農業分野の外国人就労の最新情報と制度

農業分野で働く外国人向けの最新制度ガイド。特定技能・技能実習・2027年開始の育成就労制度の違い、給与水準(月額17万〜23万円)、受入手続き、対象業務を徹底解説。農業の外国人労働者数は約5万人で増加中。
農業分野の外国人就労の最新情報と制度
日本の農業分野では、深刻な人手不足が続いており、外国人労働者の受け入れが年々拡大しています。2023年時点で農業に従事する外国人労働者は約51,423人に達し、2019年と比較して45%も増加しました。本記事では、農業分野で働くための在留資格や制度の最新情報、雇用の注意点まで詳しく解説します。
農業分野の外国人労働者の現状と統計データ
日本の農業は高齢化と後継者不足により、外国人労働力への依存度が高まっています。2025年10月時点で日本全体の外国人労働者数は260万人を突破し、13年連続で過去最高を更新しました。
農業分野に限ると、主な在留資格別の内訳は以下の通りです。
| 在留資格 | 人数(概算) | 特徴 |
|---|---|---|
| 技能実習 | 約30,000人 | 国際貢献が目的、最長5年 |
| 特定技能1号 | 約13,000人 | 労働力確保が目的、最長5年 |
| 特定技能2号 | 少数 | 在留期間の上限なし |
| その他(身分系) | 約8,000人 | 永住者・定住者など |
政府は農業分野の受入上限数を2028年度末までに99,600人とする方針を決定しており、今後さらに外国人材の受け入れが拡大する見通しです。農業は特定技能ビザの対象16分野の中でも特に需要が高い分野です。
特定技能「農業」の制度と対象業務
特定技能制度は2019年4月に新設された在留資格で、即戦力となる外国人材を受け入れることを目的としています。農業分野の特定技能では、以下の業務に従事することが可能です。
耕種農業全般:
- 稲作、野菜栽培、果樹栽培
- 施設園芸、花き栽培
- 栽培管理に付随する集出荷・選別作業
畜産農業全般:
- 養豚、養鶏(採卵鶏・ブロイラー)
- 酪農、肉用牛飼育
- 飼養管理に付随する集出荷・選別作業
特定技能「農業」の大きな特徴として、直接雇用に加えて派遣形態が認められている点があります。これは農業特有の季節性を考慮した措置で、繁忙期に合わせた柔軟な雇用が可能です。
ただし、「栽培管理」または「飼養管理」の業務が含まれていなければならず、農産物の選別だけを行うような働き方は認められていません。特定技能の給与水準は月額17万〜23万円程度で、日本人と同等以上の報酬が求められます。詳しい給与情報は給料・年収・待遇ガイドもご覧ください。
技能実習制度と農業分野での活用
技能実習制度は、開発途上国への技術移転を目的とした在留資格で、農業分野では長年にわたり多くの実習生を受け入れてきました。
技能実習生を農業で受け入れる場合の主なポイントは以下の通りです。
受入可能な職種・作業(2職種6作業):
| 職種 | 作業 |
|---|---|
| 耕種農業 | 施設園芸、畑作・野菜、果樹 |
| 畜産農業 | 養豚、養鶏、酪農 |
技能実習は最長5年間で、1号(1年)→2号(2年)→3号(2年)とステップアップしていきます。3号への移行には、受入機関が「優良」と認定される必要があります。
技能実習と特定技能には重要な違いがあります。技能実習は「国際貢献」が目的であるのに対し、特定技能は「労働力確保」が目的です。実際に、特定技能ビザ保有者の約70%が元技能実習生であり、技能実習から特定技能へ移行するルートが定着しています。
労働法・職場の権利ガイドで紹介しているように、技能実習生にも日本の労働基準法が適用され、割増賃金の支給や労災保険への加入が必須です。
2027年開始予定の育成就労制度
政府は技能実習制度を見直し、2027年4月から「育成就労制度」を新たに開始する方針です。この新制度は農業を含む17分野が対象となります。
育成就労制度の主な変更点は以下の通りです。
| 項目 | 技能実習(現行) | 育成就労制度(2027年〜) |
|---|---|---|
| 制度目的 | 国際貢献・技術移転 | 人材育成+労働力確保 |
| 在留期間 | 最長5年 | 最長3年(その後特定技能へ) |
| 転籍(転職) | 原則不可 | 一定条件で可能 |
| 送出機関の手数料 | 労働者負担 | 受入企業と分担 |
| 日本語要件 | なし | 入国時にN5相当以上 |
この制度改革により、外国人労働者の権利保護が強化され、より健全な受け入れ環境が整備される見込みです。農業分野で外国人材の活用を検討している方は、外国人が活躍する業界トレンドも参考にしてください。
農業で外国人を雇用する方法と手続き
農業で外国人労働者を雇用するには、以下の手順を踏む必要があります。
1. 受入方式の選択
農業分野では、直接雇用と派遣雇用の2つの方式が認められています。直接雇用の場合は農業経営体が直接雇用契約を結び、派遣の場合は農林水産省が認めた派遣事業者を通じて受け入れます。
2. 必要な手続き
- 外国人材の募集・選考(海外現地面接や国内在留者の採用)
- 在留資格認定証明書または変更許可の申請
- 雇用契約の締結(日本人と同等以上の報酬条件)
- 受入機関としての届出
- 支援計画の策定(特定技能の場合)
3. 支援体制の整備
特定技能外国人を受け入れる場合、生活支援や日本語学習支援などの支援計画を策定する必要があります。自社で対応が難しい場合は、登録支援機関に委託することも可能です。
外国人雇用の準備を進める際は、求人サイト・転職エージェント活用ガイドも活用してください。
農業分野で働く外国人の待遇と労働条件
農業分野で働く外国人の待遇について、知っておくべきポイントをまとめます。
給与水準:
- 特定技能1号:月額17万〜23万円(地域・業種により異なる)
- 技能実習:最低賃金以上(各都道府県の基準に準拠)
- 残業手当・休日手当は日本人同様に支給
労働条件の注意点:
- 農業は労働基準法の一部適用除外(労働時間・休日規定)があるが、外国人労働者には原則として同法が適用される
- 社会保険・年金への加入は必須
- パスポートや通帳の預かりは法律で禁止されている
- 安全衛生教育の実施義務がある
住居・生活支援:
- 受入機関は住居の確保を支援する義務がある
- 住居・生活インフラの整備は重要な受入要件
農業分野の外国人受入れにおける課題と対策
農業分野での外国人材受入れには、いくつかの課題があります。
季節性への対応: 農業は季節によって労働需要が大きく変動します。派遣形態の活用や、複数の農業経営体による共同受入れにより、通年での雇用を確保する工夫が必要です。
言語・コミュニケーション: 農作業では安全管理のために適切なコミュニケーションが不可欠です。日本語能力の向上に向けた支援や、多言語マニュアルの整備が求められます。
地方での生活環境: 農業の現場は地方に多く、交通や買い物などの生活インフラが都市部と比べて限られています。受入機関による生活支援の充実が重要です。
文化的な配慮: 日本のビジネスマナー・文化は外国人にとって理解が難しい面があります。農作業特有のルールや慣習についても、丁寧な説明と相互理解が必要です。
まとめ:農業分野の外国人就労の展望
農業分野の外国人就労は、特定技能制度の拡大、育成就労制度の導入により、今後さらに受け入れが増加する見込みです。2028年度末までに約10万人の受入枠が設定されており、日本農業にとって外国人材は不可欠な存在となっています。
農業で外国人雇用を検討している方は、特定技能ビザ完全ガイドや就労ビザの種類を確認し、適切な在留資格を選択してください。また、外国人労働者として農業分野で働くことを考えている方は、日本での就職活動完全ガイドを参考に準備を進めましょう。
最新の制度変更は農林水産省の公式サイトで確認できます。
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