農業分野の特定技能ガイド【季節労働】

農業分野の特定技能制度を徹底解説。季節労働の特徴、派遣雇用が認められる理由、技能試験の内容、給与・待遇、特定技能2号への移行、2027年制度改正まで。外国人が日本の農業で働くために必要な情報を網羅しています。
農業分野の特定技能ガイド【季節労働と外国人就労の最新情報】
日本の農業は深刻な人手不足に直面しています。農林水産省のデータによると、日本の農業従事者の平均年齢は68歳を超え、65歳以上が全体の65%以上を占めています。こうした状況の中、特定技能制度を活用した外国人労働者の受け入れが急速に拡大しており、2024年6月時点で農業分野の特定技能労働者は27,786人に達しました。
本記事では、農業分野の特定技能制度について、季節労働の特徴や申請手続き、給与条件まで詳しく解説します。これから日本の農業分野で働きたいと考えている外国人の方は、ぜひ最後までお読みください。
特定技能「農業」制度の基本概要
特定技能「農業」は、2019年4月に創設された在留資格の一つです。日本の農業分野における深刻な人手不足を解消するため、一定の専門性・技能を持つ外国人材を受け入れる制度として設計されました。
農業分野の特定技能には、耕種農業全般と畜産農業全般の2つの区分があります。耕種農業では野菜、果樹、穀物などの栽培に関わる業務が対象となり、畜産農業では牛、豚、鶏などの飼養管理が対象です。
特定技能1号では最長5年間の就労が可能で、2023年8月からは特定技能2号の対象分野にも農業が追加されました。これにより、長期的なキャリア形成の道が開かれています。
詳しいビザ情報については、在留資格・ビザの基礎知識完全ガイドも参考にしてください。
農業分野で派遣雇用が認められる理由【季節労働の特徴】
農業分野の特定技能制度の大きな特徴は、直接雇用に加えて派遣雇用も認められている点です。これは特定技能16分野の中でも、農業と漁業のみに認められた特別な雇用形態です。
なぜ派遣雇用が可能なのか
農業には季節による繁閑の差が大きいという特性があります。例えば:
- 春(3月〜5月):田植え、種まきの繁忙期
- 夏(6月〜8月):草刈り、病害虫防除、夏野菜の収穫
- 秋(9月〜11月):稲刈り、果樹の収穫、出荷の最盛期
- 冬(12月〜2月):比較的閑散期(ハウス栽培を除く)
この季節変動があるため、通年での直接雇用が難しい農家も多く、派遣雇用を活用することで繁忙期のみ人材を確保できるメリットがあります。派遣元は労働者派遣法に基づく許可を受けた事業者に限定されています。
特定技能「農業」の対象業務と作業内容
農業分野で従事できる具体的な業務内容を、区分別に詳しく見ていきましょう。
耕種農業の業務内容
| 業務カテゴリ | 具体的な作業内容 |
|---|---|
| 栽培管理 | 種まき、苗の植え付け、水やり、施肥、農薬散布 |
| 収穫・出荷 | 農産物の収穫、選別、箱詰め、出荷準備 |
| 土壌管理 | 土壌づくり、除草、畝立て、マルチ張り |
| 施設管理 | ビニールハウスの設置・管理、温度調節 |
| 安全衛生 | 農機具の点検、安全確認、衛生管理 |
畜産農業の業務内容
| 業務カテゴリ | 具体的な作業内容 |
|---|---|
| 飼養管理 | 家畜の餌やり、水やり、健康チェック |
| 畜舎管理 | 畜舎の清掃、消毒、温度管理 |
| 繁殖管理 | 繁殖計画の補助、出産時の対応 |
| 出荷業務 | 家畜の出荷準備、運搬補助 |
| 生産物処理 | 乳搾り、鶏卵の集卵・選別 |
注意点として、選別や梱包などの付随作業のみに従事することは認められていません。必ず栽培管理や飼養管理といった主要業務と組み合わせて行う必要があります。
特定技能「農業」の取得要件と試験内容
農業分野の特定技能を取得するには、以下の2つのルートがあります。
ルート1:技能試験+日本語試験の合格
農業技能測定試験に合格することが必要です。試験は「耕種農業」と「畜産農業」の2種類に分かれており、いずれかを選択して受験します。試験は日本国内および海外(フィリピン、ベトナム、インドネシア等)で定期的に実施されています。
加えて、日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格が求められます。日本語力の向上については、日本語能力と語学スキル向上ガイドで詳しく紹介しています。
ルート2:技能実習2号からの移行
農業分野の技能実習2号を良好に修了した場合、技能試験と日本語試験が免除され、特定技能1号へ移行することが可能です。多くの農業従事者がこのルートで特定技能へ移行しています。
就労ビザの種類と取得条件についても合わせて確認しておきましょう。
給与・待遇と生活面のサポート
農業分野の特定技能で働く場合の給与や待遇について、最新データをもとに解説します。
月収の目安
| 地域・作業内容 | 月収目安(税引前) | 年収目安 |
|---|---|---|
| 一般的な農作業(全国平均) | 17万〜23万円 | 200万〜270万円 |
| 果樹栽培(繁忙期あり) | 18万〜25万円 | 220万〜300万円 |
| 畜産業(酪農等) | 19万〜26万円 | 230万〜310万円 |
| 北海道・東北(大規模農業) | 20万〜28万円 | 240万〜330万円 |
給与は日本人と同等以上の報酬が義務付けられています。残業手当や休日出勤手当も労働基準法に基づいて支払われます。
税金や社会保険については、税金・社会保険・年金の完全ガイドを参照してください。
生活支援の内容
受入企業または登録支援機関は、以下のサポートを提供する義務があります:
- 住居の確保:社宅の提供や住居探しのサポート
- 生活オリエンテーション:日本での生活ルールの説明
- 公的手続きの同行:市区町村での住民登録、銀行口座開設
- 日本語学習機会の提供:日本語教室の紹介や学習教材の提供
- 相談・苦情対応:母国語での相談窓口の設置
住居探しについては、住居・生活インフラ完全ガイドも参考になります。
受入企業(農家・法人)の要件と手続き
外国人労働者を受け入れる農家や農業法人にも、一定の要件が課されています。
主な受入要件
- 労働関連法令の遵守:労働基準法、最低賃金法、社会保険関連法令を遵守していること
- 過去の雇用実績:過去1年以内に同種業務の労働者を非自発的に離職させていないこと
- 保証金の禁止:労働者から保証金を徴収する行為に関与していないこと
- 支援体制の整備:自社で支援を行うか、登録支援機関に委託すること
農業分野では、農業協同組合(JA)が登録支援機関として活動しているケースも多く、地域の農協に相談することが効率的です。日本農業法人協会でも外国人材の受入支援を行っています。
特定技能2号への移行と長期キャリア形成
2023年8月の制度改正により、農業分野でも特定技能2号への移行が可能になりました。これは外国人農業従事者にとって大きな前進です。
特定技能2号のメリット
- 在留期間の制限なし:更新を続ける限り、長期間就労可能
- 家族帯同:配偶者や子どもを日本に呼ぶことができる
- 永住権への道:一定条件を満たせば永住許可申請が可能
2号取得の要件
特定技能2号の取得には、農業分野での実務経験(おおむね3年以上)と、より高度な技能を問う2号評価試験への合格が必要です。さらに、農場の管理者として作業の監督や計画作成ができるレベルの能力が求められます。
将来的なキャリアアップについては、転職・キャリアアップ戦略完全ガイドもチェックしてみてください。
2027年の制度改正と今後の展望
日本政府は、現行の技能実習制度を廃止し、2027年までに新たな「育成就労」制度へ移行する計画を進めています。この改正は農業分野にも大きな影響を与えます。
育成就労制度の主な変更点
- 転籍の柔軟化:一定期間後に別の受入企業への転籍が可能に
- 人権保護の強化:労働者の権利をより厚く保護する仕組み
- 特定技能への接続:育成就労から特定技能へのスムーズな移行を設計
農業分野は日本政府が外国人労働者の受入枠を最大42万6000人に設定する計画の中でも、重要な柱の一つです。
業界全体のトレンドについては、外国人が活躍する業界トレンドで最新情報をまとめています。
まとめ:農業分野の特定技能で日本で働くために
農業分野の特定技能は、日本の農業を支える重要な制度として急速に発展しています。季節労働の特徴を活かした派遣雇用の活用や、特定技能2号への移行によるキャリア形成など、外国人農業従事者にとって魅力的な選択肢が増えています。
就労を検討している方へのアドバイス:
- まずは農業技能測定試験の内容を確認し、準備を始めましょう
- 日本語能力N4以上の取得を目指して学習を続けましょう
- 信頼できる送出機関や登録支援機関を選びましょう
- 求人サイト・転職エージェント活用ガイドを参考に求人を探してみましょう
日本の農業は、あなたの力を必要としています。特定技能制度を上手に活用して、充実した日本での農業キャリアを築いてください。
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