在留資格認定証明書(COE)の職務内容の相違:契約書に記載された業務内容とCOEの申請内容が一致していない場合、即座に不許可の原因となります
- 納税証明書の年度間違い:行政書士しかま事務所の解説によると、税証明書の年度を間違えると審査が止まり、追加書類要求で1〜2ヶ月の遅延が発生するリスクがあります
- 翻訳書類の不備:外国語の書類に日本語翻訳が添付されていない、または翻訳内容が原本と異なる場合
- 有効期限切れの証明書:申請時点で有効期限が切れている証明書を提出した場合
対策方法
申請前に必ずチェックリストを作成し、全書類の整合性を確認してください。特に、雇用契約書の業務内容は在留資格申請書の記載と一字一句合わせることが重要です。12の分野ごとに必要書類が異なるため、出入国在留管理庁の公式ページで最新の必要書類リストを確認しましょう。
よくある不許可事例②:報酬・労働条件の問題
特定技能外国人の労働条件は、日本人と同等以上であることが法律で義務付けられています。この要件を満たしていない場合、不許可となります。
具体的な問題事例
- 賃金が日本人従業員より低い:同一企業で同じ業務に就く日本人と同等以上の賃金でなければなりません
- 最低賃金を下回る設定:地域別最低賃金を上回っていることは最低条件です
- 不明確な労働時間や福利厚生:契約書に曖昧な記述がある場合、「搾取リスク」として不許可になることがあります
- 労働基準法に違反する契約内容:残業時間の上限超過や休日規定の不備など
マイナビグローバルの解説でも指摘されているように、企業と外国人本人の双方が合意した契約であっても、法律に適合していない場合は不許可となります。
日本の給与体系については給料・年収・待遇ガイドで、労働法については労働法・職場の権利ガイドで詳しく解説しています。
よくある不許可事例③:公的義務の未履行
税金・社会保険・年金の未納は、不許可の大きな原因となります。入国管理局は「素行の善良性」を審査の重要な基準としており、公的義務の未履行は「素行不良」と判断されます。
具体的な未履行事例
- 住民税の未納:納税証明書に未納額が記載されている場合
- 国民健康保険料の滞納:保険料の支払い遅延や未納がある場合
- 年金保険料の未納:国民年金や厚生年金の未納がある場合
- 前回申請時の誓約書不履行:前回申請で公的義務履行の誓約書を提出したにもかかわらず、更新時までに履行していない場合
対策方法
申請前に必ず全ての公的義務の履行状況を確認してください。未納がある場合は、申請前に完済することが最善の対策です。特に、前回の申請で誓約書を提出している場合は、次回更新時までに必ず義務を履行しておく必要があります。
税金・社会保険の詳細については税金・社会保険・年金の完全ガイドをご確認ください。
よくある不許可事例④:受入企業側の問題
申請者本人に問題がなくても、受入企業(特定技能所属機関)に問題がある場合、不許可となることがあります。
企業側の問題事例
- 定期届出の未提出:四半期ごとの定期届出を怠っている企業は、特定技能外国人を雇用する資格がないと判断されます
- 支援計画の不実施:登録支援機関を通じた支援が適切に行われていない場合
- 過去の法令違反歴:労働基準法違反や入管法違反の前歴がある企業
- 外国人の意思表示の妨害:2025年4月の制度改正により、労働条件の不満を伝えづらくしたり、転職・退職を不当に制限する行為が不正行為として明確化されました
kedomoの解説によると、このような不正行為が発覚した場合、所属機関や登録支援機関の許可取り消しの可能性があります。
よくある不許可事例⑤:申請者の経歴・適格性の問題
申請者本人の経歴や過去の在留歴に問題がある場合も、不許可となります。
具体的な問題事例
| 不許可事例 | 詳細 | リスクレベル |
|---|---|---|
| 過去のオーバーステイ | 在留期限を超えて滞在した経歴がある | 非常に高い |
| 前回のビザ違反 | 資格外活動や不法就労の経歴がある | 非常に高い |
| 技能試験の不合格 | 分野別の技能評価試験に合格していない | 高い |
| 日本語能力不足 | N4レベル以上の日本語能力が証明できない | 高い |
| 犯罪歴 | 日本国内外での犯罪歴がある | 非常に高い |
| 虚偽申請の前歴 | 過去に虚偽の申請を行った経歴がある | 最高 |
| 健康状態の問題 | 就労に支障がある健康上の問題 | 中程度 |
OnlineVisaGuideの分析によると、日本の入国管理システムは各領事館と国内事務所間でデータを連携しており、過去の違反歴を隠すことはほぼ不可能です。
日本語能力の向上については日本語能力と語学スキル向上ガイドも参考にしてください。
不許可を防ぐための実践的チェックリスト
特定技能ビザ申請で不許可にならないために、以下のチェックリストを活用してください。
申請前チェック項目
- 書類の完全性:必要書類が全て揃っているか確認する
- 書類の整合性:全書類の内容が矛盾していないか確認する
- 証明書の有効期限:全ての証明書が有効期限内か確認する
- 翻訳書類の正確性:翻訳内容が原本と一致しているか確認する
- 報酬額の適正性:日本人と同等以上の報酬が設定されているか確認する
- 公的義務の履行:税金・保険・年金の未納がないか確認する
- 技能試験・日本語試験の合格証明:有効な合格証明書を用意する
- 受入企業の届出状況:企業側の定期届出や支援計画が適切か確認する
不許可になった場合の対応
不許可になった場合でも、問題点を修正して再申請することが可能です。まず入国管理局に不許可理由を確認し、指摘された問題点を全て解決してから再申請してください。行政書士や入管専門の弁護士に相談することも有効な対策です。
2025年以降の制度変更と注意点
2025年4月施行の制度改正により、いくつかの重要な変更が行われています。
- 届出頻度の変更:3か月ごとの届出が年1回に変更(ただし届出内容の正確性はより重視される)
- 就労開始遅延の届出:就労開始の遅れや1か月以上働けない場合の届出ルールが変更
- 不正行為の定義拡大:外国人の意思表示を妨げる行為が不正行為として追加
- 特定技能2号の拡大:対象分野が拡大し、長期滞在の道が広がる
ONODERA USER RUNの解説でも指摘されているように、制度変更に対応するためには、最新の情報を常に確認する習慣が重要です。
就労ビザ全般の情報は就労ビザ16種類の特徴と取得条件まとめで確認できます。また、業界別の最新動向は外国人が活躍する業界トレンド【2026年版】もあわせてご覧ください。
まとめ
特定技能ビザの不許可を防ぐためには、以下のポイントが重要です。
- 書類の完全性と整合性を徹底的に確認する
- 日本人と同等以上の報酬・労働条件を設定する
- 税金・社会保険・年金の未納を解消しておく
- 受入企業側の義務(届出・支援計画)を確実に履行する
- 2025年以降の制度変更に対応した最新情報を把握する
申請に不安がある場合は、特定技能ビザに詳しい行政書士や弁護士に相談することをおすすめします。正しい知識と十分な準備があれば、不許可のリスクを大幅に減らすことができます。
日本での就職活動全般については日本での就職活動完全ガイド、キャリアアップについては転職・キャリアアップ戦略完全ガイドもぜひ参考にしてください。
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