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住居・生活インフラ完全ガイド【外国人向け】

日本の医療機関の利用方法と受診の流れ

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
日本の医療機関の利用方法と受診の流れ

日本で暮らす外国人向けに、クリニックと病院の違い、初診時の受付から会計までの流れ、必要な持ち物、医療費の自己負担額の目安、救急時の対応方法、外国語対応医療機関の探し方まで網羅的に解説する完全ガイドです。

日本の医療機関の利用方法と受診の流れ

日本で暮らす外国人にとって、体調を崩したときにどの医療機関を受診すればよいか受付で何を伝えればよいかは大きな不安要素です。日本は世界的にも医療水準が高く、人口あたりの病院数はアメリカの約3倍と医療機関が充実しています。しかし、独自の受診システムや保険制度を理解していないと、戸惑う場面が少なくありません。

この記事では、日本の医療機関の種類と選び方、初診から会計までの流れ、必要な持ち物、医療費の目安まで、外国人が知っておくべき情報を網羅的に解説します。日本の社会保険制度についても合わせて確認しておくことをおすすめします。

クリニック(診療所)と病院の違い

日本の医療機関は大きく「クリニック(診療所)」と「病院」に分かれます。それぞれの違いを理解しておくと、適切な施設を選べます。

項目クリニック(診療所)病院(一般病院・大学病院)
病床数19床以下または無床20床以上
規模小規模・個人経営が多い中〜大規模・組織運営
対応範囲一般的な症状・軽い病気・定期検診専門的な治療・手術・入院
待ち時間比較的短い長い場合が多い
紹介状不要なしの場合、選定療養費が加算
外国語対応限られる大病院は国際部門がある場合も

日本では「まずクリニックを受診し、必要に応じて病院へ紹介」という流れが一般的です。いきなり大病院を受診すると、紹介状がない場合は選定療養費として7,000円以上が追加で請求されるため注意が必要です。

風邪や腹痛などの日常的な症状であれば、自宅や職場の近くにあるかかりつけクリニックを持つことが重要です。

医療機関の探し方

外国語対応の医療機関を探す方法

外国人にとって最も心配なのは言語の壁です。以下の方法で外国語対応の医療機関を見つけることができます。

1. JNTO(日本政府観光局)ウェブサイト 日本政府観光局の医療機関検索では、日本語・英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語の4カ国語で医療機関を検索できます。所在地・対応言語・診療科で絞り込みが可能です。

2. 厚生労働省の外国人患者受入医療機関リスト 厚生労働省が公開しているリストには、外国人患者の受け入れ体制が整った医療機関が掲載されています。2025年にも更新されており、最新情報が確認できます。

3. 自治体の多言語相談窓口 東京都、大阪府、愛知県など外国人居住者が多い自治体では、多言語の医療相談電話を設置しています。「AMDA国際医療情報センター」では電話通訳サービスも提供しています。

4. 勤務先・学校への相談 日本で働いている場合は、会社の人事部や産業医に相談すると適切な医療機関を紹介してもらえます。日本のビジネスマナーを踏まえて、上司に一言伝えてから受診するとスムーズです。

診療科の選び方

日本の医療機関は診療科が細かく分かれています。症状に合った診療科を選ぶことが大切です。

症状受診すべき診療科
風邪・発熱・倦怠感内科(ないか)
腹痛・下痢・嘔吐内科・消化器内科
ケガ・骨折・腰痛整形外科(せいけいげか)
皮膚のかゆみ・湿疹皮膚科(ひふか)
目の症状眼科(がんか)
歯の痛み歯科(しか)
子どもの症状小児科(しょうにか)
メンタルヘルス心療内科・精神科
妊娠・出産産婦人科(さんふじんか)

どの科を受診すべか迷った場合は、内科を受診すれば適切な科に案内してもらえます。

初診時の受診の流れ【ステップガイド】

日本の医療機関を初めて受診する際の流れを、ステップごとに解説します。

ステップ1:予約・受付時間の確認

多くのクリニックは予約なしでも受診可能ですが、事前に電話で確認することを推奨します。確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 診療時間と休診日(日曜・祝日は休診が多い)
  • 予約の要否
  • 外国語対応の可否
  • 初診に必要な持ち物

大病院は午前中のみ受付という場合もあるため、必ず事前確認しましょう。

ステップ2:受付で保険証を提示

医療機関に到着したら、受付(うけつけ)で以下を伝えます。

  • 「初めてです」(はじめてです)=初診であること
  • 健康保険証を提示
  • 在留カードまたはパスポートの提示を求められる場合もある

銀行口座の開設と同様に、本人確認書類は必ず持参しましょう。

ステップ3:問診票の記入

受付後、問診票(もんしんひょう)を渡されます。これは症状や既往歴を記入するシートです。

問診票に記載する主な項目:

  • 現在の症状(いつから、どのような症状か)
  • アレルギーの有無
  • 現在服用中の薬
  • 過去の病歴・手術歴
  • 妊娠の有無(女性の場合)

問診票は日本語のみの場合が多いですが、大きな病院では英語版の問診票を用意していることもあります。事前に症状を日本語で書いたメモを用意しておくと安心です。

ステップ4:診察

名前を呼ばれたら診察室へ入ります。医師に症状を伝え、必要に応じて検査(血液検査、レントゲンなど)を受けます。

診察時に役立つ日本語フレーズ:

日本語読み方意味
ここが痛いですここがいたいですIt hurts here
熱がありますねつがありますI have a fever
吐き気がしますはきけがしますI feel nauseous
薬のアレルギーがありますくすりのアレルギーがありますI have drug allergies
いつからですか?いつからですか?Since when?
お薬手帳はありますか?おくすりてちょうはありますか?Do you have a medicine notebook?

ステップ5:会計・処方箋の受け取り

診察後、再び待合室で待ち、名前を呼ばれたら会計窓口へ向かいます。

  • 支払い方法:現金が基本(クレジットカード対応の施設も増加中)
  • 処方箋:薬が必要な場合は処方箋を受け取り、院外薬局で薬を購入
  • 次回予約:継続治療が必要な場合は次回の予約を取る

処方箋には有効期限(通常4日間)があるため、早めに薬局へ行きましょう。

医療費の仕組みと自己負担額

日本の医療費は国民皆保険制度により、保険加入者は医療費の原則30%を自己負担するだけで済みます。3ヶ月以上日本に滞在する外国人は、社会保険または国民健康保険への加入が義務付けられています。

医療費の目安

診療内容保険適用時の自己負担額(3割)
初診料+簡単な診察約1,000〜2,000円
風邪の診察+薬約2,000〜4,000円
血液検査約1,500〜3,000円
レントゲン検査約1,500〜4,000円
入院(1日あたり)約10,000〜30,000円
歯科治療(虫歯)約2,000〜5,000円

高額療養費制度

月間の医療費が高額になった場合、高額療養費制度により自己負担の上限が設定されています。例えば、年収約370万円以下の場合、月の自己負担上限は約57,600円です。上限を超えた分は後から払い戻されます。

この制度は外国人にも適用されるため、万が一の入院や手術でも安心です。詳しくは税金・社会保険の記事をご覧ください。

保険未加入の場合

健康保険に加入していない場合は、医療費の全額(10割)を自己負担する必要があります。さらに、医療費未払いの外国人は再入国を拒否される可能性があるため、必ず保険に加入してから受診しましょう。

救急医療の受け方

急な病気やケガで緊急の医療が必要な場合の対応方法を知っておくことも重要です。

救急車を呼ぶ場合

119番に電話すると救急車を呼べます。電話では以下を伝えます。

  1. 救急です(きゅうきゅうです)」=Emergency
  2. 住所・場所
  3. 患者の状態
  4. 自分の名前と電話番号

日本の救急車は無料で利用できます。ただし、軽症での利用は控えましょう。

救急車を呼ぶべきか迷ったら

#7119(救急安心センター)に電話すると、医師や看護師が症状を聞いて、救急車を呼ぶべきか、自分で病院に行くべきかをアドバイスしてくれます。対応言語が限られる場合もあるため、日本語が話せる人に電話を頼むとスムーズです。

夜間・休日の受診

夜間や休日に体調が悪くなった場合は以下を利用できます。

  • 夜間急病センター:各市区町村に設置されている夜間対応の診療施設
  • 休日当番医:自治体のウェブサイトや広報で確認可能
  • 大病院の救急外来:24時間対応だが、緊急性の高い患者が優先される

防災・地震対策ガイドと合わせて、緊急時の連絡先を事前にメモしておくことをおすすめします。

薬局(調剤薬局)の利用方法

日本では、多くの医療機関が院外処方を採用しており、診察後に処方箋を持って調剤薬局で薬を受け取ります。

薬局利用の流れ

  1. 処方箋を薬局の窓口に提出
  2. お薬手帳があれば一緒に提出(服薬歴を管理するための手帳)
  3. 薬の準備ができるまで待つ(10〜20分程度)
  4. 薬剤師から薬の説明を受ける
  5. 会計・支払い

ドラッグストアとの違い

ドラッグストアで買える薬は「OTC医薬品(市販薬)」で、処方箋は不要です。風邪薬や頭痛薬など軽症向けの薬が購入できます。一方、調剤薬局は医師の処方箋がないと薬を出せません。

日本のドラッグストアは生活インフラの一部として非常に充実しており、日用品の購入にも便利です。

歯科・産婦人科など専門医の受診

歯科の受診

日本の歯科治療は保険適用範囲が比較的広く、虫歯治療や歯周病治療は保険が使えます。ただし、インプラント、ホワイトニング、矯正治療は保険適用外(自費診療)です。

歯科は予約制が一般的です。英語対応の歯科は都市部に増えていますが、事前に確認しましょう。

産婦人科の受診

妊娠・出産に関しては、日本独自の制度があります。

  • 母子手帳:妊娠届を提出すると市区町村から交付される
  • 妊婦健診:14回分の公費助成がある
  • 出産費用:約40〜60万円(出産育児一時金として50万円が支給される)

家族と日本生活の完全ガイドも参考にしてください。

メンタルヘルスケア

日本では心療内科や精神科への受診に対する偏見が薄れつつあります。ストレスやうつ症状がある場合は、早めの受診を推奨します。予約が取りにくい場合もあるため、早めに連絡しましょう。

英語対応のカウンセリングサービスは、Tokyo Counseling Servicesなどの情報サイトで探すことができます。

受診時のよくある質問(FAQ)

Q:日本語が話せなくても受診できますか? A:外国語対応の医療機関を選べば、基本的な診察は受けられます。JNTOの医療機関検索で対応言語を確認してください。通訳サービスを利用することも可能です。

Q:保険証を忘れた場合はどうなりますか? A:一旦全額(10割)を支払い、後日保険証を持参すれば差額が返金されます。

Q:クレジットカードは使えますか? A:大病院ではクレジットカード対応が増えていますが、小規模なクリニックでは現金のみの場合もあります。念のため現金を持参しましょう。

Q:母国の薬を日本に持ち込めますか? A:個人使用目的であれば持ち込み可能ですが、薬の種類や量によっては事前に「薬監証明」が必要です。特に精神安定剤や鎮痛剤は注意が必要です。

Q:英語の診断書は発行してもらえますか? A:大きな病院では英語の診断書を発行できることが多いです。ただし、別途料金(3,000〜5,000円程度)がかかる場合があります。

まとめ

日本の医療機関は質が高く、保険制度も充実していますが、外国人にとっては言語や手続きの面でハードルを感じることがあります。この記事のポイントをまとめます。

  • まずはクリニックを受診し、必要に応じて病院へ紹介してもらう
  • 健康保険証と在留カードは必ず持参する
  • 問診票の記入に備えて、症状を日本語でメモしておくと便利
  • 医療費は保険適用で原則3割負担、高額療養費制度もある
  • 救急時は119番、判断に迷ったら#7119に電話
  • 外国語対応医療機関はJNTO厚生労働省のリストで検索

日本の医療制度を正しく理解し、いざという時に慌てないよう準備しておきましょう。住居・生活インフラガイドの他の記事も参考にして、日本での生活基盤を整えてください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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