高度専門職ビザのポイント制度を徹底解説

高度専門職ビザのポイント制度を徹底解説。学歴・職歴・年収・年齢の配点から特別加算、永住権への優遇措置、2025年の制度改正まで完全網羅。70点達成のシミュレーションや申請手続きの流れも詳しく紹介します。
高度専門職ビザのポイント制度を徹底解説【計算方法・要件・優遇措置】
日本で高度な専門スキルを持つ外国人が優遇された在留資格を取得できる「高度専門職ビザ」。このビザの取得には、「ポイント制度」で合計70点以上を獲得する必要があります。本記事では、ポイント制度の仕組み・計算方法・各項目の配点・永住権への優遇措置まで、高度専門職ビザを目指す方が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
在留資格やビザの基礎知識についてはこちらをご覧ください。
高度専門職ビザとポイント制度の概要
高度専門職ビザは、高度な知識や技術を持つ外国人材を日本に積極的に受け入れるために2012年に導入された在留資格です。出入国在留管理庁が運用する「高度人材ポイント制」に基づいて、申請者の学歴・職歴・年収・年齢などの項目を点数化し、合計70点以上に達した方が「高度外国人材」として認定されます。
高度専門職ビザには1号と2号があります。1号は在留期間5年が付与され、さらに3つの活動類型に分かれています。2号は1号で3年以上活動した実績がある方が対象で、在留期間が無期限になるという大きなメリットがあります。
3つの活動類型
高度専門職1号は以下の3つに分類されます。
| 類型 | 活動内容 | 対象者の例 |
|---|---|---|
| 高度専門職1号(イ) | 高度学術研究活動 | 大学教授、研究者 |
| 高度専門職1号(ロ) | 高度専門・技術活動 | ITエンジニア、技術者、企業の専門職 |
| 高度専門職1号(ハ) | 高度経営・管理活動 | 企業経営者、マネージャー |
それぞれの類型に応じたポイント計算表が用意されており、評価項目の配点が若干異なります。最も申請者が多いのは1号(ロ)の高度専門・技術活動です。
ポイント計算の主要項目と配点
ポイント制度では、複数の評価項目から加点され、合計70点以上を目指します。ここでは最も一般的な高度専門職1号(ロ)を例に、主要な評価項目と配点を解説します。
学歴のポイント
学歴は最大30ポイントが付与される重要な項目です。
| 学歴 | ポイント |
|---|---|
| 博士号(ドクター) | 30点 |
| 修士号(マスター)・専門職学位 | 20点 |
| 大学卒業(学士) | 10点 |
| 複数分野で修士・専門職学位を保有 | +5点(ボーナス) |
資格やスキルアップについて詳しくはこちらもご参照ください。
職歴のポイント
実務経験年数に応じてポイントが加算されます。
| 職歴年数 | ポイント |
|---|---|
| 10年以上 | 20点 |
| 7年以上 | 15点 |
| 5年以上 | 10点 |
| 3年以上 | 5点 |
年収のポイント
年収は高度専門職ビザで非常に重要な要素です。年収300万円未満の場合、高度専門職1号(ロ)・(ハ)では申請が認められません。
| 年収 | ポイント |
|---|---|
| 1,000万円以上 | 40点 |
| 900万円以上 | 35点 |
| 800万円以上 | 30点 |
| 700万円以上 | 25点 |
| 600万円以上 | 20点 |
| 500万円以上 | 15点 |
| 400万円以上 | 10点 |
| 300万円以上 | 5点 |
年収には基本給だけでなく、ボーナスや各種手当も含まれますが、通勤手当や扶養手当などは含まれない場合があります。給料・年収ガイドで詳しい情報をご確認ください。
年齢のポイント
年齢が若いほどポイントが高くなります。40歳以上の場合、年齢項目でのポイント獲得はできません。
| 年齢 | ポイント |
|---|---|
| 29歳以下 | 15点 |
| 30〜34歳 | 10点 |
| 35〜39歳 | 5点 |
| 40歳以上 | 0点 |
特別加算とボーナスポイント
基本項目に加えて、以下の条件を満たすことで追加ポイントを獲得できます。特別加算をうまく活用すれば、70点の壁をクリアしやすくなります。
研究実績・業績に関する加算
- 特許の発明者:+15点
- 政府等から公的な研究資金を受けた実績:+15点
- 学術論文の著者(3本以上):+15点
日本語能力に関する加算
- 日本語能力試験N1合格:+15点
- 日本語能力試験N2合格:+10点
- 日本の大学卒業・日本の大学院修了:+10点
所属機関に関する加算
- イノベーション促進支援措置の対象企業に所属:+10点
- 中小企業のイノベーション促進支援措置対象:+20点
- 試験研究費等が3%を超える中小企業:+5点
その他の加算
- 法務大臣が告示する大学を卒業:+10点
- JICAの研修修了者:+5点
- 所定の投資運用事業にかかわる業務に従事:+10点
これらの特別加算は「ポイント計算シミュレーター」を使うと自分の点数を簡易的に確認できます。
70点到達のための具体的なシミュレーション
実際にポイントを計算してみましょう。以下に、よくあるパターン別のシミュレーションをご紹介します。
ケース1:修士号を持つ30代前半のITエンジニア
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 学歴 | 修士号 | 20点 |
| 職歴 | 7年 | 15点 |
| 年収 | 600万円 | 20点 |
| 年齢 | 32歳 | 10点 |
| 日本語 | N1合格 | 15点 |
| 合計 | 80点 |
80点以上を達成しており、永住権の1年ファストトラックが適用されます。
ケース2:学士号を持つ20代後半のビジネスパーソン
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 学歴 | 学士号 | 10点 |
| 職歴 | 5年 | 10点 |
| 年収 | 500万円 | 15点 |
| 年齢 | 28歳 | 15点 |
| 日本語 | N2合格 | 10点 |
| イノベーション企業 | 対象企業 | 10点 |
| 合計 | 70点 |
ぎりぎり70点をクリアし、高度専門職ビザの取得が可能です。日本での就職活動を通じて、イノベーション対象企業への就職を目指すことも戦略の一つです。
高度専門職ビザの優遇措置
70点以上を達成して高度専門職ビザを取得すると、通常の就労ビザにはない多くの優遇措置を受けることができます。
主な優遇措置一覧
| 優遇措置 | 内容 |
|---|---|
| 複合的な在留活動の許可 | 通常は認められない複数の活動を行うことが可能 |
| 在留期間「5年」の付与 | 法律上の最長期間が一律付与 |
| 永住許可要件の緩和 | 70点以上で3年、80点以上で1年に短縮 |
| 配偶者の就労 | 配偶者に就労資格がなくても就労が可能 |
| 親の帯同 | 一定条件下で本国の親を呼び寄せ可能 |
| 家事使用人の帯同 | 外国人の家事使用人を雇用可能 |
| 入国・在留手続の優先処理 | 審査が優先的に処理される |
特に注目すべきは永住許可要件の緩和です。通常10年の在留が必要な永住権取得が、70点以上なら3年、80点以上ならわずか1年に短縮されます。これは日本で長期的なキャリアを築きたい外国人にとって非常に魅力的な制度です。
2025年の制度改正と最新動向
2025年には高度専門職ポイント制度の改正が行われ、いくつかの重要な変更が導入されました。
主な改正点
- ポイント基準の緩和:一部の項目で加点基準が見直され、70点の達成がより容易になった
- 永住ファストトラックの拡大:高度人材としての認定条件が一部緩和され、より多くの外国人が恩恵を受けられるように
- デジタル人材への優遇:IT・デジタル分野の専門スキルに対する加点の強化
これらの変更は、日本政府が国際的な人材獲得競争において競争力を高めるための施策の一環です。外国人が活躍する業界トレンドでも、この動向について詳しく紹介しています。
申請手続きと必要書類
高度専門職ビザの申請は、出入国在留管理局(入管)に対して行います。
必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書または在留資格変更許可申請書
- ポイント計算表(該当する類型のもの)
- ポイントを証明する書類
- 学歴:卒業証明書、学位記 - 職歴:在職証明書、雇用契約書 - 年収:課税証明書、給与明細 - 日本語能力:JLPT合格証明書
- パスポートのコピー
- 写真(4cm×3cm)
- 雇用契約書または内定通知書
就労ビザの種類と取得条件も合わせてご確認ください。
申請の流れ
- ポイント計算表で自己診断を行い、70点以上を確認
- 必要書類を準備(証明書類の取得に1〜2ヶ月かかることも)
- 入管に申請書類を提出
- 審査(通常1〜3ヶ月、ただし高度専門職は優先処理)
- 許可通知を受領
技術・人文知識・国際業務ビザから高度専門職ビザへの変更も可能です。現在就労ビザで働いている方もぜひ検討してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. ポイントが70点に満たない場合はどうすればよいですか? 特別加算項目の活用がカギです。例えば、日本語能力試験の合格、イノベーション対象企業への転職、資格取得などで加点を狙えます。キャリアアップ戦略ガイドで戦略的なアプローチを紹介しています。
Q2. 高度専門職2号への移行条件は? 高度専門職1号で3年以上活動し、素行が善良であることが主な条件です。2号は在留期間が無期限となり、ほぼ永住権に近い権利が得られます。
Q3. 家族も一緒に来日できますか? はい。配偶者は「家族滞在」とは異なり、就労活動が認められます。また一定条件下で、本国にいる親の帯同も可能です。家族と日本生活の完全ガイドでより詳しく解説しています。
Q4. 年収が300万円未満でも申請できますか? 高度専門職1号(イ)の学術研究活動の場合は年収要件がありませんが、1号(ロ)・(ハ)では年収300万円以上が必須条件です。
まとめ
高度専門職ビザのポイント制度は、学歴・職歴・年収・年齢に加えて、日本語能力や研究実績などの特別加算を組み合わせて70点以上を目指す制度です。取得後は、複合的な在留活動の許可や永住権の早期取得など、通常の就労ビザにはない大きなメリットがあります。
2025年の制度改正により、ポイント達成のハードルが緩和されつつあり、日本で高度な専門スキルを活かしたキャリアを築きたい外国人にとって、ますます魅力的な選択肢となっています。
まずはポイント計算シミュレーターで自身のポイントを確認し、足りない場合は日本語能力の向上や資格取得でポイントアップを図りましょう。高度専門職ビザは、日本での安定した長期的キャリアへの近道です。
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