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飲食・サービス業で働く完全ガイド

食品衛生の資格と必要な知識

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
食品衛生の資格と必要な知識

日本で働く外国人向けに、食品衛生責任者・食品衛生管理者の資格取得方法、HACCP対応の衛生管理、飲食店開業に必要な手続きと食品衛生の役割を詳しく解説。在留資格との関係や日本語対策、キャリアアップに役立つ関連資格の情報も紹介します。

食品衛生の資格と必要な知識|外国人が日本の飲食業界で働くための完全ガイド

日本の飲食業界で働く外国人にとって、食品衛生に関する資格と知識は不可欠です。飲食店の開業はもちろん、食品工場やレストランでの勤務においても、食品衛生法に基づく衛生管理の基本を理解する必要があります。本記事では、外国人が知っておくべき食品衛生の資格の種類、取得方法、必要な知識を詳しく解説します。特に2021年6月からHACCPに沿った衛生管理が全食品事業者に義務化されたことで、食品衛生の重要性はさらに高まっています。

日本の食品衛生に関する主要な資格の種類

日本で食品を扱う仕事をする場合、いくつかの重要な資格があります。それぞれの資格の特徴と違いを理解して、自分に必要な資格を見極めましょう。

食品衛生責任者

食品衛生責任者は、飲食店や食品販売施設に設置が義務付けられている最も基本的な資格です。飲食店を開業する際には必ず1名以上の食品衛生責任者が必要になります。17歳以上(高校生不可)であれば、学歴や国籍に関係なく誰でも取得できます。

食品衛生管理者

食品衛生管理者は、食品衛生責任者よりも上位に位置づけられる国家資格です。食品添加物の製造・加工を行う施設や、乳製品・食肉製品などの特定の業種では、施設ごとに専任の食品衛生管理者を配置しなければなりません。

資格の比較表

項目食品衛生責任者食品衛生管理者
資格の種類公的資格国家資格
取得難易度比較的容易高い
取得方法1日の講習会大学での専門課程または実務経験
対象施設飲食店・食品販売全般特定の食品製造施設
費用約10,000〜12,000円大学の学費または講習費用
有効期限生涯有効生涯有効
外国人の取得在留カードがあれば可能条件を満たせば可能

食品衛生責任者の取得方法と講習内容

食品衛生責任者は、日本で飲食店を開業したい外国人にとって最初に取得すべき資格です。取得のプロセスは比較的シンプルですが、外国人ならではの注意点があります。

講習会の内容

食品衛生責任者養成講習会は、通常1日(約6〜7時間)で完了します。講習は以下の3科目で構成されています。

  • 衛生法規(2時間):食品衛生法、食品表示法など関連法規の基礎
  • 公衆衛生学(1時間):環境衛生、感染症の予防、健康管理の基本
  • 食品衛生学(3時間):食中毒の原因と予防、食品の取り扱い、施設の衛生管理

講習の最後に確認テストが行われますが、講習内容をしっかり聞いていれば合格できるレベルです。合格率は非常に高く、ほとんどの受講者が1回で資格を取得しています。

申し込みの流れ

  1. 最寄りの食品衛生協会のウェブサイトで講習日程を確認
  2. オンラインまたは窓口で申し込み(希望日時を第3希望まで指定)
  3. 受講料を支払い(地域により約10,000〜12,000円)
  4. 講習当日に在留カード(外国人の場合)と筆記用具を持参
  5. 講習を受講し、確認テストに合格
  6. 食品衛生責任者手帳を受け取る

注意点:東京や大阪などの大都市では、予約が1〜3ヶ月先まで埋まることがあるため、早めの申し込みが重要です。

外国人が資格を取得する際の条件と注意点

外国人が日本で食品衛生の資格を取得するには、いくつかの特別な条件があります。事前に確認して、スムーズに資格取得を進めましょう。

必要な書類と条件

外国人の受講には以下の条件を満たす必要があります。

  • 在留カードまたは特別永住者証明書の提示が必須
  • 日本語理解能力:講習会は全て日本語で実施されるため、日本語を理解できることが条件
  • 年齢制限:17歳以上(高校生は不可)
  • 短期滞在ビザでは受講不可:観光ビザなどの短期滞在資格では講習を受けられません

在留資格との関係

食品衛生の資格を取得しても、飲食店で働くためには適切な在留資格が必要です。飲食店での就労が認められる主な在留資格は以下の通りです。

  • 特定技能1号(外食業):飲食店での調理・接客などの業務が可能(詳細はこちら
  • 技術・人文知識・国際業務:飲食店のマネジメントや企画業務
  • 経営・管理:自分で飲食店を経営する場合
  • 永住者・定住者・日本人の配偶者等:就労制限なし

日本語能力の壁を乗り越えるコツ

講習会が日本語のみで行われるため、日本語能力に不安がある方は以下の対策をおすすめします。

  • 事前にテキストを入手し、重要用語を予習する
  • 日本語が堪能な友人や同僚に同行を依頼する
  • 食品衛生に関する日本語の単語リストを作成して学習する
  • オンライン講習が利用できる地域では、オンライン受講を検討する

HACCPに基づく衛生管理の基礎知識

2021年6月から、すべての食品事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務化されました。食品衛生の資格を持つ者として、HACCPの基本を理解することは必須です。

HACCPとは

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)は、食品の安全性を確保するための国際的な衛生管理手法です。原材料の受け入れから最終製品の出荷まで、各工程で発生しうる危害要因を分析し、重要管理点を設定して継続的に監視することで、食中毒や異物混入を防ぎます。

飲食店で求められるHACCP対応

小規模な飲食店では「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が求められます。具体的には以下の取り組みが必要です。

  • 衛生管理計画の策定:一般衛生管理と重要管理のポイントを文書化
  • 実施記録の作成:毎日の衛生管理の実施状況を記録
  • 定期的な確認・改善:計画の見直しと改善を継続的に実施

食中毒予防の基本原則

食品衛生の現場で最も重要な知識は、食中毒予防の3原則です。

原則内容具体的な対策
つけない細菌を食品に付着させない手洗いの徹底、調理器具の消毒、交差汚染の防止
増やさない細菌の増殖を抑制する適切な温度管理、迅速な調理・提供、冷蔵保存の徹底
やっつける加熱等で細菌を死滅させる中心温度75℃以上で1分以上の加熱、適切な殺菌処理

食品衛生に関連するその他の資格とスキルアップ

食品衛生責任者を取得した後、さらにキャリアアップを目指すために取得できる関連資格があります。

調理師免許

調理師免許は、飲食業界でのキャリアアップに有利な国家資格です。取得方法は、調理師養成施設の卒業、または2年以上の実務経験後の試験合格の2通りがあります。

栄養士・管理栄養士

食品の栄養面に特化した資格で、病院や学校給食、食品メーカーなどで活躍できます。外国人が取得するには、日本の養成施設を卒業する必要があります。

HACCP管理者

HACCPに関する専門的な知識と技術を認定する資格で、食品製造業でのキャリアアップに役立ちます。

スキルアップのための学習リソース

飲食店開業に必要な手続きと食品衛生の役割

外国人が日本で飲食店を開業する場合、食品衛生責任者の資格取得は手続きの一部にすぎません。開業までの全体的な流れを把握しておきましょう。

飲食店開業の手続き一覧

  1. 事業計画の策定:コンセプト、ターゲット、メニュー、資金計画の決定
  2. 在留資格の確認・変更:経営・管理ビザの取得または変更(起業について詳しくはこちら
  3. 物件の確保:営業許可が取得可能な物件の選定
  4. 食品衛生責任者の資格取得:講習会の受講と資格の取得
  5. 施設の基準確認:保健所による施設基準の事前確認
  6. 営業許可申請:管轄の保健所に営業許可を申請
  7. 施設の検査:保健所による現地検査
  8. 営業許可証の交付:検査合格後に許可証を受領
  9. 開業届・税務届出:税務署への届出(税金について詳しくはこちら

食品衛生責任者の日常業務

資格取得後、食品衛生責任者として以下の業務を行います。

  • 施設の衛生管理状態の確認・改善
  • 従業員の衛生教育・健康管理
  • 食品の温度管理・保存状態の確認
  • 衛生管理記録の作成・保管
  • 保健所の立入検査への対応
  • 食品事故発生時の初動対応

食品衛生の最新トレンドと今後の動向

日本の食品衛生をめぐる環境は年々変化しており、最新の動向を把握しておくことが重要です。

デジタル化の推進

従来の紙ベースの衛生管理記録から、タブレットやスマートフォンを使ったデジタル記録への移行が進んでいます。IoTセンサーによる温度管理の自動化や、AIを活用した食品管理システムの導入も増えています。

アレルギー対応の強化

食物アレルギーへの対応が年々厳格化されています。特定原材料7品目(卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そば)の表示義務に加え、推奨表示21品目の管理も求められています。外国料理を提供する場合は、使用する食材のアレルギー情報を正確に把握し、お客様に適切に伝える能力が必要です。

食品ロス削減への取り組み

2019年に施行された食品ロス削減推進法により、食品事業者にも食品ロス削減の努力義務が課されています。衛生管理と両立させながら、廃棄を減らす工夫が求められています。

まとめ:外国人が食品衛生の資格を活かしてキャリアを築くために

食品衛生の資格は、日本の飲食・サービス業で働くための重要な第一歩です。食品衛生責任者の資格は1日の講習で取得でき、一度取得すれば生涯有効という大きなメリットがあります。

外国人として資格取得を目指す際のポイントをまとめます。

  • 早めの計画:大都市では講習の予約が取りにくいため、開業計画から逆算して早めに申し込む
  • 日本語力の向上:講習は日本語のみのため、事前の日本語学習が重要
  • 在留資格の確認:適切な在留資格がなければ就労できない
  • 継続的な学習:HACCP義務化や法改正に対応するため、常に最新知識をアップデート
  • キャリアパスの構築:食品衛生責任者を基盤に、調理師免許など上位資格の取得も視野に入れる

日本の飲食業界は人手不足が続いており、食品衛生の知識と資格を持つ外国人材への需要は今後も高まっていくでしょう。正しい知識と資格を身につけて、充実したキャリアを築いてください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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