高齢の親を日本に呼ぶ方法とビザ

高齢の親を日本に呼び寄せる方法を徹底解説します。短期滞在ビザ、特定活動(老親扶養)、高度専門職の特例など在留資格の選択肢と申請条件・必要書類をわかりやすく紹介しています。専門家への相談方法も詳しく解説します。
高齢の親を日本に呼ぶ方法とビザ|在留資格の選択肢を徹底解説
日本で暮らす外国人にとって、高齢の親を母国から日本に呼び寄せたいと考えるのは自然なことです。しかし、日本には外国人の親を長期滞在させるための専用ビザは存在しません。親が高齢になり介護や支援が必要になったとき、あるいは一緒に暮らしたいと思ったとき、どのような選択肢があるのかを正確に理解しておくことが重要です。
本記事では、高齢の親を日本に呼ぶために利用できる在留資格・ビザの種類、それぞれの条件と手続き、注意点について詳しく解説します。
高齢の親を日本に呼ぶビザの現状:基本知識
まず重要な事実として、日本の出入国在留管理法には外国人の親を長期間呼び寄せるための専用の在留資格は定められていません。これは多くの人が見落とすポイントです。
在留資格「家族滞在」は配偶者と子どものみが対象であり、親(父母)は含まれません。このため、親を日本に呼ぶには別の方法を検討する必要があります。
主な選択肢の概要
| ビザの種類 | 対象者 | 在留期間 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 短期滞在(親族訪問) | 誰でも | 最大90日 | 低い |
| 特定活動(老親扶養) | 70歳以上推奨 | 1年(更新可) | 非常に高い |
| 高度専門職の親 | 高度専門職保持者の親 | 在留期間内 | 中程度 |
| 永住者・特別永住者の親 | 特例的 | 制限あり | 高い |
短期滞在ビザ(親族訪問):最も現実的な選択肢
高齢の親を日本に呼ぶ最も手軽で確実な方法が、短期滞在ビザ(親族訪問)です。最大90日間の滞在が認められており、観光・家族との時間・医療目的などに利用できます。
短期滞在ビザの特徴
- 滞在期間:15日・30日・90日のいずれか
- 就労不可:日本での仕事はできない
- 更新不可:同一目的での再入国は原則6ヶ月後
- ビザ免除国:国によってはノービザで入国可能
必要書類(招聘する側)
- 招聘状(呼び寄せる人の署名入り)
- 身元保証書
- 在職証明書または確定申告書
- 住民票(日本在住の招聘者の)
- 在留カードのコピー
注意点
短期滞在の繰り返しは「脱法的な長期滞在」とみなされる場合があり、入国拒否のリスクがあります。親が健康で自立している場合は短期訪問を繰り返す方法もありますが、長期的な同居を希望する場合は別の方法を検討する必要があります。
詳細は親族訪問ビザの申請手続きを参照してください。
特定活動ビザ(老親扶養):長期滞在の唯一の道
高齢の親を日本に長期間呼び寄せる唯一の方法として、特定活動ビザ(老親扶養)があります。ただし、これは法務大臣の特別許可が必要な非常に難易度の高い在留資格です。
特定活動ビザ(老親扶養)の条件
老親扶養ビザの詳細情報によると、以下の条件を満たす必要があります:
- 年齢要件:親が70歳以上であることが推奨(65〜69歳でも重篤な疾病・障害がある場合は審査対象)
- 本国の状況:本国に扶養できる親族(兄弟姉妹など)がいないこと
- 財政的自立困難:親が経済的に自立できない状態であること
- 招聘者の財力:日本にいる子が親を完全に扶養できる経済力を持つこと
- 医療・介護の必要性:何らかの支援や介護が必要な状態であること
申請の難しさ
英語版解説サイトによると、このビザの特徴として:
- 事前に在留資格認定証明書の取得ができない(通常のビザと異なる)
- 短期滞在で入国後、在留資格変更許可申請を行う流れとなる
- 不許可の場合、親は帰国しなければならないリスクがある
- 許可率は非常に低く、専門家(行政書士・弁護士)への相談が必須
特定活動ビザ取得後の在留条件
- 在留期間:1年間(更新可能)
- 就労禁止:日本での仕事は一切できない
- 毎年更新:状況変化がない限り毎年更新が必要
- 健康保険:国民健康保険への加入が必要
高度専門職ビザ保持者:特例的な親の呼び寄せ
在留資格「高度専門職」を保持している外国人には、特例的な親の呼び寄せが認められる場合があります。
条件
- 申請者が高度専門職1号または2号を持つこと
- 12歳未満の実子が日本に在住していること
- 親(または配偶者の親)がその子の養育を補助する目的で来日すること
この制度は高度専門職ビザの優遇措置の一環として設けられており、子育て支援という明確な目的がある場合に限り認められます。エンジニアや研究者など高度人材として働く外国人にとっては有効な選択肢です。
日本でのビザ全般については在留資格・ビザの基礎知識完全ガイドもあわせてご覧ください。
長期滞在に向けた現実的な対策
高齢の親を日本に長期間呼ぶことが難しい現状を踏まえ、現実的な対応策を考えましょう。
1. 短期滞在を繰り返す計画的な訪問
- 90日の短期滞在後、一定期間本国に戻り再入国する
- ただし頻繁な往復は入国管理局から疑念を持たれる可能性あり
- 健康状態が比較的良好な親には有効な選択肢
2. 本国での介護サービスの活用
- 本国の介護施設や訪問介護サービスを手配
- 定期的な帰国で親のそばに寄り添う
- 遠隔でのモニタリングシステムを導入
3. 専門家への相談(行政書士・弁護士)
特定活動ビザを本気で検討する場合は、出入国在留管理の専門家に相談することを強くお勧めします。ケースバイケースの判断が多いため、個別の状況を専門家に評価してもらうことが重要です。
専門家への相談窓口では英語対応も可能な専門家が在留資格の相談を受け付けています。
日本での生活全般については住居・生活インフラ完全ガイドもご参考にしてください。
申請手続きの流れ(特定活動ビザの場合)
特定活動(老親扶養)ビザを申請する場合の一般的な流れを説明します。
ステップ1:事前準備・書類収集
必要書類の準備(本国側・日本側両方)
- 親の年齢・健康状態を証明する書類(医師の診断書等)
- 本国での生活状況・収入・資産の証明
- 本国に他の扶養親族がいないことの証明
- 招聘者(子)の日本での収入・資産・生活状況の証明
ステップ2:専門家への相談
行政書士または弁護士に相談し、申請の可能性を評価してもらう
ステップ3:短期滞在ビザで入国
親が短期滞在(観光・親族訪問)ビザで日本に入国
ステップ4:在留資格変更申請
地方出入国在留管理局に在留資格変更許可申請を提出
ステップ5:審査・判定
- 審査期間は通常1〜3ヶ月
- 不許可の場合は短期滞在期間内に帰国が必要
ステップ6:許可後の手続き
- 在留カードの受け取り
- 住民登録
- 国民健康保険の加入
申請書類チェックリスト
特定活動ビザ申請に必要な主な書類をまとめます。
| 書類 | 提出者 | 備考 |
|---|---|---|
| 在留資格変更許可申請書 | 親(申請人) | 法務省指定様式 |
| パスポート | 親 | 有効期限要確認 |
| 在留カード | 親(現在持っている場合) | - |
| 申請人の写真 | 親 | 4×3cm |
| 扶養者(子)の在留カードコピー | 子 | - |
| 扶養者の住民票 | 子 | 3ヶ月以内発行 |
| 扶養者の課税証明書・納税証明書 | 子 | 直近1年分 |
| 扶養者の在職証明書または確定申告書 | 子 | - |
| 医師の診断書(親の健康状態) | 親 | 日本語翻訳も必要 |
| 本国に扶養できる親族がいないことの証明 | 親 | 公証・翻訳必要 |
| 理由書 | 申請者または弁護士 | 詳細な説明が重要 |
まとめ:現実的なアプローチで高齢の親を支える
高齢の親を日本に呼ぶことは、日本の出入国管理制度の制約から非常に難しいのが現実です。しかし、状況に応じて最適な方法を選ぶことで、親への支援を続けることは可能です。
主要ポイントの整理:
- 日本には親向けの専用長期ビザは存在しない
- 短期滞在(90日)が最も現実的で確実な選択肢
- 特定活動(老親扶養)は70歳以上かつ特別な事情がある場合に可能性あり
- 高度専門職保持者は12歳未満の子の養育目的で親を呼べる
- いずれも専門家への相談が強く推奨される
日本での生活や在留資格について詳しく知りたい方は在留資格・ビザの基礎知識完全ガイド、日本での生活全般については住居・生活インフラ完全ガイドもご参照ください。
困難な状況でも諦めずに、専門家の力を借りながら最善の方法を探していきましょう。親との時間は何事にも代えがたいものです。
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