接客の日本語と敬語マスターガイド

日本で接客業に就く外国人向けに、接客7大用語、敬語の3分類(尊敬語・謙譲語・丁寧語)、業種別フレーズ、間違い敬語の修正、クッション言葉まで体系的に解説。現場ですぐに使える実践的な接客日本語ガイドです。
接客の日本語と敬語マスターガイド【外国人向け完全解説】
日本で接客業に就く外国人にとって、正しい敬語と接客用語の習得は最大の課題の一つです。コンビニ、レストラン、ホテル、アパレルショップなど、どの業種でも「丁寧な言葉遣い」は求められます。しかし、日本語の敬語は日本人でさえ間違えることが多く、外国人にとってはさらにハードルが高いものです。
このガイドでは、日本語能力と語学スキル向上ガイドと合わせて活用できるよう、接客現場で本当に使える敬語と接客フレーズを体系的に解説します。基本の「接客7大用語」から、業種別の応用表現、よくある間違い敬語の修正まで、現場ですぐに使える実践的な内容をまとめました。
敬語の3つの基本分類を理解しよう
接客で正しい敬語を使うためには、まず敬語の3分類を理解することが不可欠です。敬語には尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類があり、それぞれ使う場面と目的が異なります。
尊敬語(そんけいご) は、お客様の動作や状態を高めて敬意を示す言葉です。たとえば「見る」は「ご覧になる」、「言う」は「おっしゃる」、「来る」は「いらっしゃる」となります。接客では、お客様の行動について話すときに使います。
謙譲語(けんじょうご) は、自分の動作をへりくだって表現することで、相手を間接的に立てる言葉です。「見る」は「拝見する」、「言う」は「申す」、「行く」は「参る」となります。自分やスタッフの行動について話すときに使います。
丁寧語(ていねいご) は、「です」「ます」を付けることで文全体を丁寧にする言葉です。日常会話でも使う最も基本的な敬語で、接客では最低限この丁寧語を使うことが求められます。
| 敬語の種類 | 目的 | 「食べる」の変換例 | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 尊敬語 | お客様を立てる | お召し上がりになる | お客様の動作を話すとき |
| 謙譲語 | 自分をへりくだる | いただく | 自分の動作を話すとき |
| 丁寧語 | 文を丁寧にする | 食べます | 全般的な会話 |
この3つの使い分けが接客敬語の土台となります。動作の主語が「お客様」なら尊敬語、「自分(スタッフ)」なら謙譲語、と意識するだけで正しい敬語が選べるようになります(参考: 接客敬語の基本)。
接客7大用語を完璧にマスターする
日本の接客業で最も重要なのが「接客7大用語」です。これは業種を問わず全ての接客業で使われる基本フレーズで、入社時の研修で最初に教わることが多いです。
- いらっしゃいませ — お客様が来店したときの挨拶。笑顔で明るく、お客様の方を見て言いましょう。
- かしこまりました — お客様の注文・要望を受けたときの返答。「了解しました」ではなく「かしこまりました」が正しい接客敬語です。
- 少々お待ちください(ませ) — お客様を待たせるとき。「ちょっと待ってください」は接客ではNGです。
- お待たせいたしました — 待たせた後に言う言葉。短い時間でも必ず使いましょう。
- ありがとうございます/ありがとうございました — 感謝を伝える最も基本的なフレーズ。会計後やお見送りで使います。
- 申し訳ございません — 謝罪の表現。「すみません」「ごめんなさい」より丁寧で接客に適しています。
- 恐れ入ります — お客様に何かをお願いするとき、または感謝を込めた表現。クッション言葉としても活用されます。
この7つのフレーズは、まず暗記して自然に口から出るようになるまで練習することが大切です。朝の朝礼で全スタッフが唱和する職場も多くあります。発音やイントネーションも含めて、先輩スタッフの言い方を真似してみましょう(参考: 接客7大用語まとめ)。
よくある間違い敬語と正しい表現
接客現場では、一見正しそうに聞こえる「バイト敬語」と呼ばれる間違った敬語表現がよく使われています。これらは日本人スタッフでも間違えることが多いので、外国人のうちから正しい表現を覚えておくと評価が上がります。
| 間違い表現(バイト敬語) | 正しい表現 | 解説 |
|---|---|---|
| よろしかったでしょうか? | よろしいでしょうか? | 現在のことに過去形を使うのは不自然 |
| ○○円になります | ○○円でございます | 「なります」は変化を表す表現で不適切 |
| こちらのほうでよろしいですか? | こちらでよろしいですか? | 「ほう」は方向を指す言葉で余計 |
| ○○のほう、お持ちしました | ○○をお持ちしました | 同様に「ほう」は不要 |
| なるほどですね | おっしゃる通りです | 「なるほど」に「ですね」を付けるのは不自然 |
| 了解しました | かしこまりました | 「了解」は目上の人に使うのは不適切 |
| ○○でよろしかったですか? | ○○でよろしいですか? | 過去形の誤用 |
| お会計の方 | お会計 | 「方」の誤用 |
特に「よろしかったでしょうか」と「○○円になります」は非常に多い間違いです。正しい表現を意識して使い続けることで自然に身についていきます(参考: 間違い敬語の修正)。
業種別・シーン別の接客フレーズ集
接客フレーズは業種によって異なります。ここでは、外国人が多く働く代表的な業種のフレーズを紹介します。飲食・サービス業で働く完全ガイドも併せて参考にしてください。
飲食店での接客フレーズ
- 「いらっしゃいませ。何名様でいらっしゃいますか?」(来店時)
- 「ご注文はお決まりでしょうか?」(注文を取る)
- 「○○でございますね。かしこまりました。」(注文確認)
- 「お待たせいたしました。○○でございます。」(料理の提供)
- 「お下げしてもよろしいでしょうか?」(食器の片付け)
- 「お会計は○○円でございます。」(会計時)
コンビニ・小売店での接客フレーズ
- 「いらっしゃいませ。」(来店時)
- 「袋はご入用でしょうか?」(レジ対応)
- 「○○円お預かりいたします。」(金額の受け取り)
- 「○○円のお返しでございます。」(おつり)
- 「ありがとうございました。またお越しくださいませ。」(お見送り)
ホテル・宿泊施設での接客フレーズ
- 「ようこそお越しくださいました。」(チェックイン時)
- 「ご予約のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」(予約確認)
- 「お部屋までご案内いたします。」(案内時)
- 「何かございましたらフロントまでお申し付けください。」(案内後)
これらのフレーズは、まず自分の働く業種のものから優先的に覚えましょう。
クッション言葉で接客をワンランクアップ
クッション言葉とは、依頼や断り、質問の前に添えることで、表現を柔らかくする言葉です。接客のプロフェッショナルは、このクッション言葉を巧みに使いこなしています。
依頼するとき:
- 「恐れ入りますが、○○をお願いできますでしょうか」
- 「お手数をおかけいたしますが、○○していただけますか」
- 「差し支えなければ、○○を教えていただけますか」
断るとき:
- 「申し訳ございませんが、○○はいたしかねます」
- 「あいにくですが、○○は対応しかねます」
- 「大変恐縮ですが、○○は承りかねます」
質問するとき:
- 「失礼ですが、○○でよろしいでしょうか」
- 「恐れ入りますが、もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」
クッション言葉を使えるようになると、「この人は接客が上手だ」と評価されるようになります。特にクレーム対応では、クッション言葉の有無で印象が大きく変わります(参考: クッション言葉の活用法)。
外国人が接客敬語を効率よく習得する方法
外国人が日本の接客敬語を効率よく身につけるには、いくつかのポイントがあります。完璧な敬語は求められませんが、基本的な接客用語を覚えると職場での評価は大きく上がります。
1. まず接客7大用語を暗記する 最初に取り組むべきは接客7大用語の暗記です。この7つさえ自然に言えれば、接客業務の大半をカバーできます。通勤時間などを活用して毎日声に出して練習しましょう。
2. 業種固有のフレーズを5〜10個覚える 自分が働く業種でよく使うフレーズを選んで覚えます。先輩スタッフの言い方をメモして真似するのが最も効果的です。
3. 間違いを恐れない 外国人はkeigo(敬語)の完璧な使用を期待されていません。間違えても積極的に使う姿勢が大切です。お客様も外国人スタッフの努力を理解してくれることが多いです。
4. 「やさしい日本語」も活用する 外国人のお客様に対応する場合は、過度な敬語より意思疎通の明確さを優先しましょう。たとえば「お召し上がりになりますか?」ではなく「ここで食べますか?」とシンプルに伝える方が効果的な場合もあります(参考: 外国人接客のポイント)。
5. JLPT N3以上を目指す 接客業で必要な敬語力はJLPT N3〜N2レベルに相当します。資格・スキルアップ完全ガイドを参考に、計画的に日本語能力を向上させましょう。
敬語の動詞変換一覧表
接客で頻出する動詞の敬語変換をまとめました。この表を職場に貼っておくと便利です。
| 基本形 | 尊敬語(お客様の動作) | 謙譲語(自分の動作) |
|---|---|---|
| 言う | おっしゃる | 申す・申し上げる |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
| 食べる | お召し上がりになる | いただく |
| 行く | いらっしゃる・おいでになる | 参る・伺う |
| 来る | いらっしゃる・お越しになる | 参る |
| する | なさる | いたす |
| いる | いらっしゃる | おる |
| 知る | ご存じ | 存じる・存じ上げる |
| 聞く | お聞きになる | 伺う・承る |
| 待つ | お待ちになる | お待ちする |
| 座る | おかけになる | — |
| もらう | — | いただく・頂戴する |
この変換表を参考に、日常的に尊敬語と謙譲語の使い分けを練習してください。特に「いらっしゃる」は「行く」「来る」「いる」の3つの尊敬語として使われるため、文脈で判断する力が必要です(参考: 敬語変換ガイド)。
クレーム対応で使える敬語フレーズ
接客業で避けられないのがクレーム対応です。適切な敬語を使うことでお客様の怒りを和らげ、問題を解決に導くことができます。日本のビジネスマナー・文化完全ガイドも参考にしてください。
まず謝罪する:
- 「大変申し訳ございません。ご不快な思いをおかけいたしました。」
- 「ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。」
状況を確認する:
- 「恐れ入りますが、詳しい状況をお聞かせいただけますでしょうか。」
- 「確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか。」
対応を伝える:
- 「すぐに担当者を呼んで参ります。」
- 「代わりの商品をお持ちいたします。」
- 「上の者に確認して参りますので、少々お待ちいただけますでしょうか。」
クレーム対応で最も大切なのは、まず「申し訳ございません」と謝罪することです。たとえ自分に非がないと思っても、お客様の気持ちに寄り添う姿勢を見せることが重要です。外国人スタッフの場合、無理に一人で対応しようとせず、「担当者を呼んで参ります」と伝えて先輩に引き継ぐことも大切な判断です。
まとめ:接客敬語は「練習」と「実践」で身につく
日本の接客敬語は確かに複雑ですが、外国人スタッフに完璧な敬語は求められていません。まずは接客7大用語をしっかり覚え、自分の業種で使うフレーズを5〜10個マスターすることから始めましょう。
敬語の上達に近道はありませんが、毎日の業務の中で意識して使い続けることで、必ず身についていきます。間違いを恐れず、積極的に使う姿勢が何より大切です。
日本で接客業のキャリアを築きたい方は、転職・キャリアアップ戦略完全ガイドや求人サイト・転職エージェント活用ガイドも参考にして、スキルアップと並行してキャリアの可能性を広げてください。
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