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留学生から社会人への就職完全ガイド

留学生の起業と在留資格の選択肢

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
留学生の起業と在留資格の選択肢

留学生が日本で起業する際に必要な在留資格を徹底解説。経営管理ビザの2025年制度改正、スタートアップビザの活用法、特定活動(起業準備)の条件、事業計画書の作成ポイントまで、起業を目指す外国人留学生に必要な情報を網羅しています。

留学生の起業と在留資格の選択肢|経営管理ビザ・スタートアップビザ徹底解説

日本で学ぶ留学生の中には、卒業後に就職するだけでなく、自分のビジネスを立ち上げたいと考える方が増えています。日本政府もスタートアップ支援策を強化しており、外国人起業家に対する制度が年々整備されています。しかし、在留資格の変更や要件の厳格化など、起業を目指す留学生にとって知っておくべきポイントは多くあります。

この記事では、留学生が日本で起業する際に必要な在留資格の選択肢申請手続き2025年の制度改正について詳しく解説します。起業を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。

留学生が起業する際に必要な在留資格とは

留学生が日本で事業を始めるには、「留学」の在留資格のままでは事業経営を行うことができません。事業を経営・管理するための在留資格への変更が必要になります。

留学生が起業時に選べる主な在留資格は以下の3つです。

在留資格概要在留期間主な要件
経営・管理(経営管理ビザ)事業の経営・管理を行う1年・3年・5年事業所確保、資本金500万円以上または常勤職員2名以上
特定活動(起業準備)大学卒業後の起業準備活動最長6ヶ月大学の推薦、資金・事業所の確保見込み
スタートアップビザ起業準備・初期活動最長2年自治体の認定、事業計画の提出

それぞれの在留資格には異なる条件やメリットがあるため、自分の状況に合った選択が重要です。在留資格の基本については在留資格・ビザの基礎知識完全ガイドも参考にしてください。

経営管理ビザの取得条件と2025年の制度改正

従来の経営管理ビザの要件

経営管理ビザは、外国人が日本で事業を経営するための最も一般的な在留資格です。従来の主な要件は以下の通りでした。

  • 事業所の確保:独立した事業用の事務所を確保すること
  • 資本金500万円以上または常勤職員2名以上の雇用
  • 事業計画書の提出:安定した事業運営が見込めること
  • 事業の継続性・安定性の証明

留学生から経営管理ビザへの変更を申請する場合、入国管理局では起業の動機事業計画の実現可能性法令遵守状況資本金の出所が特に厳しく審査されます(出典)。

2025年10月の要件厳格化

2025年10月16日から、経営管理ビザの取得要件が大幅に厳格化されました(出典)。主な変更点は以下の通りです。

項目改正前改正後(2025年10月〜)
資本金500万円以上3,000万円以上
常勤職員2名以上(資本金要件と選択制)1名以上(必須)
日本語能力要件なしJLPT N2相当(申請者または常勤職員)
経営経験明確な基準なし3年以上または修士・博士・専門職学位
事業計画書任意形式専門家による実現性確認が必須

この改正により、留学生がすぐに経営管理ビザを取得するハードルは大幅に上がりました。ビザ制度の最新動向については2026年ビザ制度の最新変更点まとめで詳しく解説しています。

スタートアップビザの特徴と活用方法

スタートアップビザとは

スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)は、経営管理ビザの厳しい要件を満たさなくても起業準備活動ができる在留資格です。2015年に一部自治体で開始され、2025年1月からは全国で利用可能になりました(出典)。

主なメリットは以下の通りです。

  • 最長2年間の起業準備期間が認められる
  • 事業所の確保や500万円以上の投資が不要
  • 全国26以上の自治体で申請可能
  • 事業計画が認められれば経営管理ビザへの移行がスムーズ

スタートアップビザの実績

2024年5月時点で、716人以上がスタートアップビザで在留資格を取得しており、そのうち359人以上が経営管理ビザへの移行に成功しています(出典)。移行成功率は約50%となっており、着実に実績を積み上げている制度です。

申請の流れ

  1. 事業計画書の作成:ビジネスモデル、収益見込み、市場分析などを含める
  2. 対象自治体への申請:外国人起業活動促進組織に書類を提出
  3. 審査・認定:事業計画の審査を受ける
  4. 入国管理局での在留資格申請:認定後に「特定活動」の在留資格を申請
  5. 起業準備活動の開始:最長2年間で事業を立ち上げる

在留資格の変更手続きの詳細は在留資格の変更手続き完全マニュアルを参照してください。

特定活動(起業準備)の制度と対象者

日本の大学または大学院を卒業した留学生には、卒業後6ヶ月以内に起業する場合の特別な制度があります(出典)。

対象者の条件

  • 日本の大学(学部・大学院)を卒業していること
  • 卒業後6ヶ月以内であること
  • 大学からの推薦を受けていること
  • 起業に必要な資金と店舗・事務所が確保されている(または確保の見込みがある)こと

この制度のメリット

  • 経営管理ビザの厳しい要件をすぐに満たす必要がない
  • 大学のサポートを受けながら起業準備ができる
  • 在学中のビジネスアイデアを実現する時間的猶予が得られる

ただし、注意点もあります。卒業後にアルバイトをしていると、在留状況が不良とみなされ不許可になる可能性があります。特定活動ビザの詳細は特定活動ビザの種類と申請条件ガイドをご確認ください。

起業のための事前準備と重要ポイント

事業計画書の作成

在留資格の審査で最も重視されるのが事業計画書です。以下のポイントを押さえて作成しましょう。

  • 市場分析:ターゲット市場の規模、競合分析、参入機会
  • 収益モデル:具体的な売上見込みと根拠
  • 組織体制:経営陣の経歴、従業員計画
  • 資金計画:初期投資、運転資金、資金調達方法
  • 5年間の収支計画:月別・年別の損益計算

2025年の改正後は、専門家(公認会計士・中小企業診断士など)による実現性確認が必須となったため、専門家への相談も早めに行いましょう。

資金の準備と出所証明

資本金の準備は起業の最重要課題のひとつです。特に経営管理ビザでは資本金の出所証明が厳しく求められます。

  • 自己資金の場合:貯金通帳のコピー、収入証明
  • 親族からの援助:送金記録、贈与契約書
  • 投資家からの出資:投資契約書、出資者の資力証明

日本での税金・社会保険制度については税金・社会保険・年金の完全ガイドも合わせて確認しておきましょう。

事業所の確保

事業所は自宅兼事務所は原則不可で、独立した商業用の事務所が必要です。最近ではバーチャルオフィスやシェアオフィスの利用も認められるケースがありますが、入国管理局の判断次第であるため、事前に確認が必要です。

起業を支援する機関とサポート制度

日本では外国人起業家を支援するさまざまな制度が整備されています。

支援機関支援内容対象者
JETROビジネス相談、市場情報、パートナー紹介外国人起業家全般
各自治体のスタートアップ支援センタースタートアップビザ申請支援、オフィス提供対象自治体での起業希望者
中小企業基盤整備機構経営相談、融資制度の案内中小企業・小規模事業者
大学のインキュベーション施設研究シーズの事業化支援大学関係者・卒業生
日本政策金融公庫創業融資(最大7,200万円)新規開業する方

特に福岡市や渋谷区などは外国人起業家の受け入れに積極的で、専用の相談窓口や英語対応のサポートを提供しています。

起業に関する総合的な情報は起業・フリーランスとして日本で働くガイドでも詳しく解説しています。

在留資格の選び方フローチャート

留学生が起業を検討する際の在留資格選択の流れを整理します。

ステップ1:現在の状況を確認

  • 在学中 → まず卒業を目指しながら事業計画を準備
  • 卒業済み(6ヶ月以内) → 特定活動(起業準備)を検討
  • 卒業から6ヶ月以上経過 → スタートアップビザまたは経営管理ビザ

ステップ2:資金と事業の準備状況を確認

  • 資本金3,000万円以上を準備可能 → 経営管理ビザに直接申請
  • 資金は限定的だが事業アイデアがある → スタートアップビザで準備期間を確保
  • 大学からの推薦が得られる → 特定活動を優先的に検討

ステップ3:専門家に相談

  • 行政書士や入管手続きの専門家に相談し、最適な戦略を立てる

行政書士への依頼については行政書士に依頼するメリットと費用相場を参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1:留学ビザのまま起業準備はできますか? 留学ビザでは事業経営は認められません。ただし、在学中に事業計画の作成やリサーチを行うことは可能です。実際の事業活動を始めるには在留資格の変更が必要です。

Q2:どのくらいの期間で在留資格を変更できますか? 経営管理ビザへの変更は通常1〜3ヶ月かかります。書類の準備期間を含めると、申請開始から取得まで3〜6ヶ月を見込んでおきましょう。

Q3:起業に失敗した場合はどうなりますか? 事業を継続できなくなった場合、経営管理ビザの更新が認められない可能性があります。その場合、他の在留資格への変更や帰国を検討する必要があります。

Q4:共同経営の場合はどうなりますか? 共同経営者が複数いる場合、それぞれが経営管理ビザを取得する必要はありませんが、少なくとも1人が経営管理ビザを保有し、他の者は適切な在留資格(技術・人文知識・国際業務など)で活動する形が一般的です。

まとめ:留学生の起業は計画的な準備が成功の鍵

留学生が日本で起業するための在留資格の選択肢は、経営管理ビザスタートアップビザ特定活動(起業準備)の3つが主なルートです。2025年の経営管理ビザ要件厳格化により、いきなり経営管理ビザを取得するハードルは上がりましたが、スタートアップビザの全国展開など、起業準備を支援する制度も充実しています。

成功のためのポイントをまとめると以下の通りです。

  • 早めの情報収集と計画:在学中から起業に向けた準備を始める
  • 専門家への相談:行政書士や税理士に早い段階で相談する
  • 事業計画書の充実:専門家の確認を受けた質の高い計画書を作成する
  • 資金の透明性:資本金の出所を明確にし、書類を揃える
  • 支援制度の活用:自治体やJETROの支援プログラムを積極的に利用する

留学生から起業家への道は決して簡単ではありませんが、適切な準備と正しい在留資格の選択で、夢のビジネスを日本で実現することは十分可能です。まずは留学生から社会人への就職完全ガイドで全体像を把握し、自分に合った進路を選択してください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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