育成就労制度とは?新しい外国人受入れ制度

育成就労制度の仕組み、技能実習制度との違い、対象16分野、申請条件、転籍制度を詳しく解説。2027年4月施行予定の新しい外国人労働者受入れ制度について、外国人労働者と受入れ企業が知っておくべきポイントをまとめました。
育成就労制度とは?新しい外国人受入れ制度を徹底解説
日本で働く外国人にとって、2027年は大きな転機となる年です。これまで30年以上続いてきた「技能実習制度」が廃止され、新たに「育成就労制度」がスタートします。2024年6月21日に改正入管法が公布され、2027年4月1日の施行が正式に決定しました。この記事では、育成就労制度の仕組み、技能実習制度との違い、対象分野、申請条件などを詳しく解説します。
日本での就労を考えている外国人の方や、外国人材の受入れを検討している企業の方は、ぜひ最後までお読みください。在留資格の基礎知識については在留資格・ビザの基礎知識完全ガイドも併せてご覧ください。
育成就労制度が創設された背景
従来の技能実習制度は、「発展途上国への技能移転による国際貢献」を目的として1993年に創設されました。しかし、実態としては日本の深刻な人手不足を補う労働力として機能しており、制度の目的と実態の乖離が長年にわたり指摘されてきました。
特に問題となっていたのが以下の点です:
- 転職の自由がない:原則として同一の受入れ企業で働き続ける必要があり、劣悪な労働環境でも逃げられない状況が発生
- 失踪問題:毎年数千人規模の技能実習生が失踪し、不法就労に陥るケースが社会問題化
- 人権侵害:パワハラ、セクハラ、賃金未払いなどの問題が国際的にも批判を受けた
- ブローカーの暗躍:来日前に多額の借金を負わされるケースが後を絶たなかった
こうした課題を根本的に解決するため、政府は有識者会議の提言を受けて技能実習制度を発展的に解消し、人材育成と人材確保を正面から目的に据えた育成就労制度を創設することを決定しました(出入国在留管理庁)。
育成就労制度の基本的な仕組み
育成就労制度は、外国人労働者が原則3年間の就労を通じて、特定技能1号の水準に相当する技能を習得することを目指す制度です。
制度の主な特徴
育成就労制度には、以下のような特徴があります:
- 目的の明確化:「人材育成」と「人材確保」を制度の目的として明確に位置づけ
- 特定技能との連動:対象分野を特定技能の産業分野と一致させ、キャリアパスを明確化
- 転籍(転職)の許容:一定条件のもと、本人の意向による転籍が可能に
- 日本語能力要件の導入:入国時にN5相当、就労1年後にN4相当の日本語能力が必要
- 監理支援機関の設置:従来の監理団体に代わり、外国人の権利保護を強化した新たな機関を設置
受入れ企業は「育成就労計画」を作成し、新たに設立される外国人育成就労機構(ONEFN)の認定を受ける必要があります(JITCO)。
技能実習制度と育成就労制度の違い
技能実習制度と育成就労制度の主な違いを、以下の表にまとめました。
| 比較項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 国際貢献(技能移転) | 人材育成+人材確保 |
| 在留期間 | 最長5年(1号1年+2号2年+3号2年) | 原則3年 |
| 転籍(転職) | 原則不可 | 一定条件で可能(1〜2年後) |
| 日本語能力要件 | 明確な要件なし | 入国時N5、1年後N4相当 |
| 対象分野 | 90職種165作業 | 特定技能16分野と連動 |
| キャリアパス | 制度上は帰国前提 | 特定技能1号→2号→永住権も視野 |
| 監督機関 | 外国人技能実習機構(OTIT) | 外国人育成就労機構(ONEFN) |
| 罰則 | 従来の罰則規定 | 不法就労助長罪の厳罰化(5年以下の懲役・500万円以下の罰金) |
最大のポイントは、転籍(転職)が認められるようになったことです。同一分野内であれば、就労開始から1〜2年後に本人の意向で職場を変えることができます。これにより、不当な扱いを受けた場合に他の企業へ移ることが可能になります。詳しくは転職・キャリアアップ戦略完全ガイドをご参照ください。
育成就労制度の対象分野(16分野)
育成就労制度の対象となる産業分野は、特定技能ビザの指定分野と連動しており、2025年時点で以下の16分野が候補となっています(マイナビグローバル):
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 自動車運送業
- 鉄道
- 林業
- 木材産業
特に需要が高いのは、介護・医療業界、製造業、飲食・サービス業の3分野です。日本政府は最初の2年間の受入れ上限数を約42万6,000人と設定する方針を発表しています(日経アジア)。
育成就労制度の申請条件と手続き
育成就労制度を利用して日本で働くためには、以下の条件を満たす必要があります。
外国人側の条件
- 年齢:18歳以上であること
- 日本語能力:入国時にJLPT N5相当以上の日本語能力を有すること
- 健康状態:就労に支障のない健康状態であること
- 送出機関:政府間の取決めに基づく適正な送出機関を通じて手続きすること
- 犯罪歴:重大な犯罪歴がないこと
日本語能力の向上は、就労後のキャリアアップにも直結します。日本語能力と語学スキル向上ガイドで効果的な学習方法を確認しましょう。
受入れ企業側の条件
- 育成就労計画を作成し、ONEFNの認定を受けること
- 適切な労働条件を確保すること(労働法・職場の権利ガイド)
- 監理支援機関と連携して外国人の生活支援を行うこと
- 日本人と同等以上の報酬を支払うこと
手続きの流れ
- 送出国で日本語学習・事前研修を受ける
- 送出機関を通じて日本の受入れ企業とマッチング
- 育成就労計画の作成・認定申請
- 在留資格「育成就労」の申請
- 入国後、受入れ企業での就労開始
- 3年間の育成就労を経て、特定技能1号への移行試験を受験
転籍(転職)制度の詳細
育成就労制度で最も注目される変更点が転籍(転職)制度です。従来の技能実習制度では原則として認められなかった本人意向による転職が、一定の条件のもとで可能になります(キャリアリンクアジア)。
転籍が認められる条件
- 同一分野内での転籍であること
- 就労開始から1年〜2年が経過していること(分野によって異なる)
- 技能検定等の試験に合格していること
- 一定水準以上の日本語能力を有すること
転籍に関する注意点
- 転籍先の企業も育成就労計画の認定を受けている必要がある
- やむを得ない事情(ハラスメント、契約違反等)がある場合は、期間に関係なく転籍可能
- 不法就労助長罪が厳罰化されており、悪質なブローカーを介した転籍は厳しく取り締まられる
移行スケジュールと準備すべきこと
育成就労制度への移行は段階的に進められます。
タイムライン
- 2024年6月:改正法公布
- 2025年〜2026年:詳細な省令・告示の策定、受入れ体制の整備
- 2027年4月1日:育成就労制度の施行開始
- 2027年〜2030年頃:移行期間(技能実習制度との併存期間)
- 2030年頃:完全移行完了
外国人が準備すべきこと
現在技能実習生として日本で働いている方、またはこれから日本での就労を検討している方は、以下の準備を進めておくことをお勧めします:
- 日本語能力の向上:最低でもN5、できればN4以上を目指して学習を続ける
- 技能の習得:現在の職場で積極的にスキルアップに取り組む
- 情報収集:制度の詳細が公表され次第、最新情報を確認する
- 相談窓口の活用:JITCOや各地の外国人相談窓口を活用する
日本での就職活動全般については、日本での就職活動完全ガイドも参考になります。
まとめ:育成就労制度で変わる外国人の働き方
育成就労制度は、外国人労働者の権利保護を強化しながら、日本の深刻な人手不足に対応するために創設された画期的な制度です。技能実習制度からの最大の変化は、転職の自由と明確なキャリアパスが保障されたことです。
育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号(無期限)→ 永住権という道筋が明確になり、日本で長期的にキャリアを築くことが現実的な選択肢となりました。
2027年4月の施行に向けて、外国人労働者も受入れ企業も、今から準備を始めることが重要です。最新の制度情報は出入国在留管理庁の公式ページで確認できます。
日本で働くための在留資格やビザについて詳しく知りたい方は、就労ビザ16種類の特徴と取得条件まとめもぜひご覧ください。
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