家族滞在ビザの申請方法と条件

家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)の申請条件、必要書類、手続きの流れ、審査のポイントを徹底解説。扶養要件や年収目安、就労制限、更新手続きまで、外国人が家族を日本に呼ぶための実務情報を網羅的にまとめました。
家族滞在ビザの申請方法と条件|必要書類・審査ポイントを徹底解説
日本で働く外国人にとって、家族と一緒に暮らせるかどうかは非常に大きな関心事です。「家族滞在」の在留資格は、日本で中長期の在留資格を持つ外国人の配偶者や子どもが、扶養を受けながら日本で生活するための在留資格です。本記事では、家族滞在ビザの申請条件、必要書類、審査のポイント、注意点まで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。
家族滞在ビザとは?基本的な概要
家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)は、日本に在留する外国人の扶養を受ける配偶者または子どもが取得できる在留資格です。出入国在留管理庁の公式ページによると、対象となるのは法律上の婚姻関係にある配偶者(夫・妻)および子ども(実子・養子を含む)に限られます。
家族滞在ビザの主な特徴は以下の通りです。
- 扶養者が「教授」「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」などの就労系在留資格を持っていること
- 「留学」ビザの扶養者でも申請可能
- 在留期間は6ヶ月、1年、3年、5年のいずれかで、扶養者の在留期間に連動する
- 原則として就労は認められない
なお、「特定技能1号」や「技能実習」のビザ保持者は、原則として家族帯同が認められていません。ただし、2024年の入管法改正により、特定技能2号の対象分野が大幅に拡大され、家族帯同が可能なビザの種類が増えています。
家族滞在ビザの申請条件と要件
家族滞在ビザを申請するためには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。行政書士法人の解説によると、主な要件は以下の通りです。
扶養要件
審査で最も重視されるのが扶養要件です。これは、日本にいる外国人本人が配偶者や子どもを経済的に支える意思と能力を持っているかどうかを指します。具体的には以下の点が審査されます。
- 年収水準:明確な基準はないが、扶養家族1人で年収300万円以上、2人以上で400〜500万円が目安
- 雇用形態:正社員や長期契約のほうが有利
- 在職期間:安定的に収入を得ている実績があるか
- 生活費全体のバランス:家賃・生活費を含めた家計全体が現実的か
同居要件
家族が実際に一緒に暮らせる住居があるかどうかも重要です。
- ワンルームに家族4人は現実性に欠けるとみなされる
- 家賃が収入に対して過度な負担になっていないか
- 賃貸借契約書に同居に関する制限がないか
身分関係の証明
配偶者の場合は婚姻証明書、子どもの場合は出生証明書など、法律上の身分関係を証明する書類が必要です。
必要書類一覧と準備のポイント
家族滞在ビザの申請に必要な書類は、新規入国(在留資格認定証明書交付申請)と、すでに日本にいる場合(在留資格変更許可申請)で異なります。以下はマイナビグローバルの解説および入管庁の情報を基にまとめたものです。
| 書類 | 新規入国 | 変更申請 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請書/変更許可申請書 | ○ | ○ | 入管庁HPからダウンロード可 |
| 写真(縦4cm×横3cm) | ○ | ○ | 3ヶ月以内に撮影 |
| 返信用封筒(404円切手貼付) | ○ | × | 認定証明書の返送用 |
| 身分関係証明書(婚姻証明書・出生証明書等) | ○ | ○ | 外国語の場合は日本語訳が必要 |
| 扶養者の在留カードのコピー | ○ | ○ | 両面のコピー |
| 扶養者のパスポートのコピー | ○ | ○ | 身分事項のページ |
| 扶養者の職業・収入証明書 | ○ | ○ | 在職証明書、課税証明書など |
| 扶養者の住民税納税証明書 | △ | ○ | 直近1年分 |
| 身元保証書 | △ | △ | 求められる場合あり |
| 質問書 | △ | △ | 配偶者の場合に求められることが多い |
準備のポイント:
- 外国語の書類には必ず日本語の翻訳文を添付する(翻訳者の署名・翻訳日を記載)
- 課税証明書・納税証明書は市区町村役所で取得する
- 書類の有効期限は発行日から3ヶ月以内
申請手続きの流れ【ステップ別解説】
家族を海外から呼び寄せる場合の一般的な手続きの流れを解説します。ビザ専門行政書士の解説を参考にしています。
ステップ1:必要書類の収集
日本側と海外側の両方で書類を準備します。特に海外の婚姻証明書や出生証明書は取得に時間がかかることがあるため、早めに手配しましょう。
ステップ2:在留資格認定証明書(COE)の申請
日本にいる扶養者が、管轄の出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付を申請します。審査期間は通常1〜3ヶ月です。
ステップ3:COEの送付
認定証明書が交付されたら、海外の家族に原本を送付します。COEの有効期限は発行日から3ヶ月(90日)なので、速やかに送付することが大切です。
ステップ4:ビザの申請
海外の家族が、現地の日本大使館・総領事館でCOEを添付してビザ(査証)を申請します。通常1〜2週間で発給されます。
ステップ5:日本への入国
ビザが発給されたら、COEの有効期限内に日本に入国します。入国後は、在留カードが交付されます。
審査で重視されるポイントと不許可になるケース
家族滞在ビザの審査では、以下のポイントが特に重視されます。不許可にならないためにも、事前にしっかり準備することが重要です。
許可されやすいケース
- 扶養者の年収が十分にあり、安定した雇用形態である
- 家族の人数に見合った広さの住居がある
- 婚姻関係・親子関係が明確に証明されている
- 過去に不法滞在や犯罪歴がない
不許可になりやすいケース
- 扶養者の収入が低すぎる(生活保護基準を下回る場合など)
- 婚姻関係に疑義がある(偽装結婚の疑い)
- 扶養者の在留状況に問題がある(税金の滞納、届出義務違反など)
- 虚偽の申告をした場合
不許可になった場合でも、不許可理由を確認し、問題を解決した上で再申請することが可能です。ただし、虚偽申告が発覚した場合は、今後の申請に重大な影響を及ぼすため、正直に申告することが最も重要です。
家族滞在ビザの就労制限と資格外活動許可
家族滞在ビザでは原則として就労は認められません。しかし、入管庁の規定に基づき、資格外活動許可を取得すれば一定の就労が可能になります。
資格外活動許可の概要
- 週28時間以内のアルバイト・パートタイムが可能
- 風俗営業関連の仕事は禁止
- 申請は出入国在留管理局で行う
- 審査期間は通常2週間〜1ヶ月程度
配偶者が日本でフルタイムの仕事をしたい場合は、家族滞在ビザのままでは不可能です。「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザへの在留資格変更を検討する必要があります。詳しくは「配偶者の就労許可と仕事の探し方」をご覧ください。
家族滞在ビザの更新手続き
家族滞在ビザの更新は、在留期限の3ヶ月前から申請可能です。更新時にも、引き続き扶養要件を満たしていることを証明する必要があります。
更新に必要な主な書類
- 在留期間更新許可申請書
- パスポートおよび在留カード
- 扶養者の職業・収入に関する証明書
- 住民税の課税証明書・納税証明書
更新が不許可になるケースとしては、扶養者の収入の減少、扶養関係の変化(離婚など)、長期間の国外滞在などがあります。
子どもの教育と生活に関する注意点
家族滞在ビザで日本に来る子どもについては、教育環境の整備も重要なポイントです。
- 義務教育年齢の子どもは公立学校への入学が可能(無償)
- インターナショナルスクールという選択肢もある
- 日本語が不得意な場合は、子供の日本語学習サポートを活用する
- 子育て支援制度と補助金は外国人家族も利用可能
また、保育園・幼稚園の入園手続きや、PTA活動と学校行事への参加についても事前に理解しておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q1:家族滞在ビザで日本に来た後、離婚した場合はどうなりますか?
離婚した場合、家族滞在ビザの要件を満たさなくなるため、他の在留資格への変更が必要です。詳しくは「国際離婚の手続きと子供の親権問題」をご参照ください。
Q2:高齢の両親を呼び寄せることはできますか?
家族滞在ビザの対象は配偶者と子どものみです。両親を呼ぶ場合は「短期滞在」や「特定活動」など別の在留資格を検討する必要があります。「高齢の親を日本に呼ぶ方法とビザ」で詳しく解説しています。
Q3:在留資格認定証明書(COE)の有効期限が切れた場合は?
COEの有効期限は発行日から3ヶ月(90日)です。有効期限が切れた場合は、再度申請し直す必要があります。
Q4:特定技能1号のビザで家族を呼べますか?
原則として特定技能1号では家族帯同は認められていません。特定技能ビザの詳細についてはこちらをご覧ください。
まとめ:家族滞在ビザ申請を成功させるために
家族滞在ビザの申請を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 扶養能力の証明:十分な収入と安定した雇用形態を証明する
- 書類の正確な準備:必要書類を漏れなく、正確に準備する
- 早めの行動:書類の取得や審査には時間がかかるため、余裕を持って準備する
- 正直な申告:虚偽の申告は絶対に避け、正直に情報を提供する
- 専門家への相談:不安がある場合は、入管業務に詳しい行政書士に相談する
家族と日本で一緒に暮らすという夢を実現するために、本記事の情報を参考にしっかりと準備を進めてください。在留資格全般については「在留資格・ビザの基礎知識完全ガイド」も合わせてお読みいただくことをおすすめします。
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