日本の製造業で外国人が働く方法と条件

日本の製造業で外国人が働くための在留資格(特定技能・技能実習・技人国ビザ)の種類、取得条件、給料水準、注意点を徹底解説。2024年最新の制度改正情報や育成就労制度への移行についても網羅した、製造業就職を目指す外国人のための完全ガイドです。
日本の製造業で外国人が働く方法と条件
日本の製造業は、外国人労働者にとって最も身近で、かつ最大の雇用先です。厚生労働省のデータによると、2024年10月末時点で外国人労働者数は約230万人に達し、そのうち製造業で働く外国人は約59万8,000人(全体の26.0%)と、産業別で最多を占めています。この記事では、日本の製造業で外国人が働くための在留資格の種類、必要な条件、そして就職までの具体的な流れを徹底解説します。
在留資格やビザの基本を理解したい方は、まず「在留資格・ビザの基礎知識完全ガイド」をご確認ください。
製造業で外国人が利用できる在留資格の種類
日本の製造業で外国人が働くためには、適切な在留資格(就労ビザ)を取得する必要があります。主に利用できる在留資格は以下の6種類です。
特定技能ビザ
特定技能ビザは、人手不足が深刻な産業分野で外国人材を受け入れるための制度です。製造業では「工業製品製造業」分野が対象となり、2024年の制度改正で対象業種がさらに拡大されました。特定技能1号では最長5年、特定技能2号では在留期間の上限なく働くことが可能です。
取得条件:
- 分野別の特定技能試験に合格、または技能実習2号を良好に修了
- 日本語能力試験N4以上に合格
- 18歳以上であること
特定技能ビザの最大のメリットは、製造ラインでの単純作業を含む幅広い業務に従事できる点です。
技能実習ビザ
技能実習制度は、発展途上国の人材が日本で技能を習得し、母国の経済発展に貢献することを目的とした制度です。製造業では91業種168作業が対象となっています。ただし、この制度は2027年から「育成就労制度」へと移行する予定です。
取得条件:
- 送出機関を通じた応募
- 受入企業が監理団体に加入していること
- 技能実習計画の認定を受けること
技術・人文知識・国際業務ビザ
技術・人文知識・国際業務ビザは、専門的な知識や技術を活かして働くための在留資格です。製造業では、エンジニアリング、品質管理、生産管理、国際営業、通訳・翻訳などの業務で活用されます。
取得条件:
- 日本または海外の大学(短大含む)卒業、または日本の専門学校卒業
- 実務経験10年以上(国際業務は3年以上)でも可
- 業務内容と学歴・職歴の関連性があること
注意点: 工場内勤務での技人国ビザの審査は非常に厳しく、現場での単純作業に従事させることは認められていません。
特定活動ビザ(告示46号)
特定活動ビザ(告示46号)は、日本の大学を卒業し高い日本語能力を持つ外国人が、幅広い業務に従事できる在留資格です。製造ラインでの作業と外国人従業員への指導を組み合わせるなど、柔軟な働き方が可能です。
身分系の在留資格
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格を持つ方は、就労制限がなく、日本人と同様にどのような業務にも従事できます。製造業の現場作業から管理職まで、自由に仕事を選ぶことができます。
資格外活動許可(アルバイト)
留学生や家族滞在の在留資格を持つ方は、資格外活動許可を取得することで、週28時間以内であれば製造業でもアルバイトとして働くことが可能です。
在留資格別の比較表
製造業で働くための主な在留資格を比較すると、以下のようになります。
| 在留資格 | 在留期間 | 単純作業 | 学歴要件 | 日本語要件 | 転職の自由 |
|---|---|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 最長5年 | ○ 可能 | 不要 | N4以上 | 同分野内で可 |
| 特定技能2号 | 制限なし | ○ 可能 | 不要 | 不要 | 同分野内で可 |
| 技能実習 | 最長5年 | ○ 可能 | 不要 | 不要 | × 原則不可 |
| 技人国 | 最長5年(更新可) | × 不可 | 大学卒以上 | 求められる場合あり | ○ 自由 |
| 特定活動46号 | 最長5年(更新可) | ○ 可能 | 日本の大学卒 | N1相当 | ○ 自由 |
| 身分系 | 資格による | ○ 可能 | 不要 | 不要 | ○ 自由 |
この表からわかるように、製造ラインでの作業に就きたい場合は特定技能ビザか技能実習ビザが最適です。一方、エンジニアや管理職として働きたい場合は技人国ビザが適しています。
製造業で求められるスキルと日本語力
製造業で外国人が活躍するためには、技術的なスキルに加えて日本語能力が重要です。
求められる日本語レベル
業務内容によって必要な日本語力は異なります。
- 製造ライン作業(特定技能):日本語能力試験N4以上。作業指示を理解し、安全確認ができるレベル
- 品質管理・生産管理(技人国):N2以上が望ましい。報告書作成やミーティングでの発言が求められる
- 管理職・エンジニア:N1レベル。技術文書の読解や社内外のコミュニケーションに必要
技術スキル
製造業では、以下のスキルや資格が評価されます。
- 機械加工の基礎知識
- 電気・電子回路の知識
- 品質管理(QC検定)
- フォークリフト運転技能
- 溶接技能
- CAD/CAMの操作スキル
製造業で働くまでの具体的な流れ
外国人が日本の製造業で働くまでの一般的な流れを、ビザの種類別に解説します。
特定技能ビザで働く場合
- 技能試験と日本語試験の準備 - 各分野の特定技能評価試験と日本語能力試験N4に向けて学習
- 試験に合格 - 国内外で実施される試験を受験
- 求人を探す - 求人サイトや転職エージェントを活用して企業を探す
- 雇用契約の締結 - 企業との面接を経て雇用契約を結ぶ
- 在留資格認定証明書の申請 - 企業が入管に申請を代行
- ビザの発給・入国 - 在外公館でビザを取得し来日
技能実習で働く場合
- 送出機関への登録 - 母国の政府認定送出機関に登録
- マッチング - 日本の監理団体を通じて受入企業とマッチング
- 入国前講習 - 日本語や日本の習慣について学ぶ
- 来日・入国後講習 - 約1ヶ月間の講習を受講
- 技能実習開始 - 実習計画に基づいて実習を開始
製造業の外国人労働者の給料と待遇
製造業で働く外国人の給料・待遇は、在留資格や経験によって大きく異なります。
給与水準の目安
- 特定技能:月給18万〜25万円(地域・企業規模による)
- 技能実習:月給16万〜22万円(最低賃金以上が義務)
- 技人国(エンジニア):月給22万〜35万円
- 管理職クラス:月給30万〜50万円以上
福利厚生
日本の製造業では、外国人労働者にも日本人と同じ待遇が法律で保障されています。具体的には以下の通りです。
- 社会保険(健康保険・厚生年金)への加入
- 有給休暇の付与
- 残業手当の支払い
- 寮や社宅の提供(特に地方の工場では多い)
- 通勤手当・家族手当などの支給
外国人労働者の労働者としての権利は、国籍に関わらず日本の労働基準法で守られています。
製造業で働く際の注意点
外国人が日本の製造業で働く際に知っておくべき重要な注意点をまとめます。
在留資格と業務内容の一致
在留資格で認められた範囲外の業務に従事すると、不法就労に該当する可能性があります。例えば、技人国ビザで単純な製造ライン作業に従事することは認められていません。企業側も罰則の対象となるため、就職前に業務内容を必ず確認してください。
労働環境の確認
製造業では、工場での立ち仕事や交替制勤務が一般的です。就職前に以下の点を確認しましょう。
- 勤務時間とシフト体制
- 安全教育の実施状況
- 日本語でのコミュニケーションサポート
- 住居のサポート体制
制度変更への対応
2027年には技能実習制度が「育成就労制度」に移行する予定です。現在技能実習で働いている方や、これから制度を利用する予定の方は、最新のビザ制度変更情報を定期的にチェックすることをおすすめします。
外国人労働者の国籍別状況と今後の展望
外国人労働者の出身国別に見ると、製造業ではベトナム(約25%)、中国(約18%)、フィリピン、ブラジル、インドネシアからの労働者が多い傾向にあります。
日本政府は深刻な人手不足に対応するため、外国人材の受け入れ拡大を進めています。2024年には特定技能の対象分野が16分野に拡大され、製造業でもより多くの外国人労働者の受け入れが可能になりました。
今後も製造業・工場で働く外国人の需要は増加すると予想されており、日本語力と専門スキルを身につけた外国人材にとって、製造業は安定したキャリアを築ける魅力的な選択肢と言えるでしょう。
まとめ
日本の製造業で外国人が働くためのポイントを整理すると、以下のようになります。
- 在留資格の選択が最重要 - 自分の学歴・経験・希望する業務内容に合った在留資格を選ぶこと
- 特定技能ビザが最も実用的 - 製造ラインでの作業を含む幅広い業務に従事でき、取得条件も比較的明確
- 日本語力の向上が鍵 - 最低でもN4、キャリアアップにはN2以上を目指すこと
- 制度変更に注目 - 2027年の育成就労制度への移行など、制度は常に変化している
日本での就職活動を始める第一歩として、まず自分に適した在留資格を確認し、必要な試験の準備を進めていきましょう。
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