建設業界の外国人労働者事情と将来展望

日本の建設業界における外国人労働者の最新事情と将来展望を徹底解説します。特定技能ビザの活用方法、職種別の給与水準、必要な資格と日本語能力、2027年開始の育成就労制度の概要など、建設業界で働く外国人労働者に必要な情報を網羅的にまとめました。人手不足が深刻化する建設業界でのキャリア構築に役立つ完全ガイドです。
建設業界の外国人労働者事情と将来展望
日本の建設業界は深刻な人手不足に直面しており、外国人労働者の存在がますます重要になっています。2023年10月時点で建設業に従事する外国人労働者は14万4,981人に達し、7年前と比較して約3.5倍に増加しました。本記事では、建設業界における外国人労働者の現状、利用可能な在留資格、具体的な就労条件、そして将来の展望について詳しく解説します。これから日本の建設業界で働きたい外国人の方、すでに働いている方の両方に役立つ情報をまとめました。
建設業界の人手不足と外国人労働者の現状
日本の建設業界は、少子高齢化と若年層の建設業離れにより、慢性的な人手不足に陥っています。建設業界の調査データによると、約72.0%の建設企業が正社員の人手不足を感じていると回答しています。
建設業の就業者数は全体で約477万人ですが、そのうち外国人労働者は約3%にとどまっています。しかし、この割合は年々上昇しており、5年前の約7万人から2023年には約14万人へと倍増しました。日本全体の外国人労働者数も2023年10月末時点で200万人を突破し、過去最高を記録しています。
建設業で働く外国人労働者の国籍別では、ベトナムが最も多く全体の42.8%を占めています。次いでインドネシア、フィリピン、中国からの労働者が多い傾向にあります。
| 項目 | データ |
|---|---|
| 建設業の外国人労働者数(2023年) | 14万4,981人 |
| 7年前からの増加率 | 約3.5倍 |
| 建設業就業者に占める割合 | 約3% |
| 人手不足を感じる企業の割合 | 72.0% |
| 最多国籍(ベトナム)の割合 | 42.8% |
| 日本全体の外国人労働者数 | 200万人超 |
建設業で利用できる在留資格の種類
建設業界で外国人が働くためには、適切な在留資格が必要です。主に以下の在留資格が建設分野で利用されています。
特定技能1号・2号
特定技能ビザは、建設業界で最も注目されている在留資格です。特定技能「建設」では、型枠施工、左官、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、屋根ふき、電気通信、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げなど、幅広い職種で就労が可能です。
特定技能1号は最長5年間の在留が認められ、技能実習2号を良好に修了した方や、技能評価試験と日本語能力試験に合格した方が取得できます。特定技能2号は在留期間の更新に制限がなく、家族の帯同も可能になるため、日本での長期的なキャリア構築に最適です。
技能実習制度と育成就労制度
従来の技能実習制度は、2027年から新たに「育成就労制度」に移行する予定です。この新制度では、最長3年間の育成期間を経て特定技能1号への移行を目指す仕組みとなり、労働者保護の強化や転籍の柔軟化が図られています。
技術・人文知識・国際業務ビザ
建設会社での事務職や技術職として働く場合、このビザが活用できます。施工管理や設計、建築コンサルティングなどの職種が対象です。
建設業で外国人が働くための条件と手続き
建設業界で外国人労働者を受け入れるには、いくつかの条件を満たす必要があります。マイナビグローバルの解説を参考に、主な条件を確認しましょう。
賃金・待遇の条件
特定技能で外国人を雇用する場合、基本給や諸手当を含む賃金が同等の技能を持つ日本人従業員と同等以上でなければなりません。また、建設工事が行われる地域の賃金水準を下回ることも認められていません。
JACへの加入義務
建設分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入が必要です。JACは外国人労働者の適正な受入れを推進する機関であり、受入企業の支援や監督を行っています。
建設キャリアアップシステム(CCUS)
外国人労働者を含む建設技能者は、建設キャリアアップシステムへの登録が推奨されています。このシステムにより、技能レベルや就業履歴が可視化され、キャリアアップに役立てることができます。
必要な日本語能力
建設現場での安全確保のため、一定の日本語能力が求められます。特定技能1号の取得には、日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格が必要です。現場での安全指示を理解し、コミュニケーションを取れるレベルが最低限求められます。
建設業で働くメリットと給料の実態
建設業界で外国人が働くことには、多くのメリットがあります。給料・待遇の面からも確認しましょう。
給与水準
建設業の外国人労働者の平均月給は、職種や経験年数によって大きく異なります。以下は主な職種別の給与目安です。
| 職種 | 月給目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 型枠施工 | 25万〜35万円 | 経験者は高収入が期待できる |
| 鉄筋施工 | 25万〜33万円 | 技術の習熟度で差が出る |
| 土工 | 22万〜30万円 | 未経験でも始めやすい |
| 建設機械施工 | 26万〜38万円 | 資格取得で給与アップ |
| 内装仕上げ | 23万〜32万円 | 細かい作業が得意な方向き |
| 電気通信 | 25万〜35万円 | 将来性の高い分野 |
建設業で働くメリット
- 安定した需要: インフラ整備や災害復興など、建設需要は常に存在する
- 技能の習得: 特定技能2号へのキャリアアップで永住への道も開ける
- 住居サポート: 多くの企業が寮や住居を提供している
- 資格取得支援: 資格・スキルアップの支援制度がある企業も多い
建設業界の外国人労働者が直面する課題
一方で、建設業界で働く外国人労働者にはいくつかの課題もあります。
言語と文化の壁
建設現場では専門用語が多く使われるため、日常会話レベルの日本語では不十分な場合があります。安全に関する指示を正確に理解することは命にかかわる問題であり、日本のビジネスマナーの理解も含めて、継続的な学習が重要です。
労働環境の問題
一部の現場では、外国人労働者に対する不当な扱いや、長時間労働の問題が報告されています。労働法・職場の権利を正しく理解し、問題がある場合は適切な相談窓口に連絡することが大切です。
キャリアパスの不透明さ
技能実習から特定技能への移行や、特定技能1号から2号へのステップアップの道筋がまだ十分に整備されていない面があります。ただし、制度改正が進んでおり、2025年12月からは特定技能試験が全国95箇所のプロメトリックテストセンターで受験可能になるなど、受験機会は拡大しています。
2026年以降の将来展望と制度変更
建設業界における外国人労働者の受入れは、今後さらに拡大する見込みです。クラフトバンク総研の分析によると、いくつかの重要な変化が予測されています。
特定技能2号の受入れ拡大
国土交通省は2025年度末までに特定技能2号の受入れ上限を2万人に引き上げる方針を示しています。これにより、建設業界で長期間にわたって活躍できる外国人材が増加し、技術の蓄積と継承が進むことが期待されています。
育成就労制度の開始
2027年に開始予定の育成就労制度では、転籍の柔軟化や労働者保護の強化が図られます。これにより、外国人労働者がより良い労働条件を求めて企業を選べるようになり、業界全体の待遇改善につながると見込まれています。
デジタル化・DXの推進
建設業界では業界トレンドとしてDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでおり、BIM(Building Information Modeling)やドローン、AI技術の活用が広がっています。外国人労働者にとっても、これらのデジタルスキルを身につけることが、キャリアアップの鍵となるでしょう。
政府の支援策
厚生労働省は「外国人労働者就労環境整備助成コース」を拡充し、企業が多言語マニュアルの作成や生活支援体制の整備を行う際に最大100万円の助成金を支給しています。こうした支援策により、外国人労働者の住居・生活インフラ環境の改善が進んでいます。
建設業界で成功するためのアドバイス
建設業界でキャリアを築くために、以下のポイントを押さえておきましょう。
日本語力の向上
現場での安全確保とキャリアアップのために、日本語能力の向上は不可欠です。N3以上の取得を目指し、特に建設用語の習得に力を入れましょう。
資格取得を目指す
玉掛け技能講習、クレーン運転、足場の組立て等の資格は、給与アップにも直結します。多くの企業が資格取得支援を行っているので、積極的に活用しましょう。
信頼できる企業を選ぶ
求人サイト・転職エージェントを活用し、JACに加入している企業や、外国人労働者の受入れ実績がある企業を選ぶことが重要です。LANDMARK社の解説も参考にしてください。
ネットワークを広げる
同じ業界で働く外国人のコミュニティに参加し、情報交換や相互支援の関係を築くことも大切です。先輩の経験談は、自身のキャリア形成に非常に参考になります。
まとめ
建設業界の外国人労働者は急速に増加しており、日本の建設業界にとって不可欠な存在となっています。特定技能制度の拡充や育成就労制度の導入により、外国人労働者がより安定した環境で長期的にキャリアを築ける仕組みが整いつつあります。
建設業界で成功するためには、日本語力の向上、資格取得への挑戦、信頼できる企業の選択が重要です。制度の変化をしっかりと把握し、自身のキャリアプランに活かしていきましょう。詳しい転職・キャリアアップ戦略についても、併せてご確認ください。
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