飲食店を開業する方法とビザの取得

外国人が日本で飲食店を開業するために必要な経営管理ビザやスタートアップビザの取得方法、食品衛生責任者の資格取得、飲食店営業許可の申請手順、開業資金の目安から成功のためのアドバイスまで、2025年以降の制度変更情報も含めて徹底解説します。
飲食店を開業する方法とビザの取得【外国人のための完全ガイド】
日本で飲食店を開業したいと考える外国人は年々増えています。日本に住む外国人273万人のうち、約16.7万人(6.1%)が飲食関連の仕事に従事しており、独立して自分の店を持ちたいという夢を抱く方も少なくありません。しかし、日本で飲食店を開業するには、ビザの取得や各種許認可の手続きなど、多くのステップを踏む必要があります。
この記事では、外国人が日本で飲食店を開業するために必要なビザの種類、申請手順、開業に必要な資格・許可、資金計画まで、実践的な情報を網羅的にお伝えします。
飲食店開業に必要なビザの種類
外国人が日本で飲食店を経営するためには、適切な在留資格(ビザ)を取得する必要があります。主に以下の3つのビザが関係してきます。
経営・管理ビザ(経営管理ビザ)
飲食店のオーナーとして経営に携わる場合に最も一般的に必要となるビザです。このビザでは、経営活動のみが許可されており、原則として自ら厨房に立って調理をしたり、ホール業務を主な活動とすることはできません。そのため、適切なスタッフの雇用が必要になります。
経営管理ビザの主な要件:
- 資本金500万円以上(2025年10月以降は要件が変更される見込み)
- 日本国内に事業所(店舗)を確保していること
- 事業計画書の提出
- 常勤従業員1名以上の雇用(日本人、永住者、日本人の配偶者等)
スタートアップビザ
2025年1月より全国に拡大された制度で、まだすべての要件を満たしていない段階でも、最長2年間日本に滞在しながら開業準備ができるビザです。飲食店の開業準備にも利用でき、物件探しや資金調達、許認可の取得などを日本国内で行えます。
技能ビザ
自ら調理師として厨房に立つ場合に必要なビザです。外国料理(中華、タイ、ベトナム、フランス、イタリアなど)の調理師として10年以上の実務経験が求められます。ただし、技能ビザでは経営活動はできないため、オーナー兼調理師として働きたい場合は経営管理ビザとの兼ね合いを考慮する必要があります。
| ビザの種類 | 対象者 | 主な要件 | 活動範囲 | 在留期間 |
|---|---|---|---|---|
| 経営・管理ビザ | 飲食店オーナー・経営者 | 資本金500万円以上、従業員雇用 | 経営活動のみ | 1年・3年・5年 |
| スタートアップビザ | 起業準備中の外国人 | 自治体の認定 | 開業準備活動 | 最長2年 |
| 技能ビザ | 外国料理の調理師 | 10年以上の実務経験 | 調理業務 | 1年・3年・5年 |
| 特定技能ビザ | 飲食業従事者 | 技能試験・日本語試験合格 | 飲食業務全般 | 最長5年 |
詳しい就労ビザの種類については、就労ビザ16種類の特徴と取得条件まとめも参考にしてください。
飲食店開業までの具体的な手順
飲食店の開業は、以下のステップに沿って進めていきます。準備期間は通常6ヶ月〜1年程度を見込んでおきましょう。
ステップ1:事業計画書の作成
まず、具体的な事業計画書を作成します。事業計画書はビザ申請時にも提出が必要となるため、以下の項目を網羅しましょう。
- 事業コンセプト:どのような料理を提供するか、ターゲット顧客は誰か
- 市場調査:出店エリアの競合状況、需要見込み
- 収支計画:初期投資額、月間売上予測、損益分岐点
- 資金調達計画:自己資金、借入金の内訳
- 人員計画:必要なスタッフ数と採用計画
ステップ2:会社設立または個人事業の届出
外国人の場合、株式会社または合同会社を設立するのが一般的です。個人事業主としての開業も可能ですが、経営管理ビザの取得を考慮すると法人設立が推奨されます。会社設立後は、税務署への届出も必要です。
起業・フリーランスとして日本で働くガイドでは、会社設立の詳細な手続きを解説しています。
ステップ3:店舗物件の確保
外国人が物件を借りる際には、保証人や保証会社の利用が必要になることが多く、住居探しと同様の課題があります。居抜き物件を活用すると、内装工事費を大幅に抑えることができます。
ステップ4:各種許認可の取得
飲食店を営業するためには、以下の許認可を取得する必要があります。
- 食品衛生責任者の資格取得(1日の講習で取得可能、ただし講習は日本語)
- 飲食店営業許可の取得(管轄の保健所に申請)
- 防火管理者の選任(収容人数30人以上の場合)
- 深夜酒類提供飲食店営業届出(深夜12時以降にアルコールを提供する場合)
ステップ5:ビザの申請
店舗の契約、内装工事、飲食店営業許可の取得がすべて完了してから、入国管理局で経営管理ビザの申請を行います。審査期間は通常1〜3ヶ月です。
開業に必要な資金の目安
飲食店の開業にはまとまった資金が必要です。以下は一般的な費用の目安です。
| 費用項目 | 目安金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 物件取得費(保証金・礼金等) | 100〜500万円 | エリア・物件規模による |
| 内装・設備工事費 | 200〜1,000万円 | 居抜きなら大幅削減可能 |
| 厨房設備・備品 | 100〜300万円 | 中古品活用で節約可能 |
| 運転資金(3ヶ月分) | 150〜300万円 | 家賃・人件費・仕入れ等 |
| 会社設立費用 | 20〜30万円 | 株式会社の場合 |
| ビザ申請関連費用 | 10〜30万円 | 行政書士への依頼含む |
| 合計 | 580〜2,160万円 | - |
経営管理ビザの要件として資本金500万円以上が必要なため、最低でも700〜800万円程度の資金を確保しておくことが望ましいです。給料・年収・待遇ガイドも参考にして、事業開始後の生活費も計算に入れておきましょう。
食品衛生責任者と飲食店営業許可の取得方法
食品衛生責任者
飲食店を営業するには、各店舗に1名以上の食品衛生責任者を配置する必要があります。この資格は、各都道府県の食品衛生協会が実施する講習(約6時間、1日で完了)を受講することで取得できます。
注意点:
- 講習は原則として日本語で実施されます
- 受講料は約1万円
- 日本語能力に不安がある場合は、通訳を同伴できる場合もあるため事前に確認しましょう
- 調理師免許や栄養士免許を持っている場合は講習が免除されます
飲食店営業許可
店舗の設備基準を満たした上で、管轄の保健所に申請します。主な設備基準は以下の通りです。
- 調理場と客席が区分されていること
- 手洗い設備が適切に設置されていること
- 換気・照明設備が基準を満たしていること
- 食器・調理器具の洗浄設備があること
申請から許可取得まで通常2〜3週間かかります。保健所による現地調査も行われるため、内装工事完了後に申請するのが一般的です。
ビザ申請のポイントと注意点
経営管理ビザの申請は書類審査が厳格に行われるため、以下のポイントに注意しましょう。
事業計画書の重要性
入国管理局は事業の継続性・安定性を重視します。売上予測の根拠、市場分析、競合分析など、具体的なデータに基づいた事業計画書を作成しましょう。行政書士に依頼する場合の費用は15〜30万円程度です。
よくある不許可理由
- 事業の実態が不十分(名ばかりの経営)
- 資本金の出所が不明確
- 事業計画の実現可能性が低い
- 経営者としての適格性に疑問がある
2025年以降の制度変更
2025年10月以降、経営管理ビザの要件が強化される見込みです。資本金要件が3,000万円に引き上げられ、雇用要件も厳格化される可能性があるため、開業を検討している方は早めの準備をおすすめします。最新の制度変更については在留資格・ビザの基礎知識完全ガイドをご確認ください。
参考:経営管理ビザの新ルール
成功のための実践的アドバイス
立地選びのポイント
飲食店の成功は立地に大きく左右されます。東京や大阪などの大都市だけでなく、福岡や札幌などの地方都市はスタートアップ支援が充実しており、コストも抑えられるメリットがあります。
日本のビジネス慣習への理解
日本の飲食業界には独自の商慣習があります。仕入れ先との関係構築、近隣店舗への挨拶、衛生管理の徹底など、日本のビジネスマナーを理解しておくことが成功の鍵です。
専門家の活用
開業までのプロセスは複雑なため、以下の専門家の活用を検討しましょう。
- 行政書士:ビザ申請、各種届出の代行
- 税理士:会社設立、税務申告のサポート
- 不動産業者:外国人対応の物件探し
- 社会保険労務士:従業員の社会保険手続き
ネットワークの構築
同業者や先輩起業家とのつながりは、情報収集やトラブル対応に役立ちます。外国人起業家コミュニティへの参加も積極的に検討してみてください。
まとめ:飲食店開業を成功させるために
外国人が日本で飲食店を開業するには、ビザの取得から各種許認可、資金計画まで多くの準備が必要です。特に経営管理ビザの取得は最大のハードルとなりますが、適切な準備と専門家のサポートがあれば十分に実現可能です。
開業成功のための重要ポイント:
- 早めの準備開始(最低6ヶ月〜1年前から)
- 十分な資金確保(最低700〜800万円)
- 信頼できる専門家(行政書士・税理士)への相談
- 食品衛生責任者の資格取得
- 具体的で実現可能な事業計画書の作成
2025年以降はビザ要件の変更も予定されているため、最新情報を常にチェックしながら、計画的に開業準備を進めていきましょう。日本での起業は決して簡単ではありませんが、しっかりとした準備があれば、夢の実現は十分に可能です。
参考リンク:
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