日本でのビジネス登記手続きガイド

外国人が日本で法人を設立するためのビジネス登記手続きを完全解説。株式会社・合同会社の設立費用比較、必要書類一覧、登記手順を7ステップで紹介。経営管理ビザとの関連や設立後に必要な届出手続きも詳しく説明します。日本での起業を目指す外国人必見のガイドです。
日本でのビジネス登記手続きガイド|外国人のための法人設立ステップ
日本でビジネスを始めたい外国人にとって、法人登記の手続きは最も重要なステップの一つです。近年、日本政府は外国人起業家の受け入れを積極的に推進しており、2024年以降は全代表取締役が海外在住でも会社設立申請が可能になるなど、制度の改善が進んでいます。しかし、実際の登記手続きには多くの書類準備や法的要件があり、正しい知識なしに進めると時間とコストの無駄になりかねません。
この記事では、外国人が日本で法人を設立するためのビジネス登記手続きを、ステップごとにわかりやすく解説します。起業・フリーランスガイドと合わせてご覧ください。
日本で設立できる法人の種類と特徴
日本で外国人が設立できる主な法人形態は以下の通りです。それぞれの特徴を理解して、自分のビジネスに最適な形態を選びましょう。
| 法人形態 | 登録免許税 | 定款認証 | 設立期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社(KK) | 最低15万円 | 必要(約5万円) | 2~3週間 | 信用度が高く、大企業向け |
| 合同会社(GK/LLC) | 最低6万円 | 不要 | 1~2週間 | 設立コスト低く、中小企業向け |
| 一般社団法人 | 最低6万円 | 必要 | 2~3週間 | 非営利活動向け |
| 合名会社 | 最低6万円 | 不要 | 1~2週間 | 無限責任、小規模向け |
株式会社(Kabushiki Kaisha)は日本で最も一般的な法人形態で、社会的信用度が高いため、大手企業との取引やビジネスの拡大を目指す場合に適しています。一方、合同会社(Godo Kaisha)は設立費用が安く手続きも簡易なため、スタートアップやスモールビジネスに最適です。
法人設立前に必要な準備事項
登記手続きに入る前に、以下の項目を事前に決定・準備しておく必要があります。
会社の基本事項の決定:
- 商号(会社名):同一住所に同一商号の法人がないか法務局で確認
- 事業目的:定款に記載する事業内容を明確に定義
- 本店所在地:登記する住所(バーチャルオフィスも可能)
- 資本金の額:1円から設立可能だが、経営管理ビザ取得には500万円以上が推奨
- 事業年度:決算期の設定(1年以内の任意の期間)
- 発起人・出資者:株式会社の場合、1名以上の発起人が必要
- 取締役の選任:最低1名以上の取締役が必要
特に外国人の場合、経営管理ビザの取得要件との整合性を確認することが重要です。資本金500万円以上または常勤従業員2名以上の雇用が、ビザ取得の基本条件となります。
法人登記の具体的な手順【7ステップ】
実際の登記手続きは以下の7ステップで進めます。法務省の公式ガイドも参考にしてください。
ステップ1:会社の実印を作成する
法人の代表者印(会社実印)を作成します。サイズは直径1cm以上3cm以内の正方形に収まるものと定められています。印鑑は法務局に届出する必要があるため、登記前に準備しましょう。
ステップ2:定款を作成する
定款は会社の基本的なルールを定めた文書です。記載事項には以下の3種類があります:
- 絶対的記載事項:商号、事業目的、本店所在地、設立時の出資額、発起人の氏名住所
- 相対的記載事項:株式の譲渡制限、取締役会の設置など
- 任意的記載事項:事業年度、役員報酬に関する規定など
外国語で作成した定款でも受理されますが、日本語翻訳を添付する必要があります。
ステップ3:定款の認証を受ける(株式会社のみ)
株式会社の場合、作成した定款を公証役場で認証してもらいます。認証手数料は資本金の額に応じて3万円~5万円です。合同会社の場合は定款認証が不要なため、このステップを省略できます。
ステップ4:資本金を払い込む
発起人の個人口座に資本金を振り込みます。海外から送金する場合は、為替手数料や送金日数を考慮しましょう。払込後は通帳のコピーまたは取引明細書を保管してください。
ステップ5:登記申請書類を作成する
必要な書類一覧は以下の通りです:
- 登記申請書
- 定款(認証済み)
- 発起人の同意書
- 設立時取締役の就任承諾書
- 払込証明書
- 印鑑届出書
- 取締役の本人確認書類(外国人の場合はパスポートまたは在留カード)
外国人の場合、日本の印鑑証明書が取得できない場合は、本国の公証人が認証したサイン証明書で代用できます。
ステップ6:法務局に登記申請する
管轄の法務局に書類を提出します。申請方法は窓口提出・郵送・オンライン申請の3つがあります。登録免許税は株式会社の場合、資本金の0.7%(最低15万円)です。
ステップ7:登記完了と登記簿謄本の取得
申請から約1~2週間で登記が完了します。完了後は登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取得しましょう。銀行口座開設やその後の各種届出に必要になります。
登記完了後に必要な届出・手続き
法人登記が完了しても、ビジネスを開始するためにはさらに複数の届出が必要です。
| 届出先 | 届出内容 | 期限 |
|---|---|---|
| 税務署 | 法人設立届出書、青色申告承認申請書 | 設立後2ヶ月以内 |
| 都道府県税事務所 | 法人設立届出書 | 各都道府県の規定による |
| 市区町村役場 | 法人設立届出書 | 各市区町村の規定による |
| 年金事務所 | 社会保険加入手続き | 設立後5日以内 |
| 労働基準監督署 | 労災保険の加入 | 従業員雇用後10日以内 |
| ハローワーク | 雇用保険の加入 | 従業員雇用後10日以内 |
| 銀行 | 法人口座開設 | できるだけ早く |
税金・社会保険の詳細については、別記事で詳しく解説しています。特に法人口座の開設は、外国人経営者の場合審査が厳しくなる傾向があるため、早めに準備を始めることをおすすめします。
外国人がビジネス登記で注意すべきポイント
外国人が日本で法人を設立する際には、日本人とは異なるいくつかの注意点があります。
在留資格との関連:
日本国内で事業を経営するには、原則として「経営・管理ビザ」の取得が必要です。技術・人文知識・国際業務ビザなど他の在留資格では、代表取締役として事業経営を行うことが認められない場合があります。JETROの公式ガイドも確認しておきましょう。
言語の壁への対策:
登記関連の書類は基本的に日本語で作成する必要があります。行政書士や司法書士など、外国人対応が可能な専門家に依頼することで、スムーズに手続きを進められます。最近は外国語対応の設立支援サービスも増えています。
資本金の考慮:
法律上は1円でも会社設立が可能ですが、以下の理由から十分な資本金を用意することが推奨されます:
- 経営管理ビザの取得には500万円以上が目安
- 取引先からの信用度に影響
- 法人口座開設の審査に影響
- 事業開始後の運転資金として必要
法人設立にかかる費用の総まとめ
日本で法人を設立する際にかかる主な費用をまとめます。
| 費用項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 15万円~ | 6万円~ |
| 定款認証手数料 | 3~5万円 | 不要 |
| 定款用収入印紙 | 4万円(電子定款なら不要) | 4万円(電子定款なら不要) |
| 会社印鑑作成 | 5千円~3万円 | 5千円~3万円 |
| 登記簿謄本取得 | 600円/通 | 600円/通 |
| 司法書士報酬 | 10~30万円 | 5~15万円 |
| 合計目安 | 約25~50万円 | 約12~25万円 |
自分で手続きを行えば専門家報酬は不要ですが、外国人の場合は書類の不備によるやり直しリスクを考えると、専門家への依頼をおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q: 外国人でも日本で会社を設立できますか?
はい、外国人でも制限なく日本で法人を設立できます。取締役が全員外国人でも問題ありません。2024年以降は、全代表取締役が海外在住でも会社設立申請が可能になりました。
Q: 日本語ができなくても登記手続きは可能ですか?
可能ですが、書類は日本語での作成が基本です。外国語の書類には日本語翻訳を添付する必要があります。行政書士や司法書士に依頼すれば、言語の問題を解決できます。
Q: 会社設立にどのくらいの期間がかかりますか?
一般的に株式会社は2~3週間、合同会社は1~2週間です。書類の準備期間を含めると、1~2ヶ月程度を見込んでおくのが安全です。
Q: バーチャルオフィスでも法人登記は可能ですか?
はい、バーチャルオフィスの住所で法人登記は可能です。ただし、経営管理ビザの申請時には実際の事業所の確認が必要になる場合があります。
日本での就職活動ガイドや労働法・職場の権利についても、日本でのビジネス展開を検討されている方はぜひ参考にしてください。
まとめ:日本でのビジネス登記を成功させるために
日本でのビジネス登記手続きは、正しい知識と準備があれば外国人でもスムーズに進められます。ポイントを整理すると:
- 法人形態の選択:株式会社か合同会社かを事業規模に応じて選ぶ
- 在留資格の確認:経営管理ビザの要件を事前に把握する
- 十分な資本金:ビザ取得と信用度のため500万円以上を推奨
- 専門家の活用:司法書士や行政書士に相談して手続きを効率化
- 設立後の届出:税務署、年金事務所などへの届出を忘れずに
日本政府は外国人起業家の支援策を年々拡充しており、スタートアップビザ制度や各自治体の起業支援プログラムも活用できます。しっかりとした準備で、日本でのビジネスを成功させましょう。
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