Dispatch会社 vs 直接雇用の違いと選び方

日本でALT・英語教師として働く際の派遣会社(Dispatch Company)と直接雇用の違いを徹底比較。給料・福利厚生・キャリアパスの面から最適な雇用形態の選び方を解説します。JETプログラムとの比較表付き。
Dispatch会社 vs 直接雇用の違いと選び方|ALT・英語教師の雇用形態を徹底比較
日本で英語教師として働く際、最も重要な選択の一つが雇用形態です。派遣会社(Dispatch Company)を通じて働くか、学校や自治体に直接雇用されるか——この選択は給料、福利厚生、キャリアパスに大きな影響を与えます。
文部科学省の2023年調査によると、公立学校のALTのうち派遣会社経由が34%、直接雇用が20%、JETプログラムが28%を占めています。本記事では、それぞれの雇用形態のメリット・デメリットを詳しく比較し、あなたに最適な選び方をご案内します。
関連記事:英語教師・教育業界で働く完全ガイドもあわせてご覧ください。
派遣会社(Dispatch Company)とは?仕組みと特徴
派遣会社は、自治体や学校と業務委託契約を結び、ALTや英語講師を各学校に配置するサービスを提供しています。代表的な派遣会社には、Interac、Altia Central、Heart English School、AEON(イーオン)などがあります。
派遣会社の仕組みは以下の通りです:
- 自治体・学校が派遣会社と契約を締結
- 派遣会社がALTを採用・研修し、各学校に配置
- ALTは派遣会社との雇用契約のもとで働く
- コーディネーターがスケジュール管理や教材サポートを行う
派遣ALTの勤務時間は通常週29.5時間に規定されていますが、実際には学校間の移動を含めると30〜40時間になることも少なくありません。また、複数の学校を担当するケースも多く、様々な環境で教える経験が積めるのが特徴です。
詳しくはWhat are Dispatch Companies in Japan?(The TEFL Academy)をご参照ください。
直接雇用とは?自治体・学校との直接契約の仕組み
直接雇用とは、派遣会社を介さずに自治体や学校法人と直接雇用契約を結ぶ形態です。直接雇用のALTは、学校のチームの一員としてより深く関わることができ、長期的な関係を構築しやすいのが大きな特徴です。
直接雇用の主な特徴は以下の通りです:
- 契約期間の柔軟性:派遣よりも長期契約が可能なケースが多い
- 業務範囲が広い:授業計画の作成・主導、課外活動への参加など、より責任のある役割を担う
- 学校コミュニティへの参加:職員会議や学校行事にも参加できる
- コスト面:派遣会社のマージンがないため、自治体にとってもコスト効率が良い
直接雇用のポジションを見つける方法については、How To Become a Direct Hire ALT(Jobs in Japan)で詳しく紹介されています。
給料・年収の徹底比較【派遣 vs 直接雇用 vs JET】
雇用形態による給料の差は、英語教師にとって最も気になるポイントです。以下の表で3つの雇用形態を比較してみましょう。
| 項目 | 派遣会社 | 直接雇用 | JETプログラム |
|---|---|---|---|
| 月給 | 18万〜27万円 | 26万〜30万円 | 28万円〜 |
| 年収目安 | 約247万円 | 約312万〜360万円 | 約375万円 |
| 昇給 | ほぼなし | あり(経験による) | 年次昇給あり |
| ボーナス | なし | ある場合も | なし |
| 渡航費 | 自己負担 | 負担あり(多くの場合) | 全額支給 |
| 社会保険 | 会社による | 加入あり | 加入あり |
| 有給休暇 | 限定的 | 20日程度 | 20日 |
| 夏休み・冬休み中の給与 | 日割り(減額) | 全額支給 | 全額支給 |
特に注目すべきは夏休み・冬休み中の給与です。直接雇用やJETでは授業がない期間も全額給与が支払われますが、派遣会社では実際に働いた日数分のみの支払いとなるため、年間の手取り額に大きな差が出ます。
給料の詳細については給料・年収・待遇ガイド【外国人向け】も参考にしてください。
福利厚生・サポート体制の比較
給料以外にも、福利厚生やサポート体制には大きな違いがあります。
派遣会社の福利厚生
- 研修プログラム:来日前後に基本的な研修を提供
- 住居サポート:アパート探しの手伝い(会社により異なる)
- ビザサポート:スポンサーシップを提供
- コーディネーター:問題発生時の相談窓口
- デメリット:有給病欠なし、渡航費自己負担、福利厚生は最小限
直接雇用の福利厚生
- 社会保険完備:健康保険、厚生年金、雇用保険
- 有給病欠20日:派遣にはない大きなメリット
- 渡航費補助:多くの自治体で往復の航空券を支給
- 住居手当:家賃補助や社宅の提供がある場合も
- キャリア開発:研修やスキルアップの機会が充実
JETプログラムの福利厚生
- 渡航費全額負担:日本への往復航空券
- 日本語学習サポート:オンライン教材の無料提供
- TEFL・JLPT助成金:資格取得費用の補助
- メンタルヘルスサポート:カウンセリングサービス
- JET傷害保険:独自の保険制度
福利厚生の詳細は教育業界の福利厚生と休暇制度で紹介しています。
メリット・デメリットの詳細分析
派遣会社のメリット
- 就職のハードルが低い:未経験でも採用されやすく、TEFLやTESOL資格がなくても応募可能
- ビザスポンサーシップ:会社が在留資格の手続きをサポート
- 複数校での経験:様々な学校環境で教える経験が積める
- 責任が軽い:授業計画は基本的にJTE(日本人英語教師)が担当
- 来日が容易:海外からの応募・採用プロセスが確立されている
派遣会社のデメリット
- 低い給与水準:中間マージンにより、教師に渡る報酬が少ない
- 不安定な雇用:契約更新の保証がない
- 限定的な福利厚生:有給病欠なし、社会保険未加入の場合も
- キャリア成長の制限:同じポジションでの長期的な成長が難しい
- 学校とのつながりが薄い:短期間で異動するため、深い関係構築が困難
直接雇用のメリット
- 高い給与水準:派遣より月額8〜12万円高いケースも
- 安定した雇用:長期契約や更新の柔軟性がある
- 充実した福利厚生:社会保険、有給休暇、住居手当など
- キャリア成長:より責任ある役割を通じてスキルアップできる
- 学校コミュニティの一員:職員や生徒との深い関係を構築できる
直接雇用のデメリット
- 採用のハードルが高い:経験や資格、日本語力が求められることが多い
- 求人が少ない:派遣に比べて募集枠が限られている
- 責任が重い:授業計画、成績評価、課外活動など業務範囲が広い
- 柔軟性の低下:勤務時間や配置場所の自由度が低い
- 日本語力が必要:職員会議や保護者対応で日本語スキルが求められる
英語教師に必要な日本語スキルについては、英語教師に必要な日本語レベルとスキルを参照してください。
自分に合った雇用形態の選び方
最適な雇用形態は、あなたのキャリアステージ、目標、生活状況によって異なります。以下のガイドラインを参考にしてください。
派遣会社がおすすめの人
- 初めて日本で働く人:来日のサポートやビザ手続きを任せたい
- 短期滞在を予定している人:1〜2年で帰国予定
- 教育経験が少ない人:まずは教壇に立つ経験を積みたい
- 様々な環境を体験したい人:複数の学校で教える多様な経験を求める
直接雇用がおすすめの人
- 長期滞在を考えている人:3年以上日本に住む予定
- 教育のプロとして成長したい人:授業設計から関わりたい
- 安定した収入と福利厚生を求める人:社会保険や有給休暇が重要
- 日本語力がある程度ある人:N3以上のレベルがあると有利
- コミュニティに深く関わりたい人:学校の一員としての役割を果たしたい
JETプログラムがおすすめの人
- 新卒や若手の人:キャリアのスタートとして最適
- 高い給与と充実したサポートを求める人:最も待遇が良い
- 日本文化交流に興味がある人:国際交流が主な目的
- 地方での生活を楽しめる人:配置先は選べない
JETプログラムの詳細はJETプログラムの応募方法と合格のコツをご覧ください。
派遣から直接雇用への切り替え方法
すでに派遣会社で働いている方が直接雇用に移行する方法もあります。
紹介予定派遣の活用
紹介予定派遣(Temp-to-Perm)は、最長6ヶ月の派遣期間を経て、双方の合意のもと直接雇用に切り替えられる制度です。実際に働きながらお互いの適性を確認できるため、リスクの少ない方法です。
詳しくはIndeed Japan:派遣社員から直接雇用になるためにはをご参照ください。
自力で直接雇用を目指す手順
- ネットワーキング:現在の学校の教職員や自治体の教育委員会との関係を築く
- 日本語力の向上:N3以上を目指して学習する
- 資格の取得:TEFL・TESOL資格を取得してスキルを証明する
- 求人情報の収集:自治体の公式サイトやJREC-INなどで直接雇用の募集をチェック
- 推薦状の確保:現在の学校の先生方から推薦をもらう
契約交渉のポイントについては英語教師の契約更新と給与交渉のコツも参考になります。
ビザ・在留資格の違いと注意点
雇用形態によってビザの種類が異なる場合があります。
| 雇用形態 | 主なビザ | 注意点 |
|---|---|---|
| 派遣会社 | 技術・人文知識・国際業務 | 派遣会社がスポンサー |
| 直接雇用(自治体) | 教育ビザ | 学校教育法上の教育機関が条件 |
| 直接雇用(民間) | 技術・人文知識・国際業務 | 英会話スクール等 |
| JETプログラム | 教育ビザまたは技人国 | JETが手続きを代行 |
ビザの詳細については教育ビザと就労ビザの違いと注意点や在留資格・ビザの基礎知識完全ガイドをご確認ください。
まとめ:自分のキャリアに最適な選択を
派遣会社と直接雇用、それぞれに明確なメリットとデメリットがあります。重要なのは、自分のキャリアステージと目標に合った選択をすることです。
まずは派遣で経験を積み、その後直接雇用やJETプログラムにステップアップするのが一般的なキャリアパスです。どの雇用形態を選ぶにしても、ALT(外国語指導助手)になる方法と条件で基本的な要件を確認し、しっかりと準備をしてから応募することをおすすめします。
英語教師として日本でのキャリアを成功させるためには、雇用形態の選択だけでなく、日々のスキルアップも欠かせません。英語教師の一日のスケジュールと仕事内容を参考に、実際の働き方をイメージしながら、最適な選択をしてください。
参考リンク:
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