雇用保険と失業給付の仕組みガイド

日本で働く外国人向けに雇用保険と失業給付の仕組みを徹底解説。加入条件、給付額の計算方法、ハローワークでの申請手続き、在留資格への影響、再就職手当まで、失業時に知っておくべき情報をまとめました。外国人特有の注意点も網羅しています。
雇用保険と失業給付の仕組みガイド【外国人労働者向け】
日本で働く外国人にとって、雇用保険と失業給付の仕組みを正しく理解することは極めて重要です。突然の失業や転職を考えるとき、経済的なセーフティネットとなるのが雇用保険制度です。外国人であっても、日本人と同じ条件を満たしていれば失業給付を受けることができます。このガイドでは、雇用保険の基本から申請手続き、外国人特有の注意点まで、わかりやすく解説します。
雇用保険とは?基本的な仕組みを理解しよう
雇用保険は、日本の社会保険制度の一つで、労働者が失業した際に一定期間の生活費を保障するための制度です。毎月の給与から保険料が天引きされ、いざ失業したときに「失業給付(基本手当)」として受け取ることができます。
雇用保険は単なる失業時の給付だけでなく、以下のような役割も担っています。
- 求職者給付:失業中の生活安定と再就職活動の支援
- 就職促進給付:再就職を促すための各種手当
- 教育訓練給付:スキルアップのための講座受講費用の補助
- 雇用継続給付:育児休業給付金、介護休業給付金など
外国人労働者も日本の社会保険制度の対象であり、雇用保険への加入は事業主の義務です。加入漏れがある場合は、まず雇用主に確認しましょう。
外国人の雇用保険加入条件
外国人が雇用保険に加入するためには、以下の条件を満たす必要があります。日本人と基本的に同じ条件ですが、在留資格に関する要件が加わります。
| 条件項目 | 具体的な要件 | 備考 |
|---|---|---|
| 週の所定労働時間 | 20時間以上 | パートタイムでも対象になる場合あり |
| 雇用見込み期間 | 31日以上 | 短期契約でも更新見込みがあれば対象 |
| 在留資格 | 就労可能な在留資格を保有 | 留学・家族滞在は資格外活動許可が必要 |
| 学生の除外 | 昼間学生は原則対象外 | 夜間・通信制学生は対象 |
| 年齢 | 65歳未満(高年齢被保険者制度あり) | 65歳以上は別制度で対応 |
注意すべき点として、特定技能ビザや技術・人文知識・国際業務ビザなど、就労が認められる在留資格を持つ外国人は雇用保険の対象となります。一方、外交・公用ビザの保有者は対象外です。
失業給付の受給条件と給付額の計算方法
失業給付を受け取るには、単に雇用保険に加入しているだけでは不十分です。退職の理由によって必要な被保険者期間が異なります。
退職理由別の必要期間
| 退職理由 | 必要な被保険者期間 | 対象期間 |
|---|---|---|
| 自己都合退職 | 12ヶ月以上 | 離職前2年間 |
| 会社都合退職(解雇・倒産等) | 6ヶ月以上 | 離職前1年間 |
| 契約期間満了(更新なし) | 6ヶ月以上 | 離職前1年間 |
| 特定理由離職者 | 6ヶ月以上 | 離職前1年間 |
給付額の計算
失業給付の日額は、離職前6ヶ月間の賃金日額をもとに計算されます。
- 賃金日額 = 離職前6ヶ月間の賃金総額 ÷ 180日
- 基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50%〜80%)
- 給付率は賃金が低いほど高くなる仕組みです
例えば、月給25万円の場合、賃金日額は約8,333円となり、基本手当日額は約5,000円〜6,600円程度になります。給料・年収についての詳細は関連記事をご参照ください。
給付日数の目安
| 被保険者期間 | 自己都合退職 | 会社都合退職(35歳未満) | 会社都合退職(35歳以上45歳未満) |
|---|---|---|---|
| 1年未満 | — | 90日 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 90日 | 90日 | 180日 |
| 5年以上10年未満 | 90日 | 120日 | 180日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 | 180日 | 240日 |
| 20年以上 | 150日 | 240日 | 270日 |
ハローワークでの申請手続き【ステップガイド】
失業給付を受けるためには、ハローワーク(公共職業安定所)での手続きが必要です。以下のステップに従って申請しましょう。
ステップ1:必要書類の準備
申請に必要な書類は以下の通りです。
- 離職票(雇用保険被保険者離職票-1・2):退職後に雇用主から届きます
- マイナンバーカード(または通知カード+身分証明書)
- 在留カード
- 証明写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
- 印鑑(シャチハタ不可)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
ステップ2:ハローワークで求職申込み
住所地を管轄するハローワークに行き、「求職の申込み」を行います。外国語対応窓口があるハローワークもありますので、事前に確認しましょう。
ステップ3:待機期間(7日間)
申請後、7日間の待機期間があります。この期間はすべての受給者に適用されます。
ステップ4:雇用保険説明会への参加
待機期間終了後、雇用保険説明会に参加します。ここで「失業認定申告書」と「受給資格者証」を受け取ります。
ステップ5:失業認定日にハローワークへ
4週間に1度、指定された「失業認定日」にハローワークへ出向き、求職活動の報告を行います。認定を受けると、約1週間後に給付金が振り込まれます。
自己都合退職と会社都合退職の違い
退職の理由によって、給付開始時期と給付日数に大きな違いがあります。転職・キャリアアップを考える際には、この違いをしっかり把握しておきましょう。
自己都合退職の場合
- 7日間の待機期間 + 2ヶ月間の給付制限(2020年10月の法改正後、5年間に2回まで2ヶ月、3回目以降は3ヶ月)
- 給付日数は90日〜150日
- 最初の給付金を受け取るまで約2.5ヶ月かかる
会社都合退職の場合
- 7日間の待機期間後すぐに支給開始
- 給付日数は90日〜330日(自己都合より長い)
- 約1ヶ月後には最初の給付金を受け取れる
日本の労働法では、会社が一方的に解雇する場合、30日前の予告または解雇予告手当の支払いが必要です。不当解雇が疑われる場合は、労働基準監督署に相談しましょう。
外国人特有の注意点と在留資格の影響
外国人が失業給付を受ける際には、日本人にはない特有の注意事項があります。ビザと在留資格の問題は特に重要です。
入管への届出義務
2012年7月より、外国人は退職後14日以内に出入国在留管理庁(入管)へ「所属機関等に関する届出」を提出する義務があります。届出を怠ると、在留資格の更新・変更に不利になる可能性があります。届出は入管窓口、郵送、またはオンラインで行えます。
在留資格と受給の関係
失業中であっても、在留期限内であればすぐに在留資格が取り消されることはありません。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 在留資格の変更が必要になる場合がある
- 就労ビザの場合、同分野での再就職が求められる
- 長期間(概ね3ヶ月以上)就職活動をしていない場合、在留資格取消しの対象になりうる
- 在留期限が切れる前に、転職先を見つけるか、在留資格の変更手続きを行う
ビザの期限と給付の関係
在留期間が満了すると、失業給付の受給資格も失われます。在留期限が近い場合は、「特定活動」への在留資格変更を検討してください。この手続きについては、在留資格の種類ガイドも参考になります。
再就職手当と早期再就職のメリット
失業給付を受給中に早期に再就職が決まった場合、「再就職手当」を受け取ることができます。これは早期の再就職を促進するための制度です。
再就職手当の支給条件
- 失業給付の所定給付日数の3分の1以上を残して再就職した場合
- 1年を超えて雇用されることが確実な職に就いた場合
- 待機期間(7日間)経過後に就職した場合
支給額の目安
| 残日数 | 支給率 | 具体例(基本手当日額6,000円・給付日数90日の場合) |
|---|---|---|
| 給付日数の3分の2以上残し | 基本手当日額の70% | 6,000円 × 70% × 60日 = 252,000円 |
| 給付日数の3分の1以上残し | 基本手当日額の60% | 6,000円 × 60% × 30日 = 108,000円 |
早期再就職は経済的にもキャリア的にもメリットが大きいです。求人サイト・転職エージェントを活用して、効率的な就職活動を進めましょう。
よくある質問(FAQ)
Q:パートやアルバイトでも雇用保険に入れますか?
A:週20時間以上働き、31日以上の雇用見込みがあれば加入対象です。飲食・サービス業などでパートとして働く外国人も対象になります。
Q:失業給付を受けながらアルバイトはできますか?
A:一定の条件の下で可能です。ただし、週20時間以上働くと「就職」とみなされ給付が停止されます。また、収入がある場合は失業認定申告書に正確に記載する必要があります。
Q:帰国する場合、失業給付はどうなりますか?
A:日本を離れると失業給付の受給資格を失います。ただし、雇用保険の被保険者期間は、出国後一定期間保存されるため、再来日して働く場合に通算できる可能性があります。
Q:離職票がもらえない場合はどうすればいいですか?
A:退職から2週間経っても届かない場合は、まず元の雇用主に催促しましょう。それでも届かない場合は、ハローワークに相談すれば、ハローワークから雇用主に対して交付を促してもらえます。
Q:日本語に不安がある場合のサポートは?
A:主要都市のハローワークには外国語対応窓口(英語・中国語・ポルトガル語等)が設置されています。また、日本語能力の向上に取り組むことで、手続きや求職活動がスムーズになります。
まとめ:失業に備えて知っておくべきこと
雇用保険と失業給付は、日本で働く外国人にとっても重要なセーフティネットです。以下のポイントを押さえておきましょう。
- 雇用保険への加入確認:給与明細で保険料が天引きされているか確認
- 離職票の確保:退職時に必ず雇用主から受け取る
- 速やかな手続き:退職後すぐにハローワークへ行き、入管への届出も14日以内に行う
- 在留資格の管理:失業中も在留期限を把握し、必要に応じて変更手続きを行う
- 積極的な求職活動:早期再就職で再就職手当も受け取れる
失業は不安なものですが、正しい知識と適切な手続きで、安心して次のキャリアステップに進むことができます。履歴書の書き方や面接対策の準備を進め、新たな職場での活躍を目指しましょう。
詳しい情報はGaijinPotの雇用保険ガイド、Japan Devの失業保険ガイド、NavigatorJapanの外国人向けガイドもご参照ください。
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