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事業計画書の作り方と融資獲得のコツ

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
事業計画書の作り方と融資獲得のコツ

日本で起業する外国人向けに、事業計画書の書き方を徹底解説。融資獲得のための5つのコツ、経営管理ビザとの関係、利用できる補助金・助成金制度まで、実践的なノウハウを網羅しています。日本政策金融公庫の活用法も紹介。

事業計画書の作り方と融資獲得のコツ【外国人起業家向け完全ガイド】

日本で起業を考えている外国人にとって、事業計画書の作成は避けて通れないステップです。経営管理ビザの申請、金融機関からの融資獲得、さらには補助金の申請まで、事業計画書はあらゆる場面で必要になります。本記事では、外国人起業家が日本で成功するための事業計画書の作成方法と、融資を獲得するための具体的なコツを詳しく解説します。

事業計画書とは?なぜ外国人起業家に重要なのか

事業計画書とは、ビジネスの全体像を文書化したもので、事業の目的・ビジョン・戦略・財務計画などを体系的にまとめた書類です。日本で起業する外国人にとって、事業計画書は以下の3つの重要な役割を果たします。

1. 経営管理ビザの取得に必須

外国人が日本で事業を行うためには、経営管理ビザの取得が必要です。入国管理局への申請時に事業計画書の提出が求められ、ビジネスの合法性・継続性・安定性を証明しなければなりません。

2. 融資・資金調達のための必須書類

日本政策金融公庫や民間銀行から融資を受ける際、事業計画書は審査の最重要書類です。融資審査では、借りたお金をきちんと返済できるかどうかが最も重視されます。

3. ビジネスの羅針盤として機能

事業計画書を作成することで、自分のビジネスアイデアを客観的に検証でき、課題や改善点を事前に発見できます。計画書は事業の「地図」として、日々の経営判断をサポートします。

事業計画書に必要な記載項目一覧

事業計画書に盛り込むべき項目は、提出先によって異なりますが、一般的に以下の項目が必要です。弥生株式会社の解説も参考になります。

項目内容重要度
事業概要ビジネスの内容・提供する商品やサービスの概要★★★
創業の動機なぜこの事業を始めるのか、経験・実績★★★
ターゲット市場顧客層・市場規模・競合分析★★★
ビジネスモデル収益の仕組み・価格設定★★★
販売戦略マーケティング方法・集客手段★★☆
組織体制経営者・従業員の構成★★☆
設備資金計画初期投資に必要な設備・機器の一覧と費用★★★
運転資金計画毎月の固定費・変動費の見積もり★★★
収支計画3〜5年の売上・利益予測★★★
資金調達計画自己資金・借入金・出資金の内訳★★★

事業計画書では、設備資金と運転資金を明確に分けて記載することが重要です。設備資金は店舗改装費や機器購入費など一時的な出費、運転資金は家賃・人件費・仕入れ費など毎月の経費を指します。

外国人起業家のための事業計画書作成ステップ

ステップ1:事業コンセプトの明確化

まず、自分のビジネスアイデアを明確に言語化しましょう。「何を」「誰に」「どのように」提供するのかを具体的に定義します。外国人起業家の場合、母国での経験やスキル、多言語能力を活かしたビジネスモデルが説得力を持ちます。

ステップ2:市場調査とデータ収集

日本市場の特性を理解するために、十分な市場調査を行いましょう。TOKYO創業ステーションでは、中小企業診断士による事業計画書作成のサポートを受けることができます。

具体的な調査ポイント:

  • 対象エリアの人口動態・消費傾向
  • 競合他社の数と特徴
  • 顧客のニーズと課題
  • 業界の成長率・トレンド

ステップ3:収支計画の作成

融資審査で最も重視されるのが収支計画です。売上予測は楽観的すぎず、根拠のある数字を提示することが重要です。

収支計画の作成ポイント:

  • 売上高は「客単価 × 客数 × 営業日数」のように分解して算出する
  • 固定費(家賃・人件費)と変動費(原材料費・光熱費)を明確に区分する
  • 黒字化までの期間を明示し、その間の運転資金を確保していることを示す
  • 3年〜5年のシミュレーションを用意する

ステップ4:事業計画書の執筆

日本政策金融公庫の創業計画書テンプレートを活用すると、必要な項目を漏れなく記載できます。業種別のテンプレートが用意されているため、自身の事業に合ったものを選びましょう。

融資を獲得するための5つのコツ

日本で起業やフリーランスとして活動するための資金調達は、事業の成否を左右する重要なステップです。以下のコツを押さえれば、融資獲得の確率を大幅に高められます。

コツ1:経営者本人が事業計画書を作成する

金融機関の担当者は、経営者がどれだけ事業を理解しているかを見ています。税理士やコンサルタントに丸投げした計画書は説得力に欠けます。DREAMGATEの解説によると、元日本公庫の融資課長も「経営者本人が作成すること」を最重要ポイントとして挙げています。

コツ2:自己資金を十分に用意する

一般的に、融資額の3分の1以上の自己資金があることが望ましいとされています。自己資金が多いほど、金融機関からの信頼度が高まります。

コツ3:数字に根拠を持たせる

売上予測には必ず根拠を示しましょう。「近隣の同業他社のデータ」「テスト販売の実績」「業界平均データ」など、客観的なデータに基づいた数字が求められます。

コツ4:事業の強み・差別化ポイントを明確にする

競合との違いを明確に説明できなければ、融資担当者を納得させることは難しいです。外国人起業家であれば、多言語対応力やグローバルなネットワークが強みになります。

コツ5:面談対策を万全にする

書類審査を通過した後は面談があります。面接対策の基本は融資面談にも活かせます。事業計画の内容をスムーズに説明できるよう、想定質問への回答を準備しておきましょう。

外国人が利用できる主な資金調達先

外国人起業家が日本で利用できる資金調達の選択肢は多岐にわたります。SmartStart Japanの調査によると、政府補助金だけでも多くの制度が利用可能です。

資金調達先特徴融資額の目安外国人利用
日本政策金融公庫創業融資に積極的、低金利〜7,200万円
信用保証協会付き融資地方自治体と連携した制度融資〜数千万円
民間銀行実績がある場合に検討事業規模による△(実績要)
補助金・助成金返済不要だが審査あり50万〜数百万円
ベンチャーキャピタル成長性の高い事業向け数千万〜数億円
エンジェル投資家個人投資家からの出資数百万〜数千万円

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、外国人起業家にとって最も利用しやすい融資制度の一つです。みずほ銀行の創業期ガイドでも、事業計画書の作成手順が詳しく紹介されています。

経営管理ビザ申請と事業計画書の関係

外国人が日本で事業を行うには、在留資格として経営管理ビザの取得が必要です。2025年には経営管理ビザの最低資本金要件が大幅に変更されました。

経営管理ビザの主な要件

  • 資本金:500万円以上(2025年の法改正で要件が変更される可能性あり)
  • 事業所の確保:実際のオフィスや店舗を確保していること
  • 従業員の雇用:常勤の従業員を2名以上雇用するか、資本金500万円以上
  • 事業計画書の提出:事業の安定性・継続性を証明する書類

外国人起業支援サービスによると、入国管理局に提出する事業計画書では以下のポイントが重視されます:

  1. 合法性:事業内容が日本の法律に違反していないこと
  2. 継続性:長期的に事業を継続できる見通しがあること
  3. 安定性:安定した収益を確保できる計画であること
  4. 必要性:外国人が経営する必要性があること

スタートアップビザの活用

2025年1月からスタートアップビザが全国展開され、滞在期間が最大2年に延長されました。スタートアップビザは、事業の準備段階から日本に滞在できる制度で、準備が整った段階で経営管理ビザに切り替えることが可能です。詳しくはGLOBIS Insightsのガイドを参照してください。

事業計画書作成の注意点とよくある失敗

事業計画書の作成で外国人起業家が陥りやすい失敗パターンを紹介します。

失敗1:売上予測が楽観的すぎる

「日本市場は大きいから売れるはず」という漠然とした見込みでは融資は通りません。客観的なデータと根拠に基づいた現実的な数字を提示することが必要です。

失敗2:専門用語が多すぎる

融資担当者はすべての業界に精通しているわけではありません。外国人向け事業計画ガイドでも指摘されているように、専門用語を使う場合は必ず注釈を付けましょう。

失敗3:資金繰り計画が甘い

開業後すぐに売上が立つとは限りません。最低6ヶ月分の運転資金を確保し、黒字化までの資金計画を明確にしておく必要があります。

失敗4:競合分析が不十分

「競合がいない」と書くのは逆効果です。競合がいないということは、市場自体が存在しない可能性を示唆してしまいます。必ず競合を挙げた上で、自社の差別化ポイントを明示しましょう。

失敗5:日本語での表現が不十分

事業計画書は日本語で作成することが基本です。日本語能力に不安がある場合は、日本語が堪能なビジネスパートナーや専門家にチェックしてもらいましょう。ただし、計画の内容自体は必ず自分で考えてください。

補助金・助成金の活用方法

日本には外国人起業家も利用できる多くの補助金・助成金制度があります。中小企業向け補助金は通常50万〜100万円で、プロジェクトコストの66%〜75%をカバーしてくれます。

主な補助金・助成金制度:

  • 小規模事業者持続化補助金:販路開拓に使える最大200万円の補助金
  • ものづくり補助金:革新的な製品・サービス開発に使える最大1,250万円
  • IT導入補助金:ITツール導入に使える最大450万円
  • 創業助成金(東京都):都内で創業する場合に最大300万円

補助金を活用するためにも事業計画書が必要です。税金・社会保険の知識と合わせて、事業の財務基盤をしっかり固めましょう。

まとめ:成功する事業計画書のチェックリスト

事業計画書を提出する前に、以下のチェックリストで最終確認を行いましょう。

  • ☑ 事業の目的・ビジョンが明確に記載されているか
  • ☑ 市場調査に基づいた根拠のある数字を使っているか
  • ☑ 設備資金と運転資金が分けて記載されているか
  • ☑ 3年〜5年の収支計画があるか
  • ☑ 競合分析と差別化ポイントが記載されているか
  • ☑ 資金調達計画が現実的か
  • ☑ 日本語の表現が正確で分かりやすいか
  • ☑ 図やグラフを活用して視覚的に分かりやすくなっているか

事業計画書の作成は大変な作業ですが、ビジネスの成功に直結する重要なプロセスです。キャリアアップを目指す外国人にとっても、起業は大きな選択肢の一つです。しっかりとした事業計画書を作成し、融資を獲得して、日本でのビジネスを成功させましょう。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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