forworkinJapanforworkinJapan
日本のビジネスマナー・文化完全ガイド

ビジネスランチ・会食のマナーガイド

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
ビジネスランチ・会食のマナーガイド

日本で働く外国人向けにビジネスランチ・会食のマナーを徹底解説。席順(上座・下座)、乾杯の作法、箸のタブー、お店選び、支払いルール、お礼の伝え方まで、日本のビジネス会食を成功させるための完全ガイドです。

ビジネスランチ・会食のマナーガイド【外国人が知るべき日本の作法】

日本で働く外国人にとって、ビジネスランチや会食は単なる食事ではなく、信頼関係を築くための重要なビジネスシーンです。取引先との接待、上司との昼食会、チームの親睦会など、さまざまな場面で正しいマナーが求められます。しかし、日本独自のルールや暗黙の了解が多いため、知らないうちに失礼をしてしまうことも少なくありません。

このガイドでは、外国人ビジネスパーソンが日本のビジネスランチ・会食を成功させるために知っておくべきマナーと実践的なアドバイスを詳しく解説します。席順や乾杯の作法から、お店選び、会話術、支払いのルールまで、網羅的にカバーしています。

関連記事として、日本のビジネスマナー・文化完全ガイドも併せてご覧ください。

ビジネスランチと会食の違いを理解する

日本のビジネスシーンでは、「ランチミーティング」と「会食・接待」は異なる意味合いを持ちます。それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。

項目ビジネスランチ会食・接待
時間帯昼食時(11:30〜14:00)夕方〜夜(18:00〜21:00)
目的業務打ち合わせ、情報交換関係構築、お礼、商談
雰囲気カジュアル〜セミフォーマルフォーマル
費用1人1,000〜3,000円程度1人5,000〜20,000円以上
飲酒基本的になしお酒を伴うことが多い
場所レストラン、カフェ料亭、個室のあるレストラン
服装通常のビジネスウェアビジネスフォーマル

ビジネスランチは比較的気軽な場ですが、マナーの基本は変わりません。特に初めての取引先や上司との食事では、フォーマルなマナーを心がけましょう。

飲み会・接待のマナーガイドも参考になります。

お店選びのポイントと事前準備

会食やビジネスランチの成否は、お店選びの段階で決まると言っても過言ではありません。以下のポイントを押さえましょう。

お店選びの5つの基準

  1. アクセスの良さ — 相手のオフィスや最寄り駅から近い場所を選ぶ。迷いにくい立地が理想的です
  2. 個室の有無 — 込み入った話をする場合は個室を確保する。ランチでも個室があると安心です
  3. 落ち着いた雰囲気 — 騒がしい店は避け、会話がしやすい環境を選ぶ
  4. 予算に合った店 — 接待なら1人5,000円以上、ランチなら1,500〜3,000円程度が目安
  5. 料理のジャンル — 相手の好みに合わせる。和食は無難な選択肢です

事前確認事項

会食をセッティングする際は、必ず以下を事前に確認しましょう。

  • 食物アレルギーの有無 — 命に関わるため、最優先で確認する
  • 食の好み・苦手なもの — 宗教上の制限(ハラール、コーシャ等)も含む
  • 喫煙の有無 — 禁煙・喫煙可能な席の確認
  • 日時の都合 — 相手のスケジュールを最優先する

初めて利用するお店の場合は、事前に下見をすることを強くおすすめします。料理の味、サービスの質、個室の防音性、トイレの場所などを確認しておくと安心です。

席順(上座・下座)の基本ルール

日本のビジネス会食で最も重要なマナーの一つが席順です。上座(かみざ)・下座(しもざ)のルールを間違えると、相手に失礼な印象を与えてしまいます。

基本的な席順のルール

  • 上座(かみざ) — 入口から最も遠い席。ゲストや目上の人が座る
  • 下座(しもざ) — 入口に最も近い席。幹事やホスト側が座る
  • 中間の席 — 役職や年齢の順に配置する

座席タイプ別の席順

テーブル席の場合: 入口から遠い側の中央が最上位の席です。その隣がナンバー2の席になります。ホスト側は入口に近い側に座ります。

座敷の場合: 床の間がある部屋では、床の間の前が最上位の席です。出入口に最も近い席が幹事席になります。

カウンター席の場合: 中央の席が上座で、端の席が下座になります。ただし、カウンターでの会食はカジュアルな場面に限られます。

席順に迷ったら、「奥の席にどうぞ」とゲストを案内すれば基本的に問題ありません。日本の上下関係の理解も参考にしてください。

乾杯・飲酒のマナーと注意点

ビジネス会食では飲酒を伴うことが多く、乾杯や注ぎ合いにもルールがあります。

乾杯の作法

  1. 全員のグラスに飲み物が注がれるまで待つ
  2. 最も役職の高い人が音頭をとる — 勝手に乾杯しない
  3. 「乾杯!」の声に合わせてグラスを上げる
  4. グラス同士をぶつけない — フォーマルな会食では目を合わせる程度にする
  5. 目上の人よりグラスの位置を低くする — さりげなく下から合わせる

お酒の注ぎ方

  • 相手のグラスが空いたら、「お注ぎしましょうか」「次は何を飲まれますか」と声をかけてから注ぐ
  • 自分で自分のお酒を注がない(「手酌」は避ける)
  • ビール瓶はラベルを上にして両手で持って注ぐ
  • 日本酒は片手で徳利を持ち、もう片方の手を添えて注ぐ

お酒が飲めない場合

お酒が飲めない場合は、最初に「お酒が飲めないので、ソフトドリンクでよろしいでしょうか」と伝えましょう。無理に飲む必要はありません。乾杯だけはグラスを合わせ、口をつける程度にすればマナー違反にはなりません。

食事中の基本マナーとタブー

食事中に気をつけるべきマナーは多岐にわたります。特に以下のポイントは外国人が見落としやすいものです。

箸の使い方の基本

日本の箸のマナーは細かいルールが多いですが、最低限以下のことは避けましょう。

  • 刺し箸(さしばし) — 料理に箸を突き刺して食べること
  • 渡し箸(わたしばし) — 箸から箸へ食べ物を渡すこと(葬儀の火葬を連想させる)
  • 迷い箸(まよいばし) — どの料理を取るか迷って箸を料理の上でウロウロさせること
  • 指し箸(さしばし) — 箸で人を指すこと
  • 立て箸(たてばし) — ご飯に箸を突き立てること(仏事を連想させる)

箸置きがある場合は、食事の途中で箸を置く際に必ず使いましょう。箸置きがない場合は、割り箸の袋を折って代用するのもマナーの一つです。

食事中に避けるべき行動

  • 口に食べ物が入った状態で話す
  • 食事中にスマートフォンを操作する
  • 大声で店員を呼ぶ(手を軽く上げるか、目で合図する)
  • 許可なく料理の写真を撮影する
  • 食事中に鼻をかむ(席を外して行う)

服装・身だしなみのビジネスルールと合わせて、総合的な印象アップを目指しましょう。

会話術とコミュニケーションのコツ

ビジネスランチ・会食では、食事のマナーと同じくらい会話の内容と進め方が重要です。

適切な話題

  • 業界の最新動向やニュース — ビジネスに関連する話題
  • 趣味やスポーツ — ゴルフ、旅行、グルメなど共通の話題
  • 相手の会社の最近の成果 — 相手を褒める話題
  • 日本の文化や季節の話題 — 外国人ならではの視点を活かす

避けるべき話題

  • 政治や宗教に関する議論
  • 自慢話や他社の悪口
  • 給料や個人的な財務状況
  • 機密情報や社内のゴシップ

会話の進め方

  1. 最初は軽い話題から始める — いきなりビジネスの話に入らない
  2. 相手の話をよく聞く — 相槌を打ち、興味を示す
  3. ビジネスの話は食事の中盤以降 — ランチなら食後のコーヒータイムが最適
  4. 自社の機密情報は漏らさない — 公共の場であることを意識する

異文化コミュニケーションの課題と解決法も参考にして、効果的な会話を心がけましょう。

支払い・会計のルールとお礼の伝え方

会食の最後に気を抜いてはいけません。支払いやお礼にもしっかりとしたルールがあります。

支払いのルール

シチュエーション支払い方法
自社が接待する側全額自社負担。事前にカードで支払いを済ませておくのがベスト
接待される側相手の好意に甘える。会計時に財布を出す素振りは見せる
ビジネスランチ(対等な関係)割り勘が一般的。ただし誘った側が払うことも
上司との食事上司がご馳走してくれることが多い。1回目は甘え、次回は自分が誘う

重要なポイント: 日本ではチップは不要です。渡すとかえって混乱を招くため、チップを置く習慣がある国の出身の方は注意しましょう。

会計時のスマートな対応

  • 接待の場合 — ゲストが席を立つ前に会計を済ませる。「お手洗いに行く」などと言って席を外し、その間に支払いを済ませるのが上級テクニック
  • 領収書は必ずもらう — 会社の経費精算に必要。「領収書をお願いします」と伝える
  • 宛名を確認 — 会社名で発行してもらう場合は正確な会社名を伝える

お礼の伝え方

  • 当日中 — 会食終了後、その日のうちにお礼のメールを送る
  • 翌日 — 翌朝、職場で会った際にも「昨日はありがとうございました」と伝える
  • メールの内容 — 料理の感想や会話で印象に残ったことに触れると好印象

ビジネスメールの書き方とマナー集を参考に、適切なお礼メールを送りましょう。

外国人が陥りやすい失敗と対処法

日本の会食マナーは独特で、外国出身のビジネスパーソンが戸惑うポイントが多くあります。以下は典型的な失敗例と対処法です。

よくある失敗パターン

1. 席順を気にせず好きな席に座る → 対処法:必ず「どちらに座ればよいですか?」と確認する。基本は奥の席をゲストに譲る。

2. 自分でお酒を注いでしまう → 対処法:相手に注いでもらうのを待つ。自分からは相手のグラスに注ぐことを心がける。

3. 食事中にスマホを見てしまう → 対処法:食事前にマナーモードに設定し、カバンにしまう。緊急の場合は「すみません、急ぎの連絡が…」と断ってから確認する。

4. チップを置いてしまう → 対処法:日本ではチップ文化がないことを覚えておく。テーブルにお金を置くと忘れ物と思われる。

5. 会食後にお礼を言い忘れる → 対処法:会食当日にお礼メールを送るリマインダーを設定しておく。

知っておくと便利な日本語フレーズ

フレーズ意味使うタイミング
「いただきます」食事を始めます食べ始める前
「ごちそうさまでした」ご馳走をありがとう食事が終わった時
「お先にどうぞ」どうぞ先に料理を相手に勧める時
「おいしいですね」おいしいです食事中の感想
「お注ぎしましょうか」注ぎましょうかお酒を勧める時
「もう少しいかがですか」もう少しどうですか追加を勧める時

まとめ:ビジネスランチ・会食を成功させるチェックリスト

ビジネスランチ・会食は、外国人が日本のビジネス社会で信頼を築くための重要な機会です。以下のチェックリストを活用して、万全の準備で臨みましょう。

事前準備:

  • 相手のアレルギー・食の好み・喫煙の有無を確認した
  • アクセスが良く、雰囲気の良いお店を予約した
  • 個室が必要な場合は確保した
  • 初めてのお店なら下見をした

当日:

  • 席順のルールを把握している
  • 乾杯の作法を理解している
  • 箸のタブーを覚えている
  • スマートフォンはマナーモードにした

食事後:

  • 当日中にお礼メールを送った
  • 翌日、直接お礼を伝えた

日本のビジネスマナーは奥が深いですが、「相手を敬い、感謝を伝える」という基本を忘れなければ、大きな失敗は避けられます。日本の職場文化の基本ルール社内コミュニケーションの取り方とコツも合わせて学び、日本のビジネス社会で活躍してください。

参考リンク:

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

プロフィールを見る →

関連記事

冠婚葬祭のビジネスマナーと対応法

冠婚葬祭のビジネスマナーと対応法

日本で働く外国人向けに、結婚式・葬儀のビジネスマナーを徹底解説。ご祝儀・香典の金額相場、服装ルール、お祝い・お悔やみの言葉、焼香の作法まで、冠婚葬祭の基本をわかりやすくまとめた完全ガイドです。職場での対応法も詳しく紹介。

続きを読む →
日本企業の意思決定プロセス(稟議制度)

日本企業の意思決定プロセス(稟議制度)

日本企業で使われる稟議制度(りんぎせいど)の仕組み・歴史的背景・メリットとデメリットを外国人向けに徹底解説します。根回し文化や電子稟議システムの最新動向、外国人が稟議を成功させるための実践的なテクニックも詳しく紹介。日本の職場で活躍するために必要な知識をまとめました。

続きを読む →
異文化コミュニケーションの課題と解決法

異文化コミュニケーションの課題と解決法

日本で働く外国人が直面する異文化コミュニケーションの課題と解決法を徹底解説。ハイコンテクスト文化の理解、職場での実例、5つの実践的アプローチ、ビジネスシーン別の対策まで、すぐに役立つ情報を網羅しています。

続きを読む →
日本の残業文化との上手な付き合い方

日本の残業文化との上手な付き合い方

日本の残業文化の背景、法的ルール、統計データから外国人が実践できる7つの対処法まで徹底解説。36協定、働き方改革、残業代の計算方法、残業の少ない企業の見極め方など、日本で快適に働くための実践的なガイドです。

続きを読む →
社内コミュニケーションの取り方とコツ

社内コミュニケーションの取り方とコツ

日本の職場で外国人が信頼されるための社内コミュニケーションのコツを徹底解説。報連相の基本から傾聴力の高め方、上司・同僚別の対応方法、よくあるNG行動、オンラインコミュニケーションの注意点まで網羅的にガイドします。

続きを読む →
年賀状・季節の挨拶のビジネスマナー

年賀状・季節の挨拶のビジネスマナー

日本のビジネスシーンにおける年賀状の書き方・賀詞の選び方・季節の挨拶(時候の挨拶)を外国人向けに徹底解説。月別の挨拶例文一覧表、投函スケジュール、喪中のマナー、宛名の書き方など実践的なポイントを詳しく紹介します。

続きを読む →