転職時のビザ変更手続きと注意点

日本で転職する外国人が知るべきビザ変更手続きを徹底解説。在留資格変更許可申請の流れ、必要書類、届出義務、就労資格証明書の活用法、2024年以降の制度変更まで、転職時に必要な手続きと注意点を網羅したガイドです。
転職時のビザ変更手続きと注意点|外国人が知るべき在留資格の完全ガイド
日本で働く外国人にとって、転職は新たなキャリアの一歩ですが、同時にビザ(在留資格)に関する手続きを正しく行わなければ、不法就労や在留資格の取り消しにつながるリスクがあります。2024年10月時点で日本の外国人労働者は約230万人を超え、前年比12.4%増で過去最高を記録しました(出典:nippon.com)。転職を検討する外国人も年々増えていますが、ビザの手続きを怠ると大きなトラブルに発展する可能性があります。
この記事では、転職時に必要なビザ変更手続きの流れ、届出義務、必要書類、そして注意すべきポイントを徹底的に解説します。これから転職を考えている方はもちろん、外国人を雇用する企業の担当者にも役立つ情報をまとめています。
転職時にビザ変更が必要なケースと不要なケース
転職をしたからといって、必ずしもビザの変更手続きが必要になるわけではありません。ポイントは転職先での業務内容が、現在の在留資格で認められた活動の範囲内かどうかです。
ビザ変更が不要なケース
同じ在留資格の範囲内で転職する場合は、在留資格変更許可申請は不要です。例えば、「技術・人文知識・国際業務」のビザを持つITエンジニアが、別のIT企業に転職してエンジニア業務を続けるケースがこれに当たります。ただし、次回の在留期間更新申請の際に、新しい会社での業務内容について改めて審査が行われるため、注意が必要です(参考:就労ビザ申請サポート池袋)。
ビザ変更が必要なケース
転職により職種が大きく変わり、現在の在留資格では認められない業務を行う場合は、在留資格変更許可申請が必須です。例えば、「技術・人文知識・国際業務」から「経営・管理」ビザへの変更や、「教育」から「技術・人文知識・国際業務」への変更などが該当します。
| パターン | ビザ変更の要否 | 具体例 |
|---|---|---|
| 同じ在留資格の範囲内で転職 | 不要(届出のみ) | IT企業Aから IT企業Bへ転職 |
| 異なる在留資格が必要な転職 | 必要(変更申請) | エンジニアから会社経営者へ |
| 同じ会社内の異動・昇進 | 不要 | 技術職から管理職へ |
| 転職先の業務が在留資格の範囲外 | 必要(変更申請) | 翻訳者から製造ラインの作業員へ |
| 退職して起業する場合 | 必要(変更申請) | 会社員からフリーランス・起業家へ |
詳しい在留資格の種類については、就労ビザ16種類の特徴と取得条件まとめをご覧ください。
転職後14日以内に必要な届出義務
転職したすべての外国人に共通して求められるのが、入管への届出義務です。これはビザ変更の要否にかかわらず必須です。
所属機関変更の届出
就労ビザの在留カードを持つ外国人は、転職(退職・入社)から14日以内に出入国在留管理庁(入管)へ「所属(契約)機関に関する届出」を提出する義務があります。届出を怠った場合、以下のペナルティが科される可能性があります。
- 20万円以下の罰金
- 次回のビザ更新時に在留期間が短縮される可能性
- 最悪の場合、在留資格の取り消し
届出は入管の窓口への持参のほか、郵送やオンライン(入管電子届出システム)でも可能です。忘れずに期限内に提出しましょう。
届出に必要な情報
届出には以下の情報が必要です。
- 氏名、生年月日、性別、国籍
- 在留カード番号
- 退職した会社名・所在地・退職日
- 新しい会社名・所在地・入社日
転職全般の手続きについては、転職・キャリアアップ戦略完全ガイドで詳しく解説しています。
在留資格変更許可申請の流れと必要書類
在留資格の変更が必要な場合は、出入国在留管理庁に対して在留資格変更許可申請を行います(出入国在留管理庁公式)。
申請の流れ
- 転職先の内定を受ける — 新しい雇用契約書を取得
- 必要書類を準備 — 下記リスト参照
- 入管に申請書類を提出 — 管轄の地方出入国在留管理局に申請
- 審査期間 — 標準で2週間〜1ヶ月(複雑なケースはそれ以上)
- 結果通知 — 許可の場合、新しい在留カードを受領
必要書類一覧
| 書類 | 説明 |
|---|---|
| 在留資格変更許可申請書 | 入管のウェブサイトからダウンロード可能 |
| パスポート(原本) | 有効期限内のもの |
| 在留カード(原本) | 現在所持しているもの |
| 証明写真(4cm×3cm) | 3ヶ月以内に撮影したもの |
| 雇用契約書または内定通知書 | 新しい雇用先との契約内容がわかるもの |
| 会社の登記事項証明書 | 転職先企業の法人登記簿謄本 |
| 会社の決算書類 | 事業の安定性を証明するため |
| 職務内容説明書 | 具体的な業務内容を記載したもの |
| 学歴・職歴を証明する書類 | 卒業証明書、職務経歴書など |
| 手数料(4,000円の収入印紙) | 許可時に必要 |
申請書類の書き方については、履歴書・職務経歴書の書き方完全ガイドも参考にしてください。
就労資格証明書の活用で更新をスムーズに
転職後にビザ変更が不要な場合でも、就労資格証明書の取得を強く推奨します。これは、新しい勤務先での業務内容が現在の在留資格に適合しているかを入管に事前確認してもらう制度です(参考:就労ビザ申請サポート大阪)。
就労資格証明書のメリット
- 次回の在留期間更新手続きが簡易化される
- 新しい雇用先での業務が在留資格に該当することを公式に証明できる
- 更新時の不許可リスクを大幅に減らせる
- 雇用主にとっても安心材料となる
申請方法
就労資格証明書の申請は、管轄の地方出入国在留管理局に以下の書類を提出して行います。
- 就労資格証明書交付申請書
- パスポートおよび在留カード
- 退職証明書(前の会社のもの)
- 新しい会社の雇用契約書
- 新しい会社の概要がわかる資料
在留資格の基礎知識については、在留資格・ビザの基礎知識完全ガイドで体系的に学べます。
転職時のビザ手続きで注意すべき5つのポイント
実際の手続きでは、以下のポイントに特に気をつけましょう。
1. 退職前に転職先を確保する
退職後に長期間の空白期間(ブランク)が生じると、入管の審査が厳しくなります。退職前に新しい雇用先を確定し、できれば在職中に在留資格変更申請を行うのがベストです(参考:Juridique)。
2. 3ヶ月以上のブランクに注意
在留資格で認められた活動を3ヶ月以上行っていない場合、在留資格の取り消し対象となる可能性があります。転職活動が長引く場合は、ハローワークへの届出や転職活動中であることを証明できる書類を保管しておきましょう。
3. アルバイトでの生活費の確保に制限あり
就労ビザで在留している外国人が、転職活動中にアルバイトをする場合は資格外活動許可が必要です。無許可でアルバイトをすると不法就労に該当します。
4. 転職先の企業規模と信頼性も審査対象
ビザの更新・変更申請では、転職先の企業の安定性や信頼性も審査の対象になります。設立間もない企業や小規模な会社への転職の場合は、より多くの補足書類が求められることがあります。
5. 専門家への相談を検討する
ビザの手続きは複雑で、書類の不備や申請タイミングのミスが不許可につながることがあります。不安な場合は、入管業務を専門とする行政書士や弁護士への相談を検討してください。
就職活動全般のガイドについては、日本での就職活動完全ガイドもあわせてご確認ください。
2024年以降の制度変更と最新動向
日本の外国人労働者に関する制度は大きな転換期を迎えています。
技能実習制度の廃止と「育成就労」制度
2024年3月に技能実習制度の廃止が正式に発表されました。2027年までに新制度「育成就労」に移行する予定で、新制度では転職が一定条件のもとで認められるようになります(参考:Japan Dev)。これにより、これまで転職が原則認められなかった技能実習生にも、新たなキャリアの選択肢が広がります。
特定技能制度の拡大
特定技能ビザの対象分野も拡大が進んでおり、より多くの業種で外国人が活躍できるようになっています。特定技能1号から2号への移行により、家族帯同や長期在留も可能になるケースが増えています。特定技能ビザの詳細は、特定技能ビザ完全ガイドをご参照ください。
健康保険証の廃止とマイナンバーカード
2024年12月から従来のカードタイプの健康保険証が廃止され、マイナンバーカードに統合されました。ビザの変更・更新申請時にも健康保険の加入状況を証明する書類が求められるため、マイナンバーカードの取得と保険加入手続きを確実に行っておきましょう。税金や社会保険の詳細は、税金・社会保険・年金の完全ガイドで解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 転職先がまだ決まっていませんが、退職しても大丈夫ですか?
退職自体は問題ありませんが、3ヶ月以上就労していない状態が続くと在留資格の取り消し対象になる可能性があります。転職活動中であることを証明できるよう、ハローワークへの登録や求職活動の記録を残しておきましょう。
Q. ビザの在留期限が迫っている状態で転職できますか?
可能ですが、在留期限の3ヶ月前から更新申請ができるため、早めに手続きを進めることが重要です。在留期限が切れてしまうと不法残留となりますので、時間に余裕を持って行動しましょう。
Q. 転職先での職務内容が現在のビザの範囲内かわからない場合は?
入管に就労資格証明書の交付を申請するか、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。自己判断で転職して、実はビザの範囲外の業務だった場合、次回のビザ更新で不許可になるリスクがあります。
Q. 派遣社員として転職する場合も手続きは同じですか?
基本的な手続きは同じですが、派遣元(派遣会社)と派遣先の両方の情報が必要になる場合があります。派遣での就労はビザ審査でやや慎重に扱われる傾向があります。
まとめ:転職時のビザ手続きチェックリスト
転職時にビザのトラブルを防ぐために、以下のチェックリストを活用してください。
- [ ] 転職先の業務が現在の在留資格の範囲内か確認
- [ ] 退職後14日以内に入管へ所属機関変更の届出を提出
- [ ] 必要に応じて在留資格変更許可申請を準備
- [ ] 就労資格証明書の取得を検討
- [ ] 在留期限を確認し、更新のスケジュールを立てる
- [ ] マイナンバーカードと健康保険の手続きを確認
- [ ] 不明点があれば行政書士や弁護士に相談
正しい手続きを踏めば、転職は日本でのキャリアを大きく前進させるチャンスです。面接対策については面接対策・選考プロセス完全ガイドを、求人サイトの活用法については求人サイト・転職エージェント活用ガイドもぜひ参考にしてください。
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