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個人事業主として開業届を出す方法

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
個人事業主として開業届を出す方法

外国人が日本で個人事業主として開業届を出す方法を徹底解説。提出手順・書き方・必要書類・在留資格との関係・2025年の制度変更まで、開業届に必要な情報をすべてまとめました。青色申告との同時提出のコツも紹介します。

個人事業主として開業届を出す方法【外国人向け完全ガイド】

日本で個人事業主としてビジネスを始めるとき、最初に行うべき手続きが開業届(かいぎょうとどけ)の提出です。正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、国税庁の公式サイトから書式をダウンロードできます。登録費用は一切かからず、最低資本金の要件もないため、手軽に事業をスタートできる点が個人事業主の大きなメリットです。

この記事では、外国人の方が日本で開業届を提出する際に知っておくべき手順・書き方・注意点を、最新の制度変更も含めて詳しく解説します。フリーランスの在留資格と合法的な働き方も合わせてご確認ください。

開業届とは?なぜ提出が必要なのか

開業届は、個人事業主として事業を始めたことを税務署に届け出るための書類です。所得税法第229条に基づき、事業開始から1ヶ月以内に所轄税務署へ提出する義務があります。

提出しなくても罰則はありませんが、以下のような重要なメリットがあるため、必ず提出することをおすすめします。

  • 青色申告が利用可能になり、最大65万円の特別控除を受けられる
  • 屋号付きの銀行口座を開設できる
  • 小規模企業共済に加入でき、退職金代わりの積立が可能
  • 事業用クレジットカードの申し込みができる
  • 社会的な信用力が高まり、取引先からの信頼を得やすくなる

特に外国人の方にとっては、在留資格の更新や変更の際にも、開業届の控えが事業活動の証明書類として活用できるため、非常に重要です。詳しくは経営管理ビザの取得条件と申請方法をご参照ください。

開業届の提出前に確認すべき在留資格

外国人が日本で個人事業主として活動するには、適切な在留資格(ビザ)を保有している必要があります。以下の表で、開業届の提出が可能な在留資格を確認しましょう。

在留資格個人事業主としての開業備考
永住者○ 制限なしあらゆる事業活動が可能
日本人の配偶者等○ 制限なし就労制限なし
永住者の配偶者等○ 制限なし就労制限なし
定住者○ 制限なし就労制限なし
経営・管理○ 条件付き事業規模・資本金の要件あり
技術・人文知識・国際業務△ 条件付き副業として認められる場合あり
高度専門職○ 条件付き活動範囲内で可能
留学× 原則不可資格外活動許可でもアルバイトのみ

在留資格によっては資格外活動許可の取得が必要な場合もあります。日本でのビジネス登記手続きガイドで詳細を確認できます。

開業届の書き方【記入例付き】

開業届の各項目の書き方を、外国人の方が間違えやすいポイントも含めて解説します。freeeの開業届ガイドも参考になります。

1. 提出先・提出日

提出先には、納税地を所轄する税務署名を記入します。自宅で開業する場合は自宅住所の管轄税務署、事業所がある場合はそちらの管轄税務署を選ぶことも可能です。提出日は開業日ではなく、実際に届出書を提出する日を記載します。

2. 納税地

原則として住所地(住民登録をしている住所)を記入します。外国人の場合は在留カードに記載された住所を記入しましょう。事業所と自宅が異なる場合は、事業所の住所を納税地にすることも可能です。

3. 氏名・生年月日

パスポートに記載されているローマ字表記と、在留カードに記載されているカタカナ表記の両方を記入します。印鑑がない場合は署名で代用できます。

4. 職業

客観的にわかる名称であれば自由に記載できますが、業種によって個人事業税の税率が異なるため注意が必要です。例えば、ITコンサルタント、翻訳業、デザイナーなどと記載します。

5. 屋号

屋号(ビジネスネーム)は任意ですが、記入すると銀行口座の開設や名刺作成に役立ちます。日本語・英語どちらでも可能です。

6. 開業日

事業を開始した日を記入します。「事業所を構えた日」「最初の取引があった日」「広告宣伝を開始した日」など、事業主が自由に設定できます。ただし、実際の事業開始とあまりにかけ離れた日付は受理されない可能性があるため注意しましょう。

7. 届出の区分・所得の種類

「開業」にチェックを入れ、所得の種類は通常「事業所得」を選択します。不動産収入がある場合は「不動産所得」も該当します。

開業届の3つの提出方法

開業届の提出方法は以下の3つから選べます。それぞれのメリット・デメリットを比較しましょう。

提出方法メリットデメリットおすすめ度
税務署窓口その場で確認・質問可能平日8:30〜17:00のみ★★★★☆
郵送自宅から提出可能不備があると返送される★★★☆☆
e-Tax(オンライン)24時間提出可能マイナンバーカード必要★★★★★

税務署窓口での提出

最もシンプルな方法です。税務署の開庁時間は平日の8:30〜17:00で、土日祝日は閉庁しています。ただし、税務署の外に設置されている時間外収受箱に投函すれば、営業時間外でも提出可能です。窓口では担当者が記入内容を確認してくれるため、書き方に不安がある方にはおすすめです。

郵送での提出

郵送の場合は、提出日が税務署に届いた日ではなく、郵便局から発送した日(消印日)が受領日となります。必ず返信用封筒(切手貼付済み)を同封し、リーフレット(受付確認書類)を受け取るようにしましょう。

e-Tax(電子申告)での提出

マネーフォワードのe-Taxガイドにもあるように、e-Taxなら24時間いつでも提出可能です。マイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマートフォン)が必要ですが、税務署に行く手間が省けるため、忙しい方に最適です。

2025年以降の重要な制度変更

2025年1月以降、開業届に関して重要な制度変更がありました。弥生の解説記事でも詳しく取り上げられています。

収受印日付の廃止

従来は開業届の控えに税務署の収受印(じゅしゅいん)が押されていましたが、2025年1月以降はこれが廃止されました。書面提出時は正本のみの提出となり、控えは申告者自身が作成・保管する必要があります。

リーフレットの交付

当面の間、提出した開業届の受付が確認できる「リーフレット」が希望者に交付されます。銀行口座の開設や各種手続きの際に提出証明として使えるため、必ず受け取りましょう。郵送提出の場合は、返信用封筒を同封すればリーフレットが郵送されます。

外国人への影響

この変更により、外国人が在留資格の更新・変更時に提出していた「開業届の控え(収受印付き)」が利用できなくなります。代替書類として、e-Taxの送信履歴や税務署のリーフレットを保管しておくことが重要です。

開業届と一緒に提出すべき書類

開業届を提出する際に、以下の書類も同時に提出することを強くおすすめします。

青色申告承認申請書

青色申告を行うための申請書です。開業届と同時に提出すれば、初年度から青色申告が適用されます。提出期限は事業開始から2ヶ月以内、または1月1日から3月15日まで(その年分の確定申告を青色で行いたい場合)です。

青色申告のメリットは以下の通りです。

  • 最大65万円の青色申告特別控除(e-Taxの場合)
  • 赤字の3年間繰越が可能
  • 家族への給与を経費として計上できる(青色事業専従者給与)
  • 30万円未満の固定資産を一括経費にできる

フリーランスの確定申告と税金対策で青色申告の詳細を解説しています。

給与支払事務所等の開設届出書

従業員やアルバイトを雇用する場合に必要です。給与の支払いを開始してから1ヶ月以内に提出します。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

給与の支払い対象が常時10人未満の場合、源泉所得税の納付を年2回にまとめることができる特例制度です。

開業届提出時の注意点【外国人が特に気をつけること】

失業手当への影響

開業届を提出して個人事業主になると、ハローワークでは「求職中」とはみなされなくなるため、失業手当(雇用保険の基本手当)の受給対象から外れる可能性があります。退職後に失業手当を受給中の方は、タイミングに注意してください。

在留資格との整合性

現在の在留資格で個人事業主としての活動が認められているか、必ず事前に確認しましょう。「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合、副業として個人事業を行うには資格外活動許可が必要になるケースがあります。外国人が日本で起業する方法で在留資格と起業の関係を詳しく解説しています。

届出書類の保管

2025年以降の制度変更により、開業届の控えの管理がより重要になっています。以下の書類は必ず保管しましょう。

  • 開業届のコピー(自分で作成)
  • e-Taxの送信完了画面のスクリーンショット
  • 税務署発行のリーフレット
  • 提出日のメモ・記録

社会保険の手続き

個人事業主は会社員と異なり、国民健康保険国民年金に加入する必要があります。開業届を提出したら、住所地の市区町村役場で手続きを行いましょう。詳しくはフリーランスの社会保険と年金加入ガイドをご覧ください。

開業届の提出後にやるべきこと

開業届の提出が完了したら、次のステップに進みましょう。

  1. 銀行口座の開設 - 屋号付きの事業用口座を開設し、個人口座と分離する
  2. 会計ソフトの導入 - freee、弥生会計、マネーフォワードなどのクラウド会計を導入する
  3. 請求書テンプレートの準備 - インボイス制度に対応した請求書を用意する
  4. 名刺・ウェブサイトの作成 - 事業用の名刺とウェブサイトで信頼性を高める
  5. 事業計画書の作成 - 融資や助成金の申請に備えて作成しておく

事業計画書の作り方と融資獲得のコツも合わせて参考にしてください。

まとめ:開業届は事業の第一歩

個人事業主として開業届を提出することは、日本でビジネスを始める最も手軽な方法です。登録費用は不要で、手続きも比較的シンプルです。特に外国人の方は、在留資格の確認を忘れずに行い、青色申告承認申請書を同時に提出することで、最大限の税制メリットを受けることができます。

2025年以降の制度変更にも注意しながら、スムーズに開業手続きを進めましょう。わからないことがあれば、外国人起業家支援プログラムの活用法を参考に、無料の相談窓口を活用することをおすすめします。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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