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家族と日本生活の完全ガイド

国際離婚の手続きと子供の親権問題

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年2月25日更新日:2026年2月28日
国際離婚の手続きと子供の親権問題

国際離婚の手続き方法、子供の親権問題、ハーグ条約の影響について詳しく解説します。準拠法の決め方、日本と海外の親権制度の違い、養育費・面会交流の取り決め方法、離婚後のビザ問題まで、国際離婚に必要な知識を網羅した完全ガイドです。

国際離婚の手続きと子供の親権問題【完全ガイド】

国際結婚をしたカップルが離婚を決意したとき、通常の離婚よりもはるかに複雑な法律問題に直面します。特に子供がいる場合、親権をどちらの国の法律で決めるのか、子供の国籍や居住地はどうなるのかなど、考慮すべき点が非常に多くなります。日本では1970年代に年間約5,000件だった国際結婚が2005年には年間40,000件を超え、それに伴い国際離婚も増加傾向にあります。本記事では、国際離婚の手続きの流れと子供の親権に関する重要なポイントを詳しく解説します。

国際離婚の基本的な手続きと流れ

国際離婚において最も重要なのは、①どこの国で裁判を行うのか(裁判管轄)②どこの国の法律が適用されるのか(準拠法)の2点です。この2つによって、離婚の手続き方法や親権の決め方が大きく異なります。

日本で国際離婚を進める場合、主に以下の3つの方法があります。

協議離婚

日本では離婚の約90%が協議離婚で解決されています。夫婦が話し合いで合意し、離婚届を市区町村役場に提出する方法です。ただし、相手の国が協議離婚を認めていない場合は、たとえ日本で離婚届が受理されても、相手の国では離婚が成立していない可能性があります。

調停離婚

協議で合意できない場合、家庭裁判所で調停を申し立てます。相手の住所が日本にあれば、原則として日本の家庭裁判所で手続きを進めることができます。調停委員が間に入り、離婚条件を話し合います。

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裁判離婚

調停が不成立の場合は、裁判所に離婚訴訟を起こします。国際離婚では、裁判管轄と準拠法の問題が特に重要になるため、労働法や法的権利に詳しい専門家への相談が不可欠です。

国際離婚における準拠法の決め方

国際離婚でどの国の法律が適用されるかは、「法の適用に関する通則法」によって定められています。具体的には以下の順序で準拠法が決まります。

優先順位条件適用される法律
第1順位夫婦の本国法が同一の場合その共通の本国法
第2順位夫婦の常居所地法が同一の場合その共通の常居所地法
第3順位夫婦に最も密接な関係がある地の法最密接関係地法
第4順位夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人の場合日本法

例えば、日本人とアメリカ人の夫婦が日本で生活している場合、常居所地法として日本法が適用される可能性が高くなります。準拠法の問題は非常に専門的であるため、ビザや在留資格の問題も含め、国際離婚に詳しい弁護士に相談することが重要です。

詳しい法律の解説は弁護士法人ALG&Associates小原・古川法律特許事務所の国際離婚ガイドで確認できます。

子供の親権に関する日本と海外の制度比較

国際離婚で最も問題になるのが子供の親権です。日本と海外では親権制度が大きく異なります。

項目日本(従来)日本(2026年以降)欧米諸国
親権制度単独親権のみ共同親権も選択可共同親権が原則
親権者の決定父母の協議または裁判所父母の協議または裁判所裁判所が決定
面会交流権法的保障が弱い法的保障が強化法的に保障
養育費合意に基づく法的強制力が強化法的強制力あり
母親の親権獲得率約80%変動の可能性あり50〜60%程度

日本の単独親権制度

日本では従来、離婚後の親権者は父母のどちらか一方のみ(単独親権)でした。実際には母親が約80%の割合で親権を獲得しており、父親が子供との関係を維持するのが難しい状況が続いてきました。

2024年民法改正と共同親権の導入

2024年5月に改正民法が成立し、2026年までに離婚後の共同親権制度が導入される予定です。この改正により、父母の協議で共同親権か単独親権かを選択できるようになります。国際離婚の当事者にとって、この改正は非常に大きな影響を及ぼします。

詳しい解説はデイライト法律事務所ベリーベスト法律事務所の解説記事を参考にしてください。

ハーグ条約と子供の連れ去り問題

ハーグ条約とは

ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)は、16歳未満の子供が一方の親によって国境を越えて不法に連れ去られた場合に、子供を元の居住国に返還するための国際条約です。日本は2014年にこの条約に加盟しました。

2018年1月時点の統計では、日本が被請求国としての返還事案69件中47件が解決され、そのうち約70%が友好的に解決されています。

注意すべきポイント

国際離婚で特に注意が必要なのは、日本人の親が子供を連れて帰国することが「連れ去り」と見なされる可能性がある点です。たとえ日本の裁判所で親権が認められていても、ハーグ条約に基づく返還請求により、子供を相手国に返す必要が生じることがあります。

外務省のハーグ条約ページで最新情報を確認できるほか、丸の内ソレイユ法律事務所の解説も参考になります。

ハーグ条約における返還拒否事由

子供の返還が必ずしも認められるわけではなく、以下のような場合は返還を拒否できることがあります。

  • 連れ去りから1年以上経過し、子供が新しい環境に適応している場合
  • 返還によって子供に身体的・精神的な害を及ぼす重大なリスクがある場合
  • 子供自身が返還に異議を述べ、その年齢・成熟度が考慮に値する場合
  • 返還が人権の基本原則に反する場合

国際離婚時の養育費と面会交流

養育費の取り決め

国際離婚では、養育費の支払いが国境を越える問題となります。日本の裁判所が決定した養育費を外国で執行することは容易ではなく、逆もまた同様です。養育費の問題については、以下のポイントを事前に確認しておきましょう。

  • 支払い通貨:どの通貨で支払うか(為替変動リスクへの対応)
  • 支払い方法:国際送金の手数料負担をどうするか
  • 金額の見直し:経済状況の変化に応じた金額変更の条件
  • 強制執行:不払いの場合の法的手段

面会交流の確保

国際離婚後、子供と別居親が異なる国で暮らすケースでは、面会交流の実現が大きな課題となります。オンライン面会、長期休暇中の訪問、渡航費用の分担など、具体的なルールを離婚時に取り決めておくことが重要です。

家族と日本で生活するための全体的なガイドもあわせて参考にしてください。

離婚後のビザ・在留資格への影響

国際離婚は、外国人配偶者の在留資格に直接影響を及ぼします。配偶者ビザ・家族滞在ビザで在留している場合、離婚後もそのまま日本に滞在し続けることはできません。

離婚後の在留資格の選択肢

在留資格条件在留期間
定住者日本人の子を養育する外国人親1年〜5年
就労ビザへの変更就労先が決まっている場合就労内容による
特定活動離婚後の就職活動期間6ヶ月
永住者すでに永住権を取得済み無期限

特に子供がいる場合は、「定住者」への在留資格変更が認められるケースが多いです。在留資格の変更手続きについて詳しく理解しておきましょう。

国際離婚を円滑に進めるための実践アドバイス

1. 早期に専門家に相談する

国際離婚は通常の離婚に比べて法律問題が複雑です。国際家事事件を専門とする弁護士に早期に相談することで、不利な状況を回避できます。特に小原・古川法律特許事務所のような国際離婚専門の事務所への相談が推奨されます。

2. 必要な書類を事前に準備する

国際離婚では、結婚証明書、出生証明書、住民票など多くの書類が必要になります。外国で発行された書類には翻訳と認証(アポスティーユ)が必要な場合もあります。

3. 子供の利益を最優先に考える

親権争いの中で最も重要なのは「子の最善の利益」です。感情的な対立に巻き込まれないよう、常に子供の立場に立って判断しましょう。

4. 経済的な準備を整える

離婚後の生活設計を立て、子育て支援制度や補助金についても事前に調べておきましょう。配偶者の就労許可についても理解しておくことが重要です。

5. 子供の教育環境を考慮する

離婚後の子供の教育と学校選びは慎重に検討する必要があります。日本に残る場合も、帰国する場合も、子供の教育の継続性を確保することが大切です。

まとめ:国際離婚は慎重かつ戦略的に

国際離婚は、文化の違い、法律の違い、言語の壁など、多くの困難を伴います。しかし、正しい知識と適切な専門家のサポートがあれば、円満な解決は可能です。

特に2024年の民法改正により共同親権制度が導入されることで、国際離婚における親権問題にも大きな変化が期待されています。外国人の婚姻届の手続きと同様に、離婚手続きでも正確な情報と専門家の助言が不可欠です。

子供がいる場合は、ハーグ条約の理解、親権の準拠法の確認、養育費や面会交流の取り決めなど、事前に準備すべきことが多くあります。一人で抱え込まず、弁護士や各種支援機関に早めに相談することをおすすめします。

関連情報:

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、J*(日本企業)・A*(外資系企業)で11年の実務経験。外国人の日本就労情報を発信。

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