労働相談窓口の利用方法【多言語対応】

日本で働く外国人労働者が利用できる多言語対応の労働相談窓口を完全ガイド。厚生労働省の13言語対応ダイヤル、無料の労働条件相談ほっとライン、総合労働相談コーナーなど、相談前の準備から実際の流れまで詳しく解説します。
労働相談窓口の利用方法【多言語対応】外国人が安心して働くための完全ガイド
日本で働く外国人労働者にとって、職場でのトラブルや労働条件に関する悩みは深刻な問題です。言葉の壁があるため、問題を抱えていても相談できずに我慢してしまうケースが少なくありません。しかし、日本には多言語対応の労働相談窓口が多数設置されており、13言語以上で無料相談を受けることができます。2024年時点で日本の外国人労働者数は約230万人(前年比12%増)に達し、相談体制もますます充実しています。
この記事では、外国人労働者が利用できる主な相談窓口の種類、利用方法、相談前に準備すべきこと、そして実際の相談の流れについて詳しく解説します。労働法・職場の権利ガイドと合わせてお読みいただくことで、日本での労働に関する理解がさらに深まります。
外国人が利用できる主な労働相談窓口一覧
日本には、外国人労働者が利用できるさまざまな相談窓口があります。それぞれ特徴が異なるため、自分の状況に合った窓口を選ぶことが重要です。
厚生労働省「外国人労働者向け相談ダイヤル」
厚生労働省が運営する外国人労働者向け相談ダイヤルは、13言語で労働条件に関する相談を受け付けています。対応言語は、英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、ベトナム語、ミャンマー語、ネパール語、韓国語、タイ語、インドネシア語、カンボジア語(クメール語)、モンゴル語です。
このダイヤルでは、賃金未払い、長時間労働、ハラスメントなど、職場で発生するさまざまな問題について専門のスタッフが対応してくれます。
労働条件相談ほっとライン
労働条件相談ほっとラインは、厚生労働省の委託事業として運営されており、都道府県労働局や労働基準監督署の閉庁後や土日・祝日にも対応しています。全国どこからでも無料で外国語による電話相談が可能です。平日の日中に仕事で電話できない方にとって非常に便利なサービスです。
総合労働相談コーナー
全国の都道府県労働局・労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーでは、対面での相談が可能です。ハラスメント、解雇、労働条件の変更など、幅広い労働問題に対応しています。一部の窓口では通訳サービスやビデオ通訳を活用した多言語対応も行われています。
相談窓口の比較表【料金・対応時間・言語】
各相談窓口の特徴を比較して、自分に合った窓口を見つけましょう。
| 相談窓口 | 対応言語数 | 料金 | 対応時間 | 相談方法 |
|---|---|---|---|---|
| 外国人労働者向け相談ダイヤル | 13言語 | 固定電話:180秒/8.5円、携帯:20秒/10円 | 平日10:00〜15:00(言語により異なる) | 電話 |
| 労働条件相談ほっとライン | 13言語 | 無料 | 平日17:00〜22:00、土日祝9:00〜21:00 | 電話 |
| 総合労働相談コーナー | 窓口による | 無料 | 平日8:30〜17:15 | 対面・電話 |
| 外国人在留支援センター(FRESC) | 多言語 | 無料 | 平日9:00〜17:00 | 対面・電話 |
| 地方自治体の国際交流協会 | 地域による | 無料 | 施設による | 対面・電話・オンライン |
平日の日中に相談できない場合は、労働条件相談ほっとラインが最も利用しやすい窓口です。通話料も無料なので、まず最初に利用してみることをおすすめします。
相談前に準備すべき書類と情報
労働相談をスムーズに進めるためには、事前の準備が非常に大切です。以下の書類や情報を整理しておくと、相談員がより的確なアドバイスを提供できます。
必ず準備すべきもの
- 雇用契約書(労働条件通知書):入社時に会社から受け取った書類。労働時間、給料、休日などが記載されています
- 給与明細:直近3〜6か月分があると理想的です。残業代の未払いなどの確認に必要です
- タイムカードや勤務記録:実際の労働時間を証明するための記録。スマホの写真でも構いません
- 在留カード:在留資格の種類を確認するために必要です
あると便利な情報
- 会社名、所在地、電話番号
- 上司や担当者の名前
- 問題が発生した日時と具体的な状況のメモ
- 同僚の証言や関連するメールのコピー
給料・年収・待遇ガイドでは、日本の給与体系について詳しく解説していますので、給与に関する問題がある場合はこちらも参考にしてください。
実際の相談の流れ【ステップバイステップ】
初めて労働相談をする方のために、実際の相談の流れをステップごとに説明します。
ステップ1:相談窓口を選ぶ
まず、自分の問題に合った窓口を選びます。緊急性が高い場合(暴力、給料の大幅な未払いなど)は、労働基準監督署に直接相談することをおすすめします。一般的な労働条件の質問であれば、外国人労働者向け相談ダイヤルから始めるとよいでしょう。
ステップ2:電話または予約する
電話相談の場合は、対応時間内に該当する言語の時間帯に電話をかけます。対面相談を希望する場合は、事前に予約を取ることをおすすめします。東京都の外国人労働相談窓口のように、各自治体のウェブサイトで予約方法を確認できます。
ステップ3:状況を説明する
相談員に以下のポイントを伝えましょう:
- 何が問題なのか(例:残業代が払われない、パワハラを受けている)
- いつから問題が起きているか
- 会社に相談したかどうか
- どうしてほしいか(解決の希望)
母語で相談できるので、遠慮せず詳しく状況を説明してください。
ステップ4:アドバイスを受ける
相談員は、法律に基づいたアドバイスや、次に取るべき行動を教えてくれます。必要に応じて、労働基準監督署への申告や、あっせん(調停)制度の利用を案内してもらえます。
ステップ5:記録を残す
相談した日時、相談員の名前、アドバイスの内容をメモしておきましょう。後日、追加の相談や手続きが必要になった場合に役立ちます。
よくある相談内容と対処法
外国人労働者からの相談で特に多い内容と、その基本的な対処法を紹介します。
賃金・残業代の未払い
最も多い相談の一つが賃金に関する問題です。日本では、最低賃金が法律で定められており、どの国籍の労働者にも適用されます。残業代は通常賃金の25%以上の割増で支払われなければなりません。未払いがある場合は、給与明細とタイムカードを持って労働基準監督署に相談しましょう。
パワハラ・セクハラ
職場でのハラスメントは、2020年施行のパワハラ防止法により、企業に防止措置が義務付けられています。暴言、無視、過大な要求、身体的な攻撃などがパワハラに該当します。証拠(録音、メール、日記など)があると相談がスムーズに進みます。
突然の解雇
日本では、正当な理由なく労働者を解雇することは法律で制限されています。解雇には少なくとも30日前の予告か、30日分の解雇予告手当の支払いが必要です。労働法・職場の権利ガイドで解雇に関する詳しい情報を確認できます。
労災・職場の事故
仕事中のケガや病気は、労災保険の対象になります。在留資格の種類に関わらず、すべての労働者に適用されます。会社が労災の手続きをしてくれない場合は、労働基準監督署に直接申請することも可能です。
地域別の多言語対応相談窓口
全国各地に多言語対応の相談窓口が設置されています。主要な地域の窓口を紹介します。
東京都
東京都外国人労働相談窓口では、英語、中国語、その他の言語で労働相談に対応しています。新宿にある東京都庁で対面相談も可能です。
神奈川県
神奈川県の外国人労働相談では、曜日ごとに異なる言語での相談を受け付けています。横浜や川崎など外国人居住者が多い地域に窓口が設置されています。
大阪府・愛知県・その他
大阪府や愛知県など、外国人労働者が多い地域でも多言語相談窓口が充実しています。各地域の国際交流協会や多文化共生センターでも、労働問題を含む幅広い生活相談に対応しています。
2019年から全国に設立された外国人在留支援センター(FRESC)やワンストップ相談支援センターでは、労働問題だけでなく、在留資格、教育、医療など生活全般の相談をワンストップで受けることができます。
オンライン・デジタルツールを活用した相談方法
近年、対面や電話以外にもさまざまな相談方法が利用できるようになっています。
ビデオ通訳サービス
一部の労働基準監督署や相談コーナーでは、ビデオ通訳サービスを導入しています。窓口に通訳がいない場合でも、タブレット端末を通じてリモートで通訳者とつながり、多言語での相談が可能です。
厚生労働省のウェブサイト
厚生労働省の「確かめよう労働条件」サイトでは、多言語で労働条件に関する情報を確認できます。英語版ページも用意されているので、日本語が苦手な方でも情報を得ることができます。
多言語用語集・やさしい日本語
厚生労働省では、外国人雇用管理に役立つ多言語用語集やモデル就業規則の「やさしい日本語」版を提供しています。これらのツールを活用することで、自分の権利や労働条件をより深く理解することができます。
日本語能力と語学スキル向上ガイドでは、職場で役立つ日本語学習方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
相談時の注意点とよくある質問
在留資格に影響はありますか?
労働相談をすることで在留資格に悪影響が出ることはありません。日本の法律は、すべての労働者の権利を保護しており、相談した内容が入管に通報されることもありません。安心して相談してください。
会社にバレませんか?
相談窓口には守秘義務があります。相談者の個人情報や相談内容が、本人の同意なく会社に伝えられることはありません。ただし、労働基準監督署への申告や是正勧告の手続きに進む場合は、調査の過程で会社に連絡が入ることがあります。
相談は何回でもできますか?
はい、何回でも無料で相談できます。一度の相談で解決しない場合は、追加情報を準備して再度相談することをおすすめします。
技能実習生も相談できますか?
もちろん相談可能です。技能実習生に対しては、外国人技能実習機構(OTIT)にも専用の相談窓口が設けられています。母国語で相談でき、実習先の変更や保護につなげてもらうことも可能です。特定技能ビザ完全ガイドでは、技能実習から特定技能への移行についても解説しています。
まとめ:一人で悩まず、まず相談を
日本で働く外国人労働者を支援するための相談窓口は年々充実しています。2023年の調査では、外国人居住者が支援スタッフに期待する能力として「多言語スキル」が57.3%で最も高く、相談体制の多言語化は今後もさらに進むことが期待されます。
職場で問題を感じたら、一人で悩まず、まず相談窓口に連絡してみましょう。労働条件相談ほっとラインは無料で土日祝日も利用でき、13言語に対応しています。あなたの権利は法律で守られています。
転職・キャリアアップ戦略完全ガイドや求人サイト・転職エージェント活用ガイドも参考にしながら、安心して日本でのキャリアを築いていきましょう。
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